昨日のつづきです。
厚生労働省と消費者庁が、業界に対して、関係法令の周知をおこなったようです。
簡単に整理します。
●厚生労働省が周知した法律
□労働者派遣法
□職業安定法
□労働基準法
●消費者庁が周知した法律
□消費者契約法
(ブルーノ飯さんのツイートより、引用。)
●ブルーノ飯さん
<2017年10月2日>
(前略。) 個人事業主化も労基法、派遣法の適用逃れが主目的ですよね。 |
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本日は、労働者派遣法についてみてみます。
最初に、条文を確認します。
(参考。労働者派遣法)
●第58条
公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者派遣をした者は、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。
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(再掲。ブルーノ飯さん)
「派遣法の適用逃れ」
このことについては、HRN(ヒューマンライツ・ナウ)の論考が明快です。
□2016年3月3日 HRN「ポルノ・アダルトビデオ産業が生み出す、女性・少女に対する人権侵害 調査報告書」
引用します。
<24ページ>
●HRN
本人は、プロダクションからメーカーに派遣され、撮影はメーカーの指揮命令下で行われる。 また、報酬額や撮影内容はメーカーとプロダクションとの協議で決まり、本人が交渉に関与することはない。 このような実態をふまえれば、本人とプロダクションとの関係は雇用契約であり、メーカーへの派遣は労働者派遣であると考えられる。 |
しかし、プロダクションと本人との間で作成される契約書は、「営業委託契約書」「専属契約書」などの名称が用いられ、雇用契約であることは隠されている。 |
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業界はこれまで、契約書の名称を欺罔(ぎもう)する(あざむく)ことによって、労働者派遣法の適用をのがれてきました。
今後は、このような計略(はかりごと)が通用しなくなります。
(川奈まり子AVAN代表のツイートより、引用。)
●川奈まり子 AVAN代表
<2017年10月2日>
(前略)、雇用実態があれば指揮監督下に置かれた出演者の意思がないがしろにされるので、それを避けるために労働者性を排除しろ(=個人事業主化)というのは国の方針で、厚労相からその旨、通達を受け取りました。 |
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女優の個人事業主化がなされないかぎり、労働者派遣法の適用は必定(必至)です。
(2015年10月1日 Yahoo!ニュース「AV違約金訴訟・意に反して出演する義務ないとし請求棄却。被害から逃れる・被害をなくすため今必要なこと」より引用。)
<一部分を引用>
●伊藤和子 HRN事務局長
これまで裁判例で、AVへの出演は、職業安定法及び労働者派遣法上の「公衆道徳上有害な業務」に該当する |
とされ、「募集」(職業安定法第63条第2号)及び「派遣」(労働者派遣法第58条)行為は、処罰の対象となっている(最近の職業安定法の有罪事例・平成8年11月26日東京地判(判例タイムズ942号261頁)、労働者派遣法の有罪事例・平成6年3月7日東京地裁判決(判例時報1530号、144頁)。
つまり、女性をプロダクションがAV女優に積極的に勧誘したり、制作会社に派遣すること自体が刑事罰の対象なのだ。 |
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(再掲。伊藤和子 HRN事務局長)
「労働者派遣法の有罪事例・平成6年3月7日東京地裁判決」
こちらにつきましては、内閣府のサイトに要旨が掲載されています。
(参考。内閣府)
□02 被害にあわないために
昨年の11月15日の第84回女性に対する暴力に関する専門調査会でも、判決文の概略がしめされました。
(参考。厚生労働省)
□資料2-2 職業安定法・労働者派遣法関係 【厚生労働省】
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全文につきましては、奥村徹弁護士のブログに掲載されています。
参照させていただきます。
(2016年6月11日 奥村徹弁護士のブログ「各労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律違反被告事件」より、引用。 )
●平成6年3月7日 東京地方裁判所判決
(認定事実)
被告人有限会社甲野(以下、単に「被告人会社」という。)は、東京都新宿区《番地略》ビル一階に事務所を設けて芸能プロダクションを経営するもの、被告人NことAは、被告人会社取締役、被告人WことBは、被告人会社チーフマネージャーであるが、被告人NことA及び被告人BことBは、いずれも被告人会社の業務に関し、
第一 被告人会社のスカウトマンCことCと共謀の上、平成4年7月31日ころ、アダルトビデオ映画の製作等を業とする株式会社乙山に対し、同会社がアダルトビデオ映画を製作するに際し、出演女優をして男優を相手に性交及び口淫等の性戯をさせることを知りながら、被告人会社が雇用した労働者であるD子(昭和48年7月24日生)をアダルトビデオ映画の女優として派遣し、静岡県富士宮市《番地略》の元丙川酪農組合牧場跡地等において、右株式会社乙山のビデオ映画監督であるEの指揮命令のもとに同会社のために同女をアダルトビデオ映画の女優として稼働させ
第二 共謀の上、平成5年4月26日ころ、アダルトビデオ映画の製作等を業とする丁原ビデオ株式会社に対し、同会社がアダルトビデオ映画を製作するに際し、出演女優をして男優を相手に口淫等の性戯をさせることを知りながら、被告人会社が雇用した労働者であるF子(昭和46年10月13日生)をアダルトビデオ映画の女優として派遣し、東京都世田谷区《番地略》戊田スタジオ等において、右丁原ビデオ株式会社から映画撮影の依頼を受けたビデオ映画監督であるGの指揮命命令のもとに同会社のために同女をアダルトビデオ映画の女優として稼働させ
第三 共謀の上、同月28日ころ、アダル訃ビデオ映画の製作等を業とする有限会社甲田商店に対し、同会社がアダルトビデオ映画を製作するに際し、出演女優をして男優を相手に性交及び口淫等の性戯をさせることを知りながら、被告人会社が雇用した労働者であるH子(昭和48年5月1日生)をアダルトビデオ映画の女優として派遣し、山梨県《番地略》貸スタジオ乙野等において、右有限会社甲田商店から映画撮影の依頼を受けたビデオ映画監督であるIの指揮命令のもとに同会社のために同女をアダルトビデオ映画の女優として稼働させ
もって、それぞれ、公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者派遣をしたものである。
(証拠の標目)
《略》
(弁護人の主張について)
一 弁護人の主たる主張は、
(1)アダルトビデオへの出演行為は「公衆道徳上有害な業務」に該当しない、
(2)アダルトビデオ製作のために労働者を派遣する行為を処罰の対象とすることは、憲法21条(表現の自由)に違反する、 (3)被告人A及び同Bは、「公衆道徳上有害な業務に就かせる目的」を有していなかった、 というものであり、弁護人は、これらのことを理由として、被告人らは無罪である旨主張するので、当裁判所の判断を示す。 |
(参考。憲法)
●第21条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
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二 弁護人は、先ず、
派遣労働者らが出演したアダルトビデオは、日本ビデオ倫理協会の審査を経た上、満18歳未満の者への映示・貸出・販売を禁止するとの制限を付けて、一般の書店においても販売等されるものであり、作品内容においても、鑑賞者が嫌悪感・不快感を抱くものが除外され、また、販売方法等においても、青少年の健全な育成への影響も考慮されているのであるから、このようなアダルトビデオへの出演行為は「公衆道徳上有害な業務」に該当しない |
と主張する。
1 労働者派遣法は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等を図ることにより、派遣労働者の雇用の安定その他の福祉の増進に資することを目的とするもので(同法1条)、労働者保護立法としての色彩も有するものである。労働者派遣法58条の規定は、労働者派遣が労働者供給の一形態であることにかんがみ、職業安定法63条2号が処罰の対象としている行為のうち、同号所定の有害業務に就かせる目的で労働者派遣をする行為については、労働者派遣法において、同様に禁止し、処罰することとしたものと解される。
(参考。労働者派遣法)
●第58条
公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者派遣をした者は、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。
(参考。職業安定法)
●第63条
次の各号のいずれかに該当する者は、これを1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。
一 暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者
二 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者
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すなわち、労働者派遣法58条の規定は、同条所定の有害業務に就かせる目的で労働者派遣をすることを禁止することにより、その業務の存立を困難ならしめるとともに、派遣労働者一般の保護を図ることを目的としたものと解される。
労働者派遣法58条の趣旨・目的が右のとおりであるから、同条にいう「公衆道徳上有害な業務」に該当するかどうかは、派遣労働者の従事する業務内容自体から判断すべきであって、派遣労働者の従事する業務から作り出された結果(本件においては、製作発表されたビデオ映画)によって判断すべきではないことは、いうまでもない。 |
このことは、例えば、女子労働者の深夜労働禁止の規定に違反して女子労働者を使用した場合に、それにより社会的に何ら問題のない有用な製品が作られたとしても、そのことによって使用者について女子労働者深夜労働禁止違反の罪の成立が阻却されるものでないことを考えれば、明らかである。 |
したがって、製作発表されたビデオテープ自体から公衆道徳上の有害性があるか否かを判断すべきであるとの弁護人の主張は、到底採用することができない。
2 そこで、次に、本件における派遣労働者の従事する業務内容についてみると、派遣労働者である女優は、アダルトビデオ映画の出演女優として、あてがわれた男優を相手に、被写体として性交あるいは口淫等の性戯の場面を露骨に演じ、その場面が撮影されるのを業務内容とするものである。
右のような業務は、社会共同生活において守られるべき性道徳を著しく害するものというべきであり、ひいては、派遣労働者一般の福祉を害することになるから、右業務が、「公衆道徳上有害な業務」にあたることに疑いの余地はない。 |
そして、労働者派遣法58条の規定は、前述のように、労働者一般を保護することを目的とするものであるから、右業務に就くことについて個々の派遣労働者の希望ないし承諾があったとしても、犯罪の成否に何ら影響がないというべきである。 |
(参考。労働者派遣法)
●第58条
公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者派遣をした者は、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。
弁護人は、
性交ないし性戯自体は人間の根源的な欲求に根ざすものであるから「有害」でない |
と主張するけれども、
性交あるいは口淫等の性戯を、派遣労働者がその業務の内容として、男優相手に被写体として、行う場合と、愛し合う者同士が人目のないところで行う場合とを同一に論じることができないことは、明らかであり、この点の弁護人の主張もまた採用することができない。 |
三 さらに、弁護人は、アダルトビデオ製作のために労働者を派遣する行為を処罰の対象とすることは、憲法21条(表現の自由)に違反する旨主張する。
(参考。憲法)
●第21条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
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被告人は、当公判廷において、アダルトビデオ映画に女優を派遣することによりアダルトビデオ映画という表現活動に参加するという意識はなかった旨供述しているところであり、憲法21条違反の主張なし得る主張適格があるかどうか自体が疑問であるが、労働者派遣法58条の規定は、前記のとおり、有害業務への労働者派遣を禁止することにより、その業務の存立を困難ならしめ、派遣労働者一般の保護を図ることを目的としたものであって、派遣労働者一般を保護するために必要な、合理的、且つやむを得ない規制であると認められるから、
このことによって、表現活動に制約が加わったとしても、それはまさしく公共の福祉による制約であって、憲法21条に違反するものではない。 |
弁護人のこの点に関する主張も理由がない。
四 弁護人は、被告人A及び同Bは、
派遣労働者がアダルトビデオに出演し、性交あるいは性交類似行為を行うことは認識していたが、右業務が有害であるとの認識はなく、また「公衆道徳上有害な業務に就かせる目的」も欠いていた |
旨を主張する。
しかしながら、関係各証拠によれば、被告人A及び同Bは、各労働者を派遣するに当たり、判示のとおり、派遣を受けた会社がアダルトビデオ映画を製作するに際し、派遣労働者である女優をして男優を相手に性交ないし口淫等の性戯をさせることを知りながら、その演技をさせるために労働者を派遣していたと認められるから、被告人A及び同Bに公衆道徳上有害な業務に就かせる目的があったと認めるに十分である。 |
弁護人の主張は、結局被告人A及び同Bは法律上の意味を理解していなかったというにすぎず、この点に関する弁護人の主張も理由がない。
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明達な判決文です。
1994年3月7日、東京地方裁判所は、プロダクションに罰金50万円、会社取締役とチーフマネージャーに懲役2年を言い渡しました。
(川奈まり子AVAN代表のツイートより、引用。)
●川奈まり子 AVAN代表
<2017年7月11日>
https://twitter.com/MarikoKawana/status/884537491721551872
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(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年7月25日>
前社長の洗脳口癖 『俺達はお前の家族だ。お前の夢を応援する』 『夢の為なら法に触れなければ手段を選ぶな』 『夢の為ならほかの奴らなんてどーでもいい、使え』 その他の特徴として 会話のペースをコチラに掴ませない。 はぐらかすのが上手。 |
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(再掲。青木)
「法に触れなければ手段を選ぶな」
先ほどの判決のなかで、裁判長は、つぎのようにのべました。
(弁護人の主張) 「被告人A及び同Bは、『公衆道徳上有害な業務に就かせる目的』を有していなかった」 弁護人の主張は、結局被告人A及び同Bは法律上の意味を理解していなかったというにすぎず、この点に関する弁護人の主張も理由がない。 |
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(再掲。裁判長)
「結局被告人A及び同Bは法律上の意味を理解していなかった」
青木も上述の被告人たちと同根です。
自分で、
「法に触れなければ手段を選ぶな」
と、ほざいておきながら、法をおかしています。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年7月25日>
富士山の樹海近くのスタジオに連れていかれてどうやって逃げろと? 周り何も無いですし。 怖い人20人近くいて声も出ないですよ。 男性にはこの怖さは分かりません。 |
そう遠くない将来、青木たちは、自分たちのやったことが犯罪であったと思い知らされることでしょう。
警察官、検察官、裁判官、刑務官によって。
もちろん、主たる罪名は、労働者派遣法違反でなく、強姦罪です。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
■香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)
(明日のブログへつづく)
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