セカンドレイプということばがあります。
よく耳にします。
一般的には、性的二次被害、と訳されています。
卜沢彩子さんというかたがいらっしゃいます。
性暴力の被害者です。
卜沢彩子さんが、セカンドレイプについて論及されました。
(2017年7月20日 ウェジー「『スカートを履いているからいけない』性暴力被害に遭った私に押し付けられる“枠”と、セカンドレイプが起きる理由」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
●卜沢彩子さん
しかし私が一番つらかったのは、その後のセカンドレイプと生活でした。
▼解説 セカンドレイプとは?
性暴力の被害者に対する二次被害の総称。
本人の意志に反して被害の苦痛を思い出させたり性暴力の責任を被害者に求めることで、間接的もしくは直接的に心理的、社会的なダメージを与えること。
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(再掲)
「被害の苦痛を思い出させたり性暴力の責任を被害者に求める」
最初にセカンドレイプをおこなうのは、警察、のようです。
詩織さんの事例をみてみます。
(2017年6月8日 女性自身「『処女ですか?』と聞かれ…詩織さんが語る“捜査中の屈辱”」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
●詩織さん
捜査の過程では、被害者として耐えられないことがたくさんありました。
所轄の高輪署では、男性警官がいる前で私が床に寝転がり、大きな人形を相手にレイプされたシーンを再現させられました。
さらにそれを写真に撮られるんです。
口頭で説明すれば状況はわかることなのに、なんでこんな屈辱的なことをしなくちゃいけないのか。
ほんとうに苦しかった……
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●詩織さん
こういう捜査の方法から変えていかないと、被害者が警察に届け出できない。
いくら性犯罪の法律が厳罰化されても救われない。
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(再掲)
「被害者が警察に届け出できない」
警察の対応は、頗(すこぶ)る(非常に)問題があります。
(山本モナさんのツイートより、引用。)
●山本モナさん
<2016年11月20日>
きっと警察からのセカンドレイプでド凹みしますよ…いくら相手があの事務所とはいえ… https://t.co/SgEdbqsWAh
— 山中モナ (@monayamanaka) November 20, 2016
きっと警察からのセカンドレイプでド凹みしますよ…
いくら相手があの事務所とはいえ…
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舞田敏彦さんという教育社会学者が、ニューズウイークで、同旨のことをのべています。
(2017年5月25日 ニューズウイーク「レイプ事件を届け出る日本の被害者は氷山の一角」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
被害を訴えるのをためらう女性が多い。
男性の警察官に事件当時のことを根掘り葉掘り聞かれる「セカンド・レイプ」もその原因なっていると見られている。
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評論家の勝部元気さんも、似たような意見をおもちです。
(女子SPA! 2017年6月21日「女性を盗撮してる男を注意したら、逆上され…!勝部元気さんが体験した一部始終」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
●勝部元気さん
よく「日本は性犯罪が少ない」という声を聞きますが、それは間違いで、単に「泣き寝入り」をさせられてしまっている人が多いだけと言われています。
先進諸国に比べて法律やその運用が未熟だったり、セカンドレイプが蔓延していたり、そしてこのように逆上して暴行する人もいるとなれば、被害に遭っても言い出せない女性が大半なのも当たり前ですよね。
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(再掲)
「単に『泣き寝入り』をさせられてしまっている人が多いだけ」
国会で、この問題をめぐって、やりとりがかわされました。
2017年6月15日 参議院 法務委員会
(参考。参議院インターネット審議中継)
●6月15日 参議院 法務委員会
(「会議録」より、引用。)
●真山勇一 参議院議員(民進党)
(前略。)
性暴力と刑法を考える当事者の会、代表という、そういうグループがあるんですが、そこの資料にも紹介されているんですが、平成26年の数字です。
性交などの被害者、そういう女性が警察に相談する割合というのが驚くほど低いんですね。
26年の内閣府調査だと4.3%というんですね。
どのぐらいの被害があって、届け出る人というのはどのぐらいなのか、なぜこんなに低いのか、この辺り、お伺いできますか。
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●大塚幸寛 内閣府 大臣官房審議官(現賞勲局長)
お答えいたします。
今ただいま委員御指摘のございました数値は、私どもの男女間における暴力に関する調査のデータからの引用かというふうに理解をいたしております。
確かにこの中では、被害を受けた女性のうち、警察に連絡、相談したのは4.3という数字でございました。
この理由は必ずしもつまびらかではございませんが、やはり元々の暴力、犯罪ということの性格上、ややもすると、なかなかここはやはり相談しづらい、相談するのをためらってしまうといったようなことも、一つそういった心理も一因として働いているのではないかと、このように考えております。
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95.7%の女性が泣き寝入りをしているということになります。
●真山勇一 参議院議員(民進党)
やはり、性犯罪の被害者になると、そういうことになると、やはり訴え出て、取調べ、事情聴取などを受けるということがあると思います。
犯罪に巻き込まれた人にとってはとてもつらいことだと思うんですけれども、自分がどんな状況でその性犯罪の被害を受けたのかということを他人にどうしても話さなくてはいけない、話さなければ捜査が始まらないということもあります。
しゃべる相手は、他人というよりは捜査関係だというふうに思うんですけれども、性犯罪、その事情聴取ということでしばしば言われることが、その被害者、大変ショックを受けている、そうした中で改めて自分が被害に遭ったときの状況を話さなくてはいけないということがあります。
その説明をする、その事情を話す。
大変つらいことですし、言い方によっては屈辱的なことを聞かれたり屈辱的な状態を再現しなくちゃいけないとかということがあるというふうに聞かれています。
セカンドレイプという言葉で言われていますけれども、この性犯罪事件の事情聴取ということ、一般的にはどんな形で行われるのか。
例えば、状況を説明する、非常にちょっとたくさん、大ざっぱな質問になりますけど、どんな状況で事情聴取というのは行われるんでしょうか。
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●高木勇人 警察庁 長官官房審議官
もちろん事案によって様々でございます。
また、届出をされた時点と被害の時点との時間的な間とか、そういったことによって様々だと思います。
まず、被害者の方が被害から直近の場合には、けが等をされているような場合もあろうかと思います。
そういった場合は、まず、そういった治療の必要性であるとか、そういったことをきちんと判断をするといったことが必要になります。
その上で事情聴取等を行っていくことになりますが、その際も、被害者の現状をよく踏まえまして、また捜査の中身ないし事情聴取の中身の、なぜそういったことを聞く必要があるのかと、こういったことをきちんと説明しながら、御理解を得ながら、また被害者の方の体調も踏まえながら、できる限り心情に配意しながら、できる限り負担が少なくなるようにと、そういった配慮をしながら事情聴取を行っているという現状でございます。
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●真山勇一 参議院議員(民進党)
それで、その事情聴取を受ける相手、相手が警察の場合は警察官になるわけですけれども、例えば、被害者の方が警察駆け込んで、あるいは連れてこられて、そして被害に遭った実態を話すということになる。
普通、取調べ、事情聴取ですね、どんな形で行われるのかということは、つまり聞く相手は男性の警察官と女性の警察官というのがあると思うんですね。
もちろん最近は被害も、恐らく女性ばかりでなくて男性の被害者というのもあると思うんですが、基本的にこの被害者の性と例えば事情聴取をする側の警察官の性というのは、何か特定のルールみたいなものはあるんですか。
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●高木勇人 警察庁 長官官房審議官
お尋ねの件は、被害者の御希望をまず伺うということがございます。
できるだけそれに沿えるようにするということになります。
ただ、例えば夜間で小規模署で、被害者としては女性を希望しているんだけれども、そういったことができないといった場合もございますけれども、そういった場合には、被害者に御了承が得られれば事情聴取を続けるであるとか、ケース・バイ・ケースになろうかと思っています。
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●真山勇一 参議院議員(民進党)
被害者の方からの声の中に、やはり一般的に女性が多いわけですね、そうすると女性の被害者が、やはり男性の警察官だといろいろ話しにくいとか屈辱的だとかということが、訴えがあります。
今おっしゃったように、そのケース・バイ・ケースで、やはり本人が望むなら女性警官あるいは男性警官ということをきめ細かく是非やっていただくということもこうした性犯罪をなるべく捜査していくということにとっては大事なことだと思うので、是非よろしくお願いします。
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警察庁は現場の警察の実態がよくわかっていないのかもしれません。
腑に落ちない答弁でした。
このあと、糸数慶子議員が、関連して質問をおこないました。
・猪口邦子(自民党)
・真山勇一(民進党)
・有田芳生(民進党)
・佐々木さやか(公明党)
・仁比聡平(日本共産党)
・東徹(日本維新の会)
・糸数慶子(沖縄の風)
・山口和之(無所属)
(「会議録」より、引用。)
●糸数慶子 参議院議員(沖縄の風)
先ほども仁比委員から質問がありましたけれども、例えばレイプの被害に遭った人がなかなか告発できない理由の一つに、例えば警察であるとか、あるいは男性の医師であるとか、被害を受けて大変傷ついているにもかかわらず、改めて、例えば先ほどもありました、処女であるのか、あるいはまたどうしてそんな時間にこういう場所を歩いていたのか、あるいは、ひどい質問によると、どうしてそのような服装をしていたのか、そういうふうにして、その被害に遭った女性があたかもその被害に遭っていくような条件があったのではないかと、被害に遭った人を責め立てるような、そういう質問の仕方、そのようなことでいわゆるセカンドレイプ、再び女性が傷を改めて付けられる、そのためになかなか告発ができないという、そういう実態が実際にありました。
沖縄でも、95年の少女の暴行事件以来、実は訴えたくても訴えることができなかったという人たちが随分声を上げてまいりましたが、それはある意味、対応してくださる警察や病院がこの事件をきっかけにして随分対応の仕方が変わってきた。
それで勇気を出して告発をするという一つの、ある意味一つ進んだ事例ではありましたが、しかしまだ勇気を出してしっかりと告発のできない被害者が多いということも実態であります。
(再掲)
「沖縄でも、95年の少女の暴行事件以来、実は訴えたくても訴えることができなかったという人たちが随分声を上げてまいりましたが、それはある意味、対応してくださる警察や病院がこの事件をきっかけにして随分対応の仕方が変わってきた。それで勇気を出して告発をするという一つの、ある意味一つ進んだ事例ではありました」 |
「訴えたくても訴えることができなかったという人たちが随分声を上げてまいりました」
「警察や病院がこの事件をきっかけにして随分対応の仕方が変わってきた」
「95年の少女の暴行事件」とは、1995年に、小学6年生の女子が米兵3人に暴行された事件です。
少女は、ふたたび自分のような被害者があらわれてほしくない、と親にうったえて、警察におもむいたと言われています。
わずか12歳の女児がこのように思い立ったのです。
詩織さんも泣き寝入りを忌避しました。
(2017年6月8日 女性自身「『処女ですか?』と聞かれ…詩織さんが語る“捜査中の屈辱”」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
●詩織さん
けど、私がだまっていたら現状を変えられない。
将来、自分の子どもや大切な人に同じことが起こったら、すごく後悔すると思ったんです。
いまここで、なぜきちんとこの話を伝えて、変えようとしなかったんだろうって。
まちがっていることは、まちがっていると、きちんと話せる社会にしたいんです。
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(再掲)
「将来、自分の子どもや大切な人に同じことが起こったら、すごく後悔すると思ったんです」
香西咲さんも同じ気持ちであったのかもしれません。
(2016年7月29日 毎日新聞「AV出演強要 香西咲さん『私はこうして洗脳された』」より、引用。改行を施しています。)
●毎日新聞記者 なぜそこまで覚悟を決められた? ●香西咲さん |
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年7月20日>
(前略。) 入口は不本意な形でも携わってしまった以上、人の為になってから去りたい。 |
●香西咲さん
<2016年6月27日>
(前略。) (略)今後不本意な形での出演が減って頂けたら私も報われます。 |
香西咲さんのうったえによって人々は、出演強要という悪辣な犯罪の実態を知りました。
結果、多くの女性が救われました。
被害を免れました。
警察の対応もかわりました。
この潮流が出演強要以外にも広がることを願っております。
ちなみに、警察の対応をさらに改善したのは、伊藤和子HRN事務局長です。
(伊藤和子HRN事務局長のツイートより、引用。)
●伊藤和子HRN事務局長
<2017年4月14日>
今日は都内某警察署で、深刻なAV出演強要被害について被害相談に。
政府の特別月間というので、被害者の方も勇気を出して行ったところ、信じられなーい!ひどい対応。
今日中に、警視総監と警察署長宛に抗議文を書いて送るか。。
それにしても月間って掛け声だけ、やってるフリじゃ困りますよ!!— Kazuko Ito 伊藤和子 (@KazukoIto_Law) April 14, 2017
今日は都内某警察署で、深刻なAV出演強要被害について被害相談に。
政府の特別月間というので、被害者の方も勇気を出して行ったところ、信じられなーい!ひどい対応。
今日中に、警視総監と警察署長宛に抗議文を書いて送るか。。
それにしても月間って掛け声だけ、やってるフリじゃ困りますよ!!
(参考。伊藤和子HRN事務局長のブログ)
●AV出演強要被害者に警察が衝撃の冷たい対応。「強姦で告訴?被害当日に警察に相談しましたか?」
●伊藤和子 HRN事務局長
<2017年5月25日>
確かに警察は、AV出演強要問題、とてもがんばっていると思う。
まだ問題はたくさんあるのだけれど、でも、少なくとも献身的に毎日頑張っている人たちがいる。ポーズじゃない。
これは掛け値なしに言いたいこと。— Kazuko Ito 伊藤和子 (@KazukoIto_Law) May 25, 2017
確かに警察は、AV出演強要問題、とてもがんばっていると思う。
まだ問題はたくさんあるのだけれど、でも、少なくとも献身的に毎日頑張っている人たちがいる。
ポーズじゃない。
これは掛け値なしに言いたいこと。
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申し添えておきます。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
■香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)
(明日のブログへつづく)
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