今月(7月)の11日に警察庁は、AV出演強要に関してあらたな通達を出しました。
(参考。当ブログ)
・2019年7月25日
・2019年7月26日
□令和元年(2019年)7月11日 警察庁丁保発第63号 アダルトビデオ出演強要問題に係る対策の推進について(通達) |
今回で4度目の通達となります。
●AV出演強要に関する警察庁の通達
①平成28年(2016年)6月28日 警察庁丁保発第119号「アダルトビデオへの強制的な出演等に係る相談等への適切な対応等について(通達)」 ↓ ②平成29年(2017年)3月31日 警察庁丁保発第40号 警察庁丁少発第80号「アダルトビデオ出演強要問題及びいわゆる「JKビジネス」問題に対する緊急対策の推進について(通達)」 ↓ ③平成30年(2018年)3月26日 警察庁丁保発第45号「アダルトビデオ出演強要問題に係る対策の推進について(通達)」 ↓ ④令和元年(2019年)7月11日 警察庁丁保発第63号「アダルトビデオ出演強要問題に係る対策の推進について(通達)」 |
本日は相談者に対する警察官の対応についてみてみます。
いまから3年前のことです。
日本共産党の池内さおり衆議院議員が国会で、AV出演強要を質(ただ)しました。
2016年3月11日
(2016年3月11日 衆議院 内閣委員会「会議録」より、引用。)
●2016年3月11日 池内さおり 衆議院議員(日本共産党)
(前略。) これは本当に私は画期的な裁判だったと思います。 契約書があるからAVへの出演は拒否ができない、多額の違約金を払うことができないのでやむなく出続けなければならないというふうに沈黙をずっと強いられてきた、声を上げることさえもできなかった女性たちにとって、本当に大きな力となる判決だと思います。 (後略。) |
●2016年3月11日 河野太郎 国家公安委員長
本人の意に反するアダルトビデオへの出演の強制は、これはあってはならない、女性の尊厳を踏みにじるようなものだと思いますし、そうした行為の中で違法行為があれば、法と証拠に基づいて、警察は厳正に取り締まってまいりたいと思っております。
残念ながら、警察にはそうした相談件数がいまだ多くないものですから、警察に御相談をいただきたいと思いますし、女性警察官を配置したり、あるいは人目につかないような車や部屋を用意したり、相談しやすい状況をつくってまいりたいと思いますので、警察としても厳正に対処してまいりたいと思います。 |
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(中略。)
●2016年3月11日 池内さおり 衆議院議員(日本共産党)
(前略。) この裁判の当事者の女性は、もちろん逃げたわけですけれども、芸能プロダクションが自宅まで追いかけてきて、実力で身柄を拘束しよう、奪還しようとしたそうなんですね。 この案件で警察に相談に行ったら、何と警察からは、双方から話を聞いた後で、契約書があるんだったら仕方がない、あなたは契約しちゃったんでしょう、だったらこの芸能プロの要求に応じてあと2本出たらどうかというふうに言ったそうなんですね。 とんでもないと言わなければならない。 女性に対する暴力、性行為の強要は犯罪である、人権侵害であるという認識にやはり立つべきだというふうに思いますが、加藤大臣、河野大臣、それぞれいかがですか。 |
●2016年3月11日 加藤勝信 男女共同参画担当大臣
さっきのは、そうした契約は無効であるということなんですが、その以前として、本人の意に反した、そうしたビデオに出演をさせ、またそうした行為を強いるということは、これは全く人権侵害じゃないかなというふうに私は思って聞かせていただきました。 まさにそういった観点から対応していかなきゃいけないと思います。 |
●2016年3月11日 河野太郎 国家公安委員長
まことに申しわけございません。 きちっと警察がこうした案件に対応できるように、全国の都道府県に対してしっかりと通知、指導してまいりたいと思います。 |
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河野太郎国家公安委員長は、
「全国の都道府県に対してしっかりと通知、指導してまいりたい」
と答弁しました。
3か月後、警察庁は、全国の警察に向けて通達を出しました。
(再掲)
●AV出演強要に関する警察庁の通達
①平成28年(2016年)6月28日 警察庁丁保発第119号「アダルトビデオへの強制的な出演等に係る相談等への適切な対応等について(通達)」 ↓ ②平成29年(2017年)3月31日 警察庁丁保発第40号 警察庁丁少発第80号「アダルトビデオ出演強要問題及びいわゆる「JKビジネス」問題に対する緊急対策の推進について(通達)」 ↓ ③平成30年(2018年)3月26日 警察庁丁保発第45号「アダルトビデオ出演強要問題に係る対策の推進について(通達)」 ↓ ④令和元年(2019年)7月11日 警察庁丁保発第63号「アダルトビデオ出演強要問題に係る対策の推進について(通達)」 |
4回の通達のなかから、相談に関する部分を抜粋します。
①平成28年(2016年)6月28日
警察庁丁保発第119号
アダルトビデオへの強制的な出演等に係る相談等への適切な対応等について(通達)
(2016年)
(※下図は、警察庁丁保発第119号より) (再掲。2016年通達) |
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②平成29年(2017年)3月31日
警察庁丁保発第40号 警察庁丁少発第80号
アダルトビデオ出演強要問題及びいわゆる「JKビジネス」問題に対する緊急対策の推進について(通達)
(2017年)
(※下図は、警察庁丁保発第40号 警察庁丁少発第80号より) (再掲。2017年通達) (2) 警察相談受理担当者等に対する教養 (3) 相談受理時の留意事項 |
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③平成30年(2018年)3月26日
警察庁丁保発第45号
アダルトビデオ出演強要問題に係る対策の推進について(通達)
(2018年)
(※下図は、警察庁丁保発第45号より) (再掲。2018年通達) (2) 警察相談受理担当者等に対する教養 (3) 留意事項 |
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ご覧のとおり、2017年の通達から追加された
「アダルトビデオへの出演強要被害に係る相談者等から事情聴取を行う際には、性的プライバシーに関するものを含むものであるという特徴に十分配意し、聴取の方法、時間、場所等について配意するとともに、女性警察官等の適任者に対応させる、女性警察職員を立ち会わせるなど、相談がしやすい環境整備に努めること」
との文言が、今回は、
「相談の内容が性的プライバシーに関するものを含むものであるという特徴に十分配意し、聴取の方法、時間、場所等について配意するとともに、相談者の希望を踏まえた性別の警察官等に対応させるなど、相談がしやすい環境整備に努めること」
となりました。
被害者の「希望」を優先した文面に変わっています。
さらに今回、以下の文章があらたに追加されました。
「アダルトビデオへの出演強要被害に係る相談者等から事情聴取を行う際には、相談者等の立場や主張を十分に酌み取るとともに、契約書があることを理由に相談に十分に応じないなどの不適切な対応は避けること」
もう一度、確認します。
●2017年と2018年の通達
(2017年と2018年) アダルトビデオへの出演強要被害に係る相談者等から事情聴取を行う際には、性的プライバシーに関するものを含むものであるという特徴に十分配意し、聴取の方法、時間、場所等について配意するとともに、女性警察官等の適任者に対応させる、女性警察職員を立ち会わせるなど、相談がしやすい環境整備に努めること。 |
↓(変更)
●今回の通達
(今回) 相談の内容が性的プライバシーに関するものを含むものであるという特徴に十分配意し、聴取の方法、時間、場所等について配意するとともに、相談者の希望を踏まえた性別の警察官等に対応させるなど、相談がしやすい環境整備に努めること。 |
(新設)
●今回の通達
(今回) アダルトビデオへの出演強要被害に係る相談者等から事情聴取を行う際には、相談者等の立場や主張を十分に酌み取るとともに、契約書があることを理由に相談に十分に応じないなどの不適切な対応は避けること。 |
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2018年4月26日>
「この事に縛られてたら幸せになれないよ?」ふざけんな。そんな事誰よりも私が解ってる。この件に関しての着地点は今やそこだけでしかない。 |
●香西咲さん
<2018年5月8日>
警察から「いつまでもその事にしがみついてたら幸せになれないよ」と言われ暫く落ち込んでいたけれど、 その警察とは無関係な議員の方が心配してマネージャーに連絡を下さりました ありがとうございます。 |
●香西咲さん
<2018年6月22日>
アドバイスありがとうございますm(*_ _)m 警察が受理して下さるか?が問題なのです。私は「香西さんさぁ?この事件忘れなければ一生幸せになれないよ」と警視庁都議会担当の方に言われて、そこでストップ。現実はそんなものです。 |
●香西咲さん
<2018年8月22日>
同感です。 名前は伏せますが、ある警視庁担当が「この事( #AV強要 #強姦 )忘れないと幸せになれないよ?」と言ってのけた事を一生許せないです。作品も傷も絶対に消えません。 もう少し実力着いたら警察だろうと名前晒します。 |
●香西咲さん
<2019年1月12日>
突然失礼致します。 私は #AV強要 を受け、警視庁都議会担当の方(いずれ名前も公表します)に 「香西咲さんさぁ、いい加減この事忘れないと一生幸せになれないよ?」と言われました。 そこに同席した公明党の議員が出してきたのは公明党PTの活動記事が載った新聞のコピー1枚。 #青木亮 #honeypopcorn |
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くりかえします。
今回、警察庁は、通達のなかにつぎの一文を追加しました。
「アダルトビデオへの出演強要被害に係る相談者等から事情聴取を行う際には、相談者等の立場や主張を十分に酌み取るとともに、契約書があることを理由に相談に十分に応じないなどの不適切な対応は避けること」
と。
香西咲さんのうったえが警察庁の方針を変えました。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
(明日のブログへつづく)
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