性犯罪の履歴者にGPSを(その2)。香西咲さんは、「被害者は後遺症と地味に長く付き合っていかないといけない」とおっしゃいます。性犯罪者に人権は不要です

昨日のつづきです。
2011年1月22日のことでした。
宮城県の村井嘉浩知事が性犯罪の防止策として、驚嘆に値する考えを披瀝しました。
内容は、条例をつくって性犯罪の履歴者にGPSを携帯させたい、というものです。
2日後、定例の記者会見がおこなわれました。
記者たちは知事に、真意を問いました。

(参考。当ブログ)
2018年9月25日

(再掲。定例記者会見)
2011年1月24日 村井嘉浩 宮城県知事

イギリスでは、街のあちこちにカメラが設置されて、常にいろいろな人、不特定多数の人を監視している、あるいは、韓国やアメリカではGPSというような拘束具をつけてそういった犯罪者を一定程度監視しているということでございまして、それに比べると極めて日本は遅れていると思っております。

決して健全な県民、国民を監視しようという目的ではなくて、そういった人たちをいかにして守るのかという視点が、私は日本は遅れているのではないかと(思っております)。
健全な、まじめに一生懸命生きている国民、県民をいかにして守っていくのかということの方に力を入れる方が、私は大切なのではないかと思っております。

村井知事は、
健全な、まじめに一生懸命生きている国民、県民をいかにして守っていくのか
とのべました。
正論に対して、地元の弁護士会が難癖を付けました。

(2011年1月27日 仙台弁護士会「平成23年1月27日会長声明」より、引用。改行を施しています。)

2011年1月27日 仙台弁護士会

(前略。)
(略)、性犯罪前歴者、DV加害者であっても基本的人権の享有主体であることに変わりはなく、人権の制限は必要最小限度のものでなければならない

条例試案は、すでに刑の執行を受け終わり、又は、裁判所からDV保護命令を受けた者に対して、さらに行動の自由及びプライバシー権を常時制約する規制を加えるものであり、これは実質的に見て新たな刑罰を科すに等しいとも言い得るものである。
(中略。)
加えて、条例試案は、再犯防止を目的としてDNAの提出を義務づける内容を含んでいるが、裁判所の令状によらない証拠収集につながるおそれが高く、この点からも憲法に抵触する重大な問題を含むと考えられる。

このように条例試案は人権保障上看過できない重大な問題を有するものであるが、そもそもこのような重大な人権規制を法律ではなく条例で行えるのかという問題も指摘せざるを得ない。

性犯罪やDV被害は深刻な問題であり、根絶していかなければならない。
しかし、それは個人の尊厳を基軸とする日本国憲法の下においては、監視ではなく、性犯罪前歴者が更生していけるプログラムの作成・実践等によって実現されるべきであり、宮城県もその方向で尽力すべきである。

条例試案は、性犯罪等の抑止について、上記のような人権上の問題点を十分に検討しないまま発表されたと受け止めざるを得ない。よって、当会は条例試案に反対する。

性犯罪前歴者、DV加害者であっても基本的人権の享有主体であることに変わりはなく、人権の制限は必要最小限度のものでなければならない
弁護士会は御決りのことばを口にしました。
性犯罪者の人権が大切である、と。
4日後ふたたび、知事の定例の記者会見がおこなわれました。
記者は再度、GPSの携帯の件を訊(たず)ねました。

(2011年1月31日「宮城県知事記者会見【平成23年1月31日」より、引用。改行を施しています。)

記者
(性犯罪の前歴者などに)GPS(衛星利用測位システムを所持させるという条例の検討方針)について、県に寄せられた県民の意見では賛成の声が多かったようで意外だったが、それについてどう受け止めるか。

2点目、韓国などでは既にGPSが使われているが、性犯罪から始めて、今では殺人、強盗と対象が広がっている。
知事はそこまで考えているのか。

2011年1月31日 村井嘉浩 宮城県知事

まず、県民の声ですが、私のところには決して賛成ばかりではありません。
「反対」
「慎重にやれ」
という声もたくさん届いております。
ただ、私も非常に意外に思ったのは、この手のものというのは、今まで5年ちょっと知事をやってきまして、こういった賛否が分かれるようなものを提案したときには、どちらかというと反対、厳しい意見の方が圧倒的で、賛成の意見というのはまさにサイレント・マジョリティ(物言わぬ多数派で)、ほとんど私のところに届かないんです。
今回は非常に特異だなと思ったのは、賛成の意見が非常にたくさん寄せられたということです。
通常は反対が10だと賛成が1弱なんですけれども、今回は賛成の声の方が大きいです。
従って、これは私の勘ですけれども、恐らく相当の県民の方は支持されているという感じがいたしました。

それから二つ目のご質問で、韓国のように、今回は(対象を)性犯罪に限定しているが、殺人、強盗と、そういうところに広げていく可能性はあるのかということですが、現時点においてはそこまでは考えておりません。
あくまでも性犯罪やDV(ドメスティックバイオレンス)、女性や子どもが特に被害にあうものに限っているということでございます。

記者
今、県に寄せられている意見だが、実際の数字としては何件なのか。

2011年1月31日 村井嘉浩 宮城県知事

県内・県外とか賛成・反対いろいろあるので、書きとめるのが大変だから後で資料を渡します。

記者
確かに全体では賛成の意見が半数を超えているが、県内・県外の種別で見ると、県内の方の(賛成の意見の)件数はそう多くないが反対の方が多い。
県外と県内で若干の意識差が見られることについてはどう分析しているか。

2011年1月31日 村井嘉浩 宮城県知事

それはまさにサイレント・マジョリティだと思っています。
私がこの発表をしてから、今回の土日も含めまして県外、県内いろいろなところに行っていろいろな方に会っていますが、私に会うから、私だから、本人だからかもしれませんが、ほとんどの方はぜひこれはやるべきだというふうにおっしゃっています。
いつも厳しく私を指導してくださるような方も、今回は頑張ったらどうだという声の方が圧倒的に多いですね。
慎重にやれという声はほとんど私のところには届いておりません。
これが県民の皆さまの声かなとはとらえております。

記者
一つの見方としては、条例が実際に適用される県内の人は反対が多くて、条例を適用されない人は一般論として賛成が多いという見方もできるかと思うが、いかがか。

2011年1月31日 村井嘉浩 宮城県知事

県内の人の賛成・反対は分かりますか。

2011年1月31日 共同参画社会推進課

県内ですと、賛成が7件、反対が13件となっております。
1月28日現在での数です。

2011年1月31日 村井嘉浩 宮城県知事

7人と13人ですから、234万人のうちの7人、13人ということです。
従って非常に誤差のある数字だと思いますが、少なくとも今のご質問にお答えするとするならば、反対の方も13人届いているということでありますので、まだ期間があり、やると決めたわけではございませんので、しっかりと県民の皆さまの声に耳を傾けて最終的な判断をしてまいりたいと思っております。

記者
先週の金曜日(28日)、仙台弁護士会が憲法違反だということで反対の声明を出した。
その中身は、刑を終えた人に監視ということで、新たな刑を科すような二重処罰に当たるということだった。
知事は発表したときに憲法違反には当たらないと主張していたが、仙台弁護士会の今回の指摘について反論があればお願いしたい。

(再掲)
2011年1月27日 仙台弁護士会

(前略。)
(略)、性犯罪前歴者、DV加害者であっても基本的人権の享有主体であることに変わりはなく、人権の制限は必要最小限度のものでなければならない。

条例試案は、すでに刑の執行を受け終わり、又は、裁判所からDV保護命令を受けた者に対して、さらに行動の自由及びプライバシー権を常時制約する規制を加えるものであり、これは実質的に見て新たな刑罰を科すに等しいとも言い得るものである。
(中略。)
加えて、条例試案は、再犯防止を目的としてDNAの提出を義務づける内容を含んでいるが、裁判所の令状によらない証拠収集につながるおそれが高く、この点からも憲法に抵触する重大な問題を含むと考えられる。

このように条例試案は人権保障上看過できない重大な問題を有するものであるが、そもそもこのような重大な人権規制を法律ではなく条例で行えるのかという問題も指摘せざるを得ない。

性犯罪やDV被害は深刻な問題であり、根絶していかなければならない。
しかし、それは個人の尊厳を基軸とする日本国憲法の下においては、監視ではなく、性犯罪前歴者が更生していけるプログラムの作成・実践等によって実現されるべきであり、宮城県もその方向で尽力すべきである。

条例試案は、性犯罪等の抑止について、上記のような人権上の問題点を十分に検討しないまま発表されたと受け止めざるを得ない。よって、当会は条例試案に反対する。

2011年1月31日 村井嘉浩 宮城県知事

(憲法に)抵触する恐れがあるということですね。
そういう声があるということも一つの考え方として受け止めたいと思っております。
ただ、同時に憲法違反ではないと(思っております)。
たびたびお話ししているように、例えば表現の自由は認められておりますけれども、車で走る際にはスピーカーの音量というものは制限されております。
また、デモをするときにも一部規制があるということで、表現の自由は認められていますけれども、しかしそこには一定の規制がかけられているということでございます。
公共の福祉という視点を軸足に置くならば、ある程度の制約というものもこれは致し方ないと考えておりまして、決して人権を踏みにじるものではないと私は思っております。

また、何度もお話ししておりますが、そういう犯罪を犯す方の中には、自分の意思だけではなくて、どうしても抑えられない衝動によってそういう性的な犯罪を犯してしまう人も中にはおられるわけでございまして、そういった方を逆に社会全体として守っていくという考え方も私はあってよろしいのではないかと思っております。

記者
今の趣旨からすると、弁護士会が言っている二重に処罰する形には当たらないということか。

2011年1月31日 村井嘉浩 宮城県知事

はい。決して処罰をする、罰を与えるというのではなくて、公共の福祉に供するためにということでございますので、それは認識の違いだと私はとらえております。しかし、現時点ではそう思っておりますが、今後いろいろな方のご意見を聞きながらさらに検討を深めていきたいと思っております。

記者
事務的な話だが、先週、知事は
「どうやって監視するのか」
という質問に対し
「警察に補助執行させる」
という言い方をしている。
これは、実際の監視業務は県警がやるということで考えていいのか。

2011年1月31日 村井嘉浩 宮城県知事

まだそこまで決まっておりません。
細部は何も決まっておりません。
まず、やるかやらないか(ということです)。
やるとなった段階で具体的にどうすればいいのかということを詰めていきますので、もちろん今ワーキンググループの中でいろいろな検討はしておりますが、少なくとも何の意思決定もしていないということでございます。

記者
どこが監視するかということは根幹にかかわることだと思うが、その点について現時点の考え、アイデアはあるのか。

2011年1月31日 村井嘉浩 宮城県知事

当然、私なりの考えというのはありますが、ここで発表するとそれが基準になってしまいますので、現時点においてはまだ白紙だということでとどめておきたいと思います。

記者
国レベルでの話にもつなげたいというような話だったかと思うが、この条例の話が出てから、国家公安委員長や法相の方からも前向きととれるのかいろいろ意見があるかと思う。
他県の知事などの話も聞こえてくるかと思うが、それらの反応を聞いていかがか。

2011年1月31日 村井嘉浩 宮城県知事

これは、一自治体、宮城県の問題ですので、ほかの県知事さんと協議をするということは今のところ考えていませんが、国とはいろいろ話し合いは進めていかなければならないと思っております。
必要に応じて、大臣等、国の要職にある方にも私なりの考えを伝える機会があってもよろしいのではないかと思っております。

記者
例えば大綱がまとまった段階で一度国の方に行くなど、具体的な考えはあるのか。

2011年1月31日 村井嘉浩 宮城県知事

今のところは、まだやると決めておりませんので、もう少し時間を置いてから考えたいと思っております。

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法務省の犯罪白書によりますと、性犯罪の再犯率は13.9%となっています。

(法務省「平成27年版 犯罪白書」より、引用。改行を施しています。)

犯罪白書
再犯調査対象者の総数1,484人のうち、全再犯ありの者は307人であり、全再犯率は20.7%であった。
そのうち、性犯罪再犯ありの者は207人で、性犯罪再犯率は13.9%であり、全再犯ありの者のうちの67.4%を占めていた。
(中略。)
出所事由別に再犯率を見ると、仮釈放者の性犯罪再犯率が10.3%であるのに比して、満期釈放者の性犯罪再犯率は25.4%と顕著に高く、性犯罪再犯(刑法犯)、性犯罪再犯(条例違反)別に見ても、いずれも満期釈放者の方が高かった。
(後略。)

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上述の弁護士会は、
個人の尊厳を基軸とする日本国憲法の下においては、監視ではなく、性犯罪前歴者が更生していけるプログラムの作成・実践等によって実現されるべき
と主張しています。
まるで他人事(ひとごと)です。
性犯罪の再犯率は13.9%です。
現在も事件が絶えることはありません。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2017年12月6日

加害者はすぐに忘れていく一方で、
被害者は後遺症と地味に長く付き合っていかないといけない。
一生モノの傷。
#AV強要
#性的搾取
#人身売買
#HumanTrafficking
#青木亮

香西咲さん
2017年12月31日

(前略。)
彼ら一部の略式起訴からちょうど1年が経ちました。
来年は犯罪者達に性犯罪で刑務所に入って頂き、少しでも性犯罪の抑止力になります様に努めます。
一度壊してしまった健康は賠償では取り戻せません。
#AV強要
#MeToo

香西咲さん
2018年1月31日

まず取り組みたいのは性犯罪処罰の底上げですね。
日本はなぜこんなに性犯罪に寛容なんだ(´-ω-`)

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弁護士会は加害者の人権を重視しています。

(再掲。香西咲さん)
加害者はすぐに忘れていく一方で、被害者は後遺症と地味に長く付き合っていかないといけない

村井知事はちがいます。
被害者のことを慮(おもんぱか)っています。
このあと、ある知事が村井知事の考え方を支持しました。
長くなりましたので、つづきは明日のブログでふれさせていただきます。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

(明日のブログへつづく)



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