一昨日、業界人が逮捕されたとの報が流れました。
(参考。当ブログ)
・2018年1月19日(一昨日)
・2018年1月20日(昨日)
本日もこの福音(よろこばしいしらせ)についてふれます。
周知のとおり、今回、警察が適用したのは、刑法の淫行勧誘罪です。
●刑法 第182条(淫行勧誘罪)
営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘して姦淫させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。 |
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(再掲。淫行勧誘罪)
「淫行の常習のない女子」
このことに関して、AV人権倫理機構の山口貴士弁護士が、所懐を書き連ねました。
<2018年1月20日>
●山口貴士 弁護士(AV人権倫理機構)
「淫行の常習のない」ことの立証責任は検察官にあるので、「被害者」の調書が不同意になれば、性生活に焦点を当てた証人尋問です。当時「被害者」が処女であったと主張した場合に、その立証方法も問題になります。「被害者」に負担の大きい法律構成で、そこまでして、AVを潰したいのかと思いました。
— 山口貴士 aka無駄に感じが悪いヤマベン (@otakulawyer) 2018年1月20日
AVに勧誘された女性が性的に活発であった場合(スラングでいうところの「ビッチ」「ヤリマン」等)には、淫行勧誘罪の対象にはならないので、「貞節」か否かで摘発されるかどうかが決まるので、明治の家父長制下の貞操保護の概念が21世紀に復活することになります。
— 山口貴士 aka無駄に感じが悪いヤマベン (@otakulawyer) 2018年1月20日
淫行勧誘罪で立件するためには、被疑者に、相手方の女性が「淫行の常習のない」ことの認識(故意)があったことが必要なので、故意の立証はどうするのでしょう?被疑者が女性から性的な関係が奔放だと聞いていたと主張した場合にかなり問題になりそうです。
— 山口貴士 aka無駄に感じが悪いヤマベン (@otakulawyer) 2018年1月20日
法律論はさて措(お)き、警察の考えは山口弁護士と異なります。
東京新聞を参照します。
(2018年1月19日 東京新聞「AV出演強要3人逮捕 制作会社経営者ら 淫行勧誘など容疑」より、引用。)
●東京新聞
淫行勧誘罪は売春婦らではない、一般女性を勧誘し、営利目的でみだらな行為をさせた場合に適用。 AV出演強要に対し、これまでは労働者派遣法違反などの適用にとどまっていた。 保安課によると、逮捕したのはプロダクション「ディクレア」元社員、雪本剛章(たかあき)(35)=横浜市西区みなとみらい五=と、制作会社「ビエント」経営中野斉(ひとし)(51)=東京都中野区弥生町五=の両容疑者ら。 雪本容疑者ら二人は容疑を認め、中野容疑者は |
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「淫行の常習のない女子」
とは、
「売春婦らではない、一般女性」
とのことです。
(再掲。山口貴士 弁護士)
「AVに勧誘された女性が性的に活発であった場合(略)には、淫行勧誘罪の対象にはならない」
警察の見解はちがいます。
そのようなとらえかたはしていません。
(2018年1月19日 NHK「AV出演勧誘容疑で3人を逮捕」より、引用。)
●NHK
明確な強要の事実がなくても、アダルトビデオに出演した経験などがない女性を勧誘すると罪に問われるため、警視庁は異例の逮捕に踏み切ったということです。 |
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出演強要被害については、
「アダルトビデオに出演した経験などがない女性」
が、
「淫行の常習のない女子」
ということになります。
ほかの報道もみてみます。
(2018年1月19日 共同通信「AVに出演強要、男3人逮捕 芸能プロ元従業員ら淫行勧誘罪」より、引用。改行を施しています。)
●共同通信
アダルトビデオ(AV)に出演経験のない20代の女性を説得し、出演を強要したとして、警視庁保安課は19日までに、淫行勧誘と労働者派遣法違反の疑いで、AVプロダクション「ディクレア」元従業員の雪本剛章容疑者(35)=横浜市西区=ら男3人を逮捕した。
逮捕は17日。
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(2018年1月19日 時事通信「嫌がる女性にAV出演強要=淫行勧誘容疑で男ら逮捕-警視庁」より、引用。)
●時事通信
アダルトビデオ(AV)の経験がなく、嫌がる女性に出演を強要したとして、警視庁保安課は19日までに、淫行勧誘容疑などで、元AV女優派遣プロダクション従業員の無職雪本剛章容疑者(35)=横浜市西区みなとみらい=ら男3人を逮捕した。
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(2018年1月19日 日テレNEWS24「出演拒む女性をAVに…制作会社社長ら逮捕」より、引用。)
●日テレNEWS24
警視庁によると、雪本容疑者らは2015年6月、アダルトビデオに出演経験のない20代の女性に対して、女性が出演を拒んでいるにもかかわらず、映像が無修正で配信されることを隠した上で、「あなたのプロフィル写真を撮影するのに、いくらお金がかかってると思ってるの?」などと話し、撮影現場に派遣してアダルトビデオに出演させるなどした疑いがもたれている。
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(2018年1月19日 TBS NEWS「出演経験ない女性をAVに出演させた疑い、3人を逮捕」より、引用。)
●TBS NEWS
アダルトビデオに出演経験のない女性を説得し、出演させたなどとして、AVプロダクションの元社員の男ら3人が警視庁に逮捕されました。
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(2018年1月19日 FNN「刑法『淫行勧誘』 71年ぶり適用」より、引用。)
●FNN
アダルトビデオ制作会社の社長・中野 斉容疑者(51)ら3人は、2015年、アダルトビデオに出演したことのない20代の女性が、出演を断ったにもかかわらず、「プロフィル写真の撮影に金がかかっている」などと言って無理やり出演させた、淫行勧誘などの疑いが持たれている。
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(2018年1月19日 テレビ東京「AV出演強要で3人逮捕」より、引用。)
●テレビ東京
アダルトビデオの出演経験がない20代の女性に出演を強要したとして、警視庁は淫行勧誘などの疑いでAV女優の派遣プロダクション元従業員・雪本剛章容疑者ら3人を逮捕しました。
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(再掲)
●刑法 第182条(淫行勧誘罪)
営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘して姦淫させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。 |
もう一度確認します。
「淫行の常習のない女子」とは、「アダルトビデオの出演経験」がない女性のことです。
(2018年1月19日 朝日新聞「AV出演強要、淫行勧誘罪を適用『摘発の道、開けた』」より、引用。改行を施しています。)
●朝日新聞
伊藤弁護士は
淫行勧誘罪を適用した意義は大きい。 AVに出たことのない女性を不当な方法で勧誘して撮影で性交渉をさせたら、シンプルに摘発する道が開けた。 |
と話す。
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従来は労働者派遣法違反などに問われることが多かったAV強要問題。立証にさまざまな壁がありました。しかし今回の「淫行勧誘罪」は、摘発を大きく前進させる可能性があると専門家は語ります。 https://t.co/jQCJtA5y6A pic.twitter.com/ThuwejOBfE
— 朝日新聞デジタル編集部 (@asahicom) 2018年1月19日
これからはプロダクションだけでなく、メーカーも摘発の対象になります。
横浜ロード法律事務所の解説がわかりやすいです。
(横浜ロード法律事務所「淫行勧誘罪」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
●横浜ロード法律事務所
姦淫とは、性交のことです。
平成30年1月19日、警視庁保安課が、アダルトビデオプロダクションの元従業員、アダルトビデオ製作会社社長などを淫行勧誘罪の容疑で逮捕したという報道がされました。
社会問題化しているアダルトビデオへの出演の強要があったとされています。
ただし、アダルトビデオへの出演が姦淫に該当するとしても、その強要したかどうかは淫行勧誘罪の問題ではなく、勧誘行為があれば、淫行勧誘罪が成立してしまうことになります。
つまり、アダルトビデオへの出演を強要しなくても、出演を勧誘すれば、淫行勧誘罪が成立することになるので、処罰範囲が非常に広くなり、アダルトビデオへのスカウト自体が犯罪ということになってしまいます。 そうすると、アダルトビデオ制作会社やプロダクションはその日常業務が常に摘発の脅威にさらされることになりかねないと思われます。 |
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(再掲。横浜ロード法律事務所)
「出演を勧誘すれば、淫行勧誘罪が成立する」
淫行勧誘罪があまねく適用されれば、香西咲さんのような被害がなくなるかもしれません。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年12月28日>
もう一度言います。 元アットハニーズA氏に洗脳されて無ければ私はAVに出ていません。 8ヶ月間洗脳され占い師まで登場し、イメージビデオとあやふやなまま富士山の麓のスタジオに連れていかれました。 勿論後悔しています。 最近ファンの方々に恵まれた事が唯一の救いです。 |
(2016年9月18日 AbemaTIMES「【AV出演強要問題】元カリスマ女優・川奈まり子氏が業界健全化のために奮闘」より、引用。改行を施しています。)
香西は、当初はモデルとしてスカウトされたはずだったのに蓋を開けたらAV出演ということになっていた。 (略)、AV撮影のために富士山の麓に連れていかれて、3時間泣いたこともあるという。 その時、自分をスタッフ全員が待っている状況にあった。 ●香西咲さん |
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淫行勧誘罪は秀麗な規定です。
勧誘したものを逮捕することができます。
欠点は法定刑の上限です。
(再掲)
●刑法 第182条(淫行勧誘罪)
営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘して姦淫させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。 |
最高で3年です。
これではあまりにも軽すぎます。
執行猶予がつく可能性もあります。
今後、重罰化の方向で検討してほしいものです。
淫行勧誘罪が、微罪であること以外は、申し分ありません。
さらなる検挙を期待しています。
(At Honeysの登記簿の一部より、引用。)
●目的
1.芸能プロダクションの経営
2.広告及び宣伝業
3.広告・宣伝の情報媒体の企画及び売買
4.CD・ビデオ・DVD等の映像、音声ソフトの企画、制作、販売
5.人材派遣業
6.店舗の企画、設計、施工
7.経営コンサルタント業
8.前各号に附帯関連する一切の事業
(Marks Investmentの登記簿の一部より、引用。)
●目的
1.芸能プロダクションの経営
2.飲食店業
3.労働者派遣事業
4.広告代理店業
5.投資業
6.コンサルタント業
7.番組等の制作
8.前各号に附帯する一切の業務
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こいつらに適用されなければならないのは、淫行勧誘罪でなく、強姦罪です。
警察のさらなる奮励をもとめます。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
■香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)
(明日のブログへつづく)
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