昨日、人身取引に対する政府のとりくみについてふれました。
(参考。当ブログ)
・2018年5月20日
4年前に政府は、人身取引対策行動計画2014を発表しました。
(2014年12月16日 犯罪対策閣僚会議「人身取引対策行動計画2014」より、引用。)
2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けた『世界一安全な国、日本』を創り上げることの一環として、人身取引対策に係る情勢に適切に対処し、政府一体となってより強力に、総合的かつ包括的な人身取引対策に取り組んでいくため、「人身取引対策行動計画2014」を策定し、人身取引の根絶を目指すこととする。 |
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人身取引対策行動計画2014は、2014年12月16日にとりまとめられました。
その前に政府は、国民から、同計画の案に対する意見を募りました。
(参考)
●「人身取引対策行動計画(仮称)」(案)
(内閣官房「『人身取引対策行動計画2014(仮称)』(案)に対する意見の募集(パブリックコメント)について 」より引用。改行を施しています。)
●内閣官房
政府では、これまで、「人身取引対策行動計画2009」(平成21年12月犯罪対策閣僚会議決定)に基づき、政府を挙げて人身取引対策を推進してまいりました。
しかし、依然として人身取引は重大な国際問題であり、我が国の取組状況は、国際社会からも注目されている状況にあります。 また、人身取引はそもそも非常に潜在性が強く、政府において全ての人身取引被害者を認知しているものではないということを念頭に、その認知・保護、加害者の摘発に常に積極的に取り組んでいく必要があります。 そこで、このような観点から、政府一体となった人身取引対策を今後より一層推進していくため、本年12月を目途に、犯罪対策閣僚会議において、新たな行動計画を策定することとしています。 この度、その素案を作成いたしましたので、この案に対するご意見を募集いたします。 |
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「この案に対するご意見を募集いたします」
結果、数多くの意見が届きました。
(2015年2月 内閣官房副長官補室「『人身取引対策行動計画2014(仮称)』(案)に対する意見の募集結果について」より、引用。)
●内閣官房副長官補室
平成26年(2014年)11月10日(月)から平成26年(2014年)11月24日(月)までの間、「人身取引対策行動計画2014(仮称)」(案)に対する意見の募集を行いました。
別添のとおり、いただいた主な御意見及び御意見に対する考え方等について公表いたします。 (参考) |
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「頂いた御意見の総数 202件」
このとき、ライトハウスも、他の団体と共同して「人身取引対策行動計画(仮称)」(案)への意見を申し述べたようです。
2014年11月24日 「『人身取引対策行動計画2014』案にする意見」 <提出者> |
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意見書の一部を参照します。
(2014年11月24日「『人身取引対策行動計画2014』案にする意見」より引用。改行を施しています。)
●ライトハウスなど(2014年11月24日)
(2)国民等の理解と協力の確保 ③ 性的搾取の需要側 (前略。) 明らかに暴行・搾取を受けて撮影されたもの、騙されて撮影されたとわかるもの(むしろそれを売りにしている)が堂々とAVショップに売られている現状がある。 「わいせつ」であるか否かではなく(それはポルノ利用者の視点に立つ基準である) 、被写体となった女性への搾取・人権侵害の有無が基準であるべきであり、搾取・人権侵害があれば厳重に取り締まるべきである。 |
人身取引は、その定義上、被害者の「移動」等を要件としておらず、「搾取」がポイントである。
日本人についても、例えば、アダルトビデオ撮影のために搾取される女性、ホストクラブでの借金のカタに性風俗店での就労を強要される女性、親密な関係にある相手方から売春を強要される女性などの事例が増加している。 これらの事例は人身取引に該当しうると考えられるが、このような事案への対処が視点としては弱いと思われる。 |
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当時(2014年)はまだ、出演強要被害が公然のものとなっていませんでした。
こうしたなか、上述の団体は、わいせつビデオ業界の犯罪性について言及しました。
慧眼(けいがん)です。
(再掲。内閣官房副長官補室。2015年2月)
「別添のとおり、いただいた主な御意見及び御意見に対する考え方等について公表いたします」
政府が作成した別添資料をみてみます。
(2015年2月 内閣官房副長官補室「『人身取引対策行動計画2014(仮称)』(案)に対する意見の募集結果について」より引用。)
●国民からの意見(2014年11月10日~11月24日)
ポルノ映像についての取締りを強化すべきである(被写体の年齢を問わず、あらゆる適用可能な罰条を検討すべきである)。
明らかに暴行・搾取を受けて撮影されたもの、騙されて撮影されたとわかるもの(むしろそれを売りにしている)が堂々とAVショップに売られている現状がある。 「わいせつ」であるか否かではなく、被写体となった女性への搾取・人権侵害の有無が基準であるべきであり、搾取・人権侵害があれば厳重に取り締まるべきである。 |
政府は以下のとおり回答しています。
●政府の見解(2015年2月)
御指摘の性的搾取目的の人身取引事犯については、これまでも厳正に対処してきているところであり、今後もそのように対処してまいります。 |
実際は何もおこなっていません。
わいせつビデオ業界の悪行を放任してきました。
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●国民からの意見(2014年11月10日~11月24日)
人身取引が潜在するおそれがあるとまではいえなくても、将来、容易に転化しうる事案にまで、施策の対象を拡大すべきである。
周辺事案と言える、「借金による売春斡旋」「脅しによるアダルトビデオ出演や風俗就労の強要」などは現行法の「強要罪」「脅迫罪」にあたらないケースばかりで、多くの被害者が泣き寝入りを余儀なくされている。 刻一刻変わる搾取の現状にあわせた取り締まりが出来るよう、事例を分析し対策を実施する機会を各NPO、弁護士グループと作るべきである。 |
政府はどのように答えたのでしょうか。
●政府の見解(2015年2月)
人身取引そのものではないにしても、人身取引が潜在するおそれのある周辺事案についても積極的な取締りを実施し、人身取引事犯を掘り起こしていくことの必要性については、本行動計画においても明記しています。
政府としては、人身取引への対応において、NGO、NPO、弁護士グループ等と引き続き緊密に連携していく考えです。 |
出演強要は人身取引でない。
悄然とさせられる返答です。
当時、プロダクションから出演を強要された女性はつぎのようにのべています。
(ログミーに掲載されたKさんの手記より、引用。)
●プロダクションから2,460万円の違約金を請求された女性
しかし、警察の人はプロダクションに事情を聴いたあとで、私に対して 「あと2本出演したらどうか」 と言ってきました。 |
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昨日のブログにも記しました。
政府は昨年はじめて、人身取引の範疇に出演強要を加えました。
(2017年5月30日 人身取引対策推進会議「議事録」より、引用。)
●加藤勝信 男女共同参画担当大臣
また、アダルトビデオ出演強要問題については、今月(5月)19日に「今後の対策」を策定いたしました。
この問題については、今回新たに人身取引関連事犯として年次報告に盛り込まれたものであり、今後、関係府省が連携して、取締り等や教育・啓発の強化、相談体制の充実等にしっかり取り組んでいく必要があります。 引き続き各大臣の御協力をお願いいたします。 |
●松本純 国家公安委員長
人身取引は、被害者の心身に著しい苦痛をもたらす重大な人権侵害であります。
平成28年に警察において取り扱った人身取引事犯をみると、日本人の被害者が全体の半数を占め、その被害としては、出会い系サイトを利用した売春を強制される事案が目立つほか、児童が被害に遭う事案やアダルトビデオへの出演を強要される事案もみられるなど、依然として憂慮すべき状況にあります。 このため、引き続き「人身取引対策行動計画2014」に基づき、関係機関・団体との連携を強化しつつ、人身取引事犯の徹底した把握及び取締り、被害者の保護や支援等の取組を進めるよう警察を指導してまいります。 |
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簡単に流れを確認します。
●2015年2月 「出演強要は人身取引でない」 ↓ ●2017年5月30日 「出演強要は人身取引である」 |
なぜ政府は方針を変えたのでしょうか。
自明です。
●香西咲さん
<2016年7月18日>
現役で実名告発できるのは今は私くらいなものです、 匿名や人伝いの話なんでなにも信憑性がありません。 |
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香西咲さんは実名で、わいせつビデオ業界の悪行をあきらかにしました。
●香西咲さん
<2018年2月6日>
複数の支援団体の方々、弁護士、霞ヶ関…それからファンの皆様、 また、これまで関心無であっても将来ご自身の娘さんやご家族が危険と隣合わせだと危惧された方々。 皆様の思いが大きければ大きい程、政治家の方々も問題として取り上げて下さります。 |
●香西咲さん
<2018年2月6日>
私は下記の方々を訪問する度に『よく生きてたね!』と言われる程です。 それは #能川拓也 氏が『ひと1人消えてもおかしくない。東京湾に沈められる。そろそろ自分の立ち位置考えた方が良いのでは?』 と散々命に関わる脅迫をしてきてたからですね。アタッカーズやオルガ、セクシーJのカメラマン。 |
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香西咲さんの真実のうったえが政府をうごかしたのです。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2017年12月1日>
昨日の #HRN院内集会 多くの超党派議員の先生方とご挨拶、名刺交換させて頂きました。 私のTwitter見て下さった先生。 心より感謝申し上げます。 #AV強要 #人身売買 |
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悪の限りを尽くしたわいせつビデオ業界はまもなく滅びます。
政府によって叩き潰されます。
そのとき香西咲さんは再生します。
かつての自分をとりもどすことができます。
「もう充分頑張ってるから頑張り過ぎないで」
あとは、悪の巣窟が崩れ落ちるさまを悠然と眺めていましょう。
この世で悪が栄えた例(ためし)はありません。
悪はかならずほろびます。
世の習い(常)です。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
<2017年12月1日>
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。
(明日のブログへつづく)
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