厚生労働省の「婦人相談員相談・支援指針」にAV強要が追記されました(その2)。香西咲さんたち被害者が泣き寝入りをしない施策がもとめられます

2日前の当ブログで、厚生労働省が出している婦人相談員相談・支援指針にふれました。
昨年(2018年)の3月30日に改訂がおこなわれ、あらたにAV出演強要に関する記述が追加されました。

(参考。当ブログ)
2019年10月30日

婦人相談員相談・支援指針より)
<66ページ>
2018年3月30日改訂 婦人相談員相談・支援指針

(※)いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・「JKビジネス」問題等については、被害者の心身に深い傷を残しかねない重大な人権侵害であるとともに、女性活躍の前提となる安全で安心な暮らしの基盤を揺るがす問題であり、その根絶に取り組む必要がある。

政府においては、関係省庁が連携して対策を実施するため、「いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・『JKビジネス』問題等に関する関係府省対策会議(平成29年3月21日関係府省申合せ)」(以下「対策会議」という。)を設置し、平成29年4月を「AV出演強要・『JKビジネス』等被害防止月間」と位置付け、政府一体となって必要な取組を緊急かつ集中的に実施することとした。

また、平成29年5月には、対策会議において、「いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・『JKビジネス』問題等に関する今後の対策」(以下「今後の対策」という。)をとりまとめた。

各都道府県の婦人相談所も主要な相談窓口の一つとされており、適切な相談対応とともに、各都道府県等のホームページ等を活用して、いわゆるアダルトビデオ出演強要や「JKビジネス」による性暴力に関する相談を受け付けている。

市区の婦人相談員においても、婦人相談所等の関係機関や民間支援団体と連携を図りながら適切な対応が求められる。

(再掲。婦人相談員相談・支援指針)
各都道府県の婦人相談所も主要な相談窓口の一つとされており、適切な相談対応とともに、各都道府県等のホームページ等を活用して、いわゆるアダルトビデオ出演強要や『JKビジネス』による性暴力に関する相談を受け付けている
市区の婦人相談員においても、婦人相談所等の関係機関や民間支援団体と連携を図りながら適切な対応が求められる

婦人相談所」とはどのようなところなのでしょうか。
婦人相談員相談・支援指針を参照します。

2018年3月30日改訂 婦人相談員相談・支援指針
<1ページ>

婦人保護事業は、1956 年に成立した売春防止法の第4章に規定された事業であり、婦人相談所・婦人相談員・婦人保護施設から構成されている。

(参考。売春防止法
第4章
第34条
都道府県は、婦人相談所を設置しなければならない

婦人相談所は売春防止法の第34条にもとづいて設けられた、ということがわかります。

2018年3月30日改訂 婦人相談員相談・支援指針
<2ページ>

婦人保護事業は、現在では女性支援を担う中核的事業として重要な社会的位置にある。
婦人相談所は、心身を傷つけられ、人権を侵害されるなど、複雑で深刻化する現代の女性の様々な問題に対して、相談・保護・自立支援など専門的支援を切れ目なく一貫して行うことを目的とした公的機関である。

(再掲。婦人相談員相談・支援指針)
婦人保護事業は、1956 年に成立した売春防止法の第4章に規定された事業であり、婦人相談所・婦人相談員・婦人保護施設から構成されている

婦人相談員相談・支援指針には、婦人保護事業をおこなうことになった経緯が書かれています。
参照します。

<1ページ>
2018年3月30日改訂 婦人相談員相談・支援指針

(略)、売春防止法は売春する女性(5条違反)とあっせん業者を処罰する刑事法としての側面と、売春した女性及び売春するおそれのある女性(要保護女子)を保護更生させる婦人保護事業の側面(第4章保護更生)とを併せ持つ。
同法(売春防止法)は、買春者を処罰する規定がないという問題があるものの、長らく日本に存続してきた公娼制度を廃止することから業者の転業や廃業が見込まれ、それによって売春に従事していた女性が生活困窮状況に陥ることが想定された。
その際、再び売春に従事することを未然に防止し、生活再建を図っていけるよう、女性の「保護更生」を担う機関として婦人保護事業が規定された。
その後、 1963年に厚生労働省により策定された婦人保護事業実施要領では、婦人保護事業の目的については、
「性行または環境からみて売春を行うおそれのある要保護女子について、その転落の未然防止と保護更生を図ることを目的として、社会環境の浄化などに関する啓発活動を行うとともに、 要保護女子等の早期発見に努め、必要な相談、調査、指導および収容保護を行う」
と規定されている。
このように、婦人保護事業は売買春問題を基底として創設された事業であるが、その後、実際に婦人保護事業に辿り着く女性たちの現状をみると、売買春に関わる相談にとどまらない幅広い女性問題が出現していた。
また、様々な性風俗産業の登場によって売買春が質的に変化するとともに、業者の巧妙な手口によって潜在化も進行していく。
そのような時代の変容と相談ニーズの多様化に伴い、婦人保護事業は「要保護女子」の規定を拡大解釈することによって女性全般の相談支援を担う事業に変遷してきた。
また、2001 年に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(現在は「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」・以下、DV防止法)が制定され、2004 年には「人身取引対策行動計画」が策定されるなど、新たな法体系が創設されたことによって、婦人保護事業の根拠法自体も拡大する。
つまり、 2002年4月からはDV防止法第3条により婦人相談所は配偶者暴力相談支援センター(以下、配暴センター)としての役割を果たすこととなり、第4条により婦人相談員は配偶者からの暴力被害者の相談等を担い、第5条により婦人保護施設は配偶者からの暴力被害者の保護を行うことができるとされた。
また、2004年12月からは婦人保護事業は人身取引被害者への支援も担い、さらに、2013年に「DV防止法」及び「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(以下、ストーカー規制法)が改正されたことによって、ストーカー被害者の支援を婦人相談所が行うこととなった。

婦人保護事業の目的がわかりました。
長らく日本に存続してきた公娼制度を廃止することから業者の転業や廃業が見込まれ、それによって売春に従事していた女性が生活困窮状況に陥ることが想定された
そこで、
その際、再び売春に従事することを未然に防止し、生活再建を図っていけるよう、女性の『保護更生』を担う機関として婦人保護事業が規定された
とのことです。
婦人保護事業実施要領には、こう書かれています。
性行または環境からみて売春を行うおそれのある要保護女子について、その転落の未然防止と保護更生を図ることを目的として、社会環境の浄化などに関する啓発活動を行うとともに、 要保護女子等の早期発見に努め、必要な相談、調査、指導および収容保護を行う
と。

公娼制度を廃止することから業者の転業や廃業が見込まれ、それによって売春に従事していた女性が生活困窮状況に陥ることが想定
その際、再び売春に従事することを未然に防止
AVもこうした範疇に属すると考えているのでしょうか。
もしもそうであるとするのならば、それはちがうと思います。
AV業界がなくなってこまるのは、女優でありません。
ノンフィクション作家の中村淳彦さんはつぎのようにおっしゃっています。

中村淳彦さん(ノンフィクション作家)
音声の文字化は筆者。)

(2017年10月10日「渋谷のほんだな」より) 

「AVに出ている子は選ばれた子なので、ほかの世界に行ってもなんとでもなる子たちがほとんどです」

「AV監督、メーカー、社員、男優。皆、AV業界がなくなったらかなり苦しいですね」

(これやっぱり、あのー、普通のほかの映像制作会社に転職するとかですね。そういうのはむずかしいですかね?)
「いや、まあ、まあ、そういうことをできるひとは転職すればいいと思うんですけども。まあ、ほぼ、ほぼ、きびしいと思います」

「やっぱり、あの、ぼくもふくめて、普通の社会で普通に生きられなかったひとがあつまる業界なんですね」

「いや、やっぱり、能力がないひとたちが女の子の裸を利用して商品をつくる、っていうことなので。その裸がつかえないとなったら、まあ、むずかしいでしょうね。ほとんどのひとが」

(2017年11月17日「大竹まこと ゴールデンラジオ」より

「女の子は若くてかわいくて、学歴も高い子が、いまぞくぞく出させているから、女の子はいくらでも行く場所があると思うんですよ」

「生き残っていくというか、このAV業界というのは、AV女優以外のセーフティーネットになっている部分があって、ほかに行き場所がないんですね。彼らは。なので、需要があるかぎりは、しがみついて、つくるかな、とぼくは思ってー」

「AVやめたら別の仕事ができない。つぶしがきかないんですよ」

「つくったり、男優だったり、プロダクションー」

「プロデューサーだったり、経営者だったりというのは、ほかに行き場所、ないだろうなぁ」

「だから、やめるわけにいかないんですよね」

「やめるひと、いないですよね」

「ただ、ぼくもふくめてなんですけど、ふつうの映画つくれない、テレビ番組つくれないから、女の子の裸を利用してなんとか商品にして生活している、っていう。こう、あんまり才能がないひとたちのあつまり、かな、と思っているので」
(だけど、ずっとその男のひとだってそこにいる仕事じゃないんじゃないの。)

(再掲。中村淳彦さん)
AVに出ている子は選ばれた子なので、ほかの世界に行ってもなんとでもなる子たちがほとんどです
女の子は若くてかわいくて、学歴も高い子が、いまぞくぞく出させているから、女の子はいくらでも行く場所があると思うんですよ

AVについては、婦人保護事業が意図している
公娼制度を廃止することから業者の転業や廃業が見込まれ、それによって売春に従事していた女性が生活困窮状況に陥ることが想定
その際、再び売春に従事することを未然に防止
の部分に該当しないと思います。
厚生労働省もわかっているようです。

(2019年9月16日 時事通信「婦人相談所強化へ新法検討=AV強要、JKビジネスも対応-厚労省」より、引用。)

2019年9月16日 時事通信

厚生労働省は、都道府県が設置している婦人相談所の機能を強化するため、根拠法を売春防止法(売防法)から新法に改める検討を始めた。

アダルトビデオ(AV)への出演強要や女子高生らに接客させる「JKビジネス」といった若い女性を狙った新たな性被害などにもより十分な対応ができるようにする。

早ければ来年の通常国会に法案を提出する方針だ。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2015年7月11日

性犯罪に関して数人の弁護士を訪ねたことがあるが、殆ど皆口を揃えて『立件が難しい』で終わらされる。
それ以上親身になってくれる弁護士はほとんどおらず、大半は泣き寝入りが現状。

香西咲さん
2017年11月29日


契約書を交わすまでに何度も突き返しているので手帖見ても分かりにくいかも知れませんね。
疑問点等があればいつでもどうぞ。

どうか他の被害者さんも泣き寝入りしません様に…

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根拠法を売春防止法(売防法)から新法に改める検討を始めた
厚生労働省はいま、新法の制定をめざしています。
AV出演強要の被害者の方々を救済する法律となることを期待しています。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

2018年11月14日
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
(明日のブログへつづく)



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