厚生労働省の「婦人相談員相談・支援指針」にAV強要が追記されました(その4)。香西咲さん「思い出した瞬間動悸や頭痛吐き気」。AV業界の存立をゆるしてはなりません

本日も厚生労働省の婦人相談員相談・支援指針をみていきます。

(参考。当ブログ)
2019年10月30日(その1)
2019年11月1日(その2)
2019年11月2日(その3)

婦人相談所は、売春防止法の第34条をうけて設立されました。
同条は、
都道府県は、婦人相談所を設置しなければならない
と規定しています。
婦人相談所の根拠法は、売春防止法です。
婦人相談員相談・支援指針のなかに興味深い記述がありました。
参照します。

婦人相談員相談・支援指針より。)
<2ページ>
2018年3月30日改訂 婦人相談員相談・支援指針

なお、婦人保護事業の出発点においては、「保護更生」「補導」という視点から売春女性への社会的対応が図られていたが、このような方策は売買春を生み出す社会の仕組みが問われないまま、女性個人に責任を集約させてしまうという問題を内包していた。

(再掲。婦人相談員相談・支援指針)
売買春を生み出す社会の仕組みが問われない
女性個人に責任を集約させてしまう

婦人相談員相談・支援指針は、売春防止法のすべてを肯定しているわけではないようです。

<65ページ>
2018年3月30日改訂 婦人相談員相談・支援指針

売防法は売春する女性を5条違反として処罰する一方で、売春する女性を保護し社会復帰させるための援助を行うという、矛盾に満ちた法律である。

(参考。売春防止法

第5条

売春をする目的で、次の各号の一に該当する行為をした者は、6月以下の懲役又は1万円以下の罰金に処する。
 一 公衆の目にふれるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘すること。
 二 売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
 三 公衆の目にふれるような方法で客待ちをし、又は広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。

第34条

1 都道府県は、婦人相談所を設置しなければならない。

2 地方自治法(略)の(略)指定都市(略)は、婦人相談所を設置することができる。

3 婦人相談所は、性行又は環境に照して売春を行うおそれのある女子(以下「要保護女子」という。)の保護更生に関する事項について、主として次に掲げる業務を行うものとする。
 一 要保護女子に関する各般の問題につき、相談に応ずること。
 二 要保護女子及びその家庭につき、必要な調査並びに医学的、心理学的及び職能的判定を行い、並びにこれらに付随して必要な指導を行うこと。
 三 要保護女子の一時保護を行うこと。

4 婦人相談所に、所長その他所要の職員を置く。

5 婦人相談所には、要保護女子を一時保護する施設を設けなければならない。

6 前各項に定めるもののほか、婦人相談所に関し必要な事項は、政令で定める。

第35条

1 都道府県知事(略)は、社会的信望があり、かつ、第三項に規定する職務を行うに必要な熱意と識見を持つている者のうちから、婦人相談員を委嘱するものとする。

2 市長(略)は、社会的信望があり、かつ、次項に規定する職務を行うに必要な熱意と識見を持つている者のうちから、婦人相談員を委嘱することができる。

3 婦人相談員は、要保護女子につき、その発見に努め、相談に応じ、必要な指導を行い、及びこれらに付随する業務を行うものとする。

婦人相談員相談・支援指針より。)
<65ページ>
2018年3月30日改訂 婦人相談員相談・支援指針

(売春をした女性に対して)犯罪者という汚名を着せながら、教え諭して更生させるということである。
また、売春する女性は5条違反で処罰されるが、買う側(買春者)は処罰されない。

買う側(買春者)は処罰されない
ここが問題です。

<65ページ>
2018年3月30日改訂 婦人相談員相談・支援指針

さらに、「収容」「保護更生」「要保護女子」「指導」など、差別的な用語が使われており、それはそのまま売春する女性への偏見や差別と結びついている。

売春防止法のなかに、「収容」「保護更生」「要保護女子」「指導」ということばが何回、登場するのかを数えてみました。

(参考。売春防止法
・「収容」 32回
・「保護更生」 4回
・「要保護女子」 8回
・「指導」 2回

<65ページ>
2018年3月30日改訂 婦人相談員相談・支援指針

売防法の制定(1956年)から60年近く経過するが、社会のあり方や女性の状況が大きく変化した現在も、売防法は、基本的な法構造や女性差別的な思想をそのまま維持しており、抜本的な見直しは一度も行われていない。
国連女性差別撤廃委員会は、売防法第5条は「女性差別的規定」であり、「売春による性的搾取や人身取引の被害者である女性と女児の回復及び社会復帰のための施策を講じるよう」に、日本政府に勧告している(第6次日本政府レポート審議総括所見、40項、2009 年)。

(参考。女子差別撤廃委員会の最終見解
2009年8月7日 女子差別撤廃委員会

39.(前略。)
委員会はさらに、「売春防止法」において売春をした者が起訴の対象となる一方で、顧客が処罰を受けないことを懸念する。

<65ページ>
2018年3月30日改訂 婦人相談員相談・支援指針

2012年(平成24年)、厚生労働省は「婦人保護事業等の課題に関する検討会」を設置して、第4章の婦人保護事業を中心に、売防法制定後初の本格的見直しに着手し、2013年(平成25年)3月、論点整理を行った。

(参考)
平成25年(2013年)3月 婦人保護事業等の課題に関する検討会のこれまでの議論の整理
<12ページ>
現在の売春防止法から第4章(第34条から第40条まで)を根拠とする婦人保護事業について、新たな法制の検討をしてはどうか。なお、女性に特化した新たな法制の検討に当たっては、広く国民の理解を得ることが必要であり、様々な意見が想定されるが、女性であるがために支援を必要としている女性が現に数多く存在しているという現実を踏まえ、これに対応する必要があるのではないか

<65ページ>
2018年3月30日改訂 婦人相談員相談・支援指針

現代社会では、親の暴力や性虐待から逃れた若い女性が性産業による性的搾取や性暴力のターゲットとなり、社会的格差が広がる中で、貧困状態に陥った女性が売買春に追い込まれていく。
このような売買春を許容する日本社会の基底には売防法がある。
売春する女性を処罰するのではなく、買う側を処罰し、女性を支援する方向での、売防法の改正は課題となっている。

<65~66ページ>

すべての婦人相談員が、売買春被害が婦人保護事業の本来的対象であることを十分認識しているとは言い難い。
特に、DV防止法が婦人保護事業の根拠法となってからは、その傾向は強まっている。
売買春問題と売防法は婦人相談員研修の必須項目である。

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(再掲。婦人相談員相談・支援指針)
現代社会では、親の暴力や性虐待から逃れた若い女性が性産業による性的搾取や性暴力のターゲットとなり、社会的格差が広がる中で、貧困状態に陥った女性が売買春に追い込まれていく

このような売買春を許容する日本社会の基底には売防法がある

売春する女性を処罰するのではなく、買う側を処罰し、女性を支援する方向での、売防法の改正は課題となっている

おっしゃるとおりです。
このような売買春を許容する日本社会の基底には売防法がある
との指摘は正鵠(せいこく)を得ています。
売春防止法があるかぎり、売春はなくなりません。
2018年3月30日に婦人相談員相談・支援指針が改訂され、相談者の範疇にAV出演強の被害者が加わりました。

婦人相談員相談・支援指針より)
<66ページ>
2018年3月30日改訂 婦人相談員相談・支援指針

(※)いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・「JKビジネス」問題等については、被害者の心身に深い傷を残しかねない重大な人権侵害であるとともに、女性活躍の前提となる安全で安心な暮らしの基盤を揺るがす問題であり、その根絶に取り組む必要がある。

政府においては、関係省庁が連携して対策を実施するため、「いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・『JKビジネス』問題等に関する関係府省対策会議(平成29年3月21日関係府省申合せ)」(以下「対策会議」という。)を設置し、平成29年4月を「AV出演強要・『JKビジネス』等被害防止月間」と位置付け、政府一体となって必要な取組を緊急かつ集中的に実施することとした。

また、平成29年5月には、対策会議において、「いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・『JKビジネス』問題等に関する今後の対策」(以下「今後の対策」という。)をとりまとめた。

各都道府県の婦人相談所も主要な相談窓口の一つとされており、適切な相談対応とともに、各都道府県等のホームページ等を活用して、いわゆるアダルトビデオ出演強要や「JKビジネス」による性暴力に関する相談を受け付けている。

市区の婦人相談員においても、婦人相談所等の関係機関や民間支援団体と連携を図りながら適切な対応が求められる。

婦人相談所は売春防止法を根拠法としています。
それを思うと、諸手(もろて)を挙(あ)げて歓迎する気にはなれません。

(2019年9月16日 時事通信「婦人相談所強化へ新法検討=AV強要、JKビジネスも対応-厚労省」より、引用。)

2019年9月16日 時事通信

厚生労働省は、都道府県が設置している婦人相談所の機能を強化するため、根拠法を売春防止法(売防法)から新法に改める検討を始めた。

アダルトビデオ(AV)への出演強要や女子高生らに接客させる「JKビジネス」といった若い女性を狙った新たな性被害などにもより十分な対応ができるようにする。

早ければ来年の通常国会に法案を提出する方針だ。
(後略。)

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2016年6月15日

慢性胃炎や膵炎、睡眠障害、脅迫観念、対人恐怖症等(特に男性)など、 ケジメを付けない限りは一生引きずりますね。
健康を返して。

香西咲さん
2016年10月28日

隅に追いやっていたトラウマを掘り起こすのはとてつもない労力が要りますね。
精神的にも、ついこの間までは普通の精神を保てたのに、思い出した瞬間動悸や頭痛吐き気…この突然の変化は経験者にしか分からない。女性の共犯者達は特に最低。

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(再掲。時事通信)
厚生労働省は、都道府県が設置している婦人相談所の機能を強化するため、根拠法を売春防止法(売防法)から新法に改める検討を始めた

被害者の方々の再生につながる法律が制定されることを期待しています。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
(明日のブログへつづく)



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