昨日のつづきです。
昨年の11月10日、適格消費者団体の消費者機構日本が、業界(AV人権倫理機構)へ意見書を提出しました。
(参考)
●【意見書 ~出演者の自己決定権を尊重したAV出演契約とするための提案~】
内容は、奴隷契約に対する是正勧告です。
(2017年5月18日 週刊実話「AVが消える![後編] フリーライター・中村淳彦」より、引用。改行を施しています。)
●中村淳彦さん
国家の抗議を受けているものの、現段階でAV業界は強気だ。 基本的に現行のものを“認定AV”とする。 (中略。) AVは35年前の創世記から今まで、グレー産業と呼ばれている。 “認定AV”は強要問題をキッカケに、AVをグレーからホワイトにするという取り組みだが、業界は「現状のAVはホワイトである」と徹底抗戦する構えだ。 |
——————————————————–
昨年の5月の記事です。
「業界は『現状のAVはホワイトである』と徹底抗戦する構えだ」
もしも業界が、消費者機構日本の「意見書」を一蹴したら、どのようことが起こるのでしょうか。
消費者機構日本のホームページに、一般的な手順が掲載されています。
こちらを参考にして、流れを記します。
(※参考。差止請求の流れ)
●消費者被害の発生 |
岡村和美 消費者庁長官(2017年5月24日)
「アダルトビデオへの出演の強要は、女性の尊厳を踏みにじるものであり、断じて許してはならない問題であると考えております」
↓
●適格消費者団体へ情報提供 |
川合 消費者庁 消費者制度課政策企画専門官
「適格消費者団体は被害の情報を収集して活動するのですが、アダルトビデオへの出演を強要させられたといった被害の情報まではなかなか入ってこない現状がございます。そこで、そういった情報が入る被害者支援団体に対して、適格消費者団体に対して被害情報を共有していただくよう要請したということもございます」
↓
●適格消費者団体で内部検討 |
2017年の9月9日と10日の両日、全国適格消費者団体連絡協議会が開催されました。
この席で消費者機構日本が、差止請求の検討状況を報告しました。(参考。当ブログ)
↓
●事業者との裁判外交渉(申入れ・要請) |
2017年11月10日、消費者機構日本は業界へ「意見書」を提出しました。
現在はこの段階です。
↓
●事業者申入れ等拒否 |
改善要請が拒否された場合、消費者機構日本は業界に対して、訴訟を通告します。
↓
●事業者に対し差止請求訴訟事前請求 |
ここで業界が奴隷契約の撤廃を確約すれば、裁判はおこなわれません。
業界が「法廷で争う」となった場合は、裁判になります。
↓
●差止請求訴訟の提起(裁判) |
——————————————————–
「意見書」を読めばおわかりのとおり、消費者機構日本は、ごく当前のことをもとめています。
当該文書の一部を参照します。
●消費者機構日本 「意見書」
(1)プロダクション所属契約における必要的記載事項 プロダクションは所属契約書に下記条項を必ず設けること。 ⑦所属契約のプロダクションに責がある場合の解約 ア.虚偽説明等があった場合 プロダクションが出演者を勧誘するに際し、事実に反する事項を告知していたり、出演者が帰りたいといったのに退去させずにプロダクション所属契約を締結させていたりした場合は、出演者は損害賠償をすることなく解約できること。 |
(2016年9月18日 AbemaTIMES「【AV出演強要問題】元カリスマ女優・川奈まり子氏が業界健全化のために奮闘」より、引用。改行を施しています。)
香西は、当初はモデルとしてスカウトされたはずだったのに蓋を開けたらAV出演ということになっていた。 (略)、AV撮影のために富士山の麓に連れていかれて、3時間泣いたこともあるという。 その時、自分をスタッフ全員が待っている状況にあった。 |
(2016年7月29日 毎日新聞「AV出演強要 香西咲さん『私はこうして洗脳された』」より引用。)
●香西咲さん
(AVデビュー作の)発売直前に「やっぱり嫌です」と言うと、「ふざけるな。ここまでお前にどれだけ(金が)かかっているんだ」と言う。 |
——————————————————–
●消費者機構日本 「意見書」
(1)プロダクション所属契約における必要的記載事項 プロダクションは所属契約書に下記条項を必ず設けること。 ④個別出演契約が締結されなければ具体的出演義務が発生しないこと ○出演者が各モデル内容にて実際に行う業務は、 プロダクションは制作会社と書面により必ず制作契約を締結すること。 ○制作契約は、 個別出演契約がない限り、 出演者の出演義務を発生させるものではなく、これに反する場合には、出演者は、いかなるモデル内容の業務であってもプロダクションに対して出演義務を負うことはなく、 損害賠償義務も発生しないこと。 ○プロダクションは各制作契約ごとに、 出演者に対して、個別出演契約を締結させるものとし、予め包括的な同意を得ることはないことを確認する。 ○出演者に対しては、 個別出演契約書を書面で撮影の14日間前までに開示されなければ、著作隣接権、肖像権、プライバシー権等一切の権利は出演者に留保されるとする条項を入れること。 |
●消費者機構日本 「意見書」
(1)プロダクション所属契約における必要的記載事項 プロダクションは所属契約書に下記条項を必ず設けること。 ⑦所属契約のプロダクションに責がある場合の解約 イ. 出演者から出演同意を得ていなかった場合 ○プロダクションが制作会社と個別出演契約を締結することなく、かつ、出演者から出演同意を得ることなく出演者をAV出演させていた場合、出演者は一切の映像(写真、録音、録画を含む)の消去を求めることができること。 ウ.出演者による損害賠償請求 ○ 出演者に損害が生じた場合は、プロダクションに対しても制作会社に対しても損害賠償請求ができること。 |
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2017年12月14日>
#DMM 系の #AVメーカー は 私が知る限り、少なくとも2014年4月迄は契約書無しで自由に撮影されていた事が発覚しました。 メーカーもザルだと自白。 この部分に関して事務所( #アットハニーズ )とメーカー( #MUTEKI #S1 #アイポケ )に今後の対応を求めます。 #青木亮 |
——————————————————–
●消費者機構日本 「意見書」
(3)個別出演契約における必要的記載事項 制作会社が出演者と着エロ撮影、ヌード撮影、AV出演に関して個別出演契約を締結する際には、下記条項を必ず設けること。 ○出演者が出演内容に全て同意する署名がない場合は、仮に撮影が行われた場合でも、著作隣接権、肖像権、プライバシー権等の一切は、出演者に存在すること |
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2017年12月13日>
契約書も無く撮影された素材を何故これから私が全てを掘り下げて削除申請しないといけないのでしょうか? メーカーは自発的に削除するのが道理ではないのですか? #MeToo #helpme #アットハニーズAV出演強要 #青木亮にAV強要を受けて苦しむ被害者 #大樹総研 #人身売買 #HumanTrafficking |
——————————————————–
●消費者機構日本 「意見書」
(1)プロダクション所属契約における必要的記載事項 プロダクションは所属契約書に下記条項を必ず設けること。 ⑥所属契約の出演者都合による解約 ア.個別出演契約書の締結前の解約 ○プロダクションは出演者に対してプロフィール写真の一切を返還し、インターネット上のプロフィール写真を消去する義務を負うこと。 ○出演者のプロフィール写真をプロダクションが消去しない場合は、出演者がプロダクションに代わって消去する権利を有すること。 イ.個別出演契約書への署名後撮影前の解約 |
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年7月14日>
契約書を縦に止めさせてもくれない、かと言って事務所に居続けたら、V撮影と性接待(勿論金銭のやり取りなし)に都合良く使われて青木亮に飼い殺しになる… 本気で死にたかった。 あの頃の私はトラックに突っ込んで欲しかった。 |
——————————————————–
□青木亮
□大西敬
□高畠典子
□坂田恵理子
□坂上孝志
□A-TEAM 飯田正和
□メーカー関係者
□T総研のY
□その他
こいつらのやったことは出演強要の最(さい)たるものです。
犯罪です。
香西咲さん以外の実例もみてみます。
(2016年7月14日 withnews「AV出演強要、ユーチューバーの過去 『音楽デビュー信じた自分』」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
●くるみんアロマさん
慣れない性行為に「痛い痛い」と叫んだ。
「無理です」と叫んで撮影が中断しても、撮影側は「できるまで終わらないよ。こんなに時間がかかるのは、あなたぐらいだよ」と冷淡だった。
「ここにいる大人全員、子どももいるし生活もある。あなた1人でみんなの生活を台無しにするのか」とも言われた。
(2017年4月15日「【特報・AV問題】『当日次第の展開』の台本で…『断れなかった』元AV女優が告白 メーカー側は否定 社会問題化する出演強要」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
●瀧本梨絵さん
「台本に書かれていない“本番行為”を要求された。驚いたが、撮影現場の雰囲気などから断れず、応じざるを得なかった」
アダルトビデオ(AV)撮影時のトラブルなどでAV女優を引退した瀧本梨絵さんが産経新聞の取材に応じ、トラブルの内幕を語った。
——————————————————–
消費者機構日本は、「意見書」のなかでつぎのようにのべています。
●消費者機構日本 「意見書」
(3)個別出演契約における必要的記載事項 制作会社が出演者と着エロ撮影、ヌード撮影、AV出演に関して個別出演契約を締結する際には、下記条項を必ず設けること。 ○出演者にはシナリオを撮影日の14日以上前に事前交付すること。 交付しない場合は、出演者には出演義務がないこと。 ○シナリオのカット毎の行為についての出演者の同意欄。 ○出演者の拘束時間、単価及び対価。 ○出演作品の販売方法。 ○出演者は、 プロダクション所属契約で対応が可能とした事項以外は応じる義務がないこと。 ○出演者は、プロダクション所属契約で可能とした事項以外、及び事前に交付されたシナリオにない性行為等を制作会社が出演者に指示した場合には、 拒否できること。 ○出演者は、 プロダクション所属契約で可能とした事項以外、及び事前に交付されたシナリオにない性行為を制作会社が指示した場合には拒否でき、その場で現場を離脱することができること。その場合、 出演者には損害賠償義務は発生しないこと。 |
——————————————————–
冒頭でも書きました。
消費者機構日本は業界に対して、ただ単に自分たちの意見をつたえたのではありません。
このとおりにしなければ裁判にうったえると予告したのです。
●事業者との裁判外交渉(申入れ・要請) |
↓
●事業者申入れ等拒否 |
↓
●事業者に対し差止請求訴訟事前請求 |
↓
●差止請求訴訟の提起(裁判) |
——————————————————–
業界はこれまで、女性に対して桎梏(手かせ足かせ)をはめることによって不当な利益を掴んできました。
こうした奴隷契約に対して適格消費者団体の消費者機構日本が異をとなえました。
はたして業界はどのような対応をとるのでしょうか。
見物(みもの)です。
——————————————————–
■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
■香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)
(明日のブログへつづく)
香西咲さんを勝手に応援するサイトへ