昨日のづづきです。
性犯罪の履歴者に対してGPSを携帯させる、という考え方があります。
地方自治体の首長のなかで、最初に条例化を口にしたのが宮城県の村井嘉浩知事です。
(参考。当ブログ)
・2018年9月25日
・2018年9月26日
・2018年9月27日
(再掲。昨日のブログ)
●記者
議会でもかなりいろいろな意見が出ており、慎重論が比較的目立つような気がするが、一連の議会の質疑などを通じて感じたことと、今後のスケジュール、懇談会を開く日程などが決まっていれば教えてほしい。
●2011年3月7日 村井嘉浩 宮城県知事
議会での質疑等を受けて感じたことでありますが、あの場では当然慎重なご意見が非常に多かったように受け止めました。 しかし、個人的に県議会議員の方といろいろお話ししておりましたならば、 「非常にいい取り組みじゃないか」 と評価をしてくださる方もおられます。 現在は、これについて前向きに条例化を目指していくのかどうかということを今考えている段階でありますので、賜ったご意見は検討する材料とさせていただきたいと思っているということであります。 懇談会の日程については、今調整中でございまして、近々発表できるかと思っております。 |
(再掲。村井嘉浩 宮城県知事)
「議会での質疑等を受けて感じたことでありますが、あの場では当然慎重なご意見が非常に多かったように受け止めました」
本日は、宮城県議会におけるやりとりをふりかえってみます。
会議録を参照します。
宮城県議会
●2011年2月24日 佐々木喜藏 県議(自民党)
次に、女性や子供の犯罪被害防止のための施策についてお尋ねをいたします。 このテーマにつきましては私も強い関心を持ち、保護司としての立場からも、再犯率を下げる手段について検討を重ねております。 平成22年度版犯罪白書によれば、強制わいせつを含む前科を持つ者では、性犯罪の再犯率が37.5%にも及び、性犯罪を繰り返す者は更に性犯罪の再犯に及ぶリスクがより大きいと報告しております。女性や子供への犯罪被害を未然に防ぐためにも、何らかの手だてをする必要があると思っております。 今般、この犯罪被害防止のための条例制定を検討しているというマスコミ報道がありましたが、被害者の心のケアと生活の安心安全、加害者の人権など、さまざまな意見が飛び交っております。 議会としてもしっかり議論をする必要がありますが、その内容についてまだ示されておりません。 |
●2011年2月24日 村井嘉浩 宮城県知事
次に、大綱五点目、女性や子供の犯罪被害防止のための施策についての御質問にお答えをいたします。
近年、女性や子供を対象とする性犯罪が途絶えることなく発生し、また、DVに関する相談件数も急増するなど、女性と子供を取り巻く環境は年々深刻化しており、こうした現状に強い危機感を抱いております。 昨年5月に、関係部局に問題解決のための対策の検討を指示いたしました。 11月には、私と副知事、総務部長、環境生活部長、保健福祉部長及び警察本部長から成る推進本部を設置し、12月には、学識経験者などから御意見を聞くための懇談会を設置いたしました。 懇談会はこれまで2回開催し、女性と子供に対する暴力的行為の現状や課題、対応策について御意見をいただいたところであります。 こうした県の考えや取り組みにつきましては、県民の皆様などから、知事への提案や電子メール、電話などにより、多くのさまざまな御意見が寄せられているところであります。 今後の予定といたしましては、3回目の懇談会を3月末に開催することとしておりますが、懇談会で出されました御意見や県民の皆様などから寄せられた御意見などを十分に考慮しながら、女性と子供に対する暴力的行為の根絶に向けた施策の指針となる大綱の制定に向け努力をしてまいりたいと考えております。 |
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●2011年2月28日 須田善明 県議(自民党)
第4点、性犯罪前歴者に対するGPS装着について、具体の議論は次任期の県議会にゆだねられますが、そこに思い至った原因、心象風景があるはずです。 これまで、石巻市における事件などを事例として挙げてはおられますが、知事にはそれをぜひ御披瀝いただきたく思います。 第5点、そのGPS装着について、本来は、国全体という単位でないと効果は十分ではないと思いますが、県単独でも機能すると考えるのでしょうか、また、そうであれば、その理由をお伺いします。 |
●2011年2月28日 村井嘉浩 宮城県知事
次に、GPSの検討に至った原因等についての御質問にお答えをいたします。
女性や子供を対象とする性犯罪が途絶えることなく発生し、DVに関する相談件数も急増するなど、女性と子供を取り巻く環境が年々深刻化している現状について、私は以前から深く憂慮し、その対策の必要性を強く感じておりました。 このため、自治体を預かる長の当然の責務として、女性と子供に対する暴力的行為の根絶に向けた対策に、タブーや批判を恐れずに取り組んでいこうと決意をしたところでございます。 こうした考え方に立って、根絶のための対策について関係部局に指示し、検討に着手したところでございます。 次に、GPSについて、県単独で実施することの効果と理由についての御質問にお答えをいたします。 |
つぎは社民党の議員による質問です。
こちらは、自民党の議員とちがって辛辣です。
●2011年2月28日 岩渕義教 県議(社民党)
知事の肝いりで検討をしている性犯罪者等監視条例化についてお尋ねします。
女性と子供に対する暴力的行為の根絶対策の資料を見ますと、女性と子供に不安を与える行為等の制限、児童ポルノの単純所有の禁止、再犯のおそれが高い性犯罪者及びDV加害者へのGPS装置の義務化、性犯罪DNA提出義務化、地域社会全体で性犯罪者を支援する新たなシステム構築、性犯罪前歴者に定期的に地域行動支援委員会に行動記録を報告とされています。 こうした点について、マスコミ報道により私どもは知ることができましたが、いまだ議会に対しては何らかの報告も資料も提出されていません。 なぜ、何の根拠で、目的、今の時期に、なぜ性犯罪者だけなのか、国での法を上回る条例とは、などなど多くの疑問が頭によぎったのは私だけではないと思います。 また、この議論を公の場で議論することのためらいや、被害者の人権、警察の動向、検察庁、弁護士会の動向、法理論、制度上の課題、海外での動向等に多くの課題があることも事実だと思います。 |
第2に、再犯のおそれが高い性犯罪者等にGPS装置の義務づけてのことでありますが、何を根拠に再犯のおそれが高いと判断するのでしょうか。 その基準を明らかにされたいと思います。 刑を終えた方に更なる罰則を義務づける法的根拠は何か。 中には家族を持っている方も含まれています。 何ら問題がないとの考えなのか否かをお尋ねいたします。 第3に、DNAの提出義務づけも、何の法的根拠を持っているのでしょうか。 |
第6に、GPSは県が購入し義務づけるのか否か。 警備会社システムを活用とあるが、何を基準に警備会社を選定するのか。 本人の同意を必要としないとした根拠は何か。 どの程度の予算措置が必要と考えているのでしょうか。 |
●2011年2月28日 村井嘉浩 宮城県知事
近年、女性や子供を対象とする性犯罪が途絶えることなく発生し、またDVに関する相談件数も急増するなど、女性と子供を取り巻く環境は年々深刻化しており、社会の安全安心を確保する上で、看過できない状況にあります。
本来、犯罪や治安に対する法的規制につきましては、国が積極的に対応すべきものでございますが、残念ながら、国における取り組みは遅々として進展していない状況でございます。 申すまでもなく、弱い立場の女性や子供が守られ、だれもが安全で安心して暮らすことができる地域社会の実現は、自治体の基本的な責務であります。 なお、この対策は、性犯罪前歴者やDV加害者を含め、地域全体として支え合って安心して暮らすことができる社会の実現が目的でありまして、決して監視するためのものではないことを申し上げたいと思います。 |
●2011年2月28日 小泉保 環境生活部長
女性と子供に対する暴力的行為の根絶対策につきましては、昨年5月に関係課長による検討会を設置いたしまして、規制のあり方やDV防止のための対応の強化、県民運動の展開を主要な柱といたしまして、議論を重ねてきたところでございます。
特に、規制のあり方につきましては、女性と子供の安全を脅かす事件の実態と背景、現行制度における課題、更には安全を守るための有効な手法のあり方などにつきまして、幅広くさまざまな角度から検討を行ってきたところでございます。 今回、これまで内部で検討を進めてまいりました規制のあり方につきまして、5つの対策に係る基本的な考え方等の骨子案がまとまりましたので、幅広く外部の御意見を伺うため、1月22日に開催した第2回女性と子供の安全安心社会づくり懇談会に提示させていただいたところでございます。 第1点目は、女性と子供に対する不安を与える行為等の制限でございますが、誘拐事件につながるような子供に対する声かけ行為、性犯罪などの事件につながるような女性や子供に対する言いがかりやつきまとい、その他威圧する行為を禁止し、性犯罪や誘拐などの重大な事件を未然に防ごうとするものでございます。 第2点目は、児童ポルノの単純所持の禁止でございますが、現行の児童ポルノ法では禁止されていない単純所持を禁止し、受け手側を規制することで児童ポルノの流通を断ち、根絶を図ろうとするものでございます。既に奈良県では条例による規制がなされ、京都府でも検討がなされているところでございます。 第3点目は、性犯罪前歴者、DV加害者に対する所在確認制度でございますが、性犯罪前歴者やDV加害者にGPS装置の携帯を義務づけ、行政機関が行動記録を確認することができる環境をつくることで、性犯罪やDVに対する心理的な抑止効果を働かせようとするものでございます。 第4点目は、性犯罪逮捕者からのDNAの提出制度でございますが、性犯罪逮捕者のDNA資料を行政機関に提出させることによりまして、常にDNA情報が確認される環境をつくることで、性犯罪の再犯に対する心理的な抑制効果を働かせようとするものでございます。 第5点目は、性犯罪再犯防止に向けた地域行動支援システムでございますが、地域の関係者から成る地域行動支援委員会を設置いたしまして、出所者との定期的な面談を通しまして、地域社会全体で性犯罪前歴者の社会復帰と性犯罪の再犯防止を図ろうとするものでございます。 現在、懇談会におきまして、忌憚のない御意見をいただいているところであります。また、県の考えや取り組みに対しまして、数多くの県民の皆様などから、さまざまな御意見が寄せられているところであります。 今後、これらの御意見を考慮しながら、法技術面からの課題について、また犯罪防止に対する効果の再検証など、より一層詳細な分析等を行いながら、規制等の導入の可否について検討を進めていくこととしております。 |
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(再掲。村井嘉浩 宮城県知事)
「本来、犯罪や治安に対する法的規制につきましては、国が積極的に対応すべきものでございますが、残念ながら、国における取り組みは遅々として進展していない状況でございます」
村井知事はこのように慨嘆しました。
児童ポルノの単純所持の禁止につきましても、当時は、地方自治体が率先垂範(そっせんすいはん)して(先頭に立って模範をしめして)いました。
(再掲。小泉保 環境生活部長)
「児童ポルノの単純所持の禁止でございますが、現行の児童ポルノ法では禁止されていない単純所持を禁止し、受け手側を規制することで児童ポルノの流通を断ち、根絶を図ろうとするものでございます。既に奈良県では条例による規制がなされ、京都府でも検討がなされているところでございます」
性犯罪に対するとりくみについては、国よりも地方のほうが進んでいます。
(再掲。村井嘉浩 宮城県知事)
「女性と子供を取り巻く環境が年々深刻化する中、大変残念なことではございますが、本来、法制度等により対応すべき国の取り組みがなかなか進展しない現状にございます」
例外もあります。
出演強要問題です。
この問題に関しては現在、政府が強力に施策を推し進めています。
他の追随をゆるしません。
(2018年3月26日 第4回関係府省対策会議「議事録」より、引用。)
●2018年3月26日 菅義偉(すがよしひで)内閣官房長官
昨年3月にこの会議が発足してから早いもので1年であります。
アダルトビデオへの出演強要の問題や「JKビジネス」問題に対して、これまでに取締り強化や教育・啓発、相談体制整備、保護・自立支援の取組強化など、各種対策を着実に進めてきたところであります。 しかしながら、今般の実態把握結果からは、若年層の女性に対する性暴力被害の実態は依然として深刻な状況にあると言わなければなりません。 被害に遭われた方々が公的な相談窓口などに相談していない実態も明らかになってきております。 孤立した被害者に救いの手を差し伸べていくことが必要であります。 関係府省におかれましては、これまでの対策を精査の上、一段と強化・拡充を図っていただくとともに、野田大臣を議長とするこの対策会議のもと、関係府省が密接に連携協力して、スピード感を持って対策を進めていただきたいと思います。 アダルトビデオへの出演強要の問題や「JKビジネス」問題は、「女性活躍」の前提となる安全・安心な暮らしの基盤を揺るがす問題でもあります。 この根絶に向け、政府一体となって取り組んでまいります。 関係各位の一段の御尽力をお願い申し上げます。 |
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出演強要問題に対する内閣官房長官の認識はこうです。
「依然として深刻な状況にある」
この問題にじゅうぶんとりくんだのだからもうこれぐらいでいいだろう、とは言っていません。
力不足であるとみとめています。
内閣官房長官は、
「この根絶に向け、政府一体となって取り組んでまいります」
と明言しました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年7月6日>
週刊文春様の報道に私のAV強要の件が出始めている様です。 ファンの方々は読んでいて心が痛くなる内容だと思います。 ですがデビューから前の事務所を経て独立迄に受けた現実であり、これを経て今の私がある事を知って頂けたら幸いです。 またそれが今のAV業界の為にもなると信じてやみません。 |
●香西咲さん
<2016年7月8日>
週刊文春様、後編は14日に発売になりますが、前編よりも更に酷い内容になっていると思います。 私はファンの方々の心を傷つけたくて述べているのではありません。ただひたすら私が受けた現実です。 |
●香西咲さん
<2017年1月2日>
発売中の週刊文春さんに書いてある様に、 業界を背負おうと言うつもりもありません。 個人の問題。 だけど他人を巻込み業界から私を排除しようとした結果、 |
●香西咲さん
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。 私はAV業界に固執していたのでではなく、 #AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。 引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。 |
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(再掲。村井嘉浩 宮城県知事)
「昨年2月に石巻市で発生したDVに起因する殺傷事件には、大変大きなショックを受けたところであります」
石巻市で起きた事件が、村井知事の犯罪観をかえました。
出演強要問題につきましては、香西咲さんによる実名の告発が政府をうごかしました。
(2018年6月12日 参議院 法務委員会より。)
(※参考。当ブログ)
●2018年6月12日 上川陽子 法務大臣
(出演強要は)犯罪である、というふうにも思っているところでもございます。 |
●2018年6月12日 上川陽子 法務大臣
このことにつきまして、法的対策もふくめてしっかりと検討し、そして実現してまいりたいというふうに思っております。 |
そう遠くない将来、出演強要に関する法律ができるのは必定です。
わいせつビデオ(適正AV)業界人に対しては、GPSの常時携帯も実施してほしいものです。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
(明日のブログへつづく)
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