現在、政府は着々と、業界に対する包囲を狭めています。
いまおこなおうとしているのは、現行法の適用です。
アダルトビデオへの出演が、有害業務に該当する場合は、種々の法律に違反することとなります。
AV撮影は有害業務なのか?
1994年に、東京地方裁判所は、有害業務、と明言しています。
(参考。当ブログ)
・2017年10月12日
●1994年6年3月7日 東京地方裁判所
本件における派遣労働者の従事する業務内容についてみると、派遣労働者である女優は、アダルトビデオ映画の出演女優として、あてがわれた男優を相手に、被写体として性交あるいは口淫等の性戯の場面を露骨に演じ、その場面が撮影されるのを業務内容とするものである。
右のような業務は、社会共同生活において守られるべき性道徳を著しく害するものというべきであり、ひいては、派遣労働者一般の福祉を害することになるから、右業務が、「公衆道徳上有害な業務」にあたることに疑いの余地はない。 |
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AV撮影は有害業務である
アダルトビデオへ出演させるということは、有害な業務を強いるということです。
法律をみてみます。
有害業務に関する事柄は、以下の2つに書かれています。
職業安定法
●第63条
次の各号のいずれかに該当する者は、これを1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。
二 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者
労働者派遣法
●第58条
公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者派遣をした者は、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。
順にみていきます。
まずは、職業安定法です。
職業安定法
(職業安定法)
●第63条
次の各号のいずれかに該当する者は、これを1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。
二 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者
たとえば、業界人が女性に対して、アダルトビデオに出演することを説得した場合は、職業安定法違反となります。
1996年に、東京地方裁判所は、「自己の制作するわいせつビデオの女優として稼働することを説得勧誘し、もって、公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者を募集した」業者を有罪としました。
(参考。当ブログ)
・2017年10月13日
●1996年8年11月26日 東京地方裁判所判決
「(前略。)親や友達には絶対分からないようにするから安心しなさい。」 などと申し向け、自己の制作するわいせつビデオの女優として稼働することを説得勧誘し、もって、公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者を募集した。 |
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業界人が日々おこなっている行為は、職業安定法違反です。
つぎは、労働者派遣法です。
労働者派遣法
(労働者派遣法)
●第58条
公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者派遣をした者は、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。
よく勘違いされるのが、派遣される労働者側の意思です。
ツイッター等の書きこみをみますと、女優が承諾した場合は罪に問われない、と思っているひともいるようです。
これはちがいます。
当該本人の意向は関係ありません。
判決を確認します。
(参考。当ブログ)
・2017年10月12日
●1994年6年3月7日 東京地方裁判所
そして、労働者派遣法58条の規定は、前述のように、労働者一般を保護することを目的とするものであるから、右業務に就くことについて個々の派遣労働者の希望ないし承諾があったとしても、犯罪の成否に何ら影響がないというべきである。 |
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明快です。
職業安定法と労働者派遣法は、労働者を保護する法律です。
そこで問題となるのが、女優は労働者なのか、ということです。
女優が労働者でなければ、法律は適用されません。
女優は労働者なのか?
当然、労働者です。
日々、奴隷のようにあつかわれているわけですから。
奸計(悪だくみ)に長(た)けた業界人は、女優が労働者であることを糊塗するために、契約書を偽装しています。
雇用契約ではなく、業務委託契約、というふうにして。
今後、このようなことは通用するのでしょうか。
9月15日に、厚生労働省は、IPPA(メーカー団体)に対して、通達を発しました。
(参考。当ブログ)
・2017年11月1日
●2017年9月15日 厚生労働省「通達」)
「この「労働者」であるかどうかは、雇用契約、業務委託契約といった形式的な契約の名称にかかわらず、基本的には、事業に『使用される』者であるか否か、その対償として『賃金』が支払われているか否かによって判断されることとなります」
「労働者性の判断に当たっては、労務提供の形態や報酬の労務対償性及びこれらに関連する諸要素をも勘案して、総合的に判断されることとなります」 |
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女優は労働者です。
業界人は、有害業務を駆逐しないかぎり、警察に検挙される、ということになります。
このことに対して、業界は、どのような認識をもっているのでしょうか。
4日前の川奈まり子AVAN代表のツイートを参照します。
川奈まり子AVAN代表の述懐
https://twitter.com/MarikoKawana/status/932750571303342080
●川奈まり子 AVAN代表
<2017年11月21日>
AV出演は職安法上の有害危険業務にあたるため、雇用実態があれば契約形態によらず事実上の雇用主は職安法違反(出演者を派遣していれば派遣法違反)で摘発されます。 そして職安法違反は共謀罪のリストに入ってますよ! 雇用実態がなければ摘発対象外。 |
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(参考。共謀罪が適用される277の対象犯罪)
●日本経済新聞
●毎日新聞
(再掲。川奈まり子AVAN代表)
「だから『出演者=個人事業主じゃないと』」
そういえば、一時話題にのぼっていた女優の個人事業主化の件はどうなったのでしょうか。
●川奈まり子 AVAN代表
<2017年11月21日>
職安法の有害危険業務というのがそもそもイヤ~なんですけどね私は。 プライドが傷つくじゃない? 誰が有害って決めたんじゃコラって思う。 でも法律で決まってるし、奴隷奉公させる悪徳業者を取締るには都合がいいし、女優の自立が促進するのはフェミニズム的な勝利でもあるし、仕方ないかなって。 |
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(再掲。川奈まり子AVAN代表)
「誰が有害って決めたんじゃコラっ」
先述しましたように、裁判所です。
(再掲)
●1994年6年3月7日 東京地方裁判所
本件における派遣労働者の従事する業務内容についてみると、派遣労働者である女優は、アダルトビデオ映画の出演女優として、あてがわれた男優を相手に、被写体として性交あるいは口淫等の性戯の場面を露骨に演じ、その場面が撮影されるのを業務内容とするものである。
右のような業務は、社会共同生活において守られるべき性道徳を著しく害するものというべきであり、ひいては、派遣労働者一般の福祉を害することになるから、右業務が、「公衆道徳上有害な業務」にあたることに疑いの余地はない。 |
いまのところ、これを覆(くつがえ)す判決は出ていないようです。
すでに紐付けられてしまっていますよ。厚労省からの通達や内閣府の報告書や、あと、全国の警察署に警察庁から勧告が送られていて。紐付けたのは某人権団体で、そこは共謀罪には反対してるんですけど、矛盾を感じていないみたい。不思議ですね(・_・; 法規制するのは権力であり現政権なのにね?
— 川奈まり子👻怪談👻奇譚👻 (@MarikoKawana) November 20, 2017
●川奈まり子 AVAN代表
<2017年11月21日>
すでに紐付けられてしまっていますよ。 厚労省からの通達や内閣府の報告書や、あと、全国の警察署に警察庁から勧告が送られていて。 紐付けたのは某人権団体で、そこは共謀罪には反対してるんですけど、矛盾を感じていないみたい。 不思議ですね(・_・; 法規制するのは権力であり現政権なのにね? |
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伊藤和子HRN事務局長のほかに、PAPSの宮本節子世話人も職業安定法や労働者派遣法の適用を主張しました。
(2016年1月25日 労働旬報社「賃金と社会保障1月合併号」より、引用。改行を施しています。)
<31ページ>
●宮本節子 PAPS世話人
AVと類似の行為がおこなわれている(略)性風俗の事例を扱った判例には、職業安定法第63条2号の「公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集」、労働者派遣法58条「公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者派遣をした者」の条項を適用したものがある。
しかし、これらの判例は(出演強要の)性被害者対策のためには生かされなかった。
これらの法を適用して(AV出演強要被害の)女性救済に役立てようという発想が、取り締まり当局にないのだろうか。
先述のとおり、今年の9月15日に厚生労働省は、業界に対して通達を出しました。
●2017年9月15日 厚生労働省「通達」)
アダルトビデオの出演者が下記により労働者に該当する場合には、下記の関係法令の遵守が求められます。
貴団体におかれましては、業務遂行の際にはより一層慎重を期されるとともに、関係者に対して周知及び啓発を図っていただく等、関係法令の遵守のために必要な取組をお願い申し上げます。
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https://twitter.com/MarikoKawana/status/932764466210529280
●川奈まり子 AVAN代表
<2017年11月21日>
一律に指定されてなんかいませんでしたよ、某団体が報告書を出してマスコミが社会問題化する中で、去年からそうなってしまったんです。 そういう判例があったから、一律にそうしちゃえっていう動きに私は真っ先に反発したんだけど、業界の一部からも反発されて驚いたよw |
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「業界の一部からも反発」
出演料の開示等で軋轢があったようです。
(2017年4月1日 AV業界改革推進有識者委員会「適正AV業界の倫理及び手続に関する基本規則」より、引用。)
●適正AV業界の倫理及び手続に関する基本規則(2017年4月1日)
第13条 商行為
団体等間の契約を明確にし、とくに出演料およびマネージメント委託料等の金銭面については、プロダクション、メーカーおよび出演者等の当事者間で明確な開示を行い、不透明なやりとりの排除および納税義務履行の徹底を図るものとする。
↓
●新ルール
□ 出演料やプロダクションフィーなど金銭面の女優への開示 |
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●川奈まり子 AVAN代表
<2017年11月21日>
雇用実態の判定基準をオールクリアするのが難しかったから私に反発したようです。 総ギャラを女優さんに教えないと偽装雇用になるとか、そこらへんですね。 でもIPPAと日本プロダクション協会は「出来る」と言ってくれたから最初と比べたら大きく進歩した感じ。 世論は現政権に都合いい方に誘導されたね |
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業界は、女優の個人事業主化によって法の適用をまぬがれることができる、と考えているようです。
はたしてどうなるのでしょうか。
(再掲。川奈まり子AVAN代表)
「でも法律で決まってるし、奴隷奉公させる悪徳業者を取締るには都合がいいし、女優の自立が促進するのはフェミニズム的な勝利でもあるし、仕方ないかなって」
□青木亮
□大西敬
□高畠典子
□坂田恵理子
□坂上孝志
□A-TEAM 飯田正和
□メーカー関係者
□T総研のY
□その他
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こいつらは悪徳業者の最(さい)たるものです。
犯罪者です。
当然、さらに重い罪がまっていることでしょう。
(2017年5月20日 テレ朝NEWS「AV出演強要問題 全国警察本部に専門官を設置」より、引用。改行を施しています。)
●テレビ朝日
政府は(5月)19日、関係省庁の対策会議を開き、違法なスカウトの摘発を推進する専門官を、今月中にも全国の警察に設置することを決定しました。 警察庁は 「場合によっては業者のスタッフを、強姦罪や強要罪で摘発する」 としています。 |
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(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年6月28日>
ありがとうございます 前の事務所の飼い殺し状態からやっと脱出出来たのが今ですから。 今の方が元気です |
●香西咲さん
<2016年7月15日>
アットハニーズ青木亮に飼い殺しにされてた頃に出逢った本。 #夜と霧 自分と重なる部分が多い あの時の日々はまさにアウシュビッツ強制収容所。 『歴史は繰り返される』 |
●香西咲さん
<2017年11月17日>
アットハニーズ(会社解散済)青木亮に飼い殺しにされてる時は毎日死にたくてたまりませんでしたよ (後略。) |
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現在、飼い殺しにされているのは、こいつらです。
□青木亮
□大西敬
□高畠典子
□坂田恵理子
□坂上孝志
□A-TEAM 飯田正和
□メーカー関係者
□T総研のY
□その他
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犯罪者たちは、香西咲さんが週刊文春で告発して以来ずっと、極度の重圧を感じて喘(あえ)いでるはずです。
いつ逮捕されるかわからないのですから。
(再掲。香西咲さん)
「あの時の日々はまさにアウシュビッツ強制収容所」
「夜と霧」を著したフランクルによりますと、アウシュビッツ強制収容所で生き残ったひとたちには皆、共通点がありました。
それは、あかるい未来を考えることができた、ということです。
将来を思い描くことができなかったひとは、残念ながら息絶えました。
香西咲さんを蹂躙したやつらに希望はあるでしょうか。
ありません。
「歴史は繰り返される」
いずれにせよ、犯罪者たちはもうおわりです。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
■香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)
(明日のブログへつづく)
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