昨年、刑法が改正されました。
これによって、強姦罪(強制性交等罪)の法定刑の下限が、
「3年以上の懲役」
から、
「5年以上の懲役」
に引き上げられました。
110年ぶりの大改正です。
先鞭をつけたのは松島みどり元法務大臣です。
(参考。当ブログ)
・2018年9月3日
・2018年9月4日
・2018年9月5日
・2018年9月7日
・2018年9月8日
松島大臣は、法務省の職員に対する訓辞で、自身の思いを披瀝(ひれき)しました。
(2014年9月4日 法務省「大臣就任に当たっての松島法務大臣訓示」より、引用。改行を施しています。)
●2014年9月4日 松島みどり 法務大臣
(前略。) 今朝の新聞などを見ていただいた方はお分かりいただいたと思うのですけれども、私は以前から自分の選挙の公約にまでしてきたことが一つあります。 それは性犯罪に対する法定刑が甘い。 具体的に申しますと、強姦致死傷、致死まで入れて致死傷でも懲役5年以上又は無期懲役までです。 かたや強盗、物盗りは、強盗致傷でさえ懲役6年以上と、下が1年多いし、そして上は無期懲役までです。 全然違う。 正しいことは一挙にやればよいと私は思います。 |
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(再掲。松島みどり 法務大臣)
「バランスがあるから一挙に縮められないと答弁された」
当時の国会答弁をみてみます。
2004年の法務委員会です。
(2004年11月9日 衆議院 法務委員会「会議録」より、引用。)
●2004年11月9日 大林宏 法務省 刑事局長
強盗致傷罪について、強姦罪との比較において、強姦の方が軽いのはいかがかという御議論があることは私どもも承知しております。 ただ、刑のバランス等いろいろございまして、重い方の、犯情の悪いものについては重い刑が科せるような形に今回しておりますので、強盗罪についてはかねてより、ほかの財産刑のあり方がどうあるべきかということは従前から議論がございまして、今回の法制審議会においてもそのような議論がございました。 (後略。) |
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このやりとりの翌日、今度は自民党の別の議員が強姦罪の問題をとりあげました。
(2004年11月10日 衆議院 法務委員会「会議録」より、引用。)
●2004年11月10日 三原朝彦 衆議院議員(自民党)
それと、きのうの法務委員会のディスカッションで、同僚の女性議員(松島みどり議員)が声を大きくしてそのことについて質問していたので、私は大いに、ああそうだなと思ったことについて一つ今度は前田先生にお聞きしたいと思うんです。
強制わいせつ等致死傷の181条の2項で、「無期又は5年以上」と、3年が5年になったんですね、今度するということになっています。 そうしたら、その同僚の議員の先生(松島みどり議員)が言われるんですね。 こっちは、身も心もずたずたにされて、それで、少なくとも同じぐらいならいいけれども、この1年の差というのは100年も1000年もの差だというので、えらい問題提起されまして、ああそうかと。 そういうことから考えると、これはどういうふうに解釈すればいいんだろう。 |
●2004年11月10日 前田雅英 参考人(東京都立大学法学部長)
非常に具体的な御指摘、ありがとうございます。
お答えさせていただきたいと思うんですけれども、これは本質的にはやはり、強盗が今度のでも5年で、強姦は上げても3年だということにもつながっていると思うんですね。 それは、だから、抑止を目指しているわけではなくて、女性の尊厳といいますか、社会の中での男女の平等の実現ということがポイントになると思うんですね。 そのときに、おっしゃるとおり、強姦致傷、もっと上げるというお気持ち、わからないことはない。 ただ、逆に、法改正というのは、今までのシステムに整合性を持たせながら動かしていく。 |
前田雅英教授は、
「伝統的に強盗をこれだけ重くしてきた日本の文化の中で、急に変えるのは難しい」
とのべました。
なぜ、強姦よりも強盗のほうが重罪なのでしょうか。
歴史的な経緯がよくわかりません。
●2004年11月10日 前田雅英 参考人(東京都立大学法学部長)
(略。) 何で強盗がそんなに重いのかというと、やはり我が国では、明治以来、つくったとき以来、社会の治安の抑止にとって、強盗を抑え込むというのは非常に重大な課題だった。 それで、(強盗罪は)5年以上という刑、それから240条(強盗致死傷罪)の7年以上の刑というのができているんですね。 |
なるほど。
●2004年11月10日 前田雅英 参考人(東京都立大学法学部長)
ただ、それは、現場では非常に苦しんで今度(強盗致死傷罪を7年から)6年に変える(下げる)という案が出てきて、それは私はリーズナブルだと思うんですが、それをまた5年に下げるというのは逆に問題があるし、逆に強姦を一挙に、強姦致死傷を一挙に7年にするとか6年にするというのも急速な変化過ぎるということで、説得力は非常に弱い説明ですけれども、我々はやはりそのあたりの改正が合理性があるというふうに考えているということなんです。 申しわけございません。 |
(再掲。松島みどり法務大臣)
「物の方が女より大事だった」
この点につきましては、ほかの国会議員も憤(いきどお)っています。
(2004年3月2日 衆議院 予算委員会「会議録」より、引用。)
●2004年3月2日 菊田真紀子 衆議院議員(民主党【※現在は無所属の会】)
(前略。) それから、私は、女性の立場からしますと、現在の刑法にはまだまだおかしいと感じるところがあります。 御案内のとおり、現在の刑法は、今から100年前の明治時代に制定されました。 100年前といえばどんな時代だったでしょうか。 女性には参政権もなく、もちろん女性の政治家も存在していないという時代です。 絶対的な男性優位の社会でした。 そのような時代背景の中でつくられた刑法が、100年後の現在まで本格的な改正がなされずに至っております。 (中略。) (略)、現在の法律を見返すと、余りにも時代にそぐわないのではないかと感じるものがあります。 例えば、女性の立場で言わせてもらいますと、婦女暴行関係の刑罰なども軽過ぎるのではないでしょうか。 |
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公明党の浜四津敏子議員も同様の指摘をしました。
(2004年11月30日 参議院 法務委員会「会議録」より、引用。)
●2004年11月30日 浜四津敏子 参議院議員(公明党。元環境庁長官)
また木村参考人にお伺いいたしますが、私どもはなぜ性犯罪の厳罰化を求めたかといいますと、日本の現行の刑事法では強盗罪の法定刑よりも強姦罪の法定刑の方がはるかに低いと。 つまり、女性の性的自由が物よりも軽く扱われていると。 これがおかしいではないかというのがその一つでございました。 その結果、今回、強姦3年以上に引上げということになったわけですけれども、まだ強盗との間には格差があります。 |
●2004年11月30日 木村光江 参考人(東京都立大学法学部教授)
お答えいたします。 確かに強盗との比較という意味で軽いというのはしばしば先生がおっしゃるとおり言われることなんですけれども、やはり2年以上とされていたものを一度に5年以上というのは、やはり刑法の改正としてはちょっとバランスを欠くのかなというふうには思われます。 で、今度、併せて240条、つまり強盗致死傷罪について7年が6年というような、附帯決議の中で言われているんですけれども、強盗は確かに刑法典全体の中でもかなり重い罪です。 |
(中略。)
●2004年11月30日 浜四津敏子 参議院議員(元環境庁長官)
(前略) 次に、神参考人にお伺いいたします。 強盗致傷の引上げのみ賛成と、こういうお考えを表明されたわけですけれども、現行法では、今もお話しさせていただきましたが、強姦罪の法定刑が強盗罪の法定刑より軽いと、こういうことになっておりまして、女性の性的自由が物より軽い、このことに対して女性の、多くの女性団体等からも批判の声が上がっていたわけでございますけれども、今回の性的犯罪の、性犯罪の厳罰化についても、これは反対というお考えでしょうか。 |
●2004年11月30日 神洋明 参考人(弁護士)
お答えいたします。 性的自由に対する侵害について私が問題にしているのは、下限を上げる必要はないということを強調しているのであります。 なおかつ申し上げますと、実は法制審議会においては日弁連は刑の引上げについて留保をしております、この意見を。 ということは、私どもの中でもこれについては上げてもいいという意見がありました。 ただ、私は、実際問題として、その下限の域のところではなくて、もうひどい、いわゆる昨年起こったような集団強姦事件のようなものについてはそれなりの処断がされるべきだというふうには考えております。 ただ、今ここで下限を上げることがそれにつながる殺人、傷害と連動することを非常に危惧しているために反対と言うのであります。 |
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以上、2004年の国会でかわされた強姦罪に関する議論をふりかえってみました。
前田雅英参考人は、
「伝統的に強盗をこれだけ重くしてきた日本の文化の中で、急に変えるのは難しい」
と言っています。
神洋明参考人は、
「日弁連は刑の引上げについて留保をしております」
と答えました。
いまから14年前の発言です。
浜四津敏子議員がおっしゃるように、当時の女性は、物よりも軽くあつかわれていた、ということがわかります。
先述のとおり、昨年、性犯罪の厳罰化が実現しました。
強姦罪は、5年以上20年以下の懲役、となりました。
世の中が激変したのです。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2018年1月25日>
消耗品として扱われていた実感はありますね。 |
●香西咲さん
<2018年3月17日>
こうして振り返ると人間として扱われてなかったなぁと改めて実感。 |
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わいせつビデオ(適正AV)業界は依然として、女性を消耗品としてあつかっています。
AVマニアについても同様です。
こいつらは、世の中の転変を把握できていません。
これまでと同じく、女性を使い捨て用品として利用することができる、と思っています。
愚かなやつらです。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2018年1月25日>
常識を持ち合わせていないので、削除合意を取付けたとしても、削除確認するまでは安心出来ません。 |
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2018年3月18日>
時間をご覧下さい。大阪契約中私は殆ど酔っ払いの電話に付き合わされて寝ていませんでした。仕事の時間には連絡してくれず、毎日の様に夜中非常識な時間に連絡が来る、出ないと数十件の不在着信。6時間通話などザラにありました。これは泣き寝入りするしかないのでしょうか? |
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泣き寝入りをする、ということにはなりません。
(2018年6月12日 参議院 法務委員会より。)
(※参考。当ブログ)
●2018年6月12日 上川陽子 法務大臣
(出演強要は)犯罪である、というふうにも思っているところでもございます。 |
●2018年6月12日 上川陽子 法務大臣
このことにつきまして、法的対策もふくめてしっかりと検討し、そして実現してまいりたいというふうに思っております。 |
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世の中はかわりました。
女性に対する搾取でなりたっているわいせつビデオ(適正AV)業界とAVマニアが存在することはゆるされません。
このクズ、ゴミは、ゴキブリと同じく叩き潰される運命にあります。
出演強要に関する新法が成立したとき、香西咲さんたち被害者は再生します。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
(明日のブログへつづく)
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