昨年、性犯罪の厳罰化が実現しました。
刑法が大幅に改正されたのは110年ぶりのことと言われています。
昨日のブログでもふれました。
嚆矢(こうし。「物事の始まり」)となったのは、松島みどり法務大臣(当時)の発言です。
(2017年6月16日 松島みどり「松島みどり元法務大臣のFacebook」より、引用。改行を施しています。)
●2017年6月16日 松島みどり 衆議院議員
(前略。) 私が法務大臣だった時の指示が実り、性犯罪を厳罰化する刑法改正が(2017年6月)16日、国会で成立した。 20日後に施行する。 私は、平成26年(2014年)9月(3日)、大臣就任直後の官邸での会見で 「女性の心身を傷つけ、人生を狂わせるおそれのある強姦罪の法定刑が懲役3年以上で、モノを奪う強盗が懲役5年以上。逆転している。かつて犯罪被害者基本法の議員立法にかかわったが、性犯罪の被害者は声をあげにくい。ふだん女性であることを意識して仕事をすることはないが、これだけはずっと改めたいと考えてきた」 と述べ、翌日、刑法改正のための検討会設置を指示した。 これがきっかけとなり、それ以降、検討会から法制審議会、さらに国会審議へと、異例の早さで改正が進み、全会一致で会期末に成立した。 (後略。) |
流れを確認します。
□2014年9月3日 松島法務大臣が就任後の記者会見で、刑法の改正を示唆
↓(翌日)
□2014年9月4日 松島法務大臣が訓辞のなかで、刑法の改正を指示
↓(約2年9か月後)
□2017年6月16日 改正刑法が成立
松島みどり議員が法務大臣に就任した直後の記者会見をみてみます。
(2014年9月3日 動画 政府インターネットテレビ「第2次安倍改造内閣閣僚記者会見『松島みどり大臣』」より。)
(※音声の文字化は、筆者。)
●2014年9月3日 松島みどり 法務大臣
法務大臣を拝命いたしました松島みどりでございます。
わたくしは、法務行政について思うことを2つあげますと、1つは、法律というのは日本国民をしあわせにするものでなければいけない、と同時に、だからこそ法律をあつかう者の責任は重い、ということ。 もうひとつは、日本を、世界で一番安全な国日本というのを、これからもまもっていかなければいけない、ということ。 わたくし自身、国会議員、11年やってまいりまして、もっとも印象に残った仕事のひとつは、犯罪被害者等基本法を議員立法でつくったことであります。 |
ちなみに、犯罪被害者等基本法を制定するさいに中心となった人物は、現在の法務大臣である上川陽子議員です。
(参考。当ブログ)
・2018年8月7日
・2018年8月8日
・2018年8月9日
以下の記事も参考になります。
□上川陽子 活動報告
昨年秋の臨時国会において、犯罪被害者等基本法が議員立法により成立しました。
本法律の制定に取り組まれた上川陽子氏(自由民主党政務調査会・犯罪被害者等基本法PTリーダー)から、同法制定に至る経緯、本法律の枠組み・内容および制定過程における主要な議論等についてご講演いただきました。
●2014年9月3日 松島みどり 法務大臣
そして、わたくし自身、実は女性の政治家であるということを普段はそれほど意識したことはありません。 しかしながら、たとえば性犯罪ということについて言いますと、これは被害者がなかなか口にできない。 それでわたくしがずっと、おかしい、と思いつづけてきたことをこの法務大臣になって省内に審議の糸口をつくりたいと思っています。
これはおかしいんじゃないか、と。 かつてわたくしは、法務委員会でもそういう質問をしたことがございます。 これについてはぜひ、この法務大臣になったことをきっかけに、法務省のなかで議論をしてもらうような仕組みをつくりたい、と思っております。 さきほどの犯罪被害者についても、よりいっそうその人権が守られるように、ということに努めてまいりたいと思っております。 |
松島みどり法務大臣は、翌日、法務省で訓辞をおこないました。
こちらにつきましては文字化されたものが残っています。
一部を参照します。
(2014年9月4日 法務省「大臣就任に当たっての松島法務大臣訓示」より、引用。改行を施しています。)
●2014年9月4日 松島みどり 法務大臣
今朝の新聞などを見ていただいた方はお分かりいただいたと思うのですけれども、私は以前から自分の選挙の公約にまでしてきたことが一つあります。 それは性犯罪に対する法定刑が甘い。 具体的に申しますと、強姦致死傷、致死まで入れて致死傷でも懲役5年以上又は無期懲役までです。 かたや強盗、物盗りは、強盗致傷でさえ懲役6年以上と、下が1年多いし、そして上は無期懲役までです。 全然違う。 正しいことは一挙にやればよいと私は思います。 |
松島みどり法務大臣は、
「これは是非お願いしてやっていただきたいなと思っております」
とのべました。
これをうけて法務省は、有識者検討会を設置しました。
(2014年9月29日 日本経済新聞「性犯罪の厳罰化、有識者検討会を設置へ 法務省」より、引用。改行を施しています。)
●日本経済新聞
法務省が、強姦致死傷罪など性犯罪の法定刑引き上げなど、罰則のあり方を議論する有識者検討会の設置を検討していることが(2014年9月)29日、分かった。
松島みどり法相が同日、性犯罪の厳罰化を求める市民団体のメンバーとの会談で設置方針を示したという。
(中略。)
同省刑事局によると、検討会では強姦致死傷罪と強盗致死罪、強盗致傷罪との刑の均衡などについて識者らが議論する見通し。
松島法相は就任会見などで、性犯罪の厳罰化を進めたい意向を示していた。
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2014年10月31日、第1回目の有識者検討会が開催されました。
(参考。法務省)
□性犯罪の罰則に関する検討会 開催状況
(再掲。松島みどり議員のFacebook)
「刑法改正のための検討会設置を指示した。これがきっかけとなり、それ以降、検討会から法制審議会、さらに国会審議へと、異例の早さで改正が進み、全会一致で会期末に成立した」
現在、刑法改正と同様の流れで推移している事案があります。
出演強要にかかわる法的対応です。
政府(内閣府)は昨年より、有識者検討会を催しています。
昨年度(2017年4月1日~2018年3月31日)
(2017年4月 内閣府男女共同参画局「女性に対するあらゆる暴力の根絶」より、引用。)
<14ページ>
若年層の性的搾取に係る相談・支援の在り方の検討のための調査研究経費 (内閣府男女共同参画局推進課) 29年度予算額 0.1億円(新規)
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(2017年5月19日 第3回関係府省対策会議「今後の対策」より、引用。)
●内閣府、関係府省
被害の防止及び救済等のための新たな対応策の検討
アダルトビデオ出演強要問題や「JKビジネス」問題等が深刻な性的な暴力で、重大な人権侵害であるとの考え方に立ち、関係者による自主的な取組の進捗状況や実態把握の状況も踏まえ、性的な暴力の被害につながる行為の規制、被害の回復、被害者の保護及び支援等について、有識者等の意見も参考に、法的対応を含め、必要な対応策を検討する。 (内閣府、関係府省)〔平成 29 年4月~〕 |
有識者検討会は昨年度、5回おこなわれました。
今年度(2018年4月1日~2019年3月31日)
今年の3月26日のことです。
第4回関係府省対策会議がひらかれました。
議題は、政府が実施している出演強要対策のフォローアップです。
そのときの資料を参照します。
□「いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・『JKビジネス』問題等に関する今後の対策」フォローアップ(全体版)
(引用)
<AV出演強要問題>
現在実施中の有識者へのヒアリング状況を踏まえ、有識者検討会による更なる検討を進める予定。 |
「更なる検討を進める」
刑法の改正に関する有識者検討会は、12回実施されました。
(参考。法務省)
□性犯罪の罰則に関する検討会 開催状況
現在審議されている出演強要問題についてもおそらく、同程度の回数となることでしょう。
政府がいまつくろうとしている法律は閣法(内閣が提出する法案)です。
議員立法のような小規模なものではありません。
大型で重厚な法律です。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2017年8月12日>
明るい話題かぁ(*¨*) 今は人生立て直す事と生きるのに必死過ぎて…無いです(笑)6年間は無理して明るく振る舞うのはご存知の様に去年からもう限界でした(笑) 最近やっとゴルフやダイビングで体動かしてリフレッシュ出来る様になってきた所なので、これからは明るい話題出て来ると思います。 |
●香西咲さん
<2017年9月3日>
正直者が馬鹿を見る世の中なのだとしたら生きる希望も無い |
●香西咲さん
<2018年2月9日>
今もまだ魂は殺されて抜け殻です。 毎日泣いてます。泣いて泣いて泣き疲れました。 何もやる気になれない。 日本は人身取引国ですね。 |
●香西咲さん
<2018年4月2日>
おはようございます。私は過去の映像の削除も許させず、普通に生きるなと言われている様です。もう魂は逝ってしまいました。あと身体が果てるのみ。どんな結果になるか分かりませんが精一杯生きた記憶として残しておきます。 #AV強要 #青木亮 #人身売買 #honeypopcorn #HumanTrafficking |
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政府は、2年後のオリンピックまでにかならず、出演強要に関する法律をつくります。
(2018年6月12日 参議院 法務委員会より。)
(※参考。当ブログ)
●2018年6月12日 上川陽子 法務大臣
このことにつきまして、法的対策もふくめてしっかりと検討し、そして実現してまいりたいというふうに思っております。 |
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法律が制定されたあと、香西咲さんたち被害者は再生します。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
(明日のブログへつづく)
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