週刊文春に、香西咲さんは、「呼び起こしたくない過去に向き合い、何度も悔し涙を流した」と書かれています。怒りがこみあげた反面、安堵したのも事実です

一昨日のブログで、心理学者の碓井真史さんの叙説(述べ説くこと)を引用させていただきました。
もう一度、引きます。

(再掲。碓井真史さん)
心の傷は、時間はかかるかもしれませんが、きっと治ります
少しずつあなたは回復していきます
元気で積極的なもとのあなた、本来のあなたにきっと戻れるはずです
深い深い悲しみの末に、長い長い時間の果てに、『私は負けなかった。今の私はこんなに幸せだ』と言える日が、きっと来るでしょう

上記の言辞は、碓井真史さんのブログに掲載されています。

・2011年3月24日「PTSD 心的外傷後ストレス障害 心の傷に負けないために」

同ブログを読み進めて、ぼくは、さらに物事の道理を知らされました。

(2011年3月24日「PTSD 心的外傷後ストレス障害 心の傷に負けないために」より引用。改行を施しています。)

碓井真史 新潟青陵大学院教授
衝撃的な出来事の後で、さまざまなストレス反応がでることは、普通のこと、自然なことです。
(中略。)
心身の様々な症状、ストレス反応がでますけれども、特に悲しめないといった、現実感がなくなる解離症状が出ている場合には、要注意です。
十分なケアが必要です。
見るからにショックをうけ、泣いている人ならば、周囲も配慮をしやすいでしょう。
けれども、そのような人だけではなく、一見強くてがんばっている人こそ、周囲のケアが必要なことがあります。
(後略。)

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読売新聞の記事を思い出しました。

・2015年10月25日 読売新聞「[貧困 子供のSOS](4)母逮捕 心に深い傷(連載)
(※ネット配信はされていません。)

ちなみにこの連載は、書籍化されています。

・読売新聞社会部著「貧困 子供のSOS ~記者が聞いた、小さな叫び」中央公論新社刊 

新聞に掲載された「母逮捕 心に深い傷」をみてみます。
つぎのような内容です。
(※リライトしています。)

21歳の女性がいます。
北国の地方都市で生まれました。
三姉妹の真ん中です。
幼少のころから、父親の存在はありません。
母親も不在がちでした。
1か月ちかく、家にもどらなかったこともあります。
幼い姉妹は、冷蔵庫の残り物と、スナック菓子をたべて、空腹を満たしました。
みかねた祖母が、三姉妹を引きとります。
3人は、東京で暮らすことになりました。
年金暮らしの祖母は、生活保護をたよります。
家計は苦しく、女性は1年中、体操着ですごしました。
友だちをつくることは、かないませんでした。
小学校3年生のときに、学校へ行くことを忌避します。
不登校です。
家で暴れました。
無意識のうちに、自分の髪の毛を引き抜くようになります。
2年間、カウンセリングをうけました。
中学生になったとき、症状がおさまります。
母と再会したからです。
三姉妹は、ふたたび、生まれ育った土地へもどります。
親子4人の生活がはじまりました。
母は、子供たちにやさしく接します。
毎日、食事をつくりました。
誕生日のときも、ケーキを買って祝います。
女性は、友だちができました。
学校も楽しくなりました。
中学校3年生のときです。
家に警官がやってきました。
母は逃げます。
顕官が取りおさえました。
女性にむかって、警官が言いました。
「覚醒剤で逮捕したよ」
と。

(2015年10月25日 読売新聞「[貧困 子供のSOS](4)母逮捕 心に深い傷(連載)」より、引用。改行を施しています。)

「お母さんがいなくても生きていける」
「強くならないと」
心の中で繰り返した。

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女性は以前と同じく、祖母の世話になります。
都内の高校へ通学しました。
同級生から遊びの誘いをうけても、すべてことわりました。
勉強に専念しました。
社会福祉協議会から250万円を借りて、大学へ進学しました。
借金を返すために、アルバイトを重ねます。
日々の睡眠時間は、3時間でした。
高熱がでてもやすみませんでした。

(2015年10月25日 読売新聞「[貧困 子供のSOS](4)母逮捕 心に深い傷(連載)」より、引用。改行を施しています。)

昨夏、近所の伯母の家を訪れた。
夕飯を食べながら、軽い口調で
「お母さん、また覚醒剤やってるかもね」
と言った瞬間、伯母がたまりかねたように声を荒らげた。
「あなたの心はボロボロになってるのよ。早く気付きなさい」

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(再掲。碓井真史さん)
心身の様々な症状、ストレス反応がでますけれども、特に悲しめないといった、現実感がなくなる解離症状が出ている場合には、要注意です

昨年の7月7日のことです。
香西咲さんが、週刊文春で、出演強要の実態をあきらかにしました。
そのなかに、つぎの記述があります。

(2016年7月7日「週刊文春」2016年7月14日号より、引用。)

人気AV女優の香西咲氏(30)は今回のインタビューで、呼び起こしたくない過去に向き合い、何度も悔し涙を流した。
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ぼくは深淵からわきあがる怒りをおぼえました。
いっぽうで、安堵したのも事実です。
呼び起こしたくない過去に向き合い、何度も悔し涙を流した
香西咲さんには、通常の感情がもどっています。

(2015年10月25日 読売新聞「[貧困 子供のSOS](4)母逮捕 心に深い傷(連載)」より、引用。改行を施しています。)

伯母の言葉はずっと胸に残った。
自分では「強くなった」と思っていた。
だが振り返れば、相談してくれた友人に冷たい言葉を放って傷つけてきた自分や、人の不幸にも心が動かない自分が確かにいた。
「傷つかないために心を閉ざし続けて、人の痛みに鈍くなってしまったんだ」
そう思い至ったとき、涙があふれた。

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(再掲。碓井真史さん)
一見強くてがんばっている人こそ、周囲のケアが必要なことがあります

香西咲さんが2014年にされたツイートを思い出します。

香西咲さんののツイッター(2014年7月3日)より、引用。

みんなに指摘された通り、
今までの私は自分を大事にしてきませんでした。
辛い事も理不尽な事も全部自分が我慢すれば良いと思ってました
自分で自分を痛めつけてました。
それじゃいけないって気づいたのは本当に最近です。
これからは自分を労わります。

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二村ヒトシさんという監督のことばが示唆に富んでいます。

(2016年10月13日 毎日新聞「AV問題 語り始めた業界人(6)異才が見た『性と自傷』」より、引用。改行を施しています。)

<一部分を引用>
二村ヒトシ監督
(略)、一監督として考えた時に「やっぱりAVには出ない方が良かった女の子っているんだろうな」とは思います。
それは今、言われているような(強要などの)犯罪とはちょっと違うフェーズ(段階)で、むしろ心の問題です。
女性の性が、今の世の中において本当に「本人のもの」であり得ているのか、ということに関わってきます。
社会にセックスワークに対する差別が歴然とある一方、AVに出ることでお金以外のもの、承認欲求(の満足)を得るために無理をしている子がいる。
洗脳する側はそういうところを突いてくる場合があるんです。

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(再掲。碓井真史さん)
一見強くてがんばっている人こそ、周囲のケアが必要なことがあります

人間の生き方をおおきく3つにわけてみます。
楽天主義、
悲観主義、
楽観主義、
です。
それぞれ、簡単に説明します。
たとえば、いま、船が座礁して沈みかけているとします。
楽天主義の場合は、なんとかなるさ、といって、何もしません。
悲観主義も同様です。
もうだめだ。助からない、といって、何もしません。
楽観主義の場合はどうでしょうか。
希望を捨てずになんとかしようとします。
ちなみに、楽観主義を主張するのが、オーストリアの心理学者のアドラー(1870年~1937年)です。
アドラーの本は、現在、自己啓発の書としてもてはやされています。
ぼくは、アドラーの考え方は危険である、と思っています。
既出の二村ヒトシ監督のことばをつづけます。

(2016年10月13日 毎日新聞「AV問題 語り始めた業界人(6)異才が見た『性と自傷』」より、引用。改行を施しています。)

<一部分を引用>
二村ヒトシ監督
(略)、「この女優は頑張り過ぎている」
と感じることがあるといい、
「本当は出ない方が良かった人、向いていない人というのはいる。強要や洗脳をする側はそういう人の弱さを突いてくる」
と分析した。

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(再掲)
この女優は頑張り過ぎている

楽観主義の「なんとかしよう」との考え方は、搾取をする側に利用されるおそれがあります。
女性は、自分にあたえられた現況のもとで、がんばろう、と発起してしまうかもしれません。

(2015年11月8日 弁護士ドットコム「現役女優から『死にたい』というメールが届く――AV出演強要の実態<下>より、引用。)

山下真史さん
『女優たちはAVに出たくて出ている』と思っている人も多いと思います

金尻カズナ PAPS相談員
私たちの知っている現実では、彼女たちは、実際には身バレしているので、たとえ辞めたくてもこの業界以外の就職先がないような状況です。だから、『もはや、この業界でしか生きていけない
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希望をうしなわずに、この業界で生きていこう、となるのではないでしょうか。
さらにアドラーのことばをみてみます。
(※リライトしています。)

遺伝もトラウマもあなたを支配してはいない。どんな過去であれ、未来は「今ここにいるあなた」がつくるのだ。

不安だから、外出できないのではない。外出したくないから、不安をつくり出しているのだ。「外出しない」という目的が先にあるのだ。

意識と無意識、理性と感情が葛藤する、というのは嘘である。「わかっているけどできません」とは、単に「やりたくない」だけなのだ。

ピンク色のレンズの眼鏡をかけている人は世界がピンク色だと勘違いをしている。自分が眼鏡をかけていることに気づいていないのだ。

すべての悩みは対人関係の課題である。仙人のような世捨て人さえも、実は他人の目を気にしているのだ。

どれも、搾取をする側にとって都合のよい言説です。
精神分析学者のフロムとは雲泥の差があります。
もちろん、アドラーが、泥です。

(再掲)
<一部分を引用>
二村ヒトシ監督
(略)、「この女優は頑張り過ぎている」
と感じることがあるといい、
「本当は出ない方が良かった人、向いていない人というのはいる。強要や洗脳をする側はそういう人の弱さを突いてくる」
と分析した。

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二村ヒトシ監督は、ものごとの本質をよくとらえています。
どのようなかたなのでしょうか。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
 私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
 だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)

(明日のブログへつづく)



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