香西咲さんは契約書をたてに奴隷としてあつかわれた。警察はなぜ犯罪者を逮捕しないのだろうか

過日、YouTubeで、出演強要問題をとりあげたテレビ番組をみました。
昨年の12月17日に放映されたものです。
タイトルは、「田村淳の訊きたい放題!」です。
以前に、辻丸さんがされているリツイートを拝見して、この番組の存在を知りました。
YouTubeにアップされているそうです。
関心はあったものの、みるのを先延ばしにしていまいました。
どの動画もそうです。
視聴するためには気概が必要となります。
日々、多忙のため、ぼくには時間がありません。
画面をながめている暇があるのならば、テニスや読書にあてたいという気持ちがあります。
2週間前のことです。
意を決して、みました。
進行は別として、中身自体は硬質でした。
時間をむだにしたという感じはしませんでした。

2016年12月17日 「田村淳の訊きたい放題!」
 ・YouTube(36分のあたりから)
 ・デーリーモーション(32分のあたりから)

番組のなかで、竹田恒泰さんというコメンテーターが、2015年9月9日の地裁判決についてふれていました。
出演を拒否した女性に対して、プロダクション側が、2,460円の違約金を請求した訴訟です。
最近また話題になっています。
いちおう、当時の新聞記事で、内容を確認してみます。

(2015年9月30日 読売新聞「『AV出演拒否』 違約金請求棄却 東京地裁」より、引用。改行を施しています。)

アダルトビデオ(AV)への出演を拒否した20歳代女性が、所属する芸能事務所に違約金2460万円を請求された訴訟で、東京地裁(原克也裁判長)が請求を棄却する判決を今月(9月)9日付で言い渡し、確定した。
29日に女性の弁護団が記者会見で発表した。
伊藤和子弁護士は
「AV出演を強要される女性の相談は増えている。今後の被害救済の力になる判決だ」
と評価した。
(後略。)

(※この記事は、ネット配信されていません。)
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女性の勝訴です。
このことに対して、竹田恒泰さんは、つぎのように言及しました。
(※できるだけ忠実に発言を再現しました。)

<竹田恒泰さん>
2,400万円の違約金の請求ということで、裁判所は無効だと言ったんですけれども、これ公序良俗に反するって、AV出演契約だから公序良俗に反して無効とは言っていないんですよ。
この判決は2,400万円が高すぎるという判決なんですよ。
もしたとえば、これが200万円とかだったらぜんぜん、あんた払え、という、そういう判決になった可能性もあるんですよ。
だから2,400万円だと実質、断れないから、払えないから、結局、違約条項がないのと一緒だという判決なんですよ。
川奈まり子さんが言うように、ちゃんとしたプロセスをふんで、全部合意のもとで、全部広告宣計画もでていて、最後、さあリリースの直前で、やっぱやめますというひとだっているかもしれません。
それを一緒くたに、全部業界が悪いというのも極端なはなし。

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(再掲。竹田恒泰さん)
AV出演契約だから公序良俗に反して無効とは言っていないんですよ。この判決は2,400万円が高すぎるという判決なんですよ

東京地裁はそのようなことを言ったのでしょうか。
検証する前に、各新聞記事をみくらべてみます。

(2015年9月30日 日本経済新聞「意に反するAV出演契約「即時解除できる」 東京地裁判決」 より、引用。改行を施しています。)

(略)、
「意に反するAV出演は許されず、契約は即時解除できる」
との判断を示し、請求を退ける判決を言い渡した。
原裁判長は判決理由で
「女性が結ばされた契約は、やむを得ない理由があれば直ちに解除できる」
と指摘。
そのうえで
「AV出演の拒否はやむを得ない理由にあたる」
として、契約解除を認めた。

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(2015年9月30日 毎日新聞「訴訟:AV出演拒否の女性勝訴」より、引用。改行を施しています。)

(略)、東京地裁が
「本人の意思に反した出演は許されない」
として、請求を棄却していた(後略。)

(※この記事は、ネット配信されていません。)
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(2015年9月30日 産経新聞「AV出演拒否の女性勝訴 東京地裁『意思に反し許されない』」より、引用。改行を施しています。)

原克也裁判長は
「プロダクションは莫大(ばくだい)な違約金をたてに、意に反して出演を迫った」
と指摘。
女性には契約を解除するやむを得ない事情があるとして、支払い責任はないと述べた。

(※この記事は、ネット配信されていません。)
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(2015年9月30日 読売新聞「『AV出演拒否』 違約金請求棄却 東京地裁」より、引用。改行を施しています。)

判決は
「女性は『やむを得ない事由』があれば契約を解除できる」
と指摘した。

(※この記事は、ネット配信されていません。)
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それぞれの記事から、判決理由を抽出してみます。

日本経済新聞
意に反するAV出演は許されず、契約は即時解除できる
女性が結ばされた契約は、やむを得ない理由があれば直ちに解除できる
AV出演の拒否はやむを得ない理由にあたる

毎日新聞
本人の意思に反した出演は許されない

産経新聞
女性には契約を解除するやむを得ない事情がある

読売新聞
『やむを得ない事由』があれば契約を解除できる

朝日新聞とNHKのぶんも加えます。

朝日新聞(※孫引きです。)
本人の意に反して強要できない性質の仕事だ

NHK(※PAPSのサイトに所蔵されているものを参照しました。)
アダルトビデオへの出演は、出演者の意思に反して従事させることができない性質のもので、契約を解除できるケースに当たる

(再掲。竹田恒泰さん)
AV出演契約だから公序良俗に反して無効とは言っていないんですよ。この判決は2,400万円が高すぎるという判決なんですよ

そうなのでしょうか。
どこにもそのようなことは書かれていませんでしたが。
産経新聞の記述も、竹田さんの発言とは異なります。

(再掲。産経新聞)
『プロダクションは莫大(ばくだい)な違約金をたてに、意に反して出演を迫った』女性には契約を解除するやむを得ない事情があるとして、支払い責任はないと述べた

つぎに、ミモザの森法律事務所がアップしている判決文をみてみます。

(2015年9月9日 判決文より、引用。)

<一部分を引用>
被告の解除は、2年間という期間の定め(略)のある雇用類似の契約の解除とみることができるから、契約上の規定にかかわらず、「やむを得ない事由」があるときは、直ちに解約の解除をすることができるものと解するのが相当である(民法628条)。
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民法には、こう書かれています。

<民法 第628条>
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる
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やむを得ない事由がある」ときは、契約の期間内であっても、契約を解除することができます。
当該女性の場合、どのような事柄が、「やむを得ない事由」と認定されたのでしょうか。
裁判官はこうのべています。

<一部分を引用。判決文>
アダルトビデオへの出演は、原告が指定する男性と性行為等をすることを内容とするものであるから、出演者である被告の意に反してこれを従事させることが許せない性質のものといえる。
それなのに、原告は、被告に意に反するにもかかわらず、被告のアダルトビデオへの出演を決定し、被告に対し、第2次契約に基づき、1000万円という莫大な違約金がかかることを告げて、アダルトビデオの撮影に従事させようとした
したがって、被告には、このような原告との間の第2次契約を解除する「やむを得ない事由」があったといえる。

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明快です。
要約してみます。

大原則出演者の意に反してアダルトビデオへ出演させることはできない。
 
女性は出演を拒否した。(週刊朝日
  
それなのにプロダクションは、出演を決定して、撮影を強要した。
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女性には、AVへ出演する意思がありませんでした。
本人の意向を無視して、プロダクションは、出演を強(し)いました。
これが、契約を解除するに値する「やむを得ない事由」です。

(再掲。竹田恒泰さん)
AV出演契約だから公序良俗に反して無効とは言っていないんですよ。この判決は2,400万円が高すぎるという判決なんですよ

まったくちがいます。
おそらくこのかたは、判決文のつぎの箇所しか頭に残らなかったのでしょう。
1000万円という莫大な違約金がかかることを告げて、アダルトビデオの撮影に従事させようとした

被害者の女性の代理人を務めた伊藤和子弁護士は、つぎのように語っています。

(2015年10月1日「AV違約金訴訟・意に反して出演する義務ないとし請求棄却。被害から逃れる・被害をなくすため今必要なこと」より、引用。改行を施しています。)

<一部分を引用。伊藤和子弁護士>
これからはもう、契約書をたてに、本人の意に反して、AV出演を強制することは許されない。
場合によっては強要罪などの犯罪にもなるということをプロダクションは肝に銘じるべきだ。
そして、悩んでいる女性たちには、嫌ならいつでも、できるだけ早く、契約を解除してほしい。
マネージャーとのやりとりをLine(ライン)でしている場合、Lineに「AVはいやです。やりたくありません」と書いて送れば、「本人の意に反していた」ことの証明になる。
簡単にできる。
そして、事務所のホームページで住所を調べてFAXや郵送で解除の意思表示をすれば、翌日から撮影現場に行く必要はない。

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(再掲。竹田恒泰さん)
AV出演契約だから公序良俗に反して無効とは言っていないんですよ。この判決は2,400万円が高すぎるという判決なんですよ

金額の多寡は関係ありません。
AVの撮影は、
出演者である被告の意に反してこれを従事させることが許せない性質のもの
なのです。

松田有加さんという弁護士も、同旨のことをのべています。

2017年1月21日 しらべぇ「日弁連が「懲戒審査」要求 AV出演トラブルについて弁護士に聞いた」より、引用。改行を施しています。)

<松田有加弁護士>
「一旦契約したからには出続けなければならない」
と思ってAVに出続けている方もいらっしゃるようなのですが、契約書があるからといって、AVへの出演を強要することは許されません。
AVへの出演は、プロダクションが指定する男性と性行為等をすることを内容とするものなので、
「出演者の意に反して従事させることが許されない」
とされているのです。
AVの出演契約は、雇用契約に類似した契約であることが多いため、
「やむを得ない事由」(民法628条)
があれば、契約の解除をすることができます。

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ちなみに、民法628条が適用されるのは、雇用契約の場合です。
業務委託契約の場合は該当しません。
このことにつきましては、過日のブログでふれました。

(参考)
2016年12月13日 
2016年12月14日 

たとえ業務委託契約の場合であっても、心配はいらないと思います。
出演強要があった場合は、雇用契約であるとみなされるでしょうから。

<一部分を引用。判決文>
第1次契約及び第2次契約の内容は、被告が出演するものについて原告(プロダクション)の決定に従わねばならず、出演しなかった場合に損害賠償義務を負うとされているのに対し、被告の得られる報酬の額や支払方法について具体的な基準は定められていない。
実際にも、被告がどんなグラビア撮影やアダルトビデオ撮影に従事するかについては、被告の意思にかかわらず、原告(プロダクション)が決定していた。
(略。)
これらの実情に照らすと、第1次契約及び第2次契約はいずれも、被告が原告(プロダクション)に対してマネジメントを依頼するというような被告中心の契約ではなく、原告(プロダクション)が所属タレントないし所属AV女優として被告を抱え、原告(プロダクション)の指示の下に原告が決めたアダルトビデオ等に出演させることを内容とする雇用類似の契約であったと評価することができる。

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香西咲さんのツイッター(2014年7月3日)より、引用。

あの時は、トラックが突っ込んできても私は避けないってマネージャーにも話してた。
本当に笑えなかったよね。
もちろん今は避ける(笑)
あの時笑えなかった事がやっと笑い話にできる(笑)

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香西咲さんのツイッター(2016年7月13日)より、引用。

契約書を縦に止めさせてもくれない、かと言って事務所に居続けたら、 V撮影と性接待(勿論金銭のやり取りなし)に都合良く使われて青木亮に飼い殺しになる…
本気で死にたかった。
あの頃の私はトラックに突っ込んで欲しかった。

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香西咲さんをはじめ、これまで多くの女性たちが、プロダクションの奴隷として、尊厳をうばわれてきました。
契約に関しては、いつでも自由に解除することができるようになりました。
違約金も支払う必要がありません。
残念ながら、このことを知らない女性も存在すると思われます。
政府による広報活動を期待したいです。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
 私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
 だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)

(明日のブログへつづく)



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