昨日のつづきです。
5日前の6月12日のことでした。
日本共産党の仁比聡平議員が出演強要問題に関して、今国会、4度目となる質疑をおこないました。
(参考)
<仁比聡平議員による出演強要に関する質疑>
①2018年3月23日 参議院 法務委員会(全文) ↓ ②2018年5月28日 参議院 決算委員会(前半)(後半) ↓ ③2018年6月5日 参議院 法務委員会(全文) ↓ ④2018年6月12日 参議院 法務委員会(全文) |
6月12日の法務委員会の議題は、6月5日にひきつづき、「民法の一部を改正する法律案」についてです。
いずれも自身の関心事を自由に問い質(ただ)すことができる一般質疑の日とはちがいます。
両日とも仁比議員は、あたえられた議題に則して質問をしました。
訊(たず)ねたのは、未成年者取消権についてです。
新民法が施行されて成人年齢が18歳になりますと、未成年者取消権が消滅します。
(参考。民法)
□第5条
1.未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。(後略。)
2.前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
仁比議員は出演強要問題に関連して、この点を追及しました。
未成年者取消権が消滅すると、18歳と19歳の女性が業者の好餌(こうじ)となります。
6月12日の質疑では一貫してこのことを問いました。
異例であったのは答弁をおこなった法務省側の対応です。
仁比議員の質問の範囲を超えた返答をくりかえしました。
ぼくはこれまで、このような質疑、応答を見聞きしたことがありません。
普通、答弁者は、言質(げんち)をとられまいとして慎重にことばをつむぎます。
6月12日の政府答弁はちがいました。
ふりかえってみます。
□2018年6月12日 参議院 法務委員会 (動画 参議院インターネット審議中継) |
(参考。当ブログ)
・2018年6月12日(※質疑、応答の全文を掲載)
●2018年6月12日 仁比聡平 参議院議員(日本共産党)
(前略。) これ、大臣ご自身、すくなくともですね、アダルトビデオ出演強要問題についてうかがいますけれども、成年年齢を引き下げたら18歳、19歳の若者に対して不当な契約が拡大するというご認識はあるわけですか? その認識にたって、これをなくするためにとりくむんだ、ということでいいですか? |
——————————————————–
仁比議員は18歳と19歳の女性に限定して訊(き)いています。
別の日の委員会でも、似たような質問がありました。
出演強要についてではありませんが。
法務大臣は以下のように答えています。
□2018年6月14日 参議院 法務委員会 (動画 参議院インターネット審議中継) |
(※音声の文字化は、筆者。)
●2018年6月14日 櫻井充 参議院議員(国民民主党)
(略)、大臣、未成年者取消権という名前はなくなると思います。 それは、未成年ではなくなりますから。 ですが、20歳まではそういう制度を維持できるように検討いただけないでしょうか。 つまり、なんなのかというとですね、たとえば飲酒なら飲酒にしてみても、20歳を引き下げることはなかった、と。 そういう意味合いでは、未成年者取消権という名前にならなくなるのはよくわかっています。 それと同じようなものを20歳までのところに制度として置くということは考えられないことでしょうか? |
●2018年6月14日 上川陽子 法務大臣
今回の未成年者に対していままであたえられた権利そのものが、今回ある意味で、引き下げによってなくなる、ということでございます。
ルールそのものは、はっきりとしたルールにもとづいて対応していく、ということでございますが、被害の対応についてはなかなかきびしい対応がございますので、そういったことを見定めながら、先ほど答弁を民事局長からしたものでございますが、(平成)34年の施行日までの間に、いま委員がご指摘のこともふくめまして、さまざまな観点からこの問題につきましてもぎりぎりまでしっかりと対応してまいりたいと。 |
——————————————————–
仁比議員の質問にもどります。
(再掲)
●2018年6月12日 仁比聡平 参議院議員(日本共産党)
(前略。) これ、大臣ご自身、すくなくともですね、アダルトビデオ出演強要問題についてうかがいますけれども、成年年齢を引き下げたら18歳、19歳の若者に対して不当な契約が拡大するというご認識はあるわけですか? その認識にたって、これをなくするためにとりくむんだ、ということでいいですか? |
法務大臣は、
「(平成)34年の施行日までの間に、いま委員がご指摘のこともふくめまして、さまざまな観点からこの問題につきましてもぎりぎりまでしっかりと対応してまいりたい」
とのことばを口にしませんでした。
●上川陽子 法務大臣
そもそも、こうした被害ということについては、あってはならないことだ、というふうに思っております。
成年年齢引き下げがおこるおこなわないを超えてこの問題についてはしっかりととりくむべき課題である、というふうに認識をしているところでございます。 その意味で、喫緊の課題である、という認識の、申し上げたところでございます。 |
そのあと、こうつづけました。
「このことにつきまして、法的対策もふくめてしっかりと検討し、そして実現してまいりたいというふうに思っております」
と。
滾(たぎ)る(高ぶる)思いがつたわってきます。
以下の場面もそうです。
●仁比聡平 参議院議員(日本共産党)
前回のご答弁は、 「18歳、19歳の若者に対して不当な契約が拡大するというおおきなご懸念があるというご意見があるということも承知をしている」 というご答弁なんですよね。 わたし、大臣自身にその認識があるのか、と。 |
●上川陽子 法務大臣
先ほど申し上げたとおり、そうした被害に遭った方々からも意見を訊(き)いているところでございますし、たいへんおおきな課題である、と。 犯罪である、というふうにも思っているところでもございます。 こうした被害に遭わないためのさまざまな施策についてはあらゆる角度から検討をすべきことであるというふうに思っておりますし、またその意味で今回立ち上げましたわたしどものなかでのワーキンググループにおきましても、この問題につきましても正面からとりくんでいく、とこういう決意でいるところでございます。 |
——————————————————–
法務大臣は仁比議員の物言いに対して、熱(いき)り立っています。
出演強要問題は18歳と19歳だけの問題でない、と。
「犯罪である、というふうにも思っているところでもございます」
「わたしどものなかでのワーキンググループにおきましても、この問題につきましても正面からとりくんでい、とこういう決意でいるところでございます」
法務大臣からこの答弁を引き出したのは仁比議員です。
巧者です。
民法に関する議論が、突然、刑法まで拡大しました。
「犯罪である」
そう遠くない将来、以下のような行為はすべて罰せられることになるでしょう。
(内閣府「こんな被害が起きています」より、引用。)
「モデルになれる」 「君を有名にしてあげる」 「芸能界とパイプの太い人を紹介する」 と言われ、アダルトビデオへの出演を求められた。 |
食事をおごってくれたり、悩みを聞いてくれたので、嫌だと思った仕事も受けなければいけないのかと思うようになっていった。 |
(2016年7月14日 withnews「AV出演強要、ユーチューバーの過去 『音楽デビュー信じた自分』」より、引用。改行を施しています。)
●くるみんアロマさん
「無理です」 と叫んで撮影が中断しても、撮影側は 「できるまで終わらないよ。こんなに時間がかかるのは、あなたぐらいだよ」 と冷淡だった。 「ここにいる大人全員、子どももいるし生活もある。あなた1人でみんなの生活を台無しにするのか」 とも言われた。 |
(2016年9月3日 弁護士ドットコム「『騙されてAV出演』ユーチューバー・くるみんアロマさん動画公開『抑止力になれば』」より、引用。改行を施しています。)
●くるみんアロマさん
撮影スタッフからは 「あなたみたいに時間のかかる人は初めてだ」 「みんな家族がいるんだ。あなたが頑張らなかったら、みんなの家族全員の生活がなくなるんだよ。あなた背負えるの?」 って怒鳴られました。 |
(2017年4月15日 産経新聞「『当日次第の展開』の台本で…『断れなかった』元AV女優が告白 メーカー側は否定 社会問題化する出演強要」より、引用。改行を施しています。)
●瀧本梨絵さん
ただ、事前にはっきり説明されておらず、当日渡された台本にも 『ここから先は…当日次第の展開です。』 としか書かれていなかった。 撮影も時間が押して夜になっていたので、『やっぱりないんだな』と思っていた。 そこに突然、溜池監督から 『ラストは僕と2人きりで絡みを撮影する』 と伝えられた。 びっくりしたが、疲労や『ここで断ると、これまでの撮影が無駄になる。スタッフにも迷惑をかけてしまう』と思い、断れなかった」と当時の心境を語った。 |
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年7月25日>
富士山の樹海近くのスタジオに連れていかれてどうやって逃げろと? 周り何も無いですし。 怖い人20人近くいて声も出ないですよ。 男性にはこの怖さは分かりません。 |
●香西咲さん
<2017年11月29日>
MeToo #青木亮 から出された契約書にはアダルト内容の記載は一切ありませんでした。私が自由に契約内容を変えて良いよとまで言われ信頼 2日後東京から車で富士山の麓まで連れていかれ #AV強要 後日AV契約書の存在を知らされ、サインする様に強要されました。 #アットハニーズAV強要 #性的搾取 |
●香西咲さん
<2018年1月9日>
#青木亮 に #AV強要 を受けていた時代の事実はアタッカーズ丸山チーフも私の事を指差して笑っていました。
そしてメーカーからは『当時の契約書も無ければプロデューサーも退職しているのでいつ、何のタイトルの為に撮り下ろした作品か分からなければ削除に応じられない』と。 |
●香西咲さん
<2018年1月26日>
あ、成立しないって言うのは #AV強要 です。 #MUTEKI プロデューサー #杉浦右近 が富士山麓のスタジオを選んたのだから。 あと細江さんというよく分からないコーディネーターが入ってた。 #無敵 決起会?の時にトイレでトイレットペーパーを全身に巻き付けてゾンビみたいな格好して出てくる人。 |
●香西咲さん
<2018年3月11日>
ありがとうございます。 冒頭に泣いてるシーンありましたが、 あれは追い詰められて涙止まらなくて3時間近くカメラ止めてるんです。 何でこんな事になったのかパニックになっていました。富士山樹海近くの山の中だから逃げ場も無かったですし。20人程の男性に囲まれてました。女性は私一人。 |
——————————————————–
(再掲。上川陽子 法務大臣)
「犯罪である、というふうにも思っているところでもございます」
「このことにつきまして、法的対策もふくめてしっかりと検討し、そして実現してまいりたいというふうに思っております」
もうわいせつビデオ(適正AV)業界はおわりです。
出演強要をすることができなくなるのですから。
2020年のオリンピックまであと2年です。
この世の極悪が滅び、香西咲さんたち被害者は再生します。
——————————————————–
■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
(明日のブログへつづく)
香西咲さんを勝手に応援するサイトへ