メーカーは撮影をおこなう前に、香西咲さんと直接、契約をかわしていなかった。これが業界の常識なのだろうか

昨日、竹田恒泰さんというコメンテーターの発言についてふれました。

2016年12月17日 「田村淳の訊きたい放題!」
 ・YouTube(36分のあたりから)
 ・デーリーモーション(32分のあたりから)

もう一度みてみます。

<竹田恒泰さん>
2,400万円の違約金の請求ということで、裁判所は無効だと言ったんですけれども、これ公序良俗に反するって、AV出演契約だから公序良俗に反して無効とは言っていないんですよ。
この判決は2,400万円が高すぎるという判決なんですよ。
もしたとえば、これが200万円とかだったらぜんぜん、あんた払え、という、そういう判決になった可能性もあるんですよ。
だから2,400万円だと実質、断れないから、払えないから、結局、違約条項がないのと一緒だという判決なんですよ。

川奈まり子さんが言うように、ちゃんとしたプロセスをふんで、全部合意のもとで、全部広告宣計画もでていて、最後、さあリリースの直前で、やっぱやめますというひとだっているかもしれません。
それを一緒くたに、全部業界が悪いというのも極端なはなし。

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前半の部分は、事実に反します。

(再掲。竹田恒泰さん)
もしたとえば、これが200万円とかだったらぜんぜん、あんた払え、という、そういう判決になった可能性もあるんですよ

竹田恒泰さんは、判決文を忖度(そんたく。推測との意味)しすぎたようです。
プロダクション側は、女性がアダルトビデオへの出演を拒否したのにもかかわらず、聞く耳をもちませんでした。
出演を強行しようとしました。
このことに対して東京地裁は、
アダルトビデオへの出演は、(略)、出演者である被告の意に反してこれを従事させることが許せない性質のものといえる
原告は、被告に意に反するにもかかわらず、被告のアダルトビデオへの出演を決定し、(略)、アダルトビデオの撮影に従事させようとした
したがって、被告には、このような原告との間の第2次契約を解除する『やむを得ない事由』があったといえる
裁定したのです。

後半の部分についても、みてみます。

(再掲。竹田恒泰さん)
川奈まり子さんが言うように、ちゃんとしたプロセスをふんで、全部合意のもとで、全部広告宣計画もでていて、最後、さあリリースの直前で、やっぱやめますというひとだっているかもしれません。それを一緒くたに、全部業界が悪いというのも極端なはなし

被害者の女性の場合はどうだったのでしょうか。

(2015年9月9日 判決文より、引用。)

<一部分を引用>
被告(女性)は、(略)アダルトビデオへの出演が、(略)被告の意に反する業務であったため、(略)翌3日のアダルトビデオ撮影の直前である同月1日に、支援者を通じて、原告に対し、第1次契約及び第2次契約を解除する旨の意思表示をした。
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判決のあと(2015年9月29日)、女性側の弁護団が、「本件の事実経過」という文章を発表しております。
(※2016年1月25日 賃金と社会保障の35~36ページに掲載。)
こちらを参考にして、当時の状況を簡単にまとめてみます。

被害者の女性が、PAPSにメールで相談する。(週刊朝日によると、「夜中の2時過ぎ」)
  翌日・・・・・・
PAPSがプロダクションに対して、電話で、本人の意向をつたえる。「今後いっさい活動しない」と。
 プロダクションは、「親にばらすぞ」と脅迫めいたことばを口にする。
  2日後・・・・・・
PAPSは、プロダクションに、契約解除の意思を記した内容証明郵便物を送付する。
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女性は警察のところへも行っています。

(ログミーに掲載されたKさんの手記より、引用。改行を施しています。)

<一部分を引用。被害者の女性>
ようやく支援団体に助けを求めた日に、警察にも助けを求めました。
警察の人の協力もすこしは得られました。
しかし、警察の人はプロダクションに事情を聴いたあとで、私に対して
「あと2本出演したらどうか」
と言ってきました。

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プロダクション側は、対抗措置をとります。

(2016年3月11日 衆議院会議録「第190回国会 内閣委員会 第5号」より、引用。)

<一部分を引用。池内さおり議員>
この裁判の当事者の女性は、もちろん逃げたわけですけれども、芸能プロダクションが自宅まで追いかけてきて、実力で身柄を拘束しよう、奪還しようとしたそうなんですね。
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(再掲。竹田恒泰さん)
ちゃんとしたプロセスをふんで、全部合意

被害者の女性も、外形的には、「ちゃんとしたプロセスをふんで、全部合意」しています。

(※2016年1月25日 賃金と社会保障の35~36ページより、一部分を引用。改行を施しています。)

<2015年9月29日 弁護団「本件の事実経過」>
アダルトビデオへの出演は、被告には何の相談もなく、原告の一存で決定され、強要された。
被告はこの時もやめてほしいと述べたものの、指示に従わなければ違約金を支払うしかないと脅され、従うほかなかった。

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被告は、この撮影の1日目が終わった直後に(第2次)契約書への署名捺印をさせられている。
この契約には、アダルトビデオの記載があったが、既に被告はアダルトビデオの撮影を強要されており、撮影はその後も続く予定であったため、この時点で契約に署名捺印しない選択肢は被告には与えられていなかった。

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池内さおり衆議院議員は、このときの女性の心理状態をつぎのように語っています。

2016年3月11日 衆議院会議録「第190回国会 内閣委員会 第5号」より、引用。改行を施しています。)

<一部分を引用。池内さおり議員>
女性は、やりたくないと懇願をしたけれども、既に契約が成立しているので、もし従わなければ違約金が生じると、高校を卒業して進学をしていた彼女には到底支払うことができない金額を示されて、彼女はやむなく応じざるを得なかった。
撮影の一日目には数名の男性によって性行為を繰り返し強要された、そのショックで放心状態にあるときにAV出演の契約書に署名捺印をさせられたということです。
その後もAVの撮影が続いて、もうやめさせてほしいと何度も懇願したけれども、聞き入れてもらえなくて、あげくに、AVに出演しなければ一千万円の違約金が必要だとおどされて、AVの撮影に従事をさせようとしたわけなんです。

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違約金は当初、100万円でした。
それがなぜ、1,000万円にふくらんだのでしょうか。

(2016月1月21日 週刊朝日「“AV出演”被害が急増 高校生から狙う悪質プロダクションの恐怖」より、引用。改行を施しています。)

<一部分を引用>
当初の違約金100万円が10倍に跳ね上がったのは、AV撮影初日の夜、新たな契約書にサインするよう指示され、それが10本分の契約だったからだ。
契約書にサインするとき、そんな説明はなかったので、気づいたときは声も出ないほど、愕然とした。
自分だけではどうしても抜け出せない泥沼にはまり込み、「死にたい」とまで思い詰めるようになった。

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判決文も参照します。

(2015年9月9日 判決文より、引用。改行を施しています。)
原告(プロダクション)は、(略)業務内容に「アダルトビデオ」を明示した第2次契約の契約書に署名捺印させた。
そして、原告は、被告に対し、あと9本のアダルトビデオへの出演が決まっていること、これを拒否した場合には1000万円くらいの違約金がかかることをつげて、第2次契約に基づき、被告をアダルトビデオの撮影に従事させようとした。

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この契約書は、形式上、「ちゃんとしたプロセスをふんで、全部合意のもとで」つくられています。

(再掲。竹田恒泰さん)
川奈まり子さんが言うように、ちゃんとしたプロセスをふんで、全部合意のもとで、全部広告宣計画もでていて、最後、さあリリースの直前で、やっぱやめますというひとだっているかもしれません。それを一緒くたに、全部業界が悪いというのも極端なはなし

このひとの物言いは、先ほどの警官と同じです。
あと2本出演したらどうか

ちなみに、現在、警察はかわりました。

2016年11月15日 朝日新聞「AV出演強要、10代女性や男性も 2年半で相談22件」より、引用。改行を施しています。)

警察庁の担当者は
「相談できずに埋もれているケースもあると思う。最寄りの警察署などにいつでも相談してほしい
と呼びかけている。

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竹田恒泰さんは、時代の流れから取り残されているようです。
もっとも、蒙昧(もうまい。知識が開けず物事の道理にくらいという意味)なだけかもしれませんが。
裁判をふりかえってみて、あらためて感じることがあります。
いくら契約書の体裁をととのえてみたところで、それだけでは出演強要をふせぐことができないと。
昨年の6月、HRN(ヒューマンライツ・ナウ)は、IPPA(メーカー団体)に対して、申し入れをおこなっています。
契約に関するものをみてみます。

(2016年9月18日 伊藤和子弁護士のブログ「AV強要被害問題は今、どうなっているのか」より、引用。)

出演契約にあたっては、女優の頭越しに契約するのでなく、女優が参加したうえで契約を締結する。その際、プロダクションの監視により女優が自由に意思決定できない事態を防ぐため、マネジャーが同席しない場での真摯な同意があるか意思確認するプロセスを踏む。

女優が出演拒絶した場合、違約金を請求せず、メーカーが損失を負担する。違約金に関しては保険制度等を活用する。
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(再掲)
出演契約にあたっては、女優の頭越しに契約するのでなく、女優が参加したうえで契約を締結する

HRNはなぜ、このような規定をもとめているのでしょうか。

(2016年7月17日 AbemaTIMES「【AV出演強要・脅迫・洗脳】人気AV女優が元所属事務所を告訴」より、引用。)

(2016年08月27日 弁護士ドットコム「<AV出演強要>香西咲さん『今でもフラッシュバックに悩まされる』洗脳の過去を語る」より、引用。改行を施しています。)

<香西咲さん>
デビュー作の撮影が終わったあとから、メーカー事務所の三者間の契約あったことを聞かされて、サインをさせられました。
契約書には「アダルト」という言葉がありました。
そこにはしっかりと撮影前日の日付が刻印されていました。

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メーカーは撮影をおこなう前に、香西咲さんと直接、契約をかわしていませんでした。
当時はこれが当たり前だったのでしょうか。
メーカーがもっときちんとしていたら、香西咲さんはこの世界にいません。
別の人生をあゆんでおられました。
そう思うと、無念でなりません。
出演契約にあたっては、女優の頭越しに契約するのでなく、女優が参加したうえで契約を締結する
その際、プロダクションの監視により女優が自由に意思決定できない事態を防ぐため、マネジャーが同席しない場での真摯な同意があるか意思確認するプロセスを踏む
HRNの提案が早期に実現することを願っております。

2016年12月17日 「田村淳の訊きたい放題!」
 ・YouTube(36分のあたりから)
 ・デーリーモーション(32分のあたりから)

どなたが一番、女性のことを考えているのでしょうか。
もう一度、みくらべてみてください。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
 私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
 だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)

(明日のブログへつづく)



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