昨日のつづきです。
2か月前の裁判で、実の娘と性交をした父親が無罪となりました。
(参考。当ブログ)
・2019年5月19日
(2019年4月16日 インターネット審議中継「衆議院 厚生労働委員会」より。)
(※音声の文字化は、筆者。)
●2019年4月16日 大西健介(国民民主党)
えー、先日、名古屋地裁岡崎支部が、えー、娘に中学2年生から性虐待をつづけて、19歳になった娘と性行した父親に対して、えー、準強制性交等罪の事件で無罪を言い渡すという、こう驚きの判決が出たということで、まあ、これはわたしも、国民感情と非常に大きくかけ離れている、というふうに思うんですけれども。 |
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当該事件は、先週のクローズアップ現代+でもとりあげられました。
□2019年5月16日 NHKクローズアップ現代+「“魂の殺人” 性暴力・無罪判決の波紋」
当日、2人のかたが、ゲストとしてよばれました。
一般社団法人Spring代表理事の山本潤さんと、弁護士の宮田桂子さんです。
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宮田桂子弁護士の発言をみてみます。
(2019年5月16日 NHKクローズアップ現代+「“魂の殺人” 性暴力・無罪判決の波紋」より。)
(※音声の文字化は、筆者。)
●武田真一キャスター
弁護士の宮田さん、あの、VTRのなかで、 「子どもに性暴力をすることをみとめているような印象をうける」 というような声もありましたね。 この判決、どういうふうにみればいいんでしょう? |
●宮田桂子弁護士
そもそも、刑事裁判の判決というのは、 「このひとに刑罰をあたえるのが妥当か」 と。 「このひとは有罪か無罪か」 そして、 「あたえる刑はどんなものか」 ということをきめるものです。 そして、刑罰、という、ものすごくおおきな制裁をあたえるものですから、国が、 「このひとが真っ黒だ」 ということを立証しなければなりません。 ですから、灰色である、という場合も無罪になるのです。 ですから、道徳的に正しいから無罪になる、とかそういうものではなく、検察官が裁判官に、これは黒だ、ということを印象づけることができなかったから、無罪になるのです。 |
●武田真一キャスター
つまり、その、まあ、今回の事件の父親のおこなったことを裁判として、こう、みとめた、というわけではかならずしもない? |
●宮田桂子弁護士
行為はただしい、とみとめたのではない。 |
●武田真一キャスター
はい。 |
●宮田桂子弁護士
罰することができない、という判断があったのです。 |
●武田真一キャスター
なるほど。 はい。 |
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● 合原明子アナウンサー
(前略。) もしこの要件をなくした場合ですね、宮田さん、つぎのような問題が起きるおそれがあると指摘しています。 |
(参考。刑法)
□177条 (強制性交等) 「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする」 □178条2 |
● 合原明子アナウンサー
1つ目が冤罪ですね。 たとえば、同意の有無だけが問題になりますと、そのときは同意をしていたのにあとになって被害者が 「同意していなかった」 とうったえた場合、冤罪のおそれが生まれる、ということなんです。 |
●武田真一キャスター
だから、この抗拒不能という要件が必要だ、ということなんですね。 宮田さんこれ、どういうことでしょう? |
●宮田桂子弁護士
ええと、抗拒不能の要件というのは、同意そのものがかなりきびしく証明しなくちゃならないという部分もふくめてですけれども。 あの、性犯罪の被害者は本当に悲惨な目に遭っておられ気の毒なんですが、性犯罪の被害者として被害を申告するひとのなかには、たとえば、あの、自分のパートナーにほかのひととの性関係がばれてしまった。 あるいは、あのー、そのひととの関係を解消したくなった。 ということで性被害をうったえでている。 そういうようなケースもあります。 ですから、同意がなかった、と言っているひとが、そう言っているだけで処罰される、という場合には、冤罪が生まれる可能性があります。 そこで、 あの、スクリーニングをしていく作業が必要になる。 |
●武田真一キャスター
スクリーニング。 その、虚偽の申告じゃない、というスクリーニングをしていく必要があるー |
●宮田桂子弁護士
そのとおりです。 しかも、抵抗できない状態だ、という要件を加えることによって、だれがみても、これは犯罪行為だ、というようなコンセンサスというかですね、まあ、皆さんからの了解が得られる。 社会からみても 「これは非難すべき行為だ」 ということが言える、ということです。 |
● 合原明子アナウンサー
そして理由の2つ目、犯罪の立証がむずかしくなる。
被害者が同意していなかった、という証言だけではじゅうぶんな証拠になりません。 |
●武田真一キャスター
これは宮田さん、どういうことなんでしょうか? あの、同意があったかどうかを証明しやすくなる。 かえって、この、あの、抵抗できない状態である、という要件があるからこそ、証明しやすくなる。 |
●宮田桂子弁護士
はい。 |
●武田真一キャスター
どういうことなのでしょう? |
●宮田桂子弁護士
つまりですね、あの、 「同意がない」 「同意がない」 |
●武田真一キャスター
あのー、抵抗できない状態かどうか、という要件がなくなると、検察官が今度はちがう何か――事実――を組み立てていかなければならなくなる。 |
●宮田桂子弁護士
そのとおりです。 同意がない。 「だれからみてもこのひとは同意がなかったと言えるでしょ」 ということを言わなければならない、ということです。 |
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以前、当ブログで、宮田桂子弁護士の論説にふれたことがあります。
(参考。当ブログ)
・2017年12月29日
・2017年12月30日
・2018年1月28日
2015年8月6日に、第12回性犯罪の罰則に関する検討会が開催されました。
この席で宮田桂子弁護士はつぎの発言をしています。
(2015年8月6日 第12回性犯罪の罰則に関する検討会「議事録」より、引用。)
<9ページ>
●宮田桂子 弁護士
あるいは、性的搾取という問題を考えるならば、アダルトビデオにだまされて出される。
あるいは何の説明も受けずに出演して、自分の同意していないものを頒布されてしまうような方もいらっしゃいます。 表現の自由に名を借りた性的搾取も存在しているということは指摘せざるを得ないところです。 |
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当時、公的な場所でAV出演強要に言及したひとは皆無です。
それ以前に、この世にAV出演強要が存在するということ自体、だれも夢想だにしていませんでした。
(※注 被害者の方々や、支援団体、伊藤和子弁護士、角田由紀子弁護士などは別です。)
こうしたなか、宮田桂子弁護士は、
「あるいは、性的搾取という問題を考えるならば、アダルトビデオにだまされて出される。あるいは何の説明も受けずに出演して、自分の同意していないものを頒布されてしまうような方もいらっしゃいます。表現の自由に名を借りた性的搾取も存在しているということは指摘せざるを得ないところです」
とのべました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2018年2月15日>
この問題に関わって下さる人の8割は冷やかし。 (中略。) 2割の本気で取り組んでさ下さる方々ありがとうございます。 |
●香西咲さん
<2018年4月26日>
結局「 #AV強要問題 」っていうある意味旬の問題に対し 良心的な機関も、ハイエナみたいな団体も、メディアも、寄ってたかって取り上げて喰い散らかし、被害者の心は置いてけぼり。 核心まで寄り添ってくれたのはPAPSさん位でした。だから私はこの国が嫌い。 ※私の場合です。他の女性は知りません。 |
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宮田桂子弁護士は旬の問題に飛びつく冷やかしでもハイエナでもありません。
問題が公然化する前からAV出演強要に対して杞憂の念をしめしていました。
宮田弁護士は政府に対して影響力のあるかたです。
「表現の自由に名を借りた性的搾取も存在している」
極悪の殲滅が待たれます。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
(明日のブログへつづく)
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