5月19日に、第3回関係府省対策会議が開催されました。
この席で、出演強要問題に対する「今後の対策」がきまりました。
法務省のとりくみのひとつに、相談電話の活用があります。
(2017年5月19日 第3回関係府省対策会議「今後の対策」より、引用。)
法務省の人権擁護機関において、「女性の人権ホットライン」、「子どもの人権110番」といった専用相談電話や、「子どもの人権 SOS ミニレター」、「インターネット人権相談受付窓口」等を含む各種人権相談窓口について、法務省ホームページや広報資料等を活用して、引き続き周知を図る。(法務省)〔平成 29 年4月~〕 |
「子どもの人権110番」のくだりに目をやったとき、ぼくは、JKビジネスを想起しました。
出演強要被害については、「女性の人権ホットライン」のほうがふさわしいような気もします。
とりあえず、法務省のホームページで調べてみることにしました。
法務省
(法務省「アダルトビデオ出演強要及びJKビジネス問題に係る相談窓口について」より引用。改行を施しています。)
近年、女性に対して本人の意に反したいわゆるアダルトビデオへの出演を強要する問題や、いわゆる「JKビジネス」と呼ばれる営業により児童が性的な暴力被害に遭う問題などが発生しており、若年層に対する性的な暴力に係る問題が深刻な状況にあります。
このような問題に対して、法務省では、以下の対策を行っております。
・法務省の人権擁護機関では、「女性の人権ホットライン」、「子どもの人権110番」等を含む各種相談窓口を設けているほか、性的な画像を含むインターネット上の人権侵害情報について削除依頼方法の助言等必要な支援を行っています。
(後略。)
——————————————————–
当該文章を読んでも、「女性の人権ホットライン」と「子どもの人権110番」が、截然(ぜつぜん)と(区別がはっきりと)しません。
つぎに、「子どもの人権110番」のページをみました。
(法務省「子どもの人権110番」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
子どもたちへ
がっこうで「いじめ」を受けて学校に行きたくない、親から虐待されている、でも先生や親には言えない・・・、誰れに相談していいか分からない・・・。
もしもそんな苦しみを抱えていたら、一人で悩まずに、私たちにお電話ください。
法務局・地方法務局の職員、または人権擁護委員が、皆さんのお話しを聞いて、どうしたらいいか一緒に考えます。
相談は無料、相談内容の秘密は守ります。
○受付時間 平日午前8時30分から午後5時15分まで
——————————————————–
「子どもの人権110番」は、いじめや虐待など、といった相談が主のようです。
出演強要やJKビジネス問題に特化したものではない、ということがわかりました。
いささか旧聞に属します。
6月26日から7月2日までの一週間は、「『子どもの人権110番』強化週間」、でした。
政府系の情報を発信しているヒノマル通信を参照します。
(2017年6月28日 ヒノマル通信「全国一斉「子どもの人権110番」強化週間が実施されます。」より引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
6月26日(月)から7月2日(日)まで,全国一斉「子どもの人権110番」強化週間を実施します。
○受付時間(強化週間中)
(1)6月26日(月)~6月30日(金)
午前8時30分から午後7時まで
(2)7月1日(土)・2日(日)
午前10時から午後5時まで
(通常の受付時間は、平日の午前8時30分から午後5時15分までですが、強化週間中は、平日の受付時間を午後7時まで延長するとともに、土・日も午前10時から午後5時まで相談を受け付けます。)
——————————————————–
先月(6月)の26日のことです。
NHKの松山放送局(愛媛県)が、強化週間に関して、松山地方法務局のとりくみをつたえました。
(2017年6月26日 NHK松山放送局「子どもの人権110番」より、引用。改行を施しています。)
いじめや虐待など子どもの悩みに専門家が無料で電話相談に応じる「子どもの人権110番」の強化週間が26日から始まりました。
「子どもの人権110番」の強化週間は、法務省が全国一斉に行っていて、平日の電話相談の受付時間が午前8時半から午後7時までに延長されます。
(中略。)
松山地方法務局によりますと、去年1年間に県内で寄せられた子どもの悩みに関する相談は323件で、ことしはいじめや虐待のほか、女子大学生や高校生が狙われるアダルトビデオ出演強要の問題にも積極的に応じていきたいとしています。
松山地方法務局人権擁護課の仲宏課長は、「秘密も厳守しますので、1人で悩まず、気軽に相談してもらいたい」と話していました。
強化週間は、7月2日まで行われ、ふだんは電話相談を受け付けていない土曜日と日曜日も午前10時から午後5時まで相談に応じます。
(後略。)
(※この記事は現在、ネット配信されていません。)
——————————————————–
(再掲。仲宏 松山地方法務局 人権擁護課長)
「ことしはいじめや虐待のほか、女子大学生や高校生が狙われるアダルトビデオ出演強要の問題にも積極的に応じていきたい」
ネットで、松山地方法務局人権擁護課長の発言を知ったとき、ぼくは、虚を衝(つ)かれました。
(再掲。NHK松山放送局)
「子どもの人権110番」の強化週間は、法務省が全国一斉に行っていて、平日の電話相談の受付時間が午前8時半から午後7時までに延長されます」
「子どもの人権110番」は、全国の都道府県でおこなわれました。
偶然、NHK松山放送局のインタビューにおうじた松山地方法務局(愛媛県)の人権擁護課長が、
「ことしはいじめや虐待のほか、女子大学生や高校生が狙われるアダルトビデオ出演強要の問題にも積極的に応じていきたい」
と口にしたのです。
おそらく法務省は、各地の法務局に対して、事前に、同旨の指示をおこなっていたのでしょう。
出演強要に対する法務省の姿勢は、正真(しょうしん。「まこと」)のようです。
過去の発言をふりかえってみます。
(2017年3月21日 第1回関係府省対策会議「議事録」より引用。改行を施しています。)
<5ページ>
●林真琴 法務省 刑事局長 若年者を対象とした性的暴力(アダルトビデオへの出演強要)に関しまして、検察当局におきましては、関係法で積極的に適用するなどして、厳正にこれまで対処してきているものと承知しておりますけれども、今後ともこの課題が政府の重要課題であることを周知するなどして、引き続き適切な対処を確保していきたいと考えております。 |
(2017年4月28日 第88回女性に対する暴力に関する専門調査会「議事録」より、引用。)
<12ページ>
●中西 法務省刑事局・局付 また、これらの問題(アダルトビデオへの出演強要)が政府の重要な課題であって、警察等の関係機関と緊密に連携をして適切に対応する必要があることなどをさまざまな機会を通して検察当局に周知し、この事案に対して引き続き適切に対処していくこととしております。 以上でございます。 |
(2017年5月19日 第3回関係府省対策会議「今後の対策」より、引用。)
<3ページ>
② 検察当局においては、アダルトビデオ出演強要問題、「JKビジネス」問題等が、政府の重要課題であることを踏まえ、引き続き、関係法令を積極的に適用した厳正な対処を行う。(法務省)〔平成 29 年4月~〕 |
出演強要の実行者を牢屋へぶちこむためには、検察による起訴が必要となります。
(再掲。仲宏 松山地方法務局 人権擁護課長)
「ことしはいじめや虐待のほか、女子大学生や高校生が狙われるアダルトビデオ出演強要の問題にも積極的に応じていきたい」
法務省は、地方法務局だけでなく、検察に対しても、出演強要問題の周知をおこなっていると思惟(しい)します。
(2017年4月28日 第88回女性に対する暴力に関する専門調査会「議事録」より、引用。)
<11~12ページ>
●中西 法務省刑事局・局付
私からは、検察官等の犯罪被害者等への適切な対応を確実にするための教育・研修等の充実に関して御報告を申し上げます。
法務・検察におきましては、今、申し上げたとおり、犯罪被害者等へ適切な対応を確実とするために、検察官等に対し、さまざまな機会を利用し、教育・研修等を実施しております。
検察官等を対象にして、任官後の経験年数に応じた各種研修を実施し、また、協議会等を開催してまいりました。
捜査・公判等の過程において、犯罪被害者等の対応を行う検察官等に対しては、今、申し上げたような機会を通じて、被害者の支援に関する講義等を実施し、その理解等を深める取組を進めてまいった次第であります。
次に、いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・「JKビジネス」問題等に対する取組について、あわせて御説明をさせていただきます。
この点につきましては2点ございまして、1点は取締り等の強化、2点目は検察当局への周知でございます。
アダルトビデオ出演強要問題や「JKビジネス」問題等については、取締りの強化を検察当局としては行っております。
具体的に申し上げますと、アダルトビデオ出演強要問題については強姦罪や強要罪といった刑法の一般規定のほか、労働者派遣法等の法律、さらに「JKビジネス」問題については、労働基準法や児童福祉法等といった各種の法令を適用し、厳正な取締り等を推進していることとしております。
また、これらの問題が政府の重要な課題であって、警察等の関係機関と緊密に連携をして適切に対応する必要があることなどをさまざまな機会を通して検察当局に周知し、この事案に対して引き続き適切に対処していくこととしております。
以上でございます。
——————————————————–
(再掲)
●中西 法務省刑事局・局付
また、これらの問題(アダルトビデオへの出演強要)が政府の重要な課題であって、警察等の関係機関と緊密に連携をして適切に対応する必要があることなどをさまざまな機会を通して検察当局に周知し、この事案に対して引き続き適切に対処していくこととしております。 以上でございます。 |
法務省の場合は、警察とちがって、下達が整然とおこなわれているようです。
(5月12日 Yahoo!ニュース(「AV出演強要被害者に警察が衝撃の冷たい対応。『強姦で告訴?被害当日に警察に相談しましたか?』より、引用。改行を施しています。)
●伊藤和子 HRN事務局長
私は、その日のうちに抗議文を作成して警察に送ったところ、課長さんお二人がご本人に直接謝罪に来られました。
通達はわかっているけれども十分に行き届いていなかったという話でした。
——————————————————–
警察庁も、法務省を見習って、精励してほしいものです。
はなしを「子どもの人権110番」にもどします。
(2017年4月28日 第88回女性に対する暴力に関する専門調査会「議事録」より、引用。)
●栢分 法務省 人権擁護局・局付
(前略。)
また、全国の法務局・地方法務局において、女性や子供に関するものを含め、あらゆる人権に関する相談に応じております。
特に女性や子供からの相談につきましては、女性や子供が相談しやすい体制を作るため、専用相談電話である「女性の人権ホットライン」、「子どもの人権110番」を設置するなどしております。
人権相談を通じるなどして人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には、人権侵犯事件として調査を行い、その結果を踏まえて事案に応じた適切な措置を講ずることとしております。
特にインターネット上に個人の名誉やプライバシーを害する情報が掲載されているなどとする内容の相談があった場合には、プロバイダーなどへの削除依頼方法について助言をするほか、名誉毀損やプライバシー侵害等の違法な人権侵害に当たると我々で判断した書き込みについては、法務局からプロバイダーなどへの削除要請をするなどの対応を行っているところでございます。
私からは以上です。
——————————————————–
現在は、被害にあった場合、多種多様な機関に相談することができます。
選択肢がありすぎて、迷うほどです。
香西咲さんのときはちがいました。
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年6月12日>
私が前に事務所問題でトラブった事があるのは皆様ご存知かと思います。 実はその時に弁護士10人弱訪問してるんです。霞ヶ関含めて。 でも殆どの弁護士の先生に『立証しにくい』と言われ、あからさまに嫌な顔されて門前払いされました。 現実ってこんなものなんだな?って悟って腹を括った訳です。 |
●香西咲さん
<2016年10月3日>
アットハニーズを辞めて即座に 第二弁護士会にも行って相談してます。 セックスワーカー団体SWASHのご紹介の、打越さくら弁護士にも相談。 どちらも即答で『立証が取りにくい』とほぼ門前払いでしたよ。 だから世間(弁護士)の風当たりの厳しさを実感し、 腹括って独立の道を選びました。 |
このときの香西咲さんの絶望感を思うと胸が苦しくなります。
いまはちがいます。
「子どもの人権110番」でも、相談にのってくれます。
香西咲さんが状況をかえました。
——————————————————–
■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
■香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)
(明日のブログへつづく)
香西咲さんを勝手に応援するサイトへ