矢野恵美教授が言及した高松高裁の昭和47年9月29日判決(その2)。香西咲さんがこうむったAV強要事件。警察は新法でなく現行法で強姦魔を逮捕すべきです

昨日のつづきです。
本日も、高松高裁で昭和47年9月29日に出された判決をみていきます。
まずは当該判決文のなかから事件の概要を確認します。
詳細につきましては、昨日の当ブログをご覧ください。

(参考。当ブログ)
2019年11月6日(昨日)

<事件の概要>
(昭和47年【1972年】9月29日 高松高等裁判所「判決文」より、引用。)

昭和47年(1972年)9月29日 高松高等裁判所

(被告人Aは)昭和40年(1965年)11月5日午後0時30分ごろ、Bが同店において154円相当の商品を万引したことに因縁」

「強いて同女を姦淫しようと企て、同事務室において、同女に対し『あなたは一ぺんじやない何回も盗みをしちよるろう、ただじやすませんきに一時金として5,000円出してくれ、5,000円の金が一ぺんにできざつたら5丁目の警察へ突き出すぞ、お金ができんことは判つたが警察へ行くか、身体を張つたら今日のがは許しちやる、1回で5,000円を精算してやる』などと申し向けて脅迫」

「暗に右万引の事実を警察へ申告しないことの代償として情交関係を結ぶことを要求」

「同女をして警察などへ申告され処罰を受けることなどに畏怖困惑の念を生ぜしめ」
「情交関係を結ぶもやむをえないものと思惟せしめ」
「もつてその反抗を抑圧」

「同月19日ころの午後1時30分ごろ、高知市a町b番地旅館『C荘』において強いて同女を姦淫した」

問題は、期間、です。
Bさんが、犯人のAから脅迫されたのは、11月5日です。
犯人のAが、Bさんを強姦したのは、11月19日です。
14日間の間があります。
高松高裁はどのような判断したのでしょうか。

(昭和47年【1972年】9月29日 高松高等裁判所「判決文」より、引用。)

昭和47年(1972年)9月29日 高松高等裁判所

「次に、前記認定の事実によれば、なるほど、論旨指摘のとおり、脅迫行為時と姦淫時との間には14日間の経過」
「B(被害者)が情交当日被告人Aに同被告人との情交に応ずる旨の電話をした際、情交の場所を旅館C荘と指定しており、同旅館内での情交が外観上は極く自然とみられる状態において行なわれている」
「男女間で姦淫の行なわれるにあたり、事前に女子が男子に対し電話連絡をし、女子自ら姦淫の場所と時刻を指定し、その結果同場所で行なわれた姦淫も外観上は極く自然で通常の男女間の情交と認められるような状態においてなされている」
「前記場所等の指定および自然の状態で行なわれたかのように見える姦淫が、それ以前に加えられた犯人の脅迫行為によつて、被害者が精神的に抗拒する気力を失つた状態に陥り、その状態が継続していることによるもの」
「犯人が被害者のその状態に乗じ強いて姦淫した」
「たとえ、脅迫行為時と姦淫時との間に14日間の経過があり、姦淫行為が外観上は通常の男女間におけると同様な状態で行なわれたとしても、脅迫と姦淫行為との間の因果関係は中断されることなく存在するのであつて、脅迫による刑法177条前段の強姦罪が成立する」

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明晰な論理です。

昭和47年(1972年)9月29日 高松高等裁判所

「そこで、本件についてこれをみるに、被告人Aは、Bが万引でつかまり警察へ申告されるのをおそれているのに乗じ、同女に対し前記の脅迫を加えて同女を畏怖困惑」
「同女をして精神的に抗拒する気力を失わせる状態に陥しいれたうえ情交の承諾を余義なくさせ」
「その状態が続いている状況のもとで同女が被告人Aの指示に従い同被告人に電話をした」
「同被告人の求めにより同女に情交の場所として旅館C荘を指定させ」
「同旅館において同女が精神的に抗拒する気力を失つていて同被告人の意のままになるのに乗じて強いて姦淫の目的を遂げた」
「被告人Aの右一連の所為は、刑法177条前段の強姦罪にあたることが明らかである」

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内閣府の専門調査会で矢野恵美教授は、当該裁判に関して以下の言及をされています。

(2016年9月12日 第83回女性に対する暴力に関する専門調査会「議事録」より、引用。)

<26ページ>
2016年9月12日 矢野恵美 琉球大学 大学院法務研究科 教授

(略)、脅迫と姦淫の間の期間が2週間あったというケースで、実際に性行為に及んだときには被害者は同意していたという形でも、強姦罪を認めた判例もございます。

ひきつづき、高松高裁の判決文を参照します。

(昭和47年【1972年】9月29日 高松高等裁判所「判決文」より、引用。)

昭和47年(1972年)9月29日 高松高等裁判所

「被告人Aは、貞操観念の低い女性であるBから誘惑されたため合意のうえ同女と情交関係を結んだものであるとか、同女は、被告人Aから脅迫を受けた後、捜査機関に申告する時間的余裕があつたのに、敢えてこれをしないで、被告人Aを誘惑したものであると主張する」
「Bが貞操観念の低い女性であつたとする(略)供述は、同人の検察官に対する供述調書の記載に照らして信用できない」
「かりに、Bが貞操観念の低い女性であつたとしても、前記のような脅迫を加えたうえ強いて姦淫すれば強姦罪が成立することは言うまでもないことである」

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昭和47年(1972年)9月29日 高松高等裁判所

「また、Bが捜査機関に対し被告人Aからの前記脅迫の被害を告訴しなかつたことは所論指摘のとおりである」
「同女は自己が万引したことを警察に知られることを最も怖れていた」
「右脅迫被害を警察に届出ることは同時に自己の万引の事実を警察に申告する結果になることは明らかである」
「同女に対して右の告訴を強いることは自己の万引(窃盗)を自白させるに等しいこと」
「被告人Aは同女の弱身に付け込んでの犯行」
「精神的に抗拒の気力を失い思い迷つていた同女に対し右の告訴をしなかつたのを責めることは酷」
「告訴がなかつた事実を捉えて、本件姦淫につき合意があつた証左とすることはできない」

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(2016年9月12日 第83回女性に対する暴力に関する専門調査会「議事録」より、引用。)

<26ページ>
2016年9月12日 矢野恵美 琉球大学 大学院法務研究科 教授

(略)、強姦罪における暴行、脅迫というのは
被害者の抵抗を著しく困難にする程度
という、割と強い要件が設けられているために、強要されて嫌々出演していても、現場で強い暴行・脅迫これに当たらないかのように見えてしまうという問題が実際にあるのではないかと思います。

(再掲。高松高裁)
自然の状態で行なわれたかのように見える姦淫が、それ以前に加えられた犯人の脅迫行為によつて、被害者が精神的に抗拒する気力を失つた状態に陥り、その状態が継続していることによるもの

犯人が被害者のその状態に乗じ強いて姦淫した

被害者が精神的に抗拒する気力を失つた状態
AV出演強要の場合も女性はこのような状態に陥る、と言われています。

(2016年9月18日 AbemaTIMES「【AV出演強要問題】元カリスマ女優・川奈まり子氏が業界健全化のために奮闘」より、引用。改行を施しています。)

香西咲さん

香西は、当初はモデルとしてスカウトされたはずだったのに蓋を開けたらAV出演ということになっていた。

(略)、AV撮影のために富士山の麓に連れていかれて、3時間泣いたこともあるという。
その時、自分をスタッフ全員が待っている状況にあった。
これには
「遠いところですから……。よっぽど強い子でないと(撮影を中止させるのは)無理だと思いますし。私さえ泣いておけば丸く収まると思った。結局AV撮影に応じることになりました。あとは、違約金などを理由に辞められないです。結局、弁護士を雇って辞められましたが、人生の大事な時期5年間を失敗したなと思う」
と語った。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2016年7月25日

富士山の樹海近くのスタジオに連れていかれてどうやって逃げろと?
周り何も無いですし。
怖い人20人近くいて声も出ないですよ。
男性にはこの怖さは分かりません。

香西咲さん
2016年10月14日

(前略。)
私の場合は、事務所との契約書は自分の都合の良いように作り直しました。
勿論エロなんて言葉は無し、一般的な芸能契約書です

そして撮影後にメーカー、事務所、私の3社間で契約書が存在する事を知らされたのです。
日付も撮影前に遡って記載されてありました。

香西咲さん
2017年11月29日

MeToo
#青木亮 から出された契約書にはアダルト内容の記載は一切ありませんでした。私が自由に契約内容を変えて良いよとまで言われ信頼

2日後東京から車で富士山の麓まで連れていかれ #AV強要 後日AV契約書の存在を知らされ、サインする様に強要されました。
#アットハニーズAV強要 #性的搾取

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警察は未だ、AV業界人を強姦罪(強制性交当罪)で逮捕していません。
だれがみても警察の怠慢です。
オリンピックまでにAV出演強要をとりしまる新法が制定されると思惟(しい)します。
警察は新法をあてにするのではなく、現行法で犯人を捕獲するべきです。
警察の奮励を念願します。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
(明日のブログへつづく)



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