セクハラに関する角田由紀子弁護士の記者会見(その1)。出演強要被害については、香西咲さんたち被害者を救済し、業界を殲滅する圧倒的な法律がつくられることでしょう

昨日、月刊FACTAの記事を引用しました。

(再掲。FACTA)
1989年、週刊誌が『セクハラ』なる言葉を使いだすと社会は広く受け止め、この年、角田さんは『セクハラ裁判』で初の勝訴を獲得する

月刊FACTAは同記事の冒頭で、角田(つのだ)由紀子弁護士のことばをつたえています。

(FACTA 2018年8月号 編集後記「風蕭蕭」より、引用。)

FACTA 2018年8月号

「ある出来事を捉えるとき、どんな言葉を使うかで、問題は全然違ってしまう。働く女性の性的虐待を表す言葉として『セクシャル・ハラスメント』という言葉を獲得したのは非常に良かった。(略)その名前がない時代、被害女性は『人間関係がうまくいかない』と言って会社を辞めていった」

角田由紀子弁護士、6月25日、日本記者クラブの記者会見で

(再掲。FACTA)
角田由紀子弁護士、6月25日、日本記者クラブの記者会見で

日本記者クラブが会見の様子を動画で公開しています。

JNPC(日本記者クラブ) 「セクハラ問題の30年」角田由紀子弁護士 2018.6.25

参照します。

(※音声の文字化は、筆者。)
(※2:14のあたりから。)
2018年6月25日 角田由紀子 弁護士(元・明治大学教授)

今日はですね、セクシュアル(セクシャル)ハラスメントの30年ということについてなんかしゃべれ、ということだったんですね。
それで、どういうことが変わってどういうことが変わっていないのか、ということが主要な関心事のようなんですけれども、一番変わっていないというふうに思ったのは、わたし、このあいだの財務省なんですね。
一連の事件をみながら、まあ、日本のど真ん中でこういうことだったのか、って、すごいびっくりしたんですよね。

で、わたしは、そこに書いてありますように、89年(1989年)の8月にセクシュアル(セクシャル)ハラスメントの裁判として、第1号ということで、福岡地裁に損害賠償請求の裁判をおこした代理人のひとりだったんですね。

それからそういうことがあって、その事件は92年(1992年)の4月に判決がでました。

で、まあ、ほとんど原告の、金額をのぞいては、全面勝訴という感じで、原告がうったえたセクシュアル(セクシャル)ハラスメントにあたるという事実、たしか15あげたんですけれど、13は裁判所がその、事実がある、というふうに認定されたということだったんですね。

(参考。当ブログ)
<福岡セクハラ訴訟>
2019年1月25日 支援者の石本宗子さん
2019年1月26日 被害者の晴野まゆみさん①
2019年1月27日 被害者の晴野まゆみさん②

2018年6月25日 角田由紀子 弁護士(元・明治大学教授)

で、それ以来ですね、セクシュアル(セクシャル)ハラスメントの裁判をたくさん引き受けてやってきました。

(参考。当ブログ)
2019年2月20日 秋田県立農業短大事件①
2019年2月22日 秋田県立農業短大事件②
2019年2月23日 秋田県立農業短大事件③
2019年2月24日 秋田県立農業短大事件④

2018年6月25日 角田由紀子 弁護士(元・明治大学教授)

で、そのなかでいろいろ考えたことがあったんですけれども、あとで法的枠組のところでおはなししたいと思うんですけれども、途中で気がついたのは、つまり、損害賠償請求をやっていてなにが変わったのか、と。
なにもほとんど。
いや、それは、原告だった女性の立場からすればね、いったいわたしにおきたことがね、裁判というすごくたいへんな手続きを経て一定の勝訴ということになるんですけれども、それでわたしにおきた問題はなにが変わったのか。
わたしがうけた本当の損害っていうかね、痛みっていうのはいったいどうなったんだろう、ということを代理人であったわたしも途中で考えざるをえなくなってきたわけです。
つまり、そこになにも変化がなかったので。

ということで、いろいろなことを考えました。
考えましたけれども、まあ、とにかく裁判の依頼とか相談がいろいろあるので、それはそれとして、わたしもなんとなく流されてやってきたんですね。

ところが今回のその財務省の問題で、えっ、30年経ってまたこういうことだったの、というをあらためて考えさせられて。
それからわたし自身もこの30年をですね、いろいろふりかえってみる、ということになったわけなんですね。

一番最初に、ことばの問題、っていうのを書いたのは、「セクシュアル(セクシャル)ハラスメント」ということば、まあ、いまでは「セクハラ」ということになっているんですけれども、このことばって、わたし、ことばってすごく大事だと思うんです。

どういうことばでそのある出来事をとらえるか、というときに、どんなことばをつかうか、ということで、問題がぜんぜんちがってしまうわけなんですよね。

そういう意味では、このはたらく女性の職場でおきている非常に性的な虐待、といいますか、いろいろな意味での。
ということを言うことばとして、外来語なんですけれども、
「セクシュアル(セクシャル)ハラスメント」
ということばを獲得したことは、それはとてもよかった、というふうに思うんですけれどもね。

ただですね、言うまでもないんですけれども、はたらく女性の現実の問題としては、別にそういうことばがないときにね、事実がなかった、というわけではないですよね。

一番良い例というか、わかりやすいのは、そこにちょっとあげているんですけれども、「女工哀史」ですよね。

「女工哀史」の著者は細井和喜蔵さんです。
青空文庫を確認しましたところ、「女工哀史」は見当たりませんでした。
現在のところ、以下の著作が公開されています。

(細井和喜蔵著)
作業機械
女給
泥沼呪文
モルモット 

「女工哀史」につきましては以前、当ブログでふれたことがあります。

(参考。当ブログ)
2016年7月30日
2016年7月31日

細井和喜蔵さんの文章はやや難解です。
ぼくのほうでリライトをしたものをご紹介させていただきます。

(細井和喜蔵著「女工哀史」より。)
リライトしています。)
女工哀史

西原イクという工女が、深夜業のときに居眠りをしたので罰をあたえられた。
頭がうまるほど篠巻(わたを細い竹に巻いて細長い筒状にしたもの)を持って立たされた。
主任は無責任にも、彼女に直立を命じておきながら、自分は休憩に出ていってなかなか帰らないのであった。
彼女は正直にも重たい篠巻を持って言われるままにしていたが、その手は自然とたれ下がった。
するとそこへ休憩時間を倍も過ごした主任が帰ってきて、
「なんやお前、そんな横着な持ちかたして!」
と叱るが早いか、彼女の頬を一つ殴った。
それでなくとも、十分疲れている彼女は、殴られた勢いに体がふらついて、思わず持っていた篠巻を落とした。
すると、その2、3本が主任の足にあたった。
重いうえに、両端には金属がついているから、そうとう痛い。
主任は怒った。
そして、いきなり彼女を突き飛ばしたのであった。
そのとき、恐ろしいことがおこった。
彼女が突き飛ばされたところは、ちょうど歯車がまわっていた。
魔のような歯車は、彼女をかみ殺してしまった。
人には、彼女の不注意で死んだと伝えられた。

もうひとつ引きます。

女工哀史

1900年1月25日、帰郷を前に、工場で火災がおこった。
49人の女子労働者が、寄宿舎で深い眠りにおちていた午前3時30分ごろ、階下から出火。
はね起きたときは、一面の火の海。
窓に飛びつくと、そこには太い鉄の柵がはめてあった。
鎮火後、散乱した遺体は、みんな頭も銅もバラバラになり、しかもそれさえ、焼けただれて、男か女かわからぬほどであった。
年齢は13歳から25歳までで、31名の女性が犠牲となった。
寄宿舎の窓には、鉄棒がはめてあって、逃げ出せないようになっていた。

 
2018年6月25日 角田由紀子 弁護士(元・明治大学教授)

「女工哀史」、いまでも岩波文庫で読むことができるんですけれども、あれを読んでみると、これぞまさにセクシュアル(セクシャル)ハラスメント尽(づ)くし、というようなことなんですけれども。
もちろん当時は、そんな認識もないけれども、ただ、女工さんがひどい目に遭っているという視点で書かれている、ということなんですね。

で、89年(1989年)にわたしたちが、これはセクシュアル(セクシャル)ハラスメントだ、というふうにして裁判をおこす以前、その、名前がない時代、っていうのがずっとあるわけですね。

わかっているだけでもその25年(1925年。大正14年)の女工哀史からずっとつづいてきてた。

で、そのあいだ、しかし、女性たちが職場でうけている性的な虐待という問題はつづいていたわけなんですね。
それで、名前のない時代、ですね。
どうするのか。

つまり、名前のない被害、っていうのはとても語りにくいんですよね。
なにについてはなしているのかがわからない、っていうことがあって。
ちょうどなんかアメーバー状に広がったことであって、
「わかっているひとはわかるよね」
って言うんだけど、
「それなんて言うの?」
って言うように、それ名前がついてきっちり、
「問題がこれです」
っていうふうにならないと、なかなかそこに焦点を当てた議論になっていかないという。

ですから、セクシュアル(セクシャル)ハラスメントについても、実態としてはずっとあったんですけれども、それに名前がない、ということで、はなすことができなかった、ということなんですね。

たとえば、同じような例が、いまドメスティックバイオレンス、DVという言い方をしているんですけれども、これも暴力なんだ、と。
人権侵害なんだ、という理解にたって、ドメスティックバイオレンスなんだ、ということばが獲得されるまでは、夫婦喧嘩、犬も食わない、というふうに言われてきて、だれも、それは人権の問題だ、と考えなかったし、で、結婚生活ってそんなものなのよね、というふうな、なんかひどいこう了解でおこなわれていたわけですよね。

それで、たとえば、ドメスティックバイオレンス、これもだから、DV、って言うのが良いのかどうか。
これも別の問題なんですけれどもね。
とにかく、名前が、適切な名前が、得られたことによって、問題を深めることができた、というふうにわたしは考えているんですね。

で、じゃ、セクシュアル(セクシャル)ハラスメントについて、名前がつけられるまでは、女のひとたちはどういうふうにしていたということは、わたしたち、はたらく女性の実態調査、というのを89年(1989年)よりちょっと前にやったんですけれども、そのときに、実態調査ですからアンケート調査をやったんですね。
そのなかで非常にたくさん出てきたのは、とにかくいまではセクシュアル(セクシャル)ハラスメントなんだけれども、そういうことを言えないし、そういう認識も女性の側にもないので、でも職場にはいられないのでやめる、というのが非常に多かった。
そのとき、なんて言ってやめていったかというと、
「人間関係に問題があって」
「人間関係に耐えられないので」
と。
つまり、自分が性的な被害をうけた、ということを言えないわけですよね。
だから、
「人間関係にちょっと問題があって」
と。
「うまくいかなくて」
というふうにやめていったひとがものすごく多いわけです。

で、もうひとつはですね、実はいまセクシュアル(セクシャル)ハラスメントにあたる問題というのは、別の名前で理解されて、すでに裁判があったんですね。
そこに書いてある「長野電鉄事件」という、長野地裁の昭和45年の判決があるんです。

で、これ、別の名前、って、どういうことになったかといいますとね、これ、判決を読んでもらうとわかるんですけれども、長野電鉄というところがバスを運行しているわけです。
観光バスもふくめて。
で、あの、むかしはだから、車掌さんっていうひとがいたでしょ。
で、運転手と車掌さんが観光バスなんかでは泊まりで、ひと組で仕事をするわけですね。
その泊まりのときに、この場合の女性の車掌さんていうのは、まだ未成年だったんです。
18歳ぐらいだったと思うんですけれども、その、妻子のいるドライバーに、はっきり言えば強姦されて、で、結局、妊娠した、と。
それで、中絶して、会社をやめた、ということなんですね。
で、おとうさんが会社に怒鳴り込んでいったわけです。
そしたら会社はその事実が確認されたので、その運転手を懲戒解雇にした。

で、裁判はどういう裁判になったかというと、運転手の側が、自分に対する懲戒解雇は不当だから、と解雇取消の裁判をおこしたんです。

で、このときの判決があるのでわかるんですけれども、誰が代理人かというと、すごく確信的な弁護士が運転手の代理人なわけ。
つまり(強姦の件ではなく)不当解雇のはなしになっているから。

それで結論として、裁判所は、この解雇は正当だ、ってみとめるんですけれども、えっ、この事件ってだれが被害者なの、って。
つまり、被害者である女性の車掌さんていうのは、もう幕が上がる前に舞台から下りているわけ。
下りさせられている、ということで、これがだからもし、「セクシュアル(セクシャル)ハラスメント」ということばがあって、そういう考え方のもとで裁判になったらまったく結論がちがっただろう、というふうにわたし、思ったんですね。

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(再掲。角田由紀子 弁護士)
原告だった女性の立場からすればね、いったいわたしにおきたことがね、裁判というすごくたいへんな手続きを経て一定の勝訴ということになるんですけれども、それでわたしにおきた問題はなにが変わったのか。わたしがうけた本当の損害っていうかね、痛みっていうのはいったいどうなったんだろう

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2018年1月29日

いつもありがとうございます。
起訴されたとしても
加害者である #青木亮 は被害者の受けた苦しみや一生残る後遺症を味わう事は無いのですよね。
良くてたった数年の禁固刑
或いは私で稼いだAV一本分にも満たない罰金
( #労働者派遣法違反 で #略式起訴 された時はそうでした。)

報われません。

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出演強要被害に関して、政府はこう言っています。

(2017年5月19日 第3回関係府省対策会議「今後の対策」より、引用。)

内閣府、関係府省

被害の防止及び救済等のための新たな対応策の検討

アダルトビデオ出演強要問題や「JKビジネス」問題等が深刻な性的な暴力で、重大な人権侵害であるとの考え方に立ち、関係者による自主的な取組の進捗状況や実態把握の状況も踏まえ、性的な暴力の被害につながる行為の規制、被害の回復、被害者の保護及び支援等について有識者等の意見も参考に法的対応を含め、必要な対応策を検討する

(内閣府、関係府省)〔平成 29 年4月~〕

「被害の回復について、有識者等の意見も参考に、法的対応を検討する」

有識者による審議は今年度(今年の3月31日)までです。
まもなく終了します。
詳細につきましては、過去の当ブログをご覧ください。

(参考。当ブログ)
2018年4月24日

政府は当初より、被害の回復をおこなう、と明言しています。
当然、有識者検討会は、政府の方針にそったかたちで答申を出してきます。
言わずもがな、ですが。
来年度(今年の4月1日~)のほどよいころに、全貌があきらかになります。
楽しみです。
香西咲さんたち被害者は、被害を回復することができます。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

2018年3月19日
今こうして離れてみて、私個人的には異常な世界だと思いますし、そんな趣味も無ければ関わりたくない世界でした。
全ては #AV強要 から立て直す為に耐えてきた事です。#青木亮 の事務所では占い師やプルデンシャルにお金を使わされており、外界とも遮断され誰にも頼れずボロボロでしたので。

(明日のブログへつづく)



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