4月28日に、内閣府の女性に対する暴力に関する専門調査会が開かれました。
当日の議題は、
「『女性活躍加速のための重点方針2017』に盛り込むべき重点取組事項について」
です。
昨日のブログでも記しました。
出演強要に対する検察の姿勢が、頗(すこぶ)るたのもしく感じます。
(2017年4月28日 第88回女性に対する暴力に関する専門調査会「議事録」より、引用。)
法務省
・検察庁
<12ページ>
●中西 法務省刑事局・局付
次に、いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・「JKビジネス」問題等に対する取組について、あわせて御説明をさせていただきます。 この点につきましては2点ございまして、1点は取締り等の強化、2点目は検察当局への周知でございます。 アダルトビデオ出演強要問題や「JKビジネス」問題等については、取締りの強化を検察当局としては行っております。
また、これらの問題が政府の重要な課題であって、警察等の関係機関と緊密に連携をして適切に対応する必要があることなどをさまざまな機会を通して検察当局に周知し、この事案に対して引き続き適切に対処していくこととしております。 |
警察と同様に、検察も、「取締りの強化」を推(お)し進めています。
強姦罪の適用を考えています。
いま、政府は、総力をあげて、犯罪者を捕獲しようとしています。
うれしいかぎりです。
(再掲。中西法務省刑事局・局付)
「警察等の関係機関と緊密に連携をして適切に対応する必要がある」
おおかたのひとたちが、いまひとつ鮮明にならないのは、警察と検察の関係であろうと思われます。
どちらも、
「取締りの強化」
と、
「強姦罪の適用」
をうたっています。
第一義的にこれは、警察の仕事であるような気がします。
どうなのでしょう。
まずは、検察庁のサイトをみてみます。
子供用のページ(チャイルドページ)がわかりやすいです。
(検察庁「検察官って何?」より、引用。改行を施しています。)
●検察庁
検察官っていうのは、検事と副検事のことなんだ。
検察官は法律に違反した犯罪や事件を調べて、その犯人を裁判にかける、とても重要な仕事をしているんだ。
事件が起きると、まず警察が犯人を捜して逮捕したり証拠を集めたりといった捜査をする。
——————————————————–
(再掲)
「事件が起きると、まず警察が犯人を捜して逮捕したり証拠を集めたりといった捜査をする」
警察と検察の決定的なちがいは、ここにあります。
第一次の捜査権をもっているのは、警察です。
今度は、警察庁のサイトを参照します。
「特集:変革を続ける刑事警察」というページがあります。
警察庁
(警察庁「特集:変革を続ける刑事警察」より、引用。)
●警察庁
警察法は、「犯罪の捜査」が警察の責務であることを定めている。
今日では、警察が自らの責任において犯罪捜査を行うことは当然のことだと思われているが、それは決して所与のものとして警察に付与されたものではなく、戦後の諸制度の改革の中で、新たに警察に認められたものである。
——————————————————–
(再掲)
「戦後の諸制度の改革の中で、新たに警察に認められたものである」
戦前は、だれが、犯罪の捜査をおこなっていたのでしょうか。
●警察庁
戦前、犯罪捜査は、司法権の作用として裁判所に置かれた検察の事務とされ、警察固有の事務ではなかった。
——————————————————–
検察です。
検察が捜査の主体であったのです。
●警察庁
警察官は、検察官の指揮の下に、その補助者としての立場で犯罪捜査を行うものに過ぎなかったのである。
——————————————————–
警察は、「補助者」の地位にあまんじていました。
戦前に書かれた小説を読みますと、このあたりのことがよくわかります。
たとえば、久生十蘭(ひさおじゅうらん)(1902年~1957年)が著した「魔都」があります。
この小説は、検察官が主人公です。
ちなみに、久生十蘭は、「キャラコさん」の作者でもあります。
「キャラコさん」につきましては、過日のブログでふれました。
(参考。当ブログ)
・2016年9月3日
「魔都」は、1937年10月から1938年10月にかけて、「新青年」に掲載されました。
時代背景をもうしますと、連載がはじまる3か月前に、日中戦争(1937年7月~1945年8月15日)がはじまりました。
現在、久生十蘭の作品は、著作権が消滅しています。
ネットの青空文庫で読むことができます。
「魔都」のなかから、いくつかを引用します。
(久生十蘭著「魔都」より、引用。改行を施しています。)
●この者はその名も真名古明という警視庁刑事部捜査第一課長で、緻密な頭脳と着実な性格を持ち、これまでに様々な難事件を解決して来たが、人間嫌いかと思われるほどの黙り屋で、庁内では誰一人真名古の笑った顔というのを見た者はない。
甚だ剛直な性で不正に対しては飽くまでも苛酷、たとえ上長といえども爬羅剔抉(はらてきけつ。他人の欠点をあばき出す)することを辞せぬ、さながら検察のためにこの世へ生れて来たような人物。
——————————————————–
真名古明は、検察官です。
同時に、警視庁刑事部捜査第一課長、でもあります。
現在では考えられません。
(久生十蘭著「魔都」より、引用。改行を施しています。)
●これで真名古は今まで自分の知らなかった事情を始めて知ることになった。
そして咄嗟にすべてのことを悟ったのである。
自分が検察吏たる良心に従って行動しようとすれば、政府を向うに廻して闘う決心が必要だということも。
——————————————————–
●真名古は冷淡に遮り、
「差出がましい口をききなさるな。私は警視庁に勤務する官吏だから、官吏服務規律にある通り、どこまでも訓令に従わねばなりません。私の受けた訓令というのは有明荘へ行ってお馬という小使婆に逢い、この事件が自殺であるという証拠を捜して来ることです。私は勿論それに従う。……が、それ以外の捜査は私の自由です。訓令通りの調査を終えると、私は捜査課長として訓令に制肘されぬ厳重な調査を開始します。勿論、皇帝も訊問します。私の職掌としてもかくするが当然で、然もこれは私の良心に従って致す行動だから、あなた如き禿げ頭がどれほど弁舌をふるっても所詮無駄です。見損っちゃいけません。検察に携わる官憲は、あなたが舐めてかかるような精神の低いものばかりだと思ったら大変な間違いですぞ。あなたとの会話はこれでお断りします」
と言って立上る。
林も曳かれるように椅子を離れると、おしつけるような声で、
「おい、真名古君、あまり子供じみたことをいいたまうな。これは一検察吏の潔癖や自尊心の問題ではなくて、日本政府の権威や体面に係わりを持つ重大な事件なのだ。君は日頃剛直を売物にしてるそうだが、政府の方針を変えてまで君の偏執を尊重するわけにはゆかんじゃろう。……ねえ、君もそう固いことばかりいわずに、どうか判ってくれたまえ」
——————————————————–
●真名古警視が検察の事務を執るに当っては、その冷執陰険なることはユウゴオの「噫無情(レ・ミゼラーブル)」に登場するかのジャヴェル探偵にもゆめゆめ劣らぬ事はすでに述べた。
この人物が破邪検非にどれほど執心するか、その辛辣さは警視庁の内部ですらはなはだしく畏怖されるのをもっても知れよう。
——————————————————–
●こういう場合に検察の権化のような真名古に一役買わせることは何としてもミスキャストだから、警察当局が真名古を出し抜いて逸早く状況を整備してしまったのは一面無理もない処置だったのである。
——————————————————–
●真名古はこうすることが検察官たる己れの義務だと率直に感じたのである。
さて真名古課長が有明荘に行きついて見ると、早や何事もなかったように商人が活発に出入している。
巡査や刑事の姿も見えない。
——————————————————–
●この人物は大正十一年の東大哲学科の出身で、「矛盾の哲理」という警抜な卒業論文によって今でも同期生の記憶に残っている秀才だが、卒業すると同時に引手あまたな就職口を尻眼にかけ、黙々と警視庁の巡査部長を拝命してしまった。鰥寡(かんか)孤独の人間で親族(みより)もなければ妻もない。
毎夜夜半まで官舎の古びた机に倚って孤影凝然と犯罪学クリノロジイの研究に従っている、いわば検察のためにこの世に生れて来たような人物。
——————————————————–
おわかりのとおり、戦前は、警察と検察の業務が、截然(せつぜん)となって(はっきりと区別されて)いませんでした。
●警察庁
戦後の混乱期において、民主的理念に基づく新たな警察組織・制度を確立し、混乱した治安を早期に回復することは非常に重要な課題であった。
そこで、昭和23年に施行された旧警察法において、それまで検察官が主宰していた犯罪捜査が警察固有の事務であることが明確化され、新たに制定された刑事訴訟法により、第一次的な捜査責任が警察官にあることが明らかにされた。
こうして、警察は、自らの責任において国民のための捜査を遂行すべき使命、すなわち第一次捜査権を担うこととなった。
——————————————————–
検察庁のサイトにもどります。
既出のチャイルドページのつづきです。
検察庁
(検察庁「検察官って何?」より、引用。改行を施しています。)
●検察庁
そして、検察官が、疑がわれている人が本当に犯人かどうか確かめて、罰を与えるための裁判にかけるかどうかを決めるんだ。
裁判にかけることを起訴と言い、起訴がなければ裁判も始まらない。
検察官は起訴をするために、警察と協力して自分でも捜査を行い、その事件の真実が何であるかを明らかにするんだ。
普通、日本では検察官だけが犯人を起訴できるんだよ。
だから、悪い人に罰を与えるためには、絶対に検察官が必要なんだよ。
でも、それだけに検察官の責任は重いんだ。
——————————————————–
現在、第一次捜査権は警察にあります。
(再掲)
「検察官は起訴をするために、警察と協力して自分でも捜査を行い、その事件の真実が何であるかを明らかにするんだ」
今度は、一般向けのページです。
より具体的で、わかりやすいです。
(検察庁「警察との違い」より、引用。改行を施しています。)
●検察庁
一般的に犯罪が発生した場合、第一次的に捜査を行い、被疑者(犯人、容疑者)を逮捕したり、証拠を収集したり、取調べ等を行うのが警察です。
なお、警察は、被疑者を逮捕したときには逮捕の時から48時間以内に被疑者を事件記録とともに検察官に事件を送致しなければなりません。
検察庁では、警察から送致された事件について、検察官が自ら被疑者・参考人の取調べを行ったり、証拠の不十分な点について、警察を指揮して補充捜査を行わせたり、自らが捜査を行い、収集された証拠の内容を十分に検討した上で、最終的に被疑者について裁判所に公訴を提起するかしないかの処分を決定します。
——————————————————–
検察は、警察から送られてきた事件を再度しらべて、起訴します。
(再掲。中西法務省刑事局・局付)
「アダルトビデオ出演強要問題については、強姦罪や強要罪といった刑法の一般規定のほか、労働者派遣法等の法律、(JKビジネスについては略)といった各種の法令を適用し、厳正な取締り等を推進していることとしております。また、これらの問題が政府の重要な課題であって、警察等の関係機関と緊密に連携をして適切に対応する必要があることなどをさまざまな機会を通して検察当局に周知し、この事案に対して引き続き適切に対処していくこととしております」
法務省の方針は、出演強要をおこなった犯罪者たちを起訴しろ、です。
これから頻出するであろう警察による逮捕が待ち遠しいです。
(2017年2月19日 日刊SPA! 「AV業界“ドロドロ相互不信”の内幕…手をつくして攻めてくる警察捜査、関係者に疑心暗鬼が蔓延」より、引用。改行を施しています。)
あるAVプロダクション関係者は言う。
「香西咲さんの件では、元芸能人をウリにすることで人気のメーカー『MUTEKI』に20人規模の捜索が入ったそうです。
□青木亮
□大西敬
□高畠典子
□坂田恵理子
□坂上孝志
□A-TEAM 飯田正和
□T総研のY
□メーカー関係者
——————————————————–
香西咲さんのツイッター(2016年12月19日)より、引用。
●香西咲さん
年明けのPTSDやフラッシュバックの治療が楽しみです。
投げやりだった人生でしたが、業界内外の方々やファンの方々の愛情を感じる事ができ今やっと前向きに人生を考え直そうという気持ちになって参りました。
少しづつですが。
どうかこれからも温かく見守って頂けたら幸いです。
ありがとうございます
——————————————————–
(小泉吉宏著「ブッタとシッタカブッタ3」メディアファクトリー刊より、引用。)
●「どうしたの?」
●「人生に意味なんてないんだってわかってしまった」 |
●「そうだよ。人生に意味なんてないよ」
●「やっぱり!!」 |
●「人生にもともと意味なんてないんだから、あんたが人生に意味をプレゼントすればいいじゃない」 |
●「え!?」 |
香西咲さんの人生はこれからです。
——————————————————–
■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
■香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)
(明日のブログへつづく)
香西咲さんを勝手に応援するサイトへ