4月11日のことです。
消費者庁長官が定例の記者会見で、出演強要問題についてふれました。
記者とのやりとりを抜粋します。
2018年4月11日
(2018年4月11日 消費者庁「岡村消費者庁長官記者会見要旨」より、引用。)
●2018年4月11日 ニッポン消費者新聞 記者
今、JR内で宣伝されておりますが、総務省の、4月がAV出演・JKビジネス被害の防止月間ということで、インターネット上の違法・有害情報相談センターで相談を受け付けています。
また、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(NACS)とも連携を取っていらっしゃいます。
そういった中で、消費者庁は総務省と連携をされていらっしゃるのでしょうか。 |
●2018年4月11日 岡村和美 消費者庁長官
まず、AV出演強要・JKビジネス抑止の政府全体の連携につきましては、消費者庁も積極的に関与しております。
関係府省対策会議に出席しておりますし、消費者相談の中にも、こういった分野に関することについては、事案の悪質さにもよりますが、様々な解決法があることを相談者にご助言させていただいているところです。 また、啓発の関係では、注意喚起チラシを作成し、そこには188(いやや)の掲載を行っております。 私どもとしては、大変悲しい事業者の営業活動だと思っておりますので、事業者に対しての働き掛けだけでなく、そういったビジネスを利用する大人の意識改革にも取り組んでいければ、と願うところでございます。 社会全体でこういったビジネス抑止のために連携を強めてまいりたいと思いますので、メディアの方々におかれましてもご協力、何とぞよろしくお願いいたします。 特に、若い人たちは世界が狭く、情報に接したときに、それがどういった展開になり、自分の将来に、どういったことが起き得るのかということに気付かないまま事業者に取り込まれてしまうといった残念な例もあります。 今回、ご指摘いただきましたことを踏まえまして、消費者庁としても引き続き、こういった分野に対しても注意を払って、少しでも被害の発生を少なくできるように努めてまいります。 |
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(再掲。消費者庁長官)
「事業者に対しての働き掛けだけでなく、そういったビジネスを利用する大人の意識改革にも取り組んでいければ、と願うところでございます」
需要の側(購入者)や業界の周辺者にも責任がある、との認識です。
「社会全体でこういったビジネス抑止のために連携を強めてまいりたいと思います」
消費者庁長官は、1年前の記者会見でも、消費者庁の対応について言及しています。
その後、同庁は、種々の施策に着手しました。
ふりかえってみます。
2017年5月24日
(2017年5月24日 消費者庁「岡村消費者庁長官記者会見要旨」より、引用。)
●2017年5月24日 岡村和美 消費者庁長官
はい、適格消費者団体に機能していただけると、個別被害の救済に一歩近づけるかと。
具体的には、まずは適格消費者団体がこういった情報に接したときに、本人が直接声を上げられなくても、不当な勧誘をしている事業者に迅速に差止請求をできるように、適格消費者団体と被害者支援団体との間の円滑な情報交換、連携を促進いたしたいと考えております。 |
現在のところ、こういった出演強要問題に関する被害情報を、女性支援のための団体はかなり蓄積しているのですが、なかなか通常の活動の範囲としては今まではこういった問題を扱ったことがないという適格消費者団体がほとんどだと思いますので、この問題について、問題意識を共有していただきたいと思います。 |
今年の3月26日に第4回関係府省対策会議が開催されました。
そのときの資料を参照します。
(2018年3月26日 第4回関係府省対策会議「いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・『JKビジネス』問題等に関する今後の対策」フォローアップ(全体版)より引用。)
●消費者庁
29年6月に消費者庁・被害者支援団体・適格消費者団体である消費者機構日本の三者会合を開催し、被害者支援団体に適格消費者団体と情報面の連携を要請した。 |
29年10月、全適格消費者団体が参加する勉強会において、被害者支援団体から派遣された講師による、アダルトビデオ出演強要問題の被害実態についての講義を実施した。 |
適格消費者団体である消費者機構日本が、29年11月、AV人権倫理機構(アダルトビデオ業界の制作会社やプロダクションが守るべき新しいルールの制定を目指している業界団体)に対して、アダルトビデオに出演することが明確に伝わり、個人の自己決定権が尊重された契約書になるよう、意見書が提出された。 |
(再掲。消費者庁長官)
「適格消費者団体と被害者支援団体との間の円滑な情報交換、連携を促進いたしたい」
3者(消費者庁、適格消費者団体、支援団体)の間で連携がはかられているようです。
4月23日の第92回女性に対する暴力に関する専門調査会の議事録も参照します。
(「議事録」より、引用。)
●消費者庁
(略)、適格消費者団体は、不当な勧誘とか不当な契約条項について差止請求ができるところなのですけれども、適格消費者団体のほうにアダルトビデオ出演強要問題について情報が寄せられてくるということがありませんでしたので、昨年5月の今後の対策においては、実効的に差止請求ができる環境の整備を図りなさいということがうたわれました。
そこで、昨年6月に消費者庁と適格消費者団体と被害者を支援する団体の3者で会合をいたしまして、被害者を支援する団体のほうから差し支えない範囲で情報を適格消費者団体に寄せてくださいということをお願いしました。 その後、情報のやりとりがありまして、昨年11月に適格消費者団体のほうは、アダルトビデオの業界団体が、その当時、共通契約書というものをつくろうとしておりましたので、それに対して意見書を出しているというところになっております。 |
昨年の記者会見で消費者庁長官は、こうも言っていました。
「不当な勧誘などに対して適格消費者団体が活動することにより、被害の未然防止、さらには拡大防止が可能となりますので、こういった被害に関しての適格消費者団体の活動を応援するよう、力を入れていきたいということでございます」
と。
今年の4月26日のことです。
適格消費者団体の消費者機構日本は、アルシェプロダクションに対して、差止請求をおこないました。
(参考。当ブログ)
・2018年5月31日
・2018年6月2日
・2018年6月3日
(消費者機構日本のホームページより、引用。)
●消費者機構日本
消費者機構日本は(株)アルシェ(以下「アルシェプロダクション」)に対して、消費者契約法の不当勧誘に該当するとして、アダルトビデオ出演(以下「AV出演」)のためにする契約の勧誘に際して行っている次の行為をやめるよう申入れを行いました。
不当勧誘の概要 ●実際は、AV出演をした個人の身元が明らかになる可能性があるにもかかわらず、「絶対にバレない」等とだまして勧誘していた。(不実告知) ●実際は、個人が勧誘の際に実演したくないと申請した「NG項目」を実演させていることが多いのに、「NG項目はやらなくてよいから」とだまして勧誘していた。(不実告知) ●勧誘を受けている個人が、その場から退去することを希望しているのに退去させなかった。(退去妨害) 今後、アルシェプロダクションから回答が届きましたら、適時、当機構のホームページにてお知らせいたします。 ※(株)アルシェ:所在地は東京都渋谷区。「アルシェプロダクション」との屋号でプロダクション事務所を経営している。 |
(再掲。消費者庁長官。2017年5月24日)
「適格消費者団体の活動を応援するよう、力を入れていきたい」
現在、消費者庁長官が1年前に言ったとおりの展開となっています。
上述しましたように、このたび消費者庁長官は、つぎのようにのべました。
「事業者に対しての働き掛けだけでなく、そういったビジネスを利用する大人の意識改革にも取り組んでいければ、と願うところでございます」
「社会全体でこういったビジネス抑止のために連携を強めてまいりたいと思います」
と。
これは何を意味するのでしょうか。
おそらくこういうことなのでしょう。
(2018年6月12日 参議院 法務委員会より。)
(※参考。当ブログ)
●2018年6月12日 上川陽子 法務大臣
(出演強要は)犯罪である、というふうにも思っているところでもございます。 |
●2018年6月12日 上川陽子 法務大臣
このことにつきまして、法的対策もふくめてしっかりと検討し、そして実現してまいりたいというふうに思っております。 |
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法律の制定は必定です。
規制されるのは業界だけでありません。
(再掲。消費者庁長官)
「事業者に対しての働き掛けだけでなく、そういったビジネスを利用する大人の意識改革にも取り組んでいければ、と願うところでございます」
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年10月3日>
業界内の方はもちろん、外部の事も他人事ではありません。 好きな女優さんが食い潰されて病んで行く姿なんて見たくないでしょう。 長くなりましたが、 どうかこの構図をご理解し、本気で危機感を感じで下さい。 |
彼らには、他の業界ではダメだけど、AVなら大丈夫みたいな感覚があるんだろう。そんな事が許されるはずはないのに。
— まんじ8781 (@manji8781) 2016年10月3日
(※「そういったビジネスを利用する大人」=需要側)
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●香西咲さん
<2016年6月12日>
一般の皆様にお伝えしたい事。 これを機に『騙される方が悪い』と言う風潮やめて頂きたいですね。 素人の常識なんて簡単に覆されます。 『気を付けて』って言われて気を付けられるレベルではありません。 相手はプロ。 何枚も何枚も上手をいってきます。 |
(※「そういったビジネスを利用する大人」=需要側)
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●香西咲さん
<2016年7月18日>
皆様のおっしゃる通りです。 今後はライターも摘発対象になりかもしれませんね。 幸い警視庁の専門の報道の方々ともご縁もありますし、近々相談する事とします。 |
(※「そういったビジネスを利用する大人」=ライター)
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●香西咲さん
<2016年12月31日>
①皆様にご挨拶 今年は激動の1年でした。 週刊文春さんが出た頃はまるで人身売買された私が悪いかの様な意見に心苦しめられました。 理解を得るまでにも時間がかかり、四面楚歌の状況に辛い事ばかりで死にたいとも思いました。 → |
(※「そういったビジネスを利用する大人」=需要側)
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●香西咲さん
<2017年9月4日>
川奈まり子さんの事もAV擁護の為に良いように使われていた為、川奈さんからご紹介頂いたしらべえさんの記事は削除依頼を提出致しました。 |
(※「そういったビジネスを利用する大人」=業界寄りのネットメディア)
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●香西咲さん
<2017年11月22日>
東大職員に直接問合せた所返答がありません。タレントを夢見てAVデビューをしてしまう可能性もあります。このような懸念を親御さん世代に伝えるにはどうしたら効果的でしょうか? |
(※「そういったビジネスを利用する大人」=イベント関係者)
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(再掲。消費者庁長官)
「事業者に対しての働き掛けだけでなく、そういったビジネスを利用する大人の意識改革にも取り組んでいければ、と願うところでございます」
作為をほどこさなければ人々の意識はかわりません。
以前、ニーチェのことばをご紹介したことがあります。
もう一度、引きます。
(ニーチェ著 白取春彦訳 「超訳 ニーチェの言葉」ディスカヴァー・トゥエンティワン刊より、引用。改行を施しています。)
<97ページ>
●ニーチェ
秩序をつくるために、何か不都合なことが起きないために、あるいは危険性を減らすために、効率をよくするために、規則や法律といったものがつくられる。
すると規則があるがために、新しい状況が生まれる。 また、たとえその規則を廃止しても、規則がなかったときと同じ状況に戻るわけではない。 |
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(再掲)
●2018年6月12日 上川陽子 法務大臣
このことにつきまして、法的対策もふくめてしっかりと検討し、そして実現してまいりたいというふうに思っております。 |
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わいせつビデオ(適正AV)業界だけではなく、需要側、業界を擁護しているライターとメディア、イベント関係者に対する刑事罰も期待しています。
法案の完成が楽しみです。
出演強要の実行者とその加担者には未来がありません。
政府によって殲滅されることを願っております。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
(明日のブログへつづく)
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