一昨日、参議院会館で、AV出演強要についての集会が催されたようです。
弁護士ドットコムが記事にしています。
参照します。
(2019年5月9日 弁護士ドットコム「『AV出演強要は続いている』 パーツモデル募集で『絶対バレない』としつこく勧誘」より、引用。)
●2019年5月9日 弁護士ドットコム
AV出演強要をめぐっては、ヒューマンライツ・ナウが2016年3月、被害実態をまとめた報告書を発表している。 (略。) この報告書は波紋をひろげて、その後、AV業界で自主的な取り組みがはじまったり、公明党や自民党でAV出演強要問題を考えるプロジェクトチーム(PT)が立ち上がったりした。内閣府男女共同参画会議の専門調査会でも検討されたが、慎重論も残っており、法制化はすすんでいない。 |
読み直しました。
「内閣府男女共同参画会議の専門調査会でも検討されたが、慎重論も残っており、法制化はすすんでいない」
「内閣府男女共同参画会議の専門調査会ー」
失笑している自分に気がつきました。
「内閣府男女共同参画会議の専門調査会」とは、女性に対する暴力に関する専門調査会のことです。
内閣府男女共同参画会議の下に置かれています。
同専門調査会は一昨年、出演強要問題に関する報告書を出しました。
この時点で役割をおえています。
現在、AV出演強要問題をとりあつかっているのは、いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・「JKビジネス」問題等に関する関係府省対策会議です。
同会議は、法的対応について、以下の方針を打ち立てています。
(2017年5月19日 第3回関係府省対策会議「今後の対策」より。)
●内閣府、関係府省
被害の防止及び救済等のための新たな対応策の検討
アダルトビデオ出演強要問題や「JKビジネス」問題等が深刻な性的な暴力で、重大な人権侵害であるとの考え方に立ち、関係者による自主的な取組の進捗状況や実態把握の状況も踏まえ、性的な暴力の被害につながる行為の規制、被害の回復、被害者の保護及び支援等について、有識者等の意見も参考に、法的対応を含め、必要な対応策を検討する。 (内閣府、関係府省)〔平成 29 年4月~〕 |
女性に対する暴力に関する専門調査会の会長は、上述の関係府省対策会議について、つぎのようにのべています。
(2017年4月5日 第87回女性に対する暴力に関する専門調査会「議事録」より、引用。)
<11ページ>
●2017年4月5日 辻村みよ子 会長(明治大学法科大学院教授)
ありがとうございました。 ただいま説明がありましたように、我々の調査会が(2017年)3月14日に報告書をまとめて公表いたしまして、マスコミでも大きく取り上げられたわけですけれども、その1週間後に関係府省で対策会議を立ち上げて、第1回の会合が開かれ、24日の参画会議での決定を経まして、緊急対策が取りまとめられております。 4月に新学期が始まりますときに、被害防止月間ということで集中的に広報や啓発も行うということで、5月から対策会議を開いて今後の方針を取りまとめるため非常に迅速に対応がとられてきているところでございます。 |
(再掲。弁護士ドットコム)
「内閣府男女共同参画会議の専門調査会でも検討されたが、慎重論も残っており、法制化はすすんでいない」
理解に苦しむ文章です。
なぜここで「内閣府男女共同参画会議の専門調査会」の論議が出てくるのでしょう。
現在、政府は、独自の考えでうごいています。
弁護士ドットコムの記者は、
「内閣府男女共同参画会議の専門調査会でも検討されたが、慎重論も残っており」
と言っております。
ちなみに、「慎重論」は存在したのでしょうか。
過去の議事録をふりかえってみます。
□第82回(2016年6月30日) ・議題「アダルトビデオへの出演強要」 ↓ □第83回(2016年9月12日) ・議題「アダルトビデオへの出演強要に関する現状及び課題等」 ↓ □第84回(2016年11月15日) ・議題「アダルトビデオへの出演強要に関する政府の取組」 ↓ □第85回(2016年12月13日) ・議題「アダルトビデオへの出演強要の被害」 ↓ □第86回(2017年2月8日) ・議題「アダルトビデオへの出演強要の被害」 ↓ □第87回(2017年4月5日) ・議題「アダルトビデオ出演強要問題について」 |
議事録を通読すればわかります。
|
慎重論はありません。
「内閣府男女共同参画会議の専門調査会でも検討されたが、慎重論も残っており」
おそらく弁護士ドットコムの記者は、青山薫教授のことを言っているのでしょう。
□2016年9月12日 第83回 女性に対する暴力に関する専門調査会
・議題「アダルトビデオへの出演強要に関する現状及び課題等」
同専門調査会は2016年9月12日に学識経験者からヒアリングをおこないました。
アダルトビデオ業界を代表して意見をのべたのが、青山薫教授です。
(2016年9月12日 第83回女性に対する暴力に関する専門調査会「議事録」より、引用。)
<23ページ>
●2016年9月12日 青山薫 参考人(神戸大学教授)
取締り強化については、先ほども地下に潜るお話がちらっと警察庁の方からも出ていました。厳しくすれば目に見えないところに行ってしまう、アンダーグラウンド化してしまう、ネットの世界に入ってしまうということが、日本に限らず、フランス、ノルウェー、オーストラリア、UKで報告されています。 |
<24ページ>
●2016年9月12日 青山薫 参考人(神戸大学教授)
これは10年前のデータで数年前に出版した本に書いたことですが、現在、先ほど御紹介したアンダーグラウンド化とスティグマ強化がAV業界を含む性産業について懸念されることを私は今回確認しまして、ちょっと喜ぶことのできない偶然の一致を見てしまったところです。 ここ数週間で、つてのあるところにだけお話を聞いてみました。そして、AV業界の人たちの意見に似たような懸念が出てきていることがわかりました。 |
犯罪化が進めば進むほど働いている人のスティグマが強化される。営業困難もふえる。これがもしかしたらある種の政策目的なのかもしれませんが、これらの困難が増えると、今、統計はありませんが女優さんだけで実働2千人とも4千人とも業界の人が言う出演者、制作者、ポルノの利用者、海外配信系に流れてしまう。つまり、より危険で搾取性の高い、コントロールの利かない業態の需要を増やしてしまうという結果がついてくるのではないか、という心配を耳にします。 |
<25ページ>
●2016年9月12日 青山薫 参考人(神戸大学教授)
今の段階でわかりませんけれども、もしも新たな規制が必要とすれば、目的は、AVに従事している人、これからしようとしている人たちに対する暴力や強制被害を減少させることのはずです。それを防ぐには、業界の内部の事情を知る人の参加を得て、情報提供、協力を受けながら、あるいはその人たちを「有識者」として政策決定のテーブルに招きながら、正確に問題を把握する必要がある、と御提案申し上げて、私の発表を終わります。 |
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後日、辻村みよ子会長が、青山薫参考人の意見に言及しました。
□2016年12月13日 第85回 女性に対する暴力に関する専門調査会
・議題「アダルトビデオへの出演強要の被害」
(2016年12月13日 第85回女性に対する暴力に関する専門調査会「議事録」より、引用。)
<27~28ページ>
●2016年12月13日 辻村みよ子 会長(明治大学法科大学院教授)
今回は、たまたまJKビジネスとかAV出演ということが取り上げられましたけれども、これは決して偶然ではなくて、構造的な日本の文化にも通じるし、社会経済的な貧困の問題にも通じますので、そういうトータルな分析をこの機会にすることができればいいかなと思います。
これに対して、対応の仕方が2番目の論点だと思います。 これは青山教授が、AVの場合には、処罰化をすると、実際のセックスワーカーたちへのダメージを広げてしまうことに通ずるのではないかという危惧を述べておられましたけれども、そういう処罰化のあり方の問題が、大きな検討課題になってこようかと思います。 |
微妙な発言です。
青山教授の意見に対してシンパシーをいだいているようにも感じます。
辻村会長の思いは、翌年の3月14日に上梓された報告書のなかへ反映されたのでしょうか。
報告書の38頁を参照します。
(2017年3月14日 男女共同参画会議 女性に対する暴力に関する専門調査会「若年層を対象とした性的な暴力の現状と課題~いわゆる「JKビジネス」及びアダルトビデオ出演強要の問題について~」より、引用。)
<38ページ>
●2017年3月14日 男女共同参画会議 女性に対する暴力に関する専門調査会 報告書
更なる実態把握その他の各課題に係る施策の進捗状況等を踏まえ、法的対応も含め被害の予防及び回復に向けた必要な対策について検討する必要がある。 |
「法的対応も含め被害の予防及び回復に向けた必要な対策について検討する」
これが、男女共同参画会議のなかに常設されている「女性に対する暴力に関する専門調査会」の結論です。
(再掲。弁護士ドットコム)
「内閣府男女共同参画会議の専門調査会でも検討されたが、慎重論も残っており、法制化はすすんでいない」
慎重論は残っていません。
現在は関係府省対策会議が施策を推進しています。
実際に指揮をとっているのは菅義偉(すがよしひで)内閣官房長官です。
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(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年12月28日>
ありがとうございます。 今後の方針ばかりでこれまでの過去の被害を置き去りにされないか心配でなりません。 |
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政府は被害者の方々を置き去りにしません。
□2019年4月17日 衆議院 内閣委員会 (動画 衆議院インターネット審議中継) |
(※音声の文字化は、筆者。)
●2019年4月17日 片山さつき 男女共同参画担当大臣
はい、ご指摘のAV出演強要問題をはじめとする若年層の女性に対する性的な暴力にかかる問題は被害者の心身に深い傷を残しかねない重大な人権侵害、と認識しております。
そこで政府におきましては男女共同参画担当大臣――わたしですね――を議長とする関係府省対策会議を設置して、これが29年(2017年)3月からございますが、その都度、対策をとりまとめ、
いまこのフォローアップをずっと実施をしているところでございます。 |
(再掲)
●香西咲さん
<2016年12月28日>
ありがとうございます。 今後の方針ばかりでこれまでの過去の被害を置き去りにされないか心配でなりません。 |
政府はかならず、被害の回復をおこないます。
あともうすこしです。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
<2018年3月19日>
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。
<2018年11月14日>
コレです!私が #キュンクリエイト ( #アットハニーズ )辞めた時に独立してまで続けた理由。あの頃は弁護士も世間も #AV強要 に無関心で誰も助けてくれなかった。だから我慢してAV業界に残って力をつけて…#AV強要 が認知されるのを待ってた。反撃に出るタイミングを見計らっていました。
(明日のブログへつづく)
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