先月(6月)の20日に、アメリカの国務省(外務省)は、
「2019 Trafficking in Persons Report: Japan」
を発表しました。
(2019年6月21日 日本経済新聞「米人身売買報告書、キューバとサウジを最低ランクに 」より、引用。)
●2019年6月21日 日本経済新聞
米国務省は(6月)20日、世界各国の人身売買に関する2019年版の報告書を発表した。 (中略。) 日本に関しては、技能実習制度の監査を強化したことなどを評価し、昨年に続いて最高ランクとした。 |
(2019年6月21日 時事通信「日本の取り組み、最高評価維持=人身売買で年次報告-米国務省」より、引用。改行を施しています。)
●2019年6月21日 時事通信
米国務省は(6月)20日、人身売買に関する国別の状況をまとめた最新の年次報告書を公表した。 その中で日本に関して、人身売買阻止に向けた「最低限の水準を完全に満たしている」と評価し、昨年に続き4段階のうち最高ランクに位置付けた。 日本は、未成年による援助交際や接客サービス「JKビジネス」などが問題視され、2017年まで13年連続で上から2番目のランクに据え置き。 最新の報告書は、日本が未成年を使った性風俗の取り締まりを進めているほか、外国人技能実習制度に絡む違法行為防止に向け「監督強化に取り組んでいる」ことなどを評価。 |
(2019年6月21日 日テレNEWS24「“人身売買”中国を3年連続で最低ランクに」より、引用。改行を施しています。)
●2019年6月21日 日テレNEWS24
(前略。) 一方、日本は4段階評価のうち、2年連続で最高のランクに分類された。 |
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(再掲。時事通信)
「日本に関して、人身売買阻止に向けた『最低限の水準を完全に満たしている』と評価し、昨年に続き4段階のうち最高ランクに位置付けた」
アメリカは日本の人身取引対策を高く評価しているようです。
AV出演強要の施策についても、概(おおむ)ね良好、といったところなのでしょうか。
昨日、2019 Trafficking in Persons Report: Japanの日本語訳が公開されました。
□2019年7月19日 アメリカ国務省 (在日米国大使館・領事館 訳) 2019年人身取引報告書(日本に関する部分) |
AV出演強要に関する部分をみてみます。
(2019年6月20日発表 アメリカ国務省「2019年人身取引報告書(日本に関する部分)」より、引用。改行を施しています。)
●2019年6月20日 アメリカ国務省
訴追
当局は、「JK」ビジネスやポルノ出演強要における性的搾取目的の児童の人身取引に対する法執行措置を引き続き行ったが、過去の報告書の対象期間の場合と異なり、データや事案の詳細を提供しなかった。 |
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●2019年6月20日 アメリカ国務省
保護
複数の社会市民団体は、ポルノ出演強要の被害者の中には、人身取引犯に対する訴訟への参加によって汚名を着せられ、社会統合や社会復帰の障害になることへの恐れを理由に、訴訟に参加しない選択をした被害者もいたと報告した。 |
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●2019年6月20日 アメリカ国務省
防止
政府は、ポルノへの出演強要を防ぐため、アダルトビデオ業界関連企業の数百社を対象に、厚生労働省と警察庁による法制度に関する合同説明会を開催した。 政府はまた、ポルノ出演強要や「JK」ビジネスを通して行われた児童への暴力に対処するために、内閣府特命担当大臣(男女共同参画担当)が議長を務め、政府高官で構成された関係府省庁連絡会議(いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・「JKビジネス」問題等に関する関係府省対策会議)を引き続き開催した。 政府は、商業的性行為の需要削減に十分な努力を払わなかった。 また、JKビジネスへの啓発活動の内容の多くは、需要者側を対象にしているのではなく、被害者を対象したものと見受けられた。 当局は、強制労働への需要削減のために著しい努力を行わなかった。 |
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●2019年6月20日 アメリカ国務省
人身取引の概説
モデルや芸能事務所に見せかけた団体の中には、詐欺的な募集手段を用いて、日本人男性、女性および少女に不明瞭な契約書に署名するよう強要し、その後、法的手段を取る、あるいは不名誉な写真を公表すると言って脅し、ポルノ映画への出演を強要する団体もある。 |
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(再掲。時事通信)
「日本に関して、人身売買阻止に向けた『最低限の水準を完全に満たしている』と評価し、昨年に続き4段階のうち最高ランクに位置付けた」
AV出演強要のとりくみについては、評価が低い、ということがわかります。
今回は、従来からの言及に加えて、あらたな指摘もみられました。
(再掲。アメリカ国務省)
防止
政府は、ポルノへの出演強要を防ぐため、アダルトビデオ業界関連企業の数百社を対象に、厚生労働省と警察庁による法制度に関する合同説明会を開催した。 政府はまた、ポルノ出演強要や「JK」ビジネスを通して行われた児童への暴力に対処するために、内閣府特命担当大臣(男女共同参画担当)が議長を務め、政府高官で構成された関係府省庁連絡会議(いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・「JKビジネス」問題等に関する関係府省対策会議)を引き続き開催した。 政府は、商業的性行為の需要削減に十分な努力を払わなかった。 また、JKビジネスへの啓発活動の内容の多くは、需要者側を対象にしているのではなく、被害者を対象したものと見受けられた。 当局は、強制労働への需要削減のために著しい努力を行わなかった。 |
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需要の件に関しては、同様の指摘をされているかたがいます。
山田昌弘さん(中央大学教授)
(2016年12月13日 弁護士ドットコム「『AV出演強要』『JKビジネス』内閣府が報告書作成へ…被害実態や課題など盛り込む」より、引用。)
●弁護士ドットコム
中央大学教授(社会学)の山田昌弘委員は、AVやJKビジネス問題の背景について、「経済的貧困」や「人間関係の貧困」に加えて、「需要側へのアプローチも必要だ」と注文をつけた。 |
中村淳彦さん(ノンフィクション作家)
(2017年2月15日 幻冬舎plus 「AV女優のセックス映像は永久に残り続けていいのか」より、引用。改行を施しています。)
●中村淳彦さん(ノンフィクション作家)
男性視聴者の需要が根本にあって、男性中心の関係者がその需要に応えるというシステムです。 客体である出演女性は容赦なく消費されるし、女性たちの負担ばかりが著しく大きくなる。 |
現状のアダルトビデオは、どうしても出演女性は使い捨てという構造になっている。 AV女優は情報を遮断されているし、本人が希望しても長く続けることができない。 技術やキャリアを需要が認めない部分もあります。 |
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AV出演強要へのとりくみは、未(ま)だ対策が不十分です。
課題が残されています。
妙案はあるのでしょうか。
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労働者派遣法や職業安定法を厳格に適用すればアダルトビデオ業界は立ち行かなくなります。
風営法の対象とするという手もあります。
これでアメリカは満足するでしょうか。
2019 Trafficking in Persons Reportを発表したさいに、ポンペオ国務長官は、つぎのようにのべています。
(※注 世界各国に向けての談話です。)
(2019年6月21日 在日米国大使館・領事館「国務省、人身取引報告書を発表 」より、引用。改行を施しています。)
●2019年6月21日 在日米国大使館・領事館
ポンペオ国務長官は、 「人身売買を撲滅するために、我々は一丸となって邁進しなければならない。凶悪犯罪に責任がある加害者を拘束しなければならない。生存者の生活再建のために正義を実現しなければならない。人身売買が存在するすべての場所で、それを撲滅するための共通のコミットメントを再び活発にしなければならない。無駄にしている時間はない」 と述べています。 |
(再掲。ポンペオ国務長官)
「凶悪犯罪に責任がある加害者を拘束しなければならない」
2019年人身取引報告書(日本に関する部分)のなかにも同様の記述があります。
●2019年6月20日 アメリカ国務省
優先すべき勧告
性的および労働搾取目的の人身取引事案を精力的に捜査、訴追し、有罪判決が下された人身取引犯に重い刑を科して責任を課す。 |
(※注 アメリカはかねてより上述の主張をしています。)
労働者派遣法、職業安定法、風営法などに違反しても微罪で済まされます。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2018年1月29日>
いつもありがとうございます。 起訴されたとしても 加害者である #青木亮 は被害者の受けた苦しみや一生残る後遺症を味わう事は無いのですよね。 良くてたった数年の禁固刑 或いは私で稼いだAV一本分にも満たない罰金 ( #労働者派遣法違反 で #略式起訴 された時はそうでした。) 報われません。 |
●香西咲さん
<2018年2月27日>
#青木亮 に関しては 週刊文春に始まり、霞ヶ関、警察庁… #AV強要 加害者としての理解は広まって参りました。 #労働者派遣法違反 以外の罪も償って頂きたいと私は一生涯思い続ける事でしょう。 |
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(再掲。アメリカ国務省)
「人身取引犯に重い刑を科して責任を課す」
日本はいま、アメリカの要望に応えようとしています。
(ライトハウスのツイートより、引用。)
●ライトハウス
<2019年6月20日>
(再掲)
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(再掲。ポンペオ国務長官)
「凶悪犯罪に責任がある加害者を拘束しなければならない。生存者の生活再建のために正義を実現しなければならない」
日本は生存者の生活再建のために正義を実現することでしょう。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
(明日のブログへつづく)
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