出演強要被害は、現在、国家の一大事となっています。
日本は言うに及ばず(もちろん)、外国でも、その犯罪性を問題視しています。
アメリカは、3月に、人権報告書を発表しました。
そのなかで、日本の出演強要被害をとりあげました。
●3月4日 朝日新聞
(2017年3月4日 朝日新聞「電通社員自殺・メディアへの圧力に言及 米の人権報告書」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
米国務省は3日、約200カ国・地域を対象にした2016年の「人権報告書」を公表した。
日本に関しては、広告大手、電通の新入社員の女性が過労自殺したことや、メディアへの政権の圧力を指摘。
アダルトビデオ(AV)の出演強要問題も盛り込まれた。
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若い女性が「モデル業」などと偽の勧誘を受けて、AVに無理やり出演させられる被害が広がっていることにも触れた。
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4月3日のことです。
アメリカの人権報告書が、「在日米国大使館・領事館」のサイトにアップされました。
日本の出演強要に関する箇所をみてみます。
●4月3日 在日米国大使館・領事館
(2017年4月3日 在日米国大使館・領事館「2016年国別人権報告書―日本に関する部分 」より引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
NGOは、企業が女性や、いくつかの事案では男性に対し「モデル」契約と偽り、ポルノビデオへの出演を義務付けた多数の事案を報告した。
こうした女性や男性がビデオ出演を拒否すると、これらの企業は違約金の支払いを要求した。
ポルノビデオに出演させるために女性を派遣した大手芸能事務所の代表者たちを警察が逮捕した事案が2件あった。
そのうち1件について、裁判所は6月、事務所の社長と社員に罰金を科した。
警察は10月、もう一方の事案を検察に送致したと発表した。
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サイトの冒頭に、
「下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です」
と記されています。
若干、訳が不正確のようです。
趣旨(文章で言おうとしていること)はおおむね、ただしいです。
(再掲。アメリカ国務省)
「『モデル』契約と偽り、ポルノビデオへの出演を義務付けた多数の事案」
この種の文面をみるたびに、深淵から、怒りがこみあげてきます。
アメリカも心情的に、こいつらのことがゆるせないでしょう。
(2017年2月19日 日刊SPA! 「AV業界“ドロドロ相互不信”の内幕…手をつくして攻めてくる警察捜査、関係者に疑心暗鬼が蔓延」より、引用。)
□青木亮
□大西敬
□高畠典子
□坂田恵理子
□坂上孝志
□A-TEAM 飯田正和
□T総研のY
□メーカー関係者
(再掲。アメリカ国務省)
「『モデル』契約と偽り、ポルノビデオへの出演を義務付けた多数の事案」
日本の警察も、内閣府も、アメリカと同様の認識をもっています。
警察庁の通達と、内閣府の啓発サイトを参照します。
●3月31日 出演強要に関する警察庁の通達
(3月31日 警察庁「アダルトビデオ出演強要問題及びいわゆる『JKビジネス』問題に対する緊急対策の推進について(通達)」より、引用。改行を施しています。)
<別添資料の2より>
~アダルトビデオ出演強要に関する問題~
《相談事例》
悪質なスカウトは「モデルになりませんか?」などと偽って、近づいてきます。
●街中で、スカウトから
「モデルになりませんか。」
と勧誘され、付いて行ったら、財布等を取り上げられ、男数人に囲まれた状態でアダルトビデオ出演に関する契約書を交わすことを強要され、出演させられた。
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●街中で、スカウトから
「ヘアモデルをやらないか。」
と勧誘され、断り切れずに事務所に行き、契約させられた。
実はアダルトビデオの会社で、意に反して、裸の写真を撮られそうになった。
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インターネット上でモデルの募集に応募にしたら、実はアダルトビデオの撮影だった。
●インターネット上で、高収入をうたったアルバイトの募集に応募し、詳しい業務内容を聞かずに、相手方を訪ねて、そこで免許証と保険証を渡した。
内容がアダルトビデオの撮影ということを告げられて、拒否したが、契約しないと免許証等が戻らないと思い、契約書に署名してしまった。
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●インターネット上で、ファッションモデルの撮影だと思って応募したが、実際はアダルトビデオの撮影と分かったが、断ることができず撮影に応じ、更に撮影された動画が無修正で海外から発信された。
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タレント契約したと思ったら、AV撮影だった。断ると、違約金や賠償金を請求された。
●街中でスカウトされ、芸能会社とタレント契約をし、グラビアの撮影と思って現場に行くと、アダルトビデオの撮影だったので、拒否したが、
「損害を弁済してもらう。」
等と脅されたりして、出演させられた。
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●街中でグラビアモデルとしてスカウトされ、相手の言うとおりに契約書にサインした。
マネジャーから
「仕事が来た。」
と言われたが、アダルトビデオの撮影だったので断ろうとしたが、
「キャンセルしたら違約金がかかる。」
等と言われ、アダルトビデオに出演させられた。
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《検挙事例》
●被害女性は、雇用関係を結ぶに当たり、アダルトビデオ出演を告知されず、モデルとして採用されていたが、その後、アダルトビデオの仕事と知って出演を拒否したところ、
「違約金を払え。」
等と言われて、仕方なく出演し続けていた。
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つぎは、内閣府の啓発サイトをみてみます。
●内閣府
(内閣府「こんな被害が起きています」より、引用。)
●モデルの仕事だと言われ事務所に行くと、アダルトビデオの撮影だった。
断ることができず、撮影に応じた。
その後、ネット上でビデオが販売されてしまった。
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●「モデルになれる」
「君を有名にしてあげる」
「芸能界とパイプの太い人を紹介する」
と言われ、アダルトビデオへの出演を求められた。
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●「パーツモデルの仕事もある」
と聞いていたのに、実際にはアダルトビデオの仕事だった。
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●インターネットで「高収入」、「アルバイト」で検索して見つけた募集広告から応募したら、アダルトビデオの撮影だった。
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●「単なる登録だから」
と言われてサインした書類は、実はアダルトビデオへの出演契約書だった。
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●契約書の言葉が難しく、プロダクションの簡単な説明を信用し、サインしてしまった。
その後、アダルトビデオに出演させられた。
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●契約時に聞いていない性的な行為をするよう求められ、
「撮影に行きたくない」
「辞める」
というと、
「契約しているから無理」
「撮影の準備にお金がかかっている」
などと言われ、多額の違約金を請求された。
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●食事をおごってくれたり、悩みを聞いてくれたので、嫌だと思った仕事も受けなければいけないのかと思うようになっていった。
知らない撮影現場に連れて行かれ、
「無理です」
と言っても、誰も聞いてくれず、自分が首を縦に振らない限り何も変わらない状況で、出演せざるを得なかった。
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警察と内閣府が、業界に対してどのような認識をもっているのがよくわかります。
寝る前にひと言。半年間ほどAV強要の問題に関わってみて強く感じたこと、それはAV業界そのものへの偏見、差別みたいなものなんですね。特に、内閣府や議員会館での集まりの時に感じたかな。一般の社会からは理解しにくい業界とはいえ、ここまでか!?との思いでした。この問題は尾を引きますよね。
— やまもと寅次郎 (@torachan55) March 4, 2017
政府は、5月中旬を目途に、今後の取組方針を策定する予定です。
宮崎信行さんというジャーナリストがいます。
以前に、日本経済新聞の記者をされていたようです。
(宮崎信行さんのプロフィールより、引用。)
2007年8月4日の第167臨時会からブログ「宮崎信行の国会傍聴記」を立ち上げました。
政治部記者時代にできなかった国会審議をじっくり聞き、政治の流れを報じる日本初のブログとして、好評をいただきました。
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当該ブログのなかで、宮崎さんが、自説をのべられています。
(2017年3月27日「宮崎信行の国会傍聴記」より引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
アダルトビデオのほとんどは東京都内で撮影されているとされ、年2万本という見立てもあります。
新宿歌舞伎町のホストクラブ経営者が、
「きょうはいいよ」
などと言ってツケをためていき、200万円くらいで突然請求書を出し、
「払えなければソープに沈めるぞ」
「AVに出ろ」
などと若い女性につけ込む搾取の構図が顕著です。
朝の池袋の路地裏などでも、撮影スタッフの集合場所かと思わしき、黒いシールを貼ったワゴン車を見かけることがあります。
半場に向かうワゴン車よりも、AV撮影現場に向かうワゴン車の方が目につく日本経済でよいのでしょうか。
春、旅立ちの季節に、日本人の閉鎖性と陰湿性の裏返しである、東京のAV産業。
完全に撲滅しましょう。
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(再掲)
「完全に撲滅しましょう」
この文言をみて、なぜかポエニ戦争のことが頭にうかびました。
イタリアは、かつて、多くの都市国家(小国)からなっていました。
ギリシアのポリス(都市国家)と似たような構造です。
イタリアのなかで、有力な都市国家が、ローマでした。
ローマは、B.C.272年(いまから2289年前)に、イタリア半島を統一します。
覇者となります。
これで満足することはありませんでした。
さらなる拡大をはかります。
当時、ローマと同様に、勢力の伸張をはかっていた国があります。
カルタゴです。
カルタゴは、現在のチュニジアのあたりに栄えていた都市国家(小国)です。
(※ピンク色がローマ。黄緑色がカルタゴ)
必然的に、ローマとカルタゴは、激突します。
こうしてはじまったが、ポエニ戦争です。
3回、戦われました。
1回戦目はローマの勝利におわりました。
カルタゴをローマの勢力圏からしりぞけました。
23年後のことです。
カルタゴは、復讐戦を開始します。
有名なエピソードがあります。
ハンニバルのアルプス越えです。
カルタゴのハンニバル将軍は、約5万人の兵と、37頭の象をひきつれて、アルプス山脈を越えました。
その足で、イタリア半島へ進軍します。
ハンニバルはこの地で、16年間、戦いました。
途中、優勢となった場面もありました。
最後はやぶれ、降伏します。
カルタゴは、本国以外の領土をローマにうばわれました。
これがポエニ戦争の第2回戦です。
敗戦後、カルタゴは、海上貿易で富み、徐々に繁栄をとりもどしていきます。
ローマは懸念します。
ふたたびカルタゴが攻め入ってくるかもしれない、と。
第2回戦の勝利から、52年後のことです。
ローマは、圧倒的な兵力で、カルタゴへ侵攻します。
カルタゴは、籠城しました(城の中にたてこもりました)。
3年間、必死にたえます。
4年目にはいったときでした。
ローマ軍が総攻撃をかけます。
カルタゴは、まともに戦える状態ではありませんでした。
ローマが圧勝します。
このあとローマは、カルタゴの町に火をつけました。
カルタゴは17日間も、燃えつづけたといわれています。
灰は1メートルもの厚さになりました。
ローマはこれで満足しませんでした。
いたるところに海水をまいて、二度とひとが住めないようにしたのです。
徹底的に破壊しました。
(再掲。宮崎信行さん)
「東京のAV産業。完全に撲滅しましょう」
5月中旬に政府は、出演強要被害について、今後の取組方針を策定します。
楽しみです。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
■香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)
(明日のブログへつづく)
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