香西咲さんは、弁護士でなく週刊文春によって救われました。弁護士も、もうすこし、世の中の役に立つ存在になってほしいものです。文春並に、とまでは言いませんが

以前、当ブログで、性暴力をうけた女性の訴訟についてふれたことがあります。

(参考。当ブログ)
2016年11月19日
2016年11月20日

一昨年(2016年)、仁比聡平参議院議員が国会で、この事案をとりあげました。

(2016年5月26日 参議院 法務委員会「会議録」より、引用。)

仁比聡平 参議院議員(日本共産党)

(略)、まず最初に、性暴力、性虐待の被害者がその人間の尊厳と権利を回復することがどれだけ困難かということを共有したいなと思いまして、釧路で起こった性的虐待の事件、これは2015年の7月に最高裁判所で損害賠償の判決が確定をしたんですけれども、この事件について少し紹介し、当局のお考えを聞きたいと思うんです。

——————————————————–

事件の経緯は以下のとおりです。
簡単に記します。

<ある女性の場合>
1978年
・3歳
・叔父から性的虐待をうける
——————————————————–
1978年~1983年
・3歳~8歳
・性的虐待がつづく
・離人症と、PTSDを発症
——————————————————–
1983年
・8歳
・叔父による性的虐待がおわる
——————————————————–
20年後
2003年
・28歳
・20年経ったので、民法上の請求権が消滅
——————————————————–
2006年
・31歳
・うつ病を患う
——————————————————–
2011年
・36歳
・PTSDと診断される。
訴訟
——————————————————–
2015年
・40歳
勝訴
——————————————————–

仁比聡平 参議院議員(日本共産党)

どんな事件かといいますと、女子が3歳から8歳という幼少期に叔父から性的虐待を受け続けたわけですね。

中学生のときにその行為の性的な意味に気付き、それまでの間に既に離人症あるいはPTSDを発症をしていました。

高校生のときには摂食障害が始まり、けれども、その間、その加害者に対して訴えて出るとかいうことはずっとできなかったわけですね。

30代にはうつ病を発症するなどの、この性的虐待の被害によってPTSD、解離性障害、うつ病などの重篤な精神的障害を受けながら、その被害を訴えて出ることができたのは20年以上を経過していたと。

そうした事件について、最高裁判所の判決を受けて被害者はこうNHKのインタビューで語っています。

今の日本の法制度の中で私の被害はどう裁かれるのか、裁かれないのか知りたいと思って裁判を起こしました

釧路地裁で除斥(じょせき)期間権利は消滅したと言われましたが、札幌高裁で認められ、最高裁という日本の最高の場所で裁判官が全員一致で認めてくれたことで、やっと自分が悪かったんじゃない、加害者が悪いんだと認められ、自分を肯定してあげられると思いました

性的虐待を受けている子供が加害者を訴えたいと思っても、未成年の間は親が訴えてくれなければ被害を訴えることもできません

その間に加害者を守る時効が進んでいきます。せめて自分の力で訴えることができる20歳まで本当は時効自体なくしてほしいですけど、せめて20歳まで時効を止めてほしいと思います

というのがこの被害者の要求なんですけれども、民事局長、刑事局長、それぞれ除斥期間あるいは公訴時効についてお考えを聞かせてください。

(参考。民法)
724条

不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。
不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。

——————————————————–

小川秀樹 法務省民事局長

不法行為に基づく損害賠償請求権につきましては、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知ったときから3年が経過すると時効によって消滅し、また、不法行為のときから20年が経過する場合も消滅すると規定されております。

判例は、この長短2種類の期間のうち20年の期間につきましては、一定の時の経過によって法律関係を確定させるための請求権の存続期間であるものと解し、これを消滅時効期間ではなく除斥期間であるとしております。

この除斥期間には、長い時間の経過に伴って証拠が散逸することなどにより反証が困難となった債務者を保護するという公益的な機能もあり、その機能は軽視することができないものと考えられます。

また、20歳に達するまで停止するとした場合には、被害者の年齢によっては停止期間が長期に及ぶほか、性的被害に関してのみ除斥期間の特例を設けることは他の重大な法益侵害との均衡を欠くおそれがあるのではないか等の問題もございます。
そのため、被害者保護のために除斥期間を廃止することですとか除斥期間の進行を停止することについては慎重な検討を要するものと認識しております。

もっとも、この除斥期間につきましては、御指摘の問題のほか、時効の中断などの規定の適用がなく、また判例上、裁判所は、当事者の主張がなくても除斥期間の経過によって権利が消滅したとの裁判をすべきであるとされております結果、加害者の除斥期間の主張が権利濫用とされる余地がないということのために、消滅時効と比べても厳格で、被害者の保護が十分でないという問題が指摘されております。

そこで、第189回国会に提出いたしました民法の一部を改正する法律案、いわゆる債権法改正法案でございますが、この中におきましては、被害者の保護を図る観点から、除斥期間を消滅時効期間と改めることとしております。
これによりまして、被害者は、時効の中断などの規定の適用を受けるほか、加害者による時効の援用が権利濫用であるなどと主張することも可能となり、被害者の保護が図られるものと考えております。

このほか、債権法改正法案におきましては、人の生命又は身体を害する損害賠償請求権の消滅時効期間を現行の3年から5年に長期化する特例も設けることとしておりまして、これに該当する性的被害についても救済が進むことになるものと考えております。

法務省といたしましては、これらの手当てによりまして性的被害の被害者の保護を進めてまいりたいというふうに考えております。

——————————————————–

林眞琴 法務省 刑事局長  
(省略。)
——————————————————–

仁比聡平 参議院議員(日本共産党)

両局、長く答弁をされましたけど、つまり難しいんですよ。
今のお話を性暴力や性虐待の被害者に理解しろというのかということなんですよね。
(略。)
ですから、今お二人にお話をいただいたように、法的に難しいと。
つまり、99%これは法的には困難だということは弁護士であれば誰しもが思います。

ですから、この釧路で、被害者御自身は少ない弁護士の事務所に電話を掛けられたみたいですけれども、うちはそういうのをやっていませんからといった形で断られて、最後に、この釧路にできた法テラスから独立して事務所を構えたばかりの女性弁護士に受けてもらえるかもしれないという情報を聞き付けて相談をしたんだそうです。

そのときにその弁護士は、どうしようもなくかわいそうな事件で、採算はもう取れないけれども、採算が取れなくてもここで受任しなければ、受けてあげなければ死んでしまうんではないかという思いで受任をしたということなんですね。

——————————————————–

(再掲)
うちはそういうのをやっていませんから

香西咲さんのときもそうでした。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
<2016年6月12日>

私が前に事務所問題でトラブった事があるのは皆様ご存知かと思います。
実はその時に弁護士10人弱訪問してるんです。霞ヶ関含めて。
でも殆どの弁護士の先生に『立証しにくい』と言われ、あからさまに嫌な顔されて門前払いされました。
現実ってこんなものなんだな?って悟って腹を括った訳です。

香西咲さん
<2016年7月17日>

何故今更告発?
皆様の1番の疑問はそこでしょう。
私は辞める時に弁護士会もセックスワーカー御用達の弁護士もその他5件以上の弁護士を当たっています。
が、当時は今の時代と違い『立証しにくい』と門前払いされました。
このタイミングで週刊文春様はいい意味で私を起用してくださりました。

香西咲さん
<2016年10月3日>

アットハニーズを辞めて即座に
第二弁護士会にも行って相談してます。
セックスワーカー団体SWASHのご紹介の、打越さくら弁護士にも相談。
どちらも即答で『立証が取りにくい』とほぼ門前払いでしたよ。
だから世間(弁護士)の風当たりの厳しさを実感し、
腹括って独立の道を選びました。

——————————————————–

なぜ弁護士たちは香西咲さんを足蹴にしたのでしょうか。

(再掲。仁比聡平議員)
そのときにその弁護士は、どうしようもなくかわいそうな事件で、採算はもう取れないけれども、採算が取れなくてもここで受任しなければ、受けてあげなければ死んでしまうんではないかという思いで受任をしたということなんですね

すべてはカネです。
引き受けてもカネにならないので、
「立証が取りにくい」
との理由で拒否したのです。
もちろん、すべての弁護士がそうではありません。
まともなかたも僅少、存在します。

(伊藤和子HRN事務局長のツイートより、引用。)

伊藤和子 HRN事務局長(弁護士)
<2016年7月18日>


——————————————————–

仁比聡平 参議院議員(日本共産党)

大臣、こうした極めて困難な事件についても、あまねく国民の法的支援を受ける言わば権利、とりわけ弁護士の支援を受けることができるそうした権利、これを保障しようと。

これまでそうしたものがまるで自己責任だとか弁護士の方が悪いとかみたいな話になったけれども、いや、違うでしょうというのが司法改革の出発点の議論であり法テラスの出発点なんではないかと思うんですが、いかがですか。

——————————————————–

岩城光英 法務大臣

ただいまのお話、大変お気の毒な事例だなと、そんなふうに受け止めさせていただきました。

仁比委員御指摘のとおり、様々な立場の方々が法的に相談をできる、そういった法律の相談ができる、そういった受皿となる法テラスという、そういう意義だと思っておりますので、私ども法務省としましても、できる限りそういったことに対応できるような体制を取るためにこれからも努めていきたいと考えております。

——————————————————–

仁比聡平 参議院議員(日本共産党)

(前略。)
この特定侵害行為の被害者に対する援助の考え方としては、有識者会議は、生命、身体等を守るという観点から、資力の多寡がその援助の必要性に影響を及ぼすものではない、特定侵害行為の被害者に対して無料法律相談制度を構築するに当たっては国の責任として取り組むべき事業であるというような意見で一致をし、資力を問わない、つまり、後から資力があるでしょう、払ってくださいという負担金を求めるんじゃない、相談なんですから、一件言わば5,400円という、ここは無料にしようと。
(後略。)

——————————————————–

岩城光英 法務大臣
(省略。)
——————————————————–

仁比聡平 参議院議員(日本共産党)

(前略。)
(略)、深刻だということが分かっているけれども、その深刻な事態に応える力が今ないからごめんなさいという、それは法テラスの出発点と違うでしょう。

(略)、こうしたニーズを必要としている、法的支援を必要としている国民の皆さんのニーズをしっかり本当につかんでこれに必ず応えると、そのためには財政的な決断を政府がしなければならないということはあるんだと思うんですけれども、また、そういうふうに検討を進めていくべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

——————————————————–

岩城光英 法務大臣

被害者支援の拡充の必要性、これについては、まず本改正法案により新たに導入されましたストーカー等の被害者に対する法律相談援助を含む法的支援、その実施状況等を見た上で、今後、利用者のニーズや犯罪被害者等の支援のための他の方策の在り方等も踏まえつつ、関係機関、団体としかるべき場を設けて協議を重ねるなど、適切に検討してまいりたいと考えております。
(後略。)

——————————————————–

仁比聡平 参議院議員(日本共産党)

関係機関というふうにおっしゃっているんですけれども、具体的に言うと、法テラスの本部と日弁連が、国民、日本社会の中にどんな法的ニーズがあるか、これをしっかりとつかんで、国民の皆さんにもちろん理解を得ながら、ここを国の責任としてやっていく必要があるという、ここの議論を私たちも含めてオープンにやらないと、何だかどこで検討しているか分からないような状況では前進させる力が生まれてこないじゃないですか。
その中で泣いていくのが多くの弱い被害者ということになってしまうんですよね。
(後略。)

——————————————————–

(再掲。仁比聡平議員)
その中で泣いていくのが多くの弱い被害者ということになってしまう

(再掲。香西咲さん)
アットハニーズを辞めて即座に第二弁護士会にも行って相談してます。セックスワーカー団体SWASHのご紹介の、打越さくら弁護士にも相談。どちらも即答で『立証が取りにくい』とほぼ門前払いでしたよ。だから世間(弁護士)の風当たりの厳しさを実感し、腹括って独立の道を選びました

香西咲さんは当時、10人弱の弁護士と会いました。
いずれもとりあってくれませんでした。
このときだれかひとりでも耳を傾けてくれたら、香西咲さんの人生は別のものになっていたことでしょう。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2016年9月18日

私も週刊文春さんに救われました

——————————————————–

香西咲さんを救ったのは週刊文春です。
文春によって泥濘(でいねい)から抜け出すことができました。
弁護士も、もうすこし、世の中の役に立つ存在になってほしいものです。
文春並に、とまでは言いませんが。
ちなみに、仁比聡平参議院議員は弁護士でもあります。
このときの質問も、いつもと同様に冴えていました。
このようなかたが弁護士の世界で多数派となることを願っております。
——————————————————–
2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
2017年12月1日
引退して改めて気付きました。
私はAV業界に固執していたのでではなく、#AV強要 を解決するだけの為に続けてきました。
引退した今何の未練もありませんし、もう削除の約束、裁判、後処理だけですね。

(明日のブログへつづく)



香西咲さんを勝手に応援するサイトへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。