本日、辻丸さんのツイッター経由で、川奈まり子さんの書き込みを拝見しました。
目を疑いました。
パソコンの画面に近づき、もう一度、読みなおしました。
(川奈まり子AVAN代表のツイートより、引用。改行を施しています。)
<2017年1月27日>
AV業界の全員に理解してもらいたいのです。
今、内閣府では「すべてのAV制作は性暴力である」という定義が通されそうになっています。
法規制に向けた議論へのAV実演家の参画を拒みながら、AV制作を犯罪化する指針が示されようとしているの!
国家によるAV女優の人権の簒奪(剥奪)に反対します。
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(再掲)
「内閣府では『すべてのAV制作は性暴力である』という定義が通されそうになっています」
内閣府がそのようなことを言ったのでしょうか。
寡聞して存じあげませんでした。
<2017年1月27日。川奈まり子さん>
p.26「AV制作過程において性暴力が行われているのだという(性犯罪の刑法の法制審議会の答申に)書き込みをする必要があるかと思います。」
第 85 回 男女共同参画会議 女性に対する暴力に関する専門調査会
議事録です。
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2016年12月13日に、内閣府が主催する「第85回女性に対する暴力に関する専門調査会」がひらかれました。
この会議のなかで、
「すべてのAV制作は性暴力である」
との発言があった。
川奈まり子さんは、そうおっしゃいます。
フェイスブックのほうも読ませていただきました。
関係する箇所を引かせていただきます。
<一部分を引用。川奈まり子さん>
p.26「AV制作過程において性暴力が行われているのだという(性犯罪の刑法の法制審議会の答申に)書き込みをする必要があるかと思います。」
第 85 回 男女共同参画会議 女性に対する暴力に関する専門調査会
議事録からの抜粋です(まる括弧の部分は私が捕捉しました)。
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性犯罪の刑法の法制審議会の答申に「AV制作は性暴力」と書き込む前に、せめてAV制作の現状を広く調査すべきです。
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(再掲)
「まる括弧の部分は私が捕捉(補足)しました」
内閣府の議事録をみてみます。
26ページの7~8行目に、つぎのくだりがあります。
「(前略)、AV制作過程において性暴力が行われているのだという書き込みをする必要があるかと思います」
川奈まり子さんは、内閣府の
「AV制作過程において性暴力が行われている」
との文言が、刑法の法制審議会の答申に記載される、と危惧します。
現在の刑法は、1907年に制定されました。
いま、これが、110年ぶりにかわろうとしています。
一昨日の新聞報道をみてみます。
(2017年1月27日 産経新聞「性犯罪、厳罰化へ法改正 法務省検討、今国会提出 非親告罪化も」より、引用。改行を施しています。)
法務省は、性犯罪の法定刑の下限を引き上げるなど厳罰化する刑法改正案を(1月)20日に召集された通常国会に提出する方向で検討している。
罰則を強化するほか、被害者の告訴が必要となる親告罪だった強姦(ごうかん)罪などについて非親告罪化することも盛り込む。
罪名も「強姦罪」を「強制性交等罪」に変更する方針で、女性が被害者となることを前提とした名称から性差のない名称に変わる。
成立すれば明治時代から続いた「強姦罪」の名称はなくなる。
(後略。)
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産経新聞は、
「刑法改正案を(1月)20日に召集された通常国会に提出する方向で検討」
とつたえています。
法案はすでに完成しています。
あとは国会で承認されるだけです。
「答申」の段階はおえている、ということがわかります。
昨年の9月の産経新聞をみてみます。
(2016年9月12日 産経新聞「性犯罪厳罰化へ 法制審が『親告罪』削除など答申」より、引用。改行を施しています。)
法制審議会は(9月)12日、強姦(ごうかん)罪について起訴するのに被害者の告訴が必要となる「親告罪」の規定の削除や、法定刑の下限を懲役3年から5年に引き上げる厳罰化などを含む刑法改正の要綱を金田勝年法相に答申した。
条文化の作業を進め、来年の通常国会にも法案提出する見通し。
(後略。)
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おわかりのとおり、昨年の9月12日の時点で、答申が完了しています。
(再掲。川奈まり子さん)
p.26「AV制作過程において性暴力が行われているのだという(性犯罪の刑法の法制審議会の答申に)書き込みをする必要があるかと思います。」
第 85 回 男女共同参画会議 女性に対する暴力に関する専門調査会
議事録からの抜粋です(まる括弧の部分は私が捕捉しました)。
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「性犯罪の刑法の法制審議会の答申に」
この「補足」は誤っています。
既出の内閣府の議事録で確認してみます。
<3ページ。10~15行目>
(略)、平成27年11月から本年6月までの間、法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会において、合計7回の調査審議が行われ、その中で、性犯罪の罰則に関する検討会において実施されたヒアリングを補充する観点から、性犯罪、被害者等のヒアリングがさらに実施され、そこで示された御意見をも踏まえて調査審議が行われた上で、本年9月12日、法制審議会第177回総会において、全会一致で要綱(骨子)が採択され、お手元の資料の要綱(骨子)のとおり法整備を行うのが相当である旨、法務大臣に答申されたものでございます。
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<5ページ。7~8行目>
法務省としましては、この法制審議会の答申を踏まえ、適切な時期に法案を提出できるよう、現在準備を進めているところでございます。
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<7ページ。21~24行目>
○今井局付
当局としましては、現在、法制審議会で答申をいただいたものを法案にする準備をしておりますので、その後のことについては、現在のところ何か決まっているわけではなく、答申をいただいたものについて、適切な時期に法案を提出できるように準備を進めてまいりたいと考えている次第でございます。
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くりかえします。
もう、答申する(意見をもうしのべる)必要はありません。
すでに法案化されているのですから。
川奈まり子さんはなぜ、
「AV制作過程において性暴力が行われている」
との字句が、刑法の法制審議会の答申に反映されると思ったのでしょうか。
「第85回女性に対する暴力に関する専門調査会」の議事次第をみてみます。
(引用)
(前略。)
2.議事
(1)性犯罪に対処するための刑法の一部改正に関する法制審議会の答申について
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(2)児童の性に着目した新たな形態の営業など、若年層を対象とした暴力の被害等について
(いわゆるJKビジネス及びアダルトビデオへの出演強要の被害など)
・政府の取組について
・民間団体の取組について
・今後の対応について
(略。)
【配布資料】
■資料1 性犯罪の罰則の改正に関する法制審議会の審議状況等【法務省】
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■資料2 ネット上の違法・有害情報に対する総務省の取組【総務省】
■資料3 インターネット上の人権侵害情報に関する人権侵犯事件について【法務省】
■資料4 リベンジポルノに対する取組み【一般社団法人セーファーインターネット協会】
■資料5 今後の対応について(案)
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ご覧のとおり、昨年の12月13日の会議は、「性犯罪の罰則の改正に関する法制審議会の審議状況」(刑法改正)と、別の議題が混じり合っています。
ちなみに、出演強要被害に関するものは、資料5の3~4ページで確認することができます。
冒頭の箇所を引いてみます。
(引用)
<現状と課題の整理の骨子案>
○仮題;若年層を対象とした性暴力の実態
~いわゆる「JKビジネス」及びアダルトビデオ出演強要問題の現状と課題~
○骨子案と記載すべき事項(たたき台)
以降につきましては、過日のブログでふれました。
(参考)
・2016年12月19日
内閣府は、今年の3月31日までに、出演強要問題に関する報告書をまとめるようです。
(2016年12月13日 弁護士ドットコム「『AV出演強要』『JKビジネス』内閣府が報告書作成へ…被害実態や課題など盛り込む」より、引用。改行を施しています。)
(略)、2016年度中をめどに、「AV出演強要」や「JKビジネス」の被害実態について、報告書(現状と課題)をまとめることを決めた。
法令による取り締まりなど、今後の課題にも触れる予定だ。
(略。)
報告書では、これらの内容を踏まえ、被害実態や現状の取り組み、今後の課題などを記載する。
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ふたたび、議事録を参照します。
<22ページ。6~12行目>
これまでのヒアリング等を踏まえて、専門調査会として本年度内をめどに、この問題に関する被害や取組などの現状と、今後検討すべき課題について整理をしていきたいと考えている次第でございます。
(略。)
その次に、事務局を通じて、委員の皆様に事前にその現状と課題の整理に関する骨子案、このタイトルも仮題でございますけれども、「若年層を対象とした性暴力の実態-いわゆる『JKビジネス』及びアダルトビデオ出演強要問題の現状と課題-」というような文書を、今後整理して作成していきたいということでございます。
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報告書の名称は、
「若年層を対象とした性暴力の実態-いわゆる『JKビジネス』及びアダルトビデオ出演強要問題の現状と課題-」
です。
今年度中に、作成するとのことです。
<22ページ。13~15ページ>
本日は、これまでのヒアリングを踏まえまして、各委員の皆様からこの骨子案の内容、あるいは今後の検討課題などについて、本文に記載すべき事項に関して御意見をいただき本日の御意見を踏まえまして、本文を作成し、年度内に整理を行っていきたいと考えております。
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内閣府は、各委員に対して、意見をもとめました。
<23ページ。28~31行目>
○辻村会長
(前略。)
それでは、残された時間、委員の方、本日は5名の委員が御参加でございますのでお1人4-5分あると思いますけれども、御意見を頂ければ幸いでございます。
(後略。)
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委員のひとりである平川和子さん(東京フェミニストセラピィセンター所長)は、つぎのようにのべました。
<一部分を引用。25ページの35行目~26ページの8行目>
(略)、AV出演の強要に関しては、名前のない性暴力被害であって、研究者によると、「被害者がいない犯罪」なのだと言われてきた経過があります。
従来、ポルノグラフィーというのは表現の問題として議論されることはあっても、AVが制作される過程の中で、実は女優となる出演する女性が強姦被害に遭っており、しかも、数人の男性に囲まれて、同意のない性行為をさせられているということです。
既ポルノ制作の過程で性暴力被害が起きているという構造的問題をきちんと報告書に書き込む必要があるのではないかと思います。
またAVに関しては従来から表現の問題である観点から、たかだかわいせつ物としての取り締まりが行われてきたといっても過言ではないと思いますが、一旦はこの立場からの議論を保留にしたうえで、AV制作過程において性暴力が行われているのだという書き込みをする必要があるかと思います。
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出演を強要された女性は、AV制作過程において、性暴力の被害にあっている(強姦されている)。
平川和子さんは、このようにのべています。
主として、出演強要の被害にあった女性を対象とした発言です。
(川奈まり子AVAN代表のツイートより、引用。改行を施しています。)
<2017年1月27日>
はい。
「AV制作過程において性暴力が行われているのだという書き込みを」法制審議会の答申にされたら強姦等の非親告罪化とセットになって引退したAV実演家も警察・検察に逮捕・起訴される可能性が高く、表のAVは終了。
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(再掲)
「法制審議会の答申にされたら強姦等の非親告罪化とセットになって」
法制審議会の答申は、4か月前に終了しています。
川奈まり子さんは、混同しています。
いま内閣府が作成しているのは、
「被害や取組などの現状と、今後検討すべき課題」
に関する報告書です。
法案のたたき台ではありません。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」(怖いと思っていると何でもないものまで恐ろしくみえてしまう)
といったところでしょうか。
AVANには、香西咲さんや星野明日香さんたちのような被害者を支援してほしいものです。
そうすれば、政府はもとより、国民の信頼を得られるのではないでしょうか。
国家権力には絶対勝てません。
今後は、被害者の立場に寄り添うべきでしょう。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
■香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)
(明日のブログへつづく)
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