一昨日(6月16日)の国会(参議院)で、刑法の改正案が、全会一致で可決されました。
内容は、性犯罪の厳罰化、です。
衆議院も賛成しておりますので、これをもって法案が成立しました。
感嘆の声があがるいっぽうで、積み残された点もあります。
(2017年6月16日 産経新聞「性犯罪厳罰化の改正刑法成立に『歴史的瞬間』『大きな成果』 まだ課題も、施行3年後に見直し」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
「歴史的瞬間に立ち会えたことをうれしく思ってます」
「性暴力と刑法を考える当事者の会」代表、山本潤さん(43)が
「大きな成果」
と話すのは、付則に施行3年後の見直し規定が盛り込まれたことだ。
この日、参院法務委での参考人質疑で
「(改正案でも)被害者が13歳以上の場合、暴行・脅迫の要件を満たさなければ加害者は強姦(ごうかん)罪に問われない」
と指摘したように、課題は残されている。
今後は新たな団体を設立して、3年後に向けた取り組みを進めるという。
——————————————————–
山本潤さんは、おさないころに、実の父親から性的暴行をうけました。
現在は、「性暴力と刑法を考える当事者の会」を主催しています。
「刑法性犯罪を変えよう! プロジェクト」のメンバーでもあります。
略歴を記します。
(参考。性暴力と刑法を考える当事者の会。)
山本潤さん
●看護師・保健師。
●性暴力被害に遭った経験から勉強を始め、2007年SANE(性暴力被害者支援看護師)研修修了、2010年看護学修士取得。
●2008年より講演活動開始。
●NPO法人女性の安全と健康のための支援教育センター運営委員、日本フォレンジック看護学会理事、自助グループ野いちごの会運営者。
●著書「13歳『私』をなくした私 性暴力と生きることのリアル」(朝日新聞出版。2017年)
(再掲。産経新聞)
「暴行・脅迫の要件を満たさなければ加害者は強姦罪に問われない」
改正された刑法でも、依然として、この要件がのこっています。
光明(こうみょう)は、上述の記事にもありますとおり、「3年後の見直し規定」です。
●日経新聞 法務報道部
<2017年6月8日>
性犯罪を厳罰化する #刑法 改正案が #衆議院 本会議で可決され、#参議院 に送られました。#付則 に施行3年後の見直し規定を設ける修正がされています。「#共謀罪」法案を巡り与野党が対立する中、延長がなければ今国会の会期末は18日。刑法改正が成立するか注目されます。 pic.twitter.com/8egPslHhNT
— 日経新聞 法務報道部 (@nikkei_legal) June 8, 2017
性犯罪を厳罰化する刑法改正案が衆議院本会議で可決され、参議院に送られました。
付則に施行3年後の見直し規定を設ける修正がされています。
「共謀罪」法案を巡り与野党が対立する中、延長がなければ今国会の会期末は18日。
刑法改正が成立するか注目されます。
——————————————————–
見直しは、3年後です。
(2017年6月7日 毎日新聞「衆院委で可決 付則で『施行3年後見直し』」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
強姦罪の成立には、被害者の抵抗を著しく困難にする程度の「暴行または脅迫」の存在が必要とされるが、この点は改正案でも変わっていない。
しかし、相手への恐怖などから暴行や脅迫がなくても被害を受けるケースもあることから、この日の審議では暴行・脅迫要件を緩和する必要性などが指摘された。
その上で、自民、公明、民進、共産、日本維新の会は
「施行後3年をめどに性犯罪の実態に合わせた施策の在り方について検討を加える」
との付則の修正案を共同提出し、全会一致で可決された。
——————————————————–
衆議院では、自民党、公明党、民進党、共産党、日本維新の会が、共同で、3年後に見直しをおこなう、との修正案を提出しました。
異例です。
●さいとう和子 衆議院議員(日本共産党)
<2017年6月9日>
性犯罪厳罰化の刑法改正案が可決、110年ぶり大幅改正 (ロイター) – LINEアカウントメディア https://t.co/qIogpEHytN #linenews @news_line_me
しかし、まだまだ問題は山積み。3年後の見直し規定が修正で入ったのは重要!
— さいとう和子 (@saitokazuko) June 10, 2017
(前略。)
しかし、まだまだ問題は山積み。
3年後の見直し規定が修正で入ったのは重要!
——————————————————–
●赤沢りょうせい 衆議院議員(自民党)
<2017年6月16日>
このたびの性犯罪刑法改正の附則に法施行3年後を目途とする見直しを規定しました。刑事実体法に見直し規定が盛り込まれたのは本邦初とのことです。3年後も視野に引き続き頑張ります!
— 赤沢りょうせい (@ryosei_akazawa) June 16, 2017
このたびの性犯罪刑法改正の附則に法施行3年後を目途とする見直しを規定しました。
刑事実体法に見直し規定が盛り込まれたのは本邦初とのことです。
3年後も視野に引き続き頑張ります!
——————————————————–
6月16日、改正刑法が成立しました。
参議院での審議の流れは、以下のとおりです。
(6月16日の参議院)
①法務委員会で、参考人質疑。
↓
②法務委員会で、可決。
↓
③本会議で、可決。(成立)
——————————————————–
(再掲。毎日新聞)
「強姦罪の成立には、被害者の抵抗を著しく困難にする程度の「暴行または脅迫」の存在が必要とされるが、この点は改正案でも変わっていない」
「暴行、脅迫」の文言が気になります。
6月16日の参議院法務委員会の参考人質疑でも、この点がとりあげられました。
(参考。参議院インターネット審議中継。)
参考人は、既出の山本潤さんと、橋爪隆さん(東大教授)です。
橋爪さんは法制審議会の刑事法部会の幹事を歴任されています。
動画のなかから、一部を参照します。
(※動画。音声の文字化は、筆者。)
●東徹 議員(日本維新の会)
橋爪参考人のほうから、私、お訊(き)きしていきたいと思うのですが、先ほどから猪口議員も、また仁比議員も言われていました暴行、脅迫のところの部分であるんですけれども、他国との比較ということで猪口議員からもおはなしがあったと思うんですけれども、たぶん時間がないということでおはなしができなかったんじゃないのかなというふうに思っておるんですけれども、イギリスとか他国ではですね、そういった同意がない場合でもということになっているわけですけれども、不同意を証明することはたしかにむずかしいことだとは思うんですけれども、そこはどこの国でも同じ悩みをかかえていることだというふうに思うんですね。
その点で、何かですね、知恵があればと思うのですが、その点についてはどのようにお考えなのでしょうか。
——————————————————–
●橋爪隆 東京大学大学院法学政治学研究科教授
回答もうしあげます。
いまの点でございますけれども、たしかに暴行、脅迫というものがございますので、具体的な反抗を困難にする暴行、脅迫がなければ、強姦罪は成立しません。
ただ、現実に、被害者のかたがですね、抵抗できない状態に追いこまれて、意に反して性行為にいたった場合について、暴行、脅迫を欠くという事例は、たぶん、あまりないと思うんですね。
基本的な実務におきましても、意思に反することがあきらかであるならば、それは翻(ひるがえ)って暴行、脅迫を認定する、という形式で対応がおこなわれているというふうに理解しておりますので、文言の印象ほど、暴行、脅迫といった要件が、過剰に性犯罪を限定しているわけではないというふうに考えております。
やはり、どうしても、暴行、脅迫という文言がございますので、それが場合によっては捜査機関にとっても、性犯罪の対応を躊躇する契機になっているかもしれませんが、今後の実務におきましては、暴行、脅迫はあくまでも意思に反することの徴表(目印)であって、過剰にそれを重視するべきではないとの観点から検討を進めていきたいというふうに考えております。
——————————————————–
●東徹 議員(日本維新の会)
そうすれば、暴行、脅迫という文言そのものをですね、見直していくべきというふうに考えていったほうがいいのかなと私は思うんですけれども、そういうことでよろしんでしょうね。
——————————————————–
●橋爪隆 東京大学大学院法学政治学研究科教授
お答えもうしあげます。
たしかに、暴行、脅迫といった要件、文言をですね修正する余地はあるというふうに考えておりますけれども、ある種、刑法典は、いろいろな犯罪で、暴行、脅迫を実行行為にしております。
たとえば、強盗罪につきましても、暴行、脅迫を実行行為としております。
基本的な粗暴犯につきましては、暴行、脅迫を要件としたうえで、構成要件をつくるというしくみになっておりますので、もし性犯罪につきまして、暴行、脅迫を修正するということでありましたら、それは別の犯罪につきましても、実行行為の内容を大幅に修正、検討する必要があるというふうに考えております。
——————————————————–
(再掲。橋爪隆 東京大学大学院法学政治学研究科教授)
「基本的な実務におきましても、意思に反することがあきらかであるならば、それは翻(ひるがえ)って暴行、脅迫を認定する、という形式で対応がおこなわれている」
「文言の印象ほど、暴行、脅迫といった要件が、過剰に性犯罪を限定しているわけではない」
ぼくは、ひとつ、息をつきました。
実務では、被害者のことを慮(おもんぱか)った現実的な対応がなされているようです。
(2016年9月18日 AbemaTIMES「【AV出演強要問題】元カリスマ女優・川奈まり子氏が業界健全化のために奮闘」より、引用。改行を施しています。)
香西は、当初はモデルとしてスカウトされたはずだったのに蓋を開けたらAV出演ということになっていた。
(略)、AV撮影のために富士山の麓に連れていかれて、3時間泣いたこともあるという。
その時、自分をスタッフ全員が待っている状況にあった。
●香西咲さん
遠いところですから……。
よっぽど強い子でないと(撮影を中止させるのは)無理だと思いますし。
私さえ泣いておけば丸く収まると思った。
結局AV撮影に応じることになりました。
あとは、違約金などを理由に辞められないです。
——————————————————–
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年7月25日>
富士山の樹海近くのスタジオに連れていかれてどうやって逃げろと?
周り何も無いですし。
怖い人20人近くいて声も出ないですよ。
男性にはこの怖さは分かりません。
——————————————————–
(香西咲さんのツイートより、引用。)
●香西咲さん
<2016年7月24日>
青木は本当に自分の手を汚さない。
やってくるのは洗脳と脅迫と泣き脅し。
——————————————————–
(再掲。橋爪隆 東京大学大学院法学政治学研究科教授)
「基本的な実務におきましても、意思に反することがあきらかであるならば、それは翻(ひるがえ)って暴行、脅迫を認定する、という形式で対応がおこなわれている」
「文言の印象ほど、暴行、脅迫といった要件が、過剰に性犯罪を限定しているわけではない」
(2017年2月19日 日刊SPA! 「AV業界“ドロドロ相互不信”の内幕…手をつくして攻めてくる警察捜査、関係者に疑心暗鬼が蔓延」より、引用。改行を施しています。)
あるAVプロダクション関係者は言う。
「香西咲さんの件では、元芸能人をウリにすることで人気のメーカー『MUTEKI』に20人規模の捜索が入ったそうです。
□青木亮
□大西敬
□高畠典子
□坂田恵理子
□坂上孝志
□A-TEAM 飯田正和
□T総研のY
□メーカー関係者
もうこいつらはおわりです。
(2017年5月19日 第3回関係府省対策会議「今後の対策」より、引用。)
(警察庁) ①警察において、関係機関等とも連携し、関係機関等から警察に提供のあった情報も踏まえ、アダルトビデオ出演強要問題については、強姦罪、強要罪、労働者派遣法等の(JKビジネスについては略)各種法令を適用した厳正な取締りを推進する。 |
(2017年4月28日 第88回女性に対する暴力に関する専門調査会「議事録」より、引用。)
(法務省) ●中西 法務省刑事局・局付 アダルトビデオ出演強要問題や「JKビジネス」問題等については、取締りの強化を検察当局としては行っております。 具体的に申し上げますと、アダルトビデオ出演強要問題については、強姦罪や強要罪といった刑法の一般規定のほか、労働者派遣法等の法律、(JKビジネスについては略)といった各種の法令を適用し、厳正な取締り等を推進していることとしております。 |
ゴミ、クズたちの逮捕はいつになるのでしょうか。
改正刑法につきましては、付則のほかに、付帯決議も可決されました。
(2017年5月18日 公明新聞「性暴力被害対策で団体と意見交換」より、引用。改行を施しています。)
公明党の秋野公造、佐々木さやか両参院議員は17日、参院議員会館で、性暴力被害者を支援するNPO法人など4団体で構成する「刑法性犯罪を変えよう! プロジェクト」のメンバーと意見交換した。
同団体は、性暴力について、被害直後に身動きが取れなくなる不動反射(フリーズ反応)が起きるケースがあることなどを指摘。
性犯罪の罰則を強化する刑法改正案が今国会に提出されていることから「被害者の心理的負担を十分考慮した付帯決議の実現を」と訴えた。
秋野氏らは、実現に尽力する考えを示した。
——————————————————–
山本潤さんも会員である「刑法性犯罪を変えよう! プロジェクト」は、早い段階から、付帯決議をもとめていました。
ちなみに、付帯決議には、法的拘束力がありません。
(2017年6月16日 産経新聞「性犯罪110年ぶり厳罰化、改正刑法が成立 被害者告訴なしでも立件」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
付則に施行3年後の見直し規定が盛り込まれ、被害者の二次被害防止に努める付帯決議が衆参両院の法務委員会で議決された。
——————————————————–
(2017年6月7日 バズフィードニュース「刑法改正がヤマ場『性暴力被害者が前向きに生きられる日本に』当事者ら、大臣に要望 」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
衆議院法務委員会は6月7日、施行後3年をめどとして、実態に即した施策を検討し、必要な措置をするという趣旨の附則を改正案につけた。
さらに、付帯決議もした。
そこでは、政府や最高裁は「格別の配慮をすべき」として、暴行・脅迫要件について心理学的・精神医学的知見からの調査研究を推進し、警察・検察・裁判官に被害者心理の研修をすること、性暴力被害者に対する「ワンストップ支援センター」を整備することなどが挙げられた。
——————————————————–
付帯決議につきましては、動画で確認することができます。
●付帯決議(動画)
6月16日の参議院法務委員会で、真山勇一議員が文書を読みあげました。
そのあと、全会一致で、可決されました。
なかなかの名文です。
香西咲さんにもぜひ、ご覧になっていただきたいです。
——————————————————–
■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
■香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)
(明日のブログへつづく)
香西咲さんを勝手に応援するサイトへ