約1か月ほど前のことです。
ひさかたぶりに、女性に対する暴力に関する専門調査会が開催されました。
議題は以下のとおりです。
●2017年9月27日 第89回女性に対する暴力に関する専門調査会
<議題>
(1)効果的な広報・啓発の在り方について
(2)「女性活躍加速のための重点方針2017」に基づく平成30年度概算要求等の状況等について
・(II-1関係)(関係省庁から説明)
(内閣府、警察庁、消費者庁、厚生労働省から説明)
(3)配偶者暴力相談支援センターの相談件数等について
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(再掲)
「『(2)女性活躍加速のための重点方針2017』に基づく平成30年度概算要求等の状況等について」
出演強要問題にかかわる次年度の予算概算要求額につきましては、すでに、重点方針専門調査会のほうで、金額とあらましがしめされています。
(参考。議事次第と配布資料)
●9月14日 第10回重点方針専門調査会
●10月4日 第11回重点方針専門調査会
当ブログでも6回ほどふれています。
(参考。当ブログ)
<平成30年度 出演強要問題に関する予算概算要求額>
・2017年9月27日
・2017年9月28日
・2017年9月29日
・2017年10月9日
・2017年10月11日
・2017年10月16日
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このたび、9月27日にひらかれた第89回女性に対する暴力に関する専門調査会の議事録が公開されました。
同調査会では、概算要求以外の事柄についても論議されました。
第89回 女性に対する暴力に関する専門調査会
(再掲)
<議題>
(1)効果的な広報・啓発の在り方について
(2)「女性活躍加速のための重点方針2017」に基づく平成30年度概算要求等の状況等について
・(II-1関係)(関係省庁から説明)
(内閣府、警察庁、消費者庁、厚生労働省から説明)
(3)配偶者暴力相談支援センターの相談件数等について
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出演強要問題にかかわるものをみてみます。
まずは、
「(1)効果的な広報・啓発の在り方について」
です。
(1)効果的な広報・啓発の在り方について
(2017年9月27日 第89回女性に対する暴力に関する専門調査会「議事録」より引用。)
内閣府
<3~4ページ>
●杉田 内閣府 男女共同参画局推進課 暴力対策推進室長
それから、この春なのですけれども、いわゆるAV・JK問題、これに関しましての緊急対策、それから、今後の対策取りまとめがございました。
進学、就学等に伴い、若者の生活環境が大きく変わるこの年度当初の4月というものを被害防止月間と位置づけまして、啓発の強化を含む必要な取組を政府一体となって集中的に取り組んでいくこととされたところであります。
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<15ページ>
●納米恵美子 特定非営利活動法人全国女性会館協議会代表理事
これまで広報は、社会の意識喚起、予防啓発、相談の促進、この3つぐらいを目的に取り組まれてきたと思うのです。
デートDVの場合には、被害者にも加害者にもならないという、そういうアプローチだと思うのですけれども、例えばJKビジネスとかAV強要の場合には、加害をするというか、顧客になる男性側に、例えば子供の性は買うなとか、そういうことなのではないかと思うのです。
(女性が)すきをつくるなとか、脇が甘い、そういうことではなくて、(出演強要を)やるなと。 |
そのメッセージが欠けていると思います。
<16ページ>
●杉田 内閣府 男女共同参画局推進課 暴力対策推進室長
まず、納米先生からいただきましたAV・JKへの関係で、加害者側への働きかけというお話、これも後ほど資料の中に出てくるのですけれども、子供の性被害防止プランの中で、
人身取引の需要側に対する取組、具体的には性的搾取の需要側への啓発を行っていくということが書かれておりまして、それに基づきまして、ポスターやリーフレット等もろもろの媒体を使って広報・啓発をやっているという事情はございます。 |
それが不十分だという御趣旨なのだろうというように思われるのですけれども、そういった問題意識を持って取り組んでいるというところであります。
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「人身取引の需要側」
「性的搾取の需要側」
さすがは官僚です。
流麗な表現をもちいます。
AVマニアは、人身取引と性的搾取の需要側ということになります。
<16ページ>
●辻村みよ子 会長(明治大学法科大学院教授)
私から追加の質問をさせていただきます。
これまで内閣府では取組の対象をDV、性犯罪、ストーカー、売買春、人身取引、セクシュアルハラスメントと分けていたところ、このたび、AVとかJKが入ってきたのですが、それは単に同列に、対象が広がったという感じで、分割して捉えていらっしゃるのか。
それとも、トータルに女性に対する暴力、性暴力として一括して、集約的に広報をするということを考えていくのか、ということです。
分断化するのか、いずれなのか。
そういう方針についても、もしよろしければお教え下さい。
<16~17ページ>
●杉田 内閣府 男女共同参画局推進課 暴力対策推進室長
辻村会長から、トータルなのか、分断してなのかというところなのですが、AV・JK問題につきましては、防止月間を4月にやると決められていますので、この部分については、ある意味、性暴力被害の中でもAV・JK問題を切り出してやっていく側面が出てくるのだろうと思います。
なくす運動全般に関しましては、11月の2週間ですけれども、当然この期間に限らず年間を通じてやっていく部分がありますので、トータルのパッケージの中にAV・JK問題も組み込んでやっていくというような、そういう思いで考えているところです。
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政府は4月のとりくみを重視しています。
つぎは議題の2つ目です。
(2)「女性活躍加速のための重点方針2017」に基づく平成30年度概算要求等の状況等について
内閣府
<17ページ>
●杉田 内閣府 男女共同参画局推進課 暴力対策推進室長
資料2-1ですが、内閣府の次年度の概算要求の状況につきまして、新規要求と拡充分のものを中心に説明させていただきたいと思います。
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資料2-1の標題は、
「平成30年度概算要求の状況等【内閣府】」
となっています。
<18ページ>
●杉田 内閣府 男女共同参画局推進課 暴力対策推進室長
10ページ、2つ目でございますが、先ほどお話がございました
AV・JK問題の防止月間、4月に集中的にやる |
というものでございます。
先ほど説明させていただきましたとおり、若年層を対象としたシンポジウム、それから、ポスター、リーフレット、啓発動画であったり、街頭キャンペーン、そういったものを進めていきたいと思っています。
今年度は予算がない中で、実行上やったところもありますので、
来年度は予算をしっかりつけて、腰を据えて取り組んでいきたい |
と思っております。
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資料2-1(平成30年度概算要求の状況等【内閣府】)の10ページを参照します。
内閣府は次年度、1,332万8,000円の予算を請求しています。
(引用)
「AV出演強要・『JKビジネス』被害防止月間」等の広報啓発。
・若年層を対象としたシンポジウムの実施
・ポスター及びリーフレットを地方公共団体、関係団体等に配布
・啓発動画の放映、街頭キャンペーンの実施 など
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志気の横溢(おういつ)が感じられます。
消費者庁も同様です。
気力がみなぎっています。
消費者庁
<20ページ>
●川合 消費者庁 消費者制度課政策企画専門官
それでは、消費者庁が取り組んでまいります対策のうち、まずは当庁が所管しております消費者契約法の関係について御説明をさせていただきます。
資料2-3の2ページの上段にございます該当施策概要をご覧ください。
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資料2-3の標題は、
「平成30年度概算要求の状況等【消費者庁】」
です。
(参考。2ページの上段の該当施策概要)
AV出演強要問題に関し、被害者が締結している契約が消費者契約に該当する場合は、消費者契約法において、例えば、退去を妨害して勧誘を続ける等第4条に該当する不当な勧誘が行われた場合は、消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることや、不当に高い違約金を定める等第8条から第10条に該当する不当な契約条項については無効であること等について、業界関係者に対して、周知を行う。
また、これに関し、事業者により不当な勧誘等がなされている場合には、内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体が不当な勧誘等に対して実効的に差止請求ができるよう、環境整備を図る。 (平成30年度予算概算要求等) |
<20~21ページ>
●川合 消費者庁 消費者制度課政策企画専門官
施策としては、大きく2点ございます。
まず1点目、アダルトビデオの出演契約が消費者契約に該当する場合、こちらについては消費者契約法に基づきまして、その締結した契約を取り消すことが可能である場合があるということなどを業界関係者に周知する。
次に、適格消費者団体がこのような不当な勧誘などに対して実効的に差止請求ができるよう環境整備を図るということでございます。
それぞれ御説明させていただきます。
3ページ目、こちらは消費者契約法の概要でございますけれども、消費者契約法は、消費者契約に関する包括的な民事ルールとして、消費者と事業者との契約、これが消費者契約でございますけれども、これについて労働契約を除いて広く適用されるというものでございます。
消費者契約法の適用がある場合には、例えば、
これまでアダルトビデオに出演したことのない女性が町を歩いていたところ、突然スカウトされた。 そして、密室に連れていかれて、帰りたいと告げたとしても勧誘され続ける。 そういったことによって継続する意図なくアダルトビデオに出演する契約を締結してしまった。 そのような場合には、この契約を取り消すことができるというものでございます。 |
また、契約条項の中に、その契約の解除に際して事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるキャンセル料を定めているといった不当な契約条項を無効とするといったことも可能でございます。 |
こういった被害の防止、救済のため、このような消費者契約法の規律を業界関係者に周知するということを実施してまいります。
4ページ目ですが、
消費者契約法では、事業者によって先ほどのような不当な勧誘行為がなされていたり、また、不当な契約条項が用いられている場合などには、内閣総理大臣が認定した適格消費者団体が、その差止めを求めることができる制度がございます。 |
こちらについては、不当な勧誘などに対して、適格消費者団体が活動することによって被害の未然防止、さらには拡大防止が可能となります。
こういった被害に関して、適格消費者団体が実効的に差止請求できるよう環境整備を図るということをしております。
具体的には、適格消費者団体は被害の情報を収集して活動するのですが、アダルトビデオへの出演を強要させられたといった被害の情報まではなかなか入ってこない現状がございます。
そこで、そういった情報が入る被害者支援団体に対して、適格消費者団体に対して被害情報を共有していただくよう要請したということもございます。 |
6ページ目、こちらは全国の適格消費者団体を記したものでして、現在16団体ございます。
こういったアダルトビデオの出演強要という被害は、基本的には首都圏に多いとは思いますけれども、必ずしも首都圏限定の被害ではないと思います。
そこで、この全国の適格消費者団体が一堂に会する機会が10月にございますので、その際に被害者支援団体の方に被害実態を御報告いただこうということを考えているところでございます。 |
こういったことを通じて、適格消費者団体がこのような被害にも実効的に対応できるようにしてまいりたいと考えております。
消費者契約法に関することについては、以上でございます。
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消費者庁は、HRN、PAPS、ライトハウスをたよりにしているようです。
<21~22ページ>
●梅田 消費者庁 消費者教育・地方協力課課長補佐
消費者庁の消費者教育・地方協力課の梅田と申します。
私からは、消費者庁における地方への支援について御説明をさせていただきます。
7ページ、地方消費者行政推進事業において交付金事業を要求しております。
消費者庁では、全国の地方公共団体に約800の消費生活センターを持っておりまし消費生活センタ―は、消費者問題に関する相談を受け付けている機関で、全国に約3,000名強の消費生活相談員がおります。
そこで相談を受けているということでございます。
9ページ、実際に今回どういった支援をするかということでございますけれども、ポンチ絵をご覧いただきたいと思います。
今回消費者庁で地方への支援ということで、国の政策推進等への対応を担う消費生活センターに対する支援をしていこうということでございます。 |
先ほど説明がございましたとおり、消費者契約法での取り消し、そういったところの観点を消費生活相談員にきちんとわかっていただこうということで、国民生活センターにおいて、今年度も2回の研修を実施しておりますけれども、このような研修に参加できるようにということで、今回交付金を要求しているということでございます。 |
実際に見ていただきますと、こちらのポンチ絵の左側の箱の中に、AV出演強要問題というものを取り上げさせていただいております。
(※資料2-3の9ページ)
国の政策推進等への対応 |
●ギャンブル依存症等対策 ●AV出演強要問題 ●成年年齢の引下げ ● 軽減税率の導入等 |
右に移っていただくと、実際の支援の内容ということになりますけれども、こちらの国が指定する研修への参加というものについては今回交付金の対象としたいと考えておりまして、その中で、このAV出演強要問題というものに対してもメニューの中に入れるということで対応をしていきたいと思ってございます。
こういったことを通じまして、地方消費者行政の現場でも、この問題に対して対応力を高めるための要求をしているということでございます。
私からは以上でございます。
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この1年で、政府の方針はおおきく様変わりしました。
消費者庁も出演強要問題に本腰を入れる構えです。
(2017年7月28日 HRN「トークイベント」より、引用。改行を施しています。)
(※音声の文字化は、筆者。)
●伊藤和子 HRN事務局長
それからもうひとつは、消費者庁ですね。
消費者庁は、わたしたち何度も行って、
「AV出演強要被害は消費者被害としてとりあつかってください」
と言ったんですけれども、1回門前払いされたんですけれども、ようやく一部、消費者被害だ、ということがみとめられ、すこし対策が進みつつあるのではないか、と思います。
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出演強要問題は、HRN、PAPS、ライトハウスによって、端緒がひらかれました。
功績は、はかり知れないです。
深い淵(ふち)で、もがき苦しんでいた数多くの女性を救出しました。
伊藤和子HRN事務局長の活動にも頭がさがります。
恬淡(てんたん)です。
こういうかたこそ、国会議員になってほしいです。
(再掲。伊藤和子 HRN事務局長)
「1回門前払いされた」
鳶(とんび)が油揚をさらう、という意味ではありません。
より世論を喚起したのは、香西咲さんです。
香西咲さんの真実のうったえがなければ、国の対策もここまで進まなかったことでしょう。
ここで突然、はなしがかわります。
ぼくは、これまで、何人ものひとから同じことを言われました。
人を見極める感性が鋭敏である、と。
自分ではあまり良い気がしないので、普段は茫とした感をよそおっています。
繕っています。
それでもときおり、揶揄(やゆ)されます。
おまえは鋭いから、と。
当ブログのタイトルは、
「香西咲さんを勝手に応援するブログ」
です。
ぼくは香西咲さんを勝手に応援しています。
理由は、自分自身の内にある不条理感を払拭することができないからです。
香西咲さんはきわめてまじめなかたです。
純白です。
そのようなかたが、泥濘(でいねい)から抜け出せずにいます。
早く別の人生をあゆんでほしい。
その思いをこめて、毎日、駄文を書いています。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
■香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)
(明日のブログへつづく)
香西咲さんを勝手に応援するサイトへ