昨日、東京都の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例についてみてみました。
(参考。当ブログ)
・2019年1月8日
同条例は一般に、「迷惑防止条例」とよばれています。
悪質なスカウト行為の禁止などが盛り込まれています。
(2005年4月1日 ライブドアニュース「客引き行為で30人以上逮捕」より、引用。)
●2005年4月1日 ライブドアニュース
繁華街の環境浄化策として東京都の改正迷惑防止条例が(2005年4月)1日施行され、警視庁は同日未明から繁華街を中心に、性風俗店などへの客引き、ピンクチラシの配布などの一斉取り締まりを始めた。
(中略。) また、アダルトビデオへの出演勧誘や性風俗店へのスカウト、暴力団員が集団でうろつく”地回り”行為も規制対象とした。 |
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例はいろいろと瑕疵(かし。「欠点」)のあるきまりです。
順にみていきます。
1 悪質とわかるスカウトしか検挙できない
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の第7条第1項第6号を参照します。
(東京都「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」より、引用。)
●東京都 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
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昨日のブログでも書きました。
スカウトのなかには、目的を偽って策動しているものがいます。
(2017年3月27日 参議院 予算委員会より。)
(※参考。当ブログ。)
●2017年3月27日 佐々木さやか 参議院議員(公明党)
モデルやアイドルになりませんか、と地方からでてきた若年女性に声をかける。 あとからAVの出演だとわかって、ことわろうとすると、莫大な違約金が発生する。 はらえないなら親に請求する、などと言ってですね、出演をせざるをえない状況に追いこむ。 被害者のなかには、みずから命を絶ってしまった。 こういうケースもあると報告されております。 |
(2018年4月11日 TBS NEWS「AV出演強要を防げ、警視庁が被害防止キャンペーン」より引用。)
●2018年4月11日 TBS NEWS
「モデルにならないか」 「タレントにならないか」 若い女性が悪質なスカウトに声をかけられ、だまされてアダルトビデオに出演させられる被害が後を絶ちません。 |
警視庁によりますと、10代後半から20代の女性にスカウトをかたってわいせつな行為に及んだり、言葉巧みにアダルトビデオに出演させたりといった被害が相次いでいるということです。 |
(2018年5月28日 参議院 決算委員会より。)
(※参考。当ブログ)
●2018年5月28日 武川恵子 内閣府 男女共同参画局長
昨年度、内閣府が実施いたしました平成29年度若年層を対象とした性暴力被害等の実態把握のためのインターネット調査というものでございますけれども、調査対象は、中学生を除く15歳から39歳までの女性を対象に実施したものでございます。
で、本調査におきましてモデル、アイドルなどの勧誘等の経験のあるひと、まあ、勧誘をうけたひとですとか広告をみて応募したひとに対して訊(き)いた調査でございますけれども、そういった勧誘をうけたひとのうち、事前に聞いていない性的な行為の撮影をもとめられた経験のあるひとは11.3%でございました。 |
(再掲。TBS NEWS)
「若い女性が悪質なスカウトに声をかけられ、だまされてアダルトビデオに出演させられる被害が後を絶ちません」
こうしたスカウトに対して、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例は無力です。
そうは言いましても、最初からアダルトビデオということばを出して誘っているスカウトもいます。
この種のものに対しては有効です。
盤石かと言いますと、そうではありません。
2 勧誘待ちがゆるされている区域がある
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の第7条第3項は、つぎのように規定しています。
●公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
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東京都の公安委員会が、勧誘待ちを禁止している区域は、以下のとおりです。
(警視庁「客引き等の相手方となるべき者を待つ行為を規制する区域」より。)
(※みづらいので、こちらをクリックして拡大してください。)
ご覧のとおり、多くの場所で勧誘待ちが可能となっています。
こうした抜け道をふさぐために、あらたに条例をつくった自治体もあります。
(参考。当ブログ)
・2019年1月5日(新宿区)
・2019年1月6日(新宿区)
・2019年1月7日(新宿区、渋谷区、文京区、台東区)
(例)
●渋谷区の場合
渋谷区では、「渋谷区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例」に基づき、区内ではすべての業種に係る客引き・客待ち行為及びスカウト・スカウト待ち行為が禁止されています。 |
この種の自治体については、空白の地帯が埋まったかのように思えます。
残念ながらちがいます。
どの区も、東京都のように刑事罰を設けていません。
よくて過料どまりです。
はなしを東京都の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例にもどします。
同条例には、さらに欠けているものがあります。
3 誘引を禁止していない
誘引とは、アダルトビデオの出演を呼びかけたりその旨のチラシを配布することです。
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例をみますと、客に対する誘引については禁止しています。
●東京都 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
□第7条 1 何人も、公共の場所において、不特定の者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。 (1) わいせつな見せ物、物品若しくは行為又はこれらを仮装したものの観覧、販売又は提供について、客引きをし、又は人に呼び掛け、若しくはビラその他の文書図画を配布し、若しくは提示して客を誘引すること。 (3) 異性による接待(風適法第2条第3項に規定する接待をいう。以下同じ。)をして酒類を伴う飲食をさせる行為又はこれを仮装したものの提供について、客引きをし、又は人に呼び掛け、若しくはビラその他の文書図画を配布し、若しくは提示して客を誘引すること(客の誘引にあつては、当該誘引に係る異性による接待が性的好奇心をそそるために人の通常衣服で隠されている下着又は身体に接触し、又は接触させる卑わいな接待である場合に限る。)。 |
誘引に関する記述はこれだけです。
アダルトビデオの出演に関しては、誘引を禁止する規定がありません。
ちなみに岡山県は現在、誘引を禁止する方向で改正作業をおこなっています。
(参考。当ブログ)
・2019年1月6日
(岡山県「岡山県迷惑行為防止条例の一部を改正する条例(案)」の概要についてより、引用。)
●岡山県
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東京都は誘引を禁止していません。
(再掲)
●東京都 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
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スカウトの関係者と思われる人物が書いている文章があります。
一部を引用します。
(2018年4月28日 東京スカウト「法律に触れず安全にスカウトするために気をつけること!」より、引用。)
迷惑防止条例では、路上で女性に夜のお店やAVを勧誘するのは違法だと定められています。 (略。) 路上でAV、ナイトワークの勧誘をせずに普通に声かけするだけなら違法になりません。 スカウトは違法だと定められてるのに、未だにスカウトマンが多い理由は、ナンパとスカウトの見分けが付きづらいから。 ナンパ風に声かけするスカウトマンが多いため、警察も取り締まろうにも出来ないのです。 |
『コイツ、スカウトマンだな』って警察官が分かって取り調べしたとしても、『僕はナンパしてました』と返されるとそれまで。 |
路上で女性と話す場合は「夜のお店に詳しいんですけど、お話聞いてみませんか?」といった感じで、紹介してると言わないようにしましょう。 |
なので連れ出し先のカフェや後日会った際に初めて、夜のお店を紹介してください。 くれぐれも路上で逮捕されるワード(「紹介」)を使わないコトです。 |
ある意味、有益な文章です。
昨年、逮捕された稲井大輝も、こうした手口を常用していたようです。
(2018年11月14日 FRIDAY「『ミスター東大』レイプ犯 稲井大輝被告はホンモノのバカだった」より、引用。)
●FRIDAY
「アイツは歌舞伎町でAVや風俗、キャバクラ嬢のスカウトマンとしても活動していました。その他にも、海外のVIPが来日した時の接待役を女子大生に斡旋する仕事もしていましたね。東大生スカウトマンということで、歌舞伎町でも目立った存在でしたよ。現在、歌舞伎町は東京オリンピックに向けた”浄化作戦”の真っ最中で、スカウトマンがどんどん駆逐されている。そんな状況でも、稲井は警官に職質されたらとっさに東大の学生カードを見せ、『ただナンパしてるだけですよ。何がいけないんですか?』と反論して切り抜けていた。そんなところからも、頭の回転が早く、口が達者な奴、という印象でした」(別の知人) |
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2017年1月2日>
娘を持つ親御さんへ 決して他人事ではありません。芸能、パーツモデル(手など)、ナンパ…あの手この手で勧誘してきます。年齢も容姿も関係ありません。スカウトや事務所がその気になれば整形させてでもAV出させます。環境も思考も180度変えさせられます。注意を払いきれるものではありません。 |
さすがです。
香西咲さんは慧眼(物事をよく見抜くすぐれた眼力)の持主です。
冒頭でものべました。
東京都の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例はいまひとつです。
この条例だけでは悪質なスカウト行為をふせぐことができません。
御意、その通り。
この方は騙されて戦っておられます。https://t.co/gAcO1q81Hzhttps://t.co/lSAWXcw7Rr— Amorphous 長州末裔 安倍政権による腐敗 日本、会津を取り戻せ! (@venusparadox) 2018年12月31日
東京都の奮励を期待します。
まあ、その前に、政府が峻厳な法律を制定するでしょうけれども。
いずれにせよ、悪党に未来はありません。
悲惨な人生が待っています。
それが悪人の末路です。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
(明日のブログへつづく)
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