AV出演強要問題をとりあつかっている関係府省対策会議が、資料を公開しました。
内容は、「今後の対策」に対するフォローアップです。
フォローアップがおこなわれるのは今回で2回目です。
資料を参照する前に、これまでの経緯を簡単にふりかえってみます。
2年前(2017年)の3月21日のことでした。
政府は急遽、いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・「JKビジネス」問題等に関する関係府省対策会議(※略称は「関係府省対策会議」)を設置しました。
設置の目的は、
「関係府省が連携して対策を実施するため」
です。
第1回目の会議で、菅義偉(すがよしひで)内閣官房長官がつぎのようにのべました。
(会議録より)
「近年、若年層の女性が、いわゆるアダルトビデオへの出演を強要される問題が発生するなど、若年層の女性を狙った性的な暴力の問題は極めて深刻な状況であると認識をいたしております。政府は、男女共同参画会議のもとに設置しました専門調査会において、これらの問題について検討をいただいて、先日、その報告書が取りまとめられました。女性に対して、本人の意に反してアダルトビデオの出演を強要することは、女性に対する暴力に当たる極めて重大な人権侵害だと考えます。政府を挙げて、取り締まりの強化、そして、相談体制の充実、教育、啓発の取組の強化等に取組んでいきたいと思っています。この件につきましては、先週、公明党からも早急の取組の必要性について要請もいただきました」
(略。)
「(略)、新たな被害者を生まないための必要な広報、そして、啓発や取り締まりの強化、万一被害に遭われた方を支援する相談体制の充実を直ちに行う必要があると考えます。こうしたことを踏まえて、内閣府を中心に、省庁の縦割りを廃し、政府一丸となって検討した上で、まずは緊急に講ずべき対応策について、直ちに実施をしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします」
政府はこの日(2017年3月21日)より、間断(かんだん)なく対応策を打ち出します。
具体的には以下のとおりです。
□2017年3月21日
いわゆるアダルトビデオ出演強要問題、「JKビジネス」問題等に関する今後の課題について(案)
【例】
・アダルトビデオ制作や流通経路等の実態調査(内閣府、警察庁)
・過激な内容のポルノの規制等の在り方について検討(法務省)
□2017年3月31日
いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・「JKビジネス」問題等に関する緊急対策
【例】
・アダルトビデオ出演強要問題については、強姦罪、強要罪、労働者派遣法等の(略)各種法令を適用した厳正な取締りを推進する。(警察庁、法務省)
□2017年5月19日
いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・「JKビジネス」問題等に関する今後の対策
【例】
・アダルトビデオ出演強要問題や「JKビジネス」問題等が深刻な性的な暴力で、重大な人権侵害であるとの考え方に立ち、関係者による自主的な取組の進捗状況や実態把握の状況も踏まえ、性的な暴力の被害につながる行為の規制、被害の回復、被害者の保護及び支援等について、有識者等の意見も参考に、法的対応を含め、必要な対応策を検討する。(内閣府、関係府省)
この2017年5月19日の「関係府省対策会議」で策定されたのが、「今後の対策」とよばれているものです。
同会議のおわりに、加藤勝信男女共同参画担当大臣は、
「本対策会議では、本日取りまとめた今後の対策の進捗状況についてもフォローアップを行うこととしておりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます」
とのべました。(※会議録より)
フォローアップは約10か月後に実施されました。
□2018年3月26日
「いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・『JKビジネス』問題等に関する今後の対策」フォローアップ(全体版)
【例】
・いわゆるAV出演強要問題について、法的対応を含めた必要な対策の在り方に係る有識者へのヒアリングを実施。
現在実施中の有識者へのヒアリング状況を踏まえ、有識者検討会による更なる検討を進める予定。
当ブログの冒頭で記したとおり、今回、ふたたび、フォローアップがおこなわれました。
気になるのは、「今後の対策」に書かれている以下の文言です。
「アダルトビデオ出演強要問題や「JKビジネス」問題等が深刻な性的な暴力で、重大な人権侵害であるとの考え方に立ち、関係者による自主的な取組の進捗状況や実態把握の状況も踏まえ、性的な暴力の被害につながる行為の規制、被害の回復、被害者の保護及び支援等について、有識者等の意見も参考に、法的対応を含め、必要な対応策を検討する」
有識者検討会は審議をおえたのでしょうか。
資料をみてみます。
(資料)
「いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・『JKビジネス』問題等に関する今後の対策」平成30年度フォローアップ実施結果【全体版】 |
(引用)
<15ページ>
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(再掲)
|
「現在の規制の状況等を踏まえて今後取りうる法的対応等について検討した」
「現在の規制の状況等を踏まえて」
とあります。
現在、警察は、労働者派遣法や職業安定法をもちいて業界人を検挙しています。
結果、被害はなくなったのでしょうか。
つい最近のことです。
片山さつき男女共同参画担当大臣は、定例の記者会見で、AV出演強要に言及しました。
(2019年5月31日 内閣府「片山さつき大臣記者会見要旨」より、引用。)
●2019年5月31日 片山さつき 男女共同参画担当大臣
(前略。) ですから、DVというのは最も人権侵害的に顕在化して、しかも、議員立法によって犯罪構成要因が明らかにされているものですが、例えば相模原で起きた自殺サイトですね、あれだけ多くの女性が、単にネットに自殺サイトが書き込まれているだけで誘い込まれてお亡くなりになったわけですね。 そういった問題とか、AV出演強要問題とその周辺にあるような芸能プロダクションを名乗って、実際には性的職業にほぼ強制的に誘導してしまったとか、そういう事例というのはまだ完全に根治されてないわけですね。 その全体的な、女性であるがゆえにそういったところに関わってしまい、引きずり込まれてしまった部分ですとか、あるいはそれによって社会的孤立に陥っているとかいう部分を、これ、正面から捉えていくということが、まさにSDGs(持続可能な開発目標)の社会で日本に求められていると考えております。 |
(再掲。内閣府)
「現在の規制の状況等を踏まえて今後取りうる法的対応等について検討した」
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2017年12月31日>
(前略。) 彼ら一部の略式起訴からちょうど1年が経ちました。 来年は犯罪者達に性犯罪で刑務所に入って頂き、少しでも性犯罪の抑止力になります様に努めます。 一度壊してしまった健康は賠償では取り戻せません。 #AV強要 #MeToo |
●香西咲さん
<2018年1月29日>
いつもありがとうございます。 起訴されたとしても 加害者である #青木亮 は被害者の受けた苦しみや一生残る後遺症を味わう事は無いのですよね。 良くてたった数年の禁固刑 或いは私で稼いだAV一本分にも満たない罰金 ( #労働者派遣法違反 で #略式起訴 された時はそうでした。) 報われません。 |
●香西咲さん
<2018年11月19日>
AV人権倫理機構もAV業界の皆様も、強要は強要として素直に認識された方が今後の改善にもスムーズに進むのではないでしょうか? #AV強要を現在の法律で取り締まるのが難しい のが現実であり、仕方なく #労働者派遣法 の罪で起訴された事件も多いですし。 #適正プロダクション の加入云々ではなく。 |
|
警察が業界人を労働者派遣法や職業安定法などで検挙しても、結果は微罪でおわってしまいます。
犯罪たちにとってはいささかの痛痒感もありません。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2019年1月22日>
私鬱再発しました。 #AV強要 #青木亮 を #DMM は何事も無かったかのように使い、それを見ている皆共犯。 関わったヤツら全て謝罪と人生返してもらう迄は一生付きまとうよ。私の代理人が。 今だけの問題だと思ったら大間違いw 覚悟しとけ。 |
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(再掲。内閣府)
「現在の規制の状況等を踏まえて今後取りうる法的対応等について検討した」
皮肉なことに、アダルトビデオ業界が新法の制定を後押ししています。
ばかなやつらです。
オリンピックまでにどのような内容の法律ができるのでしょうか。
(2017年2月8日 毎日新聞「AV問題 搾取される“女優” 支援団体に聞く・下」より、引用。改行を施しています。)
●毎日新聞記者
具体的には、どういった法整備をイメージしているのですか?
●金尻カズナ PAPS相談員(現・理事)
漠然としてはいますが、「今ある圧倒的な格差を逆転させるような法律」です。
消費者金融の例を思い浮かべてください。
かつて「借りる方が悪い」とされていたものが、貸金業法の改正によって「貸す側の問題」に逆転しました。
AVについても、出演者と事業者の間にある格差を逆転するようなことを、法律に明記してほしいです。
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悪党の最期を見物させていただきます。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
(明日のブログへつづく)
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