昨日もふれました。
一昨日、日刊スポーツが、出演強要問題をとりあげました。
以下の方々がインタビューに応じています。
●くるみんアロマさん
●辻丸さん
●川奈まり子AVAN代表
●伊藤和子HRN事務局長
●AVANの弁護士
●ライトハウスとPAPS
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このなかでひとり、首を傾げざるをえない発言をしている人物がいます。
(2017年2月27日 日刊スポーツ「山口貴士弁護士「許されない」AV出演強要問題」より、引用。改行を施しています。)
<山口貴士 AVAN弁護士>
出演強要は許されないし、仮に存在するとすれば、事実関係は究明され、関与者の責任は厳しく追及されるべきと考えています。
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(再掲)
「出演強要は許されない」
AVANの関係者の口からこのようなことばがもれると、存外(意外)な感じがします。
よく考えてみますと、この種の美言は、だれでも発します。
(2016年9月2日 withnews「AV強要、戸惑う業界団体『信じられない』『現場で一番強いのは女優』」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
メーカー大手のCAを抱える「DMM.com」の亀山敬司会長は、ツイッターでは
「強要など絶対に許されない」
などとつぶやくものの、取材依頼には
「見守っていただきたい」
と回答し、インタビューに応じてくれません。
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DMMの亀山ですら放(はな)っています。
青木だって問われれば、こううそぶくでしょう。
出演強要は許されない、と。
山口弁護士の言明で気になるのは、つぎの箇所です。
(再掲)
「仮に存在するとすれば、事実関係は究明され、関与者の責任は厳しく追及されるべき」
AVANはそもそも、出演強要が存在しない、との立場です。
2月3日にAVANが内閣府へ送った照会状をみてみます。
(「男女共同参画会議 女性に対する暴力に関する専門調査会(第86回)に向けての照会状 2月3日付送付」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用。AVANの照会状>
「『AVへの出演強要』が確固たる事実として存在するかのような、もしくは、それを前提として議論が展開されているのではないかという強い懸念を有しております」
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出演強要は存在しない、とAVANは拘泥します。
(再掲)
「仮に存在するとすれば、事実関係は究明され、関与者の責任は厳しく追及されるべき」
強要が存在しないのだから、責任を問われる客体(対象)はない、という結論になります。
ちなみに川奈まり子AVAN代表は、出演強要についてどのような見解をおもちなのでしょうか。
(2017年2月27日 日刊スポーツ「元女優川奈まり子氏「あってはならない」出演強要」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用。川奈まり子AVAN代表>
(前略)「当然、1件でもあってはならないこと」と話した。
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松嶋淳理さんの受けとめかたは、アイロニカル(皮肉っぽい)です。
(松嶋淳理さんのツイートより、引用。)
<2017年2月28日>
某メーカーと同じ文学カモ?
「あってはならない」
は
「強要は存在する」
ではないのですよね
強要の事実は認めたほうがいい
で
川奈さんは強要問題には関係しない方がいいです
そのほうが
被害者に寄り添い
個別の解決策を講じるプロたちの邪魔にもならない
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山口弁護士の言辞をつづけます。
(2017年2月27日 日刊スポーツ「山口貴士弁護士「許されない」AV出演強要問題」より、引用。改行を施しています。)
<山口貴士 AVAN弁護士>
業界側としても、外部者の意見も聞いた上で、女優さんが出演するか否か等について、自己決定権を担保する枠組みを作るべきです。
同時に、AVに出演したいという女優の自己決定権も最大限尊重されなくてはならないので、法規制ありきではなく、業界の自主的な取り組みを優先すべきです。
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嗤(わら)うしかありません。
SGM村上チーフさんの指摘が、言い得て妙です(実にうまく言い当てています)。
(SGM村上チーフさんのツイートより、引用。改行を施しています。)
<2017年3月1日>
自己決定権ではなくて、あるのはメーカーの決定権の間違いでは?
メーカーの意向にはさからえないのがAV業界の現実でしょうに。
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本質をついています。
諸悪の根元は、メーカー(犯罪集団)です。
強要の主体であり、ときには、強要を誘因する装置となっています。
メーカーについては、つぎのお二人の会話が参考になります。
(SP先生さんのツイートより、引用。)
<2017年2月21日>
力を持っているのはプロダクション・メーカーであり一契約者である女優はその力に抗えないというのが正しいのでしょうか?(いまいち理解してない私)
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(やまもと寅次郎さんのツイートより、引用。改行を施しています。)
<2017年2月21日>
プロダクションとメーカーが対等ではないってことです。
どんなに女優にとって良いと思われる契約書ができても、今のような力関係では意味をなさないってことです。
マークス事件のときの教訓が、全然生かされていない。(ー_ー)!!
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契約書の内容を改善するだけでは不十分のようです。
メーカーは悪です。
(再掲。山口弁護士)
「女優さんが出演するか否か等について、自己決定権を担保する枠組みを作るべき」
昨年の12月13日に、内閣府の「女性に対する暴力に関する専門調査会」が開かれました。
この席で、会長の辻村みよ子さん(明治大学法科大学院教授)が、つぎのようにのべています。
(2016年12月13日 第85回 男女共同参画会議 女性に対する暴力に関する専門調査会「議事録」より、引用。改行を施しています。)
<議事録の27ページ。辻村みよ子会長>
さらに、供給側といいますか、日本の女子中高校生については、以前から援助交際のことが問題になっていましたけれども、自己決定権という名のもとに、今では小学生も自己決定権という言葉を使うようになって、自分の体は自分で処分するのは権利であるということを小学生でも言うということがよく言われます。
しかし、本当に権利意識が高まったことではなく、これは男性の性支配のような全体構造を考えた場合に、そこにわけがわからなくて、お小遣い稼ぎに入っていく少女たち。
権利と行って(言って)人間の尊厳を奪われてしまうという構造的な問題です。
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同感です。
AVの出演に関する自己決定権とは、人間の尊厳を放棄する権利のことなのかもしれません。
(2016年10月13日 毎日新聞「AV問題 語り始めた業界人(6)異才が見た『性と自傷』」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用。二村ヒトシ監督>
やりたくない人、向いていない人は業界に近付かない方がいい。
向いている人、やらないではいられない人だけが、リスクをよく知った上でやるべき仕事なのだと思います。
(後略。)
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(再掲。山口弁護士)
「女優さんが出演するか否か等について、自己決定権を担保する枠組みを作るべき」
当然、「やらないではいられない人」にとっては、自己決定権が必要です。
リスクを覚悟のうえ、人間の尊厳を放棄してください、といったところでしょうか。
(再掲。山口弁護士)
「同時に、AVに出演したいという女優の自己決定権も最大限尊重されなくてはならないので、法規制ありきではなく、業界の自主的な取り組みを優先すべきです」
このひとは、メーカーやプロダクションの手口がわかっていないようです。
もっとも、出演強要はない、との立場なので、仕方ありませんが。
(2016年7月17日 AbemaTIMES「【AV出演強要・脅迫・洗脳】人気AV女優が元所属事務所を告訴」より、引用。)
<香西咲さん>
デビューのさいに契約書も結んでいないし、日付を遡ってAVの事務所の契約書を書かされたので不本意だと思いました。
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(2016年08月27日 弁護士ドットコム「<AV出演強要>香西咲さん『今でもフラッシュバックに悩まされる』洗脳の過去を語る」より、引用。改行を施しています。)
デビュー作の撮影が終わったあとから、メーカーと事務所と私の三者間の契約があったことを聞かされて、サインをさせられました。
契約書には「アダルト」という言葉がありました。
そこにはしっかりと撮影前日の日付が刻印されていました。
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外形上、香西咲さんは、みずから自己決定権を行使したことになります。
契約書にサインをしたのですから。
(再掲。山口弁護士)
「同時に、AVに出演したいという女優の自己決定権も最大限尊重されなくてはならないので、法規制ありきではなく、業界の自主的な取り組みを優先すべきです」
山口弁護士は、香西咲さんのような案件も、法律で規制すべきでない、と言うのでしょうか。
もしもそうだとするのならば、愚昧(ぐまい)です(愚かで道理がわかっていません)。
もう一度、人の道を学びなおしたほうがよいでしょう。
(橋本久美さんのツイートより、引用。改行を施しています。)
<2017年2月25日>
例えば性表現の問題を取り上げて運動をするならば、敵対構造を作るのではなく、他の主張とも折り合いをつけていかないと大衆に訴えていく運動にはなり得ないと私は思う。
ただし被害者支援は別だ。
支援側は被害者に寄り添い救済することに全力を傾ける。
残念だが相手方の言い分を聞くわけにはいかない。
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(再掲)
「支援側は被害者に寄り添い救済することに全力を傾ける。残念だが相手方の言い分を聞くわけにはいかない」
AVANに欠けているのは、被害者に寄り添うという気宇(気がまえ)です。
業界側の言い分ばかりを聞いているような気がします。
もっとも、つぎの面は評価が高いであろうと考えます。
(2017年2月8日 内閣府「若年層を対象とした性的な暴力の現状と課題 ~いわゆる「JKビジネス」及びアダルトビデオ出演強要の問題について~(案)」より、引用。改行を施しています。)
<報告書(案)の37ページ。AVANについて。>
(略)、(アダルトビデオ業務に従事する人々の)その後のセカンドキャリアを見据えた教育機会の創出や現場における問題発生時の相談窓口の設置及び法的なサポートを実施することなどを目指しているとのことである。
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AVANが準備している就労支援は、画期的です。
搾り取ることしか考えていないメーカーには、到底、考えつかぬことです。
(川奈まり子AVAN代表のツイートより、引用。改行を施しています。)
<2017年2月27日>
はい。
ユニオン的な同業者団体として、メーカー団体等との交渉にあたったり、会員の支援にあたりたいと思います。
確定申告セミナーに続き、この春は再就職支援サービスも開始します。
応援ありがとうございます!
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AVANは、労働組合的な団体のようです。
こちらにつきましても好感がもてます。
残念なことに、肯定的な側面があまり浸透していません。
今後は、香西咲さんたちが被った犯罪にも拘(かかずら)って(関わって)ほしいものです。
そうすれば、より国民の支持を得られると思うのですが。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
■香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)
(明日のブログへつづく)
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