「人間は、常に自ら進んで自分の心を変え、ふたたび出発点に戻ることによってのみ、なにかを始める大きな力を与えられる」。香西咲さんは人生をやりなおすことができます

昨日、ハンナ=アーレント(1906年~1975年)の思想についてふれました。
孤立した大衆がなぜ、いとも簡単に全体主義へひきこまれていくのか。
「全体主義の起源」(1951年)のなかで、その要因が論じられています。
ハンナ=アーレントには、もうひとつ、名高い著作があります。
「人間の条件」(1958年)です。
書物のなかで、ハンナ=アーレントは、人間の活動を3つに分類しました。
労働、仕事、活動です。
大要を記します。

労働、仕事、活動
労働(labor)
 =自分の生命を維持するために、やらざるをえない行為

人は、生きていくために、食糧をえなければなりません。
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仕事(work)
 =人工的で、耐久的なモノを生産する行為

自然を加工してモノをつくり、文化的な世界を形成します。
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活動(action)
 =言論などによって、多数の人間とかかわる行為

私的な利害の束縛から解放されて、公的な空間、で自由に話し合います。
ことばで相手をうごかして、共同体を形成します。
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ハンナ=アーレントが重視したのは、「活動」です。
「活動」のなかに、人間的条件の復権の可能性を見いだしました。
「活動」をおこなうために必要なのは、公的な空間、です。
公的な空間、とは、他者とまじわり他者の立場で考えることができる空間、のことです。
具体的に、ハンナ=アーレントの論説をみてみます。

(ハンナ=アーレント著 志水速雄訳「人間の条件」ちくま学芸文庫刊より、引用。改行を施しています。)

<一部分を引用>
労働(labor)とは、人間の肉体の生物学的過程に対応する活動力である。
人間の肉体が自然に成長し、新陳代謝を行ない、そして最後には朽ちてしまうこの過程は、労働によって生命過程の中で生みだされ消費される生活の必要物に拘束されている。
そこで、労働の人間的条件は生命それ自体である。

仕事(work)とは、人間存在の非自然性に対応する活動力である。
人間存在は、種の永遠に続く生命循環に盲目的に付き従うところにはないし、人間が死すべき存在だという事実は、種の生命循環が、永遠だということによって慰められるものでもない。
仕事は、すべての自然環境と際立って異なる物の「人工的」世界を作り出す。
その物の世界の境界線の内部で、それぞれ個々の生命は安住の地を見いだすのであるが、他方、この世界そのものはそれら個々の生命を超えて永続するようにできている。
そこで、仕事の人間的条件は世界性である。

活動(action)とは、物あるいは事柄の介入なしに直接人と人との間で行なわれる唯一の活動力であり、多数性という人間の条件、すなわち、地球上に生き世界に住むのが一人の人間ではなく、多数の人間であるという事実に対応している。
たしかに人間の条件のすべての側面が多少とも政治に係わってはいる。
しかしこの多数性こそ、全政治生活の条件であり、その必要条件であるばかりか、最大の条件である。

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ハンナ=アーレントは、「活動」がうしなわれて「労働」が優位となった現代の社会を憂います。

(再掲)
労働(labor)=自分の生命を維持するために、やらざるをえない行為
活動(action)=言論などによって、多数の人間とかかわる行為

(ハンナ=アーレント著 志水速雄訳「人間の条件」ちくま学芸文庫刊より、引用。改行を施しています。)

<一部分を引用>
労働することは必然[必要]によって奴隷化されることであり、この奴隷化は人間生活の条件に固有のものであった。
人間は生命の必要物によって支配されている。
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人間は、自分が必然[必要]に従属しているということを知らないとき、自由ではありえない。
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というのは、人間の自由とは、常に、自分を必然[必要]から解放しようという、けっして成功することのない企ての中で獲得されるものだからである。
そして、この解放への最も強い衝動が「空虚さへの反発」から生じるものであることは事実であろう。

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(再掲。ハンナ=アーレント)
労働することは必然[必要]によって奴隷化されること

先述しましたように、「労働」とは、自分の生命を維持するためにやらざるをえない行為、のことです。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2014年7月6日>
今日丸1日寝てしまったの。
そしてさっき起きた☆
いつもだったら罪悪感の塊になっちゃう所だけど、今は思いっきりダレても自分を許す!
だってこの三年間、殆ど遊びにも行かずに真面目に過ごして過ぎたから。
暫しのリフレッシュ☆

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(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
2014年8月11日>
この3年間は真面目に仕事する事しか頭になくて、ほとんど遊んでこなかったんです。
だからここ最近ちょこちょこ友達と遊んだり、飲みに出掛けたりする様になった事に
『私こんなに遊んでイイのだろうか?』・・・

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青木の支配下にあったころ、香西咲さんには自由がなかった、ということがわかります。

(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
<2016年6月23日>
数年前は監視が酷かったから。
少しネガティヴ吐いただけで相手方弁護士から電話かかってきたり。
監視は今も無くはないけど。

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(2016年7月7日発売「週刊文春」2016年7月14日号より、引用。)

香西咲さん
青木の支配下に置かれていた頃、私にとってAV撮影は自傷行為そのものでした。
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(再掲。ハンナ=アーレント)
労働することは必然[必要]によって奴隷化されること

香西咲さんの場合は、まさに、奴隷、でした。

(再掲。ハンナ=アーレント)
この解放への最も強い衝動が『空虚さへの反発』から生じるものであることは事実であろう

「労働」だけの世界は、空虚なものです。

(ハンナ=アーレント著 志水速雄訳「人間の条件」ちくま学芸文庫刊より、引用。改行を施しています。)

<一部分を引用>
人びとは活動と言論において、自分がだれであるかを示し、そのユニークな人格的アイデンティティを積極的に明らかにし、こうして人間世界にその姿を現わす。
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「活動」とは、言論などによって多数の人間とかかわる行為です。
先にのべましたように、ハンナ=アーレントは、人間が復権するための条件は「活動」であると考えました。
「人間の条件」のなかから、活動に関する部分を引きます。

言論なき生活、活動なき生活というのは世界から見れば文字通り死んでいる。
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自分の私的な隠れ場所を去って、自分がだれであるかを示し、自分自身を暴露し、身を曝(さら)す。
この本来の意味の勇気がなかったら、活動と言論は不可能であり、したがってギリシア人の理論からいえば、自由も、まったく不可能であろう。
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活動と言論が行なわれるためには、その周囲に他人がいなければならない。
歴史は、強くすぐれている人でも、仲間の助けや協力を得る仕方を知らない場合には、いかに無力であるかという例に満ちている。
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ただ野卑(下品でいやしい)な人だけが、卑屈にも、自負を自分のなしたことに求めるであろう。
このような人は、この卑屈さによって、自分自身の能力の「奴隷や囚人」になるのである。
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人間は、常に自ら進んで自分の心を変え、ふたたび出発点に戻ることによってのみ、なにかを始める大きな力を与えられる。
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手近なものとの係わり合いや関心から解放され、近くにある一切のものから身を引いて距離を置いたときにのみ、人間の観測能力が働く。
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近代哲学が辿(たど)りついたのは、
「これ以後、魂の安全な住家は、動かしようもない絶望の固い基盤の上にのみ建てられる」
という確信であった。

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(再掲。ハンナ=アーレント)
自分の私的な隠れ場所を去って、自分がだれであるかを示し、自分自身を暴露し、身を曝(さら)す。この本来の意味の勇気がなかったら、活動と言論は不可能であり、したがってギリシア人の理論からいえば、自由も、まったく不可能であろう

香西咲さんは、昨年の7月7日に、業界に巣くう人身売買の実態を告発しました。

(再掲。ハンナ=アーレント)
ただ野卑(下品でいやしい)な人だけが、卑屈にも、自負を自分のなしたことに求めるであろう。このような人は、この卑屈さによって、自分自身の能力の『奴隷や囚人』になるのである

(荒井禎雄さんのツイートより、引用。)

荒井禎雄さん
<2016年6月19日>


「300本とか400本とかAV出てるのに強制されたはないだろ」
という声が挙がっているが、セックスワーカーの事を思うなら
「出ていた本数なんか問題じゃない」
が実は正解。
まともな精神状態が保てず、ある種の本能的な自己防衛として自ら洗脳してた可能性だってある。

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当該女優は、自分のおこなっていることに対して、自負をもとめていたのかもしれません。

(2016年6月14日 東京新聞「バイト感覚で登録 『AV』記載なく 出演強要された被害女性が証言 」より、引用。改行を施しています。)

<一部分を引用>
撮影は五年間続き、出演は百本を超えた。
卒業後に入社した会社で、出演を見つけた男性の同僚から「君はだまされている」と諭され、われに返った。

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(香西咲さんのツイートより、引用。)

香西咲さん
<2016年8月4日>
事務所属時代、目の前に『夢』と言う人参ぶら下げられて走り続けてきた訳ですが、その人参が偽物だった事。
そしてその『夢』が私にとって大学生からずっと温めてきた大切なものだったから、簡単に手放せなかった事。
そして走り出したら2度と引き返す事が出来ない道だと思い込んでいた事。

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(再掲)
その人参が偽物だった事

香西咲さんは、自身の内にあった自負を捨て去りました。
聡明です。
ぼくは、つぎのことばに対して共感をおぼえます。

(再掲。ハンナ=アーレント)
人間は、常に自ら進んで自分の心を変え、ふたたび出発点に戻ることによってのみ、なにかを始める大きな力を与えられる

魂の安全な住家は、動かしようもない絶望の固い基盤の上にのみ建てられる

香西咲さんは、人生をやりなおすことができます。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
 私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
 だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)

(明日のブログへつづく)



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