昨日から、今年の通常国会でとりあげられた出演強要問題を顧(かえり)みています。
嚆矢(こうし。「はじまり」)は仁比聡平議員でした。
(参考。当ブログ)
・2018年8月27日
本日は、本村伸子議員と若松謙維(わかまつかねしげ)議員の質疑についてみてみます。
①2018年3月23日 仁比聡平議員(日本共産党)
↓
②2018年4月3日 本村伸子議員(日本共産党)
②2018年4月3日 衆議院 総務委員会
<質疑者>
●本村伸子議員(日本共産党)
<答弁者>
●野田聖子 総務大臣(男女共同参画担当大臣)
●渡邉清 内閣府 大臣官房審議官
□2018年4月3日 衆議院 総務委員会 (動画 衆議院インターネット審議中継) |
(※音声の文字化は、筆者。)
●2018年4月3日 本村伸子 衆議院議員(日本共産党)
日本共産党の本村伸子でございます。
重大な人権侵害であるアダルトビデオの出演強要問題、性暴力被害者支援の充実強化について質問をさせていただきます。 まず、重大な人権侵害であるアダルトビデオへの出演強要問題についてうかがいたいと思います。 スカウトから勧誘され、アダルトビデオへの出演があると説明をうけておらず、契約書などもよく読む時間もなく、控えの書類もなく、断ろうとしても長時間説得をされ、高額の違約金の請求や、実家や家族にはなす、などと言われ、結局、強要されてしまう実態がございます。 アダルトビデオへの出演強要、同意していない性的な行為等の撮影の被害状況について、まずおしめしをいただきたいと思います。 |
●2018年4月3日 渡邉清 内閣府 大臣官房審議官
いまご指摘いただきました調査は、わたしども、インターネット調査をおこなっておりまして、そのなかで、若年層を対象とした性的な暴力の被害等について調べたものでございます。
本年1月から2月にかけまして、15歳から39歳までの女性で、調査委託業者に登録されているモニター会員に対しておこなったものでございます。 まず、約3万2,000人を対象としまして事前調査をおこなったところ、先生ご指摘のとおりの、その前段階ですね、 この5,704人のうち、本調査のほうに協力していただいたのは、2,461人いらっしゃいましたけれども、このうち、勧誘や募集のときに聞いていなかった、または同意していなかった性的な行為などの写真や動画の撮影をもとめられた経験のあるひとが11.3%、277人いらっしゃいました。 さらに、この277人のうち、求められた行為の撮影などに応じてしまった、実際に応じた件数は約半数の129人いらしゃったという結果が出てございました。
|
●2018年4月3日 本村伸子 衆議院議員(日本共産党)
このアンケート結果をみますと、被害の数は相当数ある、とみなければならないと。 それだけ深刻な人権侵害があり、潜在化しているという問題だというふうに思います。 いっそう深刻なのは、同意していない悪質な性暴力の被害の映像がくりかえし使用、流通され、インターネット上で販売、拡散されて、二次被害に悩み、苦しみつづけるという問題です。 総務省は、違法・有害情報センターでは相談者に対して迅速かつ的確な助言をおこなうことに注力している、と。
3月23日、参議院の法務委員会で、日本共産党の仁比聡平参議院議員の同意をしていない悪質な性暴力の被害の映像削除をもとめる質問に対して、上川陽子法務大臣は、アダルトビデオ出演強要問題、政府が一丸となってとりくむべき問題であると認識しております、野田大臣、関係省庁ともしっかりと連携して一丸となった対策を努めてまいりたい、と答弁をされております。
削除をメーカーや販売店、プロバイダーにもとめても、削除をされないという現実があるわけでございます。 |
●2018年4月3日 野田聖子 総務大臣(男女共同参画担当大臣)
お答えいたします。
AV出演強要は女性への人権を著しく踏みにじるけっしてゆるされない重大な問題であると認識しています。 総務省としてはまず、権利侵害情報への対応に関する民間ガイドラインやモデル約款の策定支援、そして事業者団体を通じた事業者に対するAV出演強要問題の周知などにより、出演強要に遭った動画が適切に削除されるよう事業者のとりくみを支援しているところです。 また、総務省が委託により設置している違法・有害情報相談センターにおいても今年度から、相談のあった動画が削除されたかどうかについての実態把握をおこなうなど運用への強化にとりくんでいくことにしています。 今後とも、違法有害情報相談センターの周知につとめるとともに、実態も踏まえつつ、さらに適切な措置が講じられるよう関係省庁と連携しながら、しっかりとりくみます。 |
●2018年4月3日 本村伸子 衆議院議員(日本共産党)
ありがとうございます。 海外のプロバイダーをつかって無修正の動画を流す場合、事実上、訴訟を起こすこともむずかしいという現状がございます。 このことに対しても政府が何か有効な対策がとれないかということで、検討、研究が必要だというふうに思います。 また、Gogle検索の結果で身元がわかってしまうという問題もございまして、こうした検索サイトも被害を回復するために研究するべき、ということも申しのべておきたいというふうに思います。 |
——————————————————–
本村伸子議員の言辞は、前回の仁比聡平議員の質疑を補完するものでした。
総務大臣は、
「今年度から、相談のあった動画が削除されたかどうかについての実態把握をおこなうなど運用への強化にとりくんでいくことにしています」
と、回答しました。
削除のとりくみは漸進(ぜんしん)して(段階を追って次第に進んで)いるようです。
あとは、新法を制定して、わいせつビデオ(適正AV)の単純所持を禁止する、といったところでしょうか。
公明党の若松謙維(わかまつかねしげ)議員の発言はこのことを予感させます。
①2018年3月23日 仁比聡平 参議院議員(日本共産党)
↓
②2018年4月3日 本村伸子 衆議院議員(日本共産党)
↓
③2018年4月12日 若松謙維 参議院議員(公明党)
③2018年4月12日 参議院 法務委員会
<質疑者>
●若松謙維議員(公明党)
<答弁者>
●渡邉清 内閣府 大臣官房審議官
□2018年4月12日 参議院 法務委員会 (動画 参議院インターネット審議中継) |
(※音声の文字化は、筆者。)
●2018年4月12日 若松謙維 参議院議員(公明党。元総務副大臣)
(前略。) つぎに、関連するんですけれど、AV出演強要問題ですか、これもこの委員会でとりあげさせていただきました。
いずれにいたしましても、契約。 それが拡散される、ということで、わが党におきましては佐々木さやか参議院議員が、このAV出演強要問題対策プロジェクトをつくっておりまして、こういうことが起きないように、ということでありますけれども。 政府がですね、積極的なとりしまりを。 あと、相談窓口の周知。 こういう具体的な施策が前進していると思うんですけれども、こういったとりくみをふまえながら、被害が発生しないように現在どのようにとりくんでいるのか。 |
●2018年4月12日 渡邉清 内閣府 大臣官房審議官
内閣府男女共同参画局でございます。 いわゆるアダルトビデオ出演強要問題につきましては、昨年3月、御党のほうから、相談体制の整備、とりしまりの強化、広報、啓発の充実など、13項目にわたるご提言をちょうだいしております。 政府におきましては、この問題について、JKビジネス問題もふくめて、男女共同参画会議の専門調査会のほうで検討をおこないまして、現状と課題についての報告書をとりまとめるとともに、あらたに男女共同参画担当大臣を議長とする関係府省対策会議を設置し、昨年3月ですが、政府一丸となって対策を取り進める、ということにしたところでございます。 具体的に申し上げますと、関係府省対策会議におきまして、昨年3月に緊急対策のとりまとめ。 関係府省庁が緊密に連携して、とりしまり強化、教育、啓発、相談体制整備、保護、自立支援のとりくみ強化など、各種対策に現在、着実にとりくんでいるところでございます。 本年3月には、先ほど申し上げました昨年5月にとりまとめた「今後の対策」のフォローアップ等をおこなったところですけれども、若年層の女性に対する性暴力被害の実態は依然として深刻な状況にあると認識しております。 今後、内閣府といたしましても、被害者に寄り添った相談政体の構築やそのための研修の実施、充実、強化。 |
●2018年4月12日 若松謙維 参議院議員(公明党。元総務副大臣)
わが党として13項目を提案して、会議もつくられて、先ほどのさまざまの前進がありました。
当然、こちらもしっかりと具体的な提言をしなくちゃいけないと思いますけれども、いずれにしてもやはり、「会議体」っていうんですか、重要性をあらためて実感しましたので、大臣(上川陽子法務大臣)、ひとつよろしくお願いいたします。 ちょっと質問通告していないので、次回の質問通告の予告をさせていただきますけれども、結局このAV出演強要なんですけれども、制作っていうんですか、ビデオの制作側のとりしまりなんですけれども、結局、日本のいまの社会をみていると、いわゆるホテルに行くと簡単に犯罪を犯している映像が出ている。 諸外国のですね、みているんですけれども、1月にドイツ、オランダ、行ってまいりました。 いま日本の社会のどれだけモラルがですね、いわゆる後退しているのか。 やっぱりそういった観点でわたし、諸外国と比較、次回また質問予告しますので、質問通告したうえでその点についておうかがいー やはり社会の受け皿を、いまのような状況を、見過ごしたんじゃかわらないと思います。 ニーズがあるわけですから。 そこをちょっとこれからも検討していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 |
——————————————————–
若松謙維議員は、上川陽子法務大臣の目の前で、
「ビデオの制作側のとりしまり」
ということばを口にしました。
わいせつビデオ(適正AV)については、
「犯罪を犯している映像」
との評価です。
若松議員は与党の一員です。
政府のうごきに通暁(つうぎょう)して(つうじて)います。
すべてを知り尽くしたうえで、この発言をしています。
そう遠くない将来、わいせつビデオ(適正AV)の製造が刑事罰の対象となることは必至です。
若松議員は、
「やはり社会の受け皿を、いまのような状況を、見過ごしたんじゃかわらないと思います。ニーズがあるわけですから」
と慨嘆しました。
これは、わいせつビデオ(適正AV)の単純所持の禁止を想定してのべている、と考えます。
児童ポルノと同様に、もっているだけで処罰される、となれば、動画の削除の問題は解決します。
3月23日の参議院法務委員会で、仁比聡平議員が、上川陽子法務大臣に対して、こう要請しました。
「このインターネット情報、この削除について、ぜひ、特段、ご努力をいただきたいと思いますが、大臣、もう一度、いかがですか」
と。
法務大臣は、
「この問題につきましての、重大な人権侵害である、ということについては、わたしくどももしっかりと認識をしております。また、緊急な要請、ということにつきましても、理解をしているところでございます。関係省庁、また野田大臣とともにこの問題についてとりくんでまいります」
と応えました。
当時のやりとりを確認すればわかります。
法務大臣は毅然とした口調で、
「この問題についてとりくんでまいります」
と返しました。
威風堂々としています。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2017年11月29日>
今迄の契約書、洗脳ノート(ビジョンブック)、メモ、手帖、音声、全てファイリングして作品やゲームに使われている素材が全て削除される迄保管します。 DMMがSIAに加わった事でネット上の写真削除等して貰えないのでしょうか? #AV強要 |
●香西咲さん
<2017年12月26日>
存じ上げております。 その姿勢を貫く限り強要問題は国に頼る以外に術はないと思うんです。 削除も然り。現状、削除と言っても面画面から作品を下ろしただけで、撮影素材そのものの削除はしてはくれません。 |
●香西咲さん
<2018年1月31日>
#DMM の海外向け配信サイト #R18.com こちらには国内では削除に応じた #AV強要 時代のものまで今尚販売されていて驚きと呆れと はやり業界内部は信用できないという気持ちが一気に押し寄せてきました。 報告します。 |
●香西咲さん
<2018年2月1日>
■ #青木亮 さんの #AV強要 に対する謝罪や誠意ある対応 (人を生き殺し状態に追い込んでるので。) ■ 過去作品の速やかな削除 私が望むのはこれだけです。 仕方なくこのような行為を取っていますが、 |
——————————————————–
香西咲さんの憂い事は、そう遠くない内に霧散します。
政府はかならず、画像を削除します。
新法の完成が楽しみです。
明日は、柚木道義議員の国会質疑についてみてみます。
——————————————————–
■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
(明日のブログへつづく)
香西咲さんを勝手に応援するサイトへ