本日、都道府県の警察のホームページをながめていました。
どのサイトも、わいせつビデオ業界がおこなっている出演強要の手口を紹介しています。
当然です。
警察庁が通達を出しているのですから。
(2018年3月26日 警察庁「アダルトビデオ出演強要問題に係る対策の推進について(通達)」より、引用。)
●2018年3月26日 警察庁 通達
3 教育・啓発の推進
(3) 各種広報媒体を活用した被害防止の広報啓発の推進
都道府県警察のホームページ、SNS、交番だより、防犯だより、自治体の広報誌、テレビ・ラジオ、ポスター、リーフレット等各種広報媒体を活用し、アダルトビデオ出演強要問題に対する警察の取組及び相談窓口について広報するなど被害防止のための広報啓発を推進すること。
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岐阜県警のホームページに掲載されている文章は清新でした。
一部を参照します。
(岐阜県警「岐阜県AV出演強要・JKビジネス等被害防止対策」より、引用。改行を施しています。)
●岐阜県警
○悪質なスカウトは「モデルになりませんか?」などと偽って近づいてきます。
・街中で、スカウトから「モデルになりませんか?」と勧誘され、付いて行ったら、財布等を取り上げられ、男数人に囲まれた状態でアダルトビデオ出演に関する契約書を交わすことを強要され出演させられた。
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○インターネット上でモデルの募集に応募したら、実はアダルトビデオの撮影だった。
・インターネット上で、高収入をうたったアルバイトの募集に応募し、詳しい業務内容を聞かずに相手方を訪ねて、そこで免許証と保険証を渡した。
内容がアダルトビデオの撮影ということを告げられて、拒否したが、契約しないと免許証等が戻らないと思い、契約書に署名してしまった。
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「財布等を取り上げられ」
「契約書を交わすことを強要」
「拒否したが、契約しないと免許証等が戻らないと思い、契約書に署名」
直截(ちょくせつ)な表現です。
組織的犯罪集団の手口を端的なことばで言い表し得ています。
出演強要については、岐阜県の議会でもとりあげられています。
若井敦子県議の質疑をみてみます。
(2017年10月5日 岐阜県議会「会議録」より、引用。)
●2017年10月5日 若井敦子 岐阜県議(自民党)
近年では、若年層の女性や児童が性的な被害に遭う問題などが発生しており、女性に対して、本人の意に反してアダルトビデオへの出演を強要する問題や、JKビジネス、私がここで申し上げるJKとは、ジャパン空手のことではございません。
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若井敦子県議は、著名な空手家です。
●2017年10月5日 若井敦子 岐阜県議(自民党)
こうした問題は、被害者の心身に深い傷を残しかねない重大な人権侵害であるとともに、女性活躍の前提となる安全で安心な暮らしの基盤を揺るがす問題であるため、さらなる対応が望まれるようになっております。
政府では、本年(2017年)3月、内閣府男女共同参画局に設置されている女性に対する暴力に関する専門調査会の報告書を踏まえ、いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・「JKビジネス」問題等に関する関係府省対策会議を新たに新設し、関係府省が連携して対策を実施することになりました。
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若井敦子県議は現在、1期目です。
2015年の県議選のとき、はじめて立候補しました。
(2015年4月13日 中日新聞「女性がワンツー当選県議選岐阜市選挙区」より、引用。改行を施しています。)
●2015年4月13日 中日新聞
●2015年4月13日 中日新聞
二位当選は、自民新人の若井敦子さん(43)。
県議選では党唯一の女性候補で、空手の世界大会を何度も制した知名度を生かし、票を掘り起こした。
市内の事務所で目を潤ませ「皆さんの力で、政治家としての命を吹き込んでいただいた」と支援者に感謝した。
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若井敦子県議の質疑をつづけます。
●2017年10月5日 若井敦子 岐阜県議(自民党)
ここでアダルトビデオ出演強要問題について、全国の警察や相談機関で把握された相談などをもとに、その実態をお話しさせていただきます。
なぜ被害者は、望まぬアダルトビデオへの出演を断ることができないのでしょうか。
その理由は、誘い込みの手口が詐欺的、あるいは脅迫的な言動によるもので、だまされ、おどされた上で契約させられることが多いことにあるようです。
その手法とは、芸能事務所やモデル事務所へのスカウト、あるいは身近なアルバイトへの勧誘と偽り、契約書を作成させた上で、その契約書を盾におどし、AVへの出演を強要し、撮影を拒むと数百万円もの多額な違約金を請求したり、また、それまでにかけた宣伝やレッスン代として高額な費用を弁済するようおどしたり、あるいは宣伝用として撮ったトップレスの写真を家族や周囲にばらまくとおどし、あげくAV撮影の強行に及ぶケースが多いとのことです。
確かに、契約をしたのは本人であることから、自己責任ではないかという見方もあり得るかもしれません。
しかし、社会経験が乏しい若年層の女性が、密室で大勢の大人に囲まれ、説得という名の強要を受けて、サインするまで帰してもらえないような状況下に追い込まれていたとするならば、これを自己責任として社会的に容認し、本人のみに責任を負わせるとの解釈は間違いであると言わざるを得ません。
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爽快です。
(※右から2人目が、若井敦子さん。)
●2017年10月5日 若井敦子 岐阜県議(自民党)
民法90条で、公の秩序または善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とすると規定をされ、公序良俗に反する無効な契約であることは当然であります。
(参考)
□民法第90条
「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする」
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●2017年10月5日 若井敦子 岐阜県議(自民党)
また、判例では、性行為などを撮影する業務について、職業安定法や労働者派遣法上の公衆道徳上有害な業務に該当するとの判断も示されており、ケースによっては、その募集や派遣行為が不法行為に該当することもあり得ます。
(※最新の判決)
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●2017年10月5日 若井敦子 岐阜県議(自民党)
このようなAV出演強要問題は、社会のコンプライアンス意識の高まりなどを理由として、以前と比べればクリーン化が進んでいると言われている一方で、NPO法人人身取引被害者サポートセンターライトハウスには、昨年の一年間に百人もの相談者から望まないAV出演に関する相談がなされており、その相談件数は年々増加してきているとのことです。
この実情はあくまでも氷山の一角であることは明らかであり、誰にも相談できず、声も上げられず、被害に遭っても泣き寝入りしている人が存在することは容易に想像ができます。
(参考。2018年3月23日 参議院 法務委員会)
●武川恵子 内閣府 男女共同参画局長
「アダルトビデオの出演強要問題は被害者の多くが若年の女性でございますし、また、性犯罪、性暴力は周囲に打ち明けにくいということがございまして、関係行政機関などで把握している相談件数は、こうした問題をかかえる被害のごく一部である、というふうに認識をしております」
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●2017年10月5日 若井敦子 岐阜県議(自民党)
こうした実態が社会問題化する中、政府はさらなる対策の一つとして、本年5月に全国の都道府県警にAV出演強要問題専門官を新設することを発表いたしました。
本県では、既に県警本部生活環境課の課長補佐がこのAV出演強要問題専門官に指定され、こうした問題の根絶に向けてお取り組みいただいていると伺っております。
しかし、性犯罪の被害者の方は、精神的なショック、羞恥心から、警察に対する相談や被害申告をためらうことも多く、また相談の過程における警察官の言動等によっては、被害者の方に二次被害などを与えかねず、そのことが被害を潜在化させる要因ともなりかねません。
性犯罪は、被害者の尊厳を踏みにじり、身体的のみならず、精神的にも極めて重い被害を与える犯罪であります。
本県警がこの種の事案を認知された場合には、被害者の多くが女性であることから、女性が安心して相談できる環境の整備や、性的プライバシーにかかわるといった特殊な事情があるということを十分に理解をしていただき、相談者への対応に当たっては適切な配慮も必要ではないかと考えます。
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若井敦子県議は、岐阜県議会の議員です。
所属政党は自民党です。
ちなみに、自民党岐阜県連の会長は、野田聖子前総務大臣です。
●2017年10月5日 若井敦子 岐阜県議(自民党)
そこで、一点目の質問です。
AV出演強要に関する相談を受理された場合に、どのように対応されるのでしょうか。県警本部長にお尋ねいたします。
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●2017年10月5日 若井敦子 岐阜県議(自民党)
AVは、撮影した画像データをビデオやDVDに複製して販売するものであり、その情報がデジタルであることから、リベンジポルノ、これは別れた恋人や配偶者に対する報復として、交際時に撮影をした相手方のわいせつな写真や映像をインターネットなどで不特定多数に配布・公開する嫌がらせ行為のことを指しますが、これ以上に拡散の危険性が高いことは明らかであり、いわゆるデジタルタトゥーと表現されるように、一旦拡散されれば一生消すことができない、生涯背負っていかなければならない問題となります。
被害者のほとんどは、心配をかけたくない、誰にも知られたくない、自分が悪いとの、こういった思いから、両親や身近な人へ相談することができず、また責任感が強い人であればあるほど、自分の力だけで解決しようとして、さらに加害者に追い詰められていくケースがあるとのことです。
自分を責めながら誰にも相談できず、助けを求めている女性や児童の声なき声を確実に受けとめなければ、これらの問題から被害者を救うことはできません。
被害者が笑顔を取り戻し、女性や児童が性の商品として売買されることなく、安心して暮らせる社会の実現を、人として、また一人の女性として願わずにいられません。
本県警では、現時点でAV出演強要企業やJKビジネスに該当する営業店舗の存在を把握されておらず、またAV出演強要やJKビジネスにかかわる相談も寄せられていないとのことです。
しかし、本県は、日本有数の大都市、名古屋にある繁華街に近いことから、今後、県民がこうした被害に巻き込まれる可能性が低いとは言えません。
この種の事案を未然に防ぐためには、どのような手口で被害に巻き込まれていくのか、具体的なケースやその危険性、また当該ビジネスの営業実態などについて、若年層の女性や児童に対し、年齢に応じた形で、さまざまな機会や媒体を活用して広報・啓発を行っていくことが重要であると考えます。
そこで、二点目の質問です。
AV出演強要やJKビジネスに関する被害の未然防止に向けた広報・啓発にどのように取り組まれているのでしょうか。
こちらも警察本部長にお尋ねいたします。
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●2017年10月5日 若井敦子 岐阜県議(自民党)
性に対する暴力や虐待という暴力のない社会の実現を願い、これで私の質問を終わらせていただきます。
御清聴まことにありがとうございました。
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岐阜県は自民党王国です。
県議会についても同様です。
議会の定数は46人です。
このうち自民党に所属しているのは33人です。
(参考。岐阜県議会)
□会派別一覧
若井敦子県議は、自民党議員が居並ぶなかで、出演強要問題を質(ただ)しました。
警察は以下の答弁をおこないました。
●2017年10月5日 山本有一 岐阜県 警察本部長
御質問2点にお答えいたします。
初めに、いわゆるアダルトビデオ出演強要問題に関する相談を受理した場合の対応についてお答えいたします。
これまでのところ、当県においてこの種事案の相談は受理しておりませんが、アダルトビデオへの出演を強いる行為は精神的・肉体的苦痛をもたらす深刻な人権問題であるため、警察が相談を受理する際は、相談者の心情に配慮した適切な対応が極めて重要であると認識しております。
県警察では、警察本部と警察署に相談担当者を配置して、あらゆる相談に対応しておりますが、アダルトビデオ出演強要問題に関しましては、本年4月、相談担当者を対象とした研修会において、この問題の現状を説明するとともに、各種法令の適用を視野に入れた相談対応を指示しております。
また、本年6月には、県下警察署等に対する通達を発出し、この問題の相談内容が性的プライバシーに関するものであることを十分認識した上で、他の相談者から見えない場所や、リラックスして相談ができる場所等の選定について配慮するほか、原則、女性警察官による対応や女性警察職員の立ち会いを検討するよう指示したところであります。
県警察としましては、引き続き議員御指摘の事案の重要性を認識し、相談者が相談しやすい環境の整備や、適切な相談対応に努めてまいります。
次に、アダルトビデオ出演強要問題・JKビジネス問題に関する被害の未然防止のための広報・啓発について御説明いたします。
先ほど申し上げたとおり、これまでのところ、当県におきましてはこの種事案の相談や被害は認知しておりませんが、厳正な取り締まりはもちろんのこと、新たな被害を生まないための被害防止対策は極めて重要であると認識しております。
本年4月には、政府主導により行いましたAV出演強要・JKビジネス等被害防止月間以降、学校やPTAなど関係団体と連携した被害防止教育を計約30回、約8千人を対象として実施したところであります。
今後、さらに企業等とも連携し、さまざまな機会を捉えて被害を防止するための教育を実施するとともに、県警察のホームページや広報紙はもちろんのこと、女子高校生等が多く利用するソーシャル・ネットワーキング・サービスなど各種広報媒体を活用した被害防止のための広報・啓発を推進してまいります。
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山本有一岐阜県警察本部長は、
「これまでのところ、当県においてこの種事案の相談は受理しておりません」
とのべました。
切迫感がないのにもかかわらず、岐阜県の警察は弛緩していません。
(再掲。岐阜県警のホームページより。)
○悪質なスカウトは「モデルになりませんか?」などと偽って近づいてきます。
・街中で、スカウトから「モデルになりませんか?」と勧誘され、付いて行ったら、財布等を取り上げられ、男数人に囲まれた状態でアダルトビデオ出演に関する契約書を交わすことを強要され出演させられた。
○インターネット上でモデルの募集に応募したら、実はアダルトビデオの撮影だった。
・インターネット上で、高収入をうたったアルバイトの募集に応募し、詳しい業務内容を聞かずに相手方を訪ねて、そこで免許証と保険証を渡した。
内容がアダルトビデオの撮影ということを告げられて、拒否したが、契約しないと免許証等が戻らないと思い、契約書に署名してしまった。
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議会についても然(しか)りです。
(再掲。若井敦子 県議)
「本県は、日本有数の大都市、名古屋にある繁華街に近いことから、今後、県民がこうした被害に巻き込まれる可能性が低いとは言えません」
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年10月8日>
【お願い】
ニュース記事は一定期間を以て消えてしまいます。
ですがこの発信した事はどうか風化しない様に皆様もご協力をお願い致します。
同じ様な被害者が減る事を祈って。
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出演強要は一般的な被害として世の中に定着しました。
(再掲。若井敦子 岐阜県議)
「密室で大勢の大人に囲まれ、説得という名の強要を受けて、サインするまで帰してもらえないような状況下に追い込まれていた」
これは香西咲さんがうけた被害です。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年7月25日>
富士山の樹海近くのスタジオに連れていかれてどうやって逃げろと?
周り何も無いですし。
怖い人20人近くいて声も出ないですよ。
男性にはこの怖さは分かりません。
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(再掲。若井敦子 岐阜県議)
「これを自己責任として社会的に容認し、本人のみに責任を負わせるとの解釈は間違いであると言わざるを得ません」
いま出演強要に関して自己責任論を口にするものはいません。
ごく一部の頭のいかれたやつらを除いては。
人々の認識は激変しました。
香西咲さんが世の中をかえました。
あとは法律ができるのを待つだけです。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
(明日のブログへつづく)



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