一昨日のブログで、IPPA(メーカー団体)が、来春からの運用をめざしている、とされる契約書の件についてふれました。
(2016年12月17日 毎日新聞「くらしナビ・ライフスタイル.AV出演強要は人権侵害」より、引用。改行を施しています。)
現在は
▽出演者とプロダクションで交わす契約書の統一
▽第三者委員会の設置
▽相談窓口開設
▽作品の流通期間制限
などを協議し、
「来春ごろからの運用を目指している」(事務局)
という。
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「作品の流通期間制限」と同じく、「契約書の統一」についても、前向きに取り組んでいるようです。
もちろん、みずから率先して端緒(たんしょ)を開いたわけではありません。
HRN(ヒューマンライツ・ナウ)からのたびかさなる要望の結果、重い腰をあげたのです。
(2016年9月2日 withnews「AV強要、戸惑う業界団体『信じられない』『現場で一番強いのは女優』」より、引用。改行を施しています。)
<朝日新聞経済部 高野真吾さん>
声明文(2016年6月22日)に、
「業界の健全化に向け、メーカーとしてもプロダクション側に働きかけていくことを決議、実行することに致しました」
とあります。
約2カ月経ちますが、どこまで実行できていますか。
<IPPA 事務局長(※なぜか名前が記載されていません)>
メーカーと女優は出演にあたって「出演同意書」を交わしますが、(メーカーの枠を超えた)統一の共通フォーマットを作成しようとなっています。
女優とプロダクションの契約に関しても同様に動いています。
運用マニュアルも用意するつもりです。
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昨年の6月22日の
「早急な改善を促していきたい」
との言辞は、巧言であったものの、
「来春ごろからの運用」
については、なんとかなりそうな様相です。
業界の所作(ふるまい)が、弥縫策(びほうさく。失敗や欠点などを一時的にとりつくろう策との意味)でないことを願っております。
契約書については、AVANも、統一書式のものをつくろうとしているようです。
(2016年10月22日 京都新聞「AV出演者『労働環境改善目指す』 川奈まり子さん法人設立」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
川奈さんは業界内部から改善するため、7月にAVANを設立した。
10月時点で女優を中心に会員は約70人。
現在は相談窓口を設けているが、来年4月から本格始動を予定し、出演者が所属事務所やメーカーと交わす統一書式の契約書の提供や、引退後の就職支援などをしていく。
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契約内容の改善で、出演者が撮影前から積極的に作品の内容に関われるようにして、望まない出演を防ぐ。
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意義のある活動をされているようです。
いっぽうで、つぎのような指摘もあります。
(2016年11月14日 日本経済新聞「夢につけ込まれ出演 奪われた尊厳(上) 意に沿わずAV 心に傷」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
AV業界内でもトラブル防止のために契約書の様式を統一したり、出演者が自身の権利を守るために団体をつくったりする動きが進んでいる。
ただ業界団体に加わらない“個人経営”に近い制作者も多い。
実効性は不透明だ。
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日本経済新聞の視座は独特です。
IPPA(メーカー団体)への加盟率はどれくらいなのでしょうか。
(2016年12月17日 毎日新聞「くらしナビ・ライフスタイル.AV出演強要は人権侵害」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
IPPAは海賊版流通を防ぐため11年に設立された業界団体で、AV制作者全体に占める加盟社のシェアは「7割ほど」(業界関係者)とされる。
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意外とすくないです。
残りの3割は、従前どおり、犯罪的な行為をつづけるのでしょうか。
(2016年12月25日 京都新聞「モデルになりませんか…AV出演の『わな』実態知って」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
契約書に署名してしまったことなどから「1回だけ」と出演すると、業者はさらに
「新人の場合は3~9本出演、1~2年縛りという業界のルールがある」
などと畳みかける。
AVのプロダクションや制作会社は契約書を脅しの材料にも使うが、未成年者が出演する場合は不利な証拠になるため、あえて契約書を作らないことも分かった。
金尻さんは
「出演を断るとプロダクションからは法外な額の違約金を求められ、撮影現場では制作会社から『指示に従わなければ契約違反』と言われて、実質的な奴隷状態になっている。被害に遭っている人は一人で悩まず、相談してほしい」
と話す。
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(再掲)
「あえて契約書を作らない」
このような悪行も横行しているようです。
しあわせなみだというNPO法人があります。
性暴力撲滅に向けた啓発をおこなっている団体です。
代表の中野宏美さんは、新聞のインタビューでつぎのように語っています。
(2016年11月14日 日本経済新聞「夢につけ込まれ出演 奪われた尊厳(上) 意に沿わずAV 心に傷」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
性暴力の問題に取り組むNPO法人「しあわせなみだ」(東京)の中野宏美代表は
「AVの関係会社は、法令順守に基づいたガイドラインを作成し、出演者と契約すべきだ。トラブル防止のため、行政はガイドラインが守られているかチェックする仕組みも必要だ」
と話す。
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3日後のことです。
中野宏美代表は、ご自身のブログで、上述のコメントに対する補足をおこないました。
(2016年11月17日 Happy Tear 中野宏美のブログ「AV出演強要が起こる責任は、雇用者側にある~日本経済新聞に掲載されました~」より、引用。)
テーマはAVへの出演強要。
背景には、
☆「芸能界に入りたい」という夢につけ込む
☆キャバクラ等の接客業からピンサロ、ヘルス等の性産業に追い込む
☆不当な債務等を負わせ、逃れられないようにする
といった「本人の意に沿わない」かたちで「同意させる」構造があります。
字数制限もあり、AV出演させる業界側のルールづくりと、行政によるチェック機能の必要性についてのみのコメントとなりました。
本来伝えたかったメッセージは
☆AV出演強要が起こる責任は、雇用者側にある。
☆法律を整備しても、必ずこぼれ落ちる人がいることを、忘れてはならない。
ということです。
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論旨がより明快となりました。
法令順守に基づいたガイドラインを作成しても、雇用者側は巧妙にすり抜けてくる、といったところでしょうか。
(伊藤和子弁護士のツイートより、引用。改行を施しています。)
<2017年1月3日>
今年はAV強要問題で政党や省庁の動きが本格化すると思いますが、形だけ法律つくって抜け道だらけ、実効性がないという結果にならないようにしないと意味ありません。
一丁あがりではダメ。
実態がわからないまま、問題を表面的に捉えてる関係者がまだ多いと思います。
私もさらに実態を勉強します。
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(再掲)
「実態がわからないまま、問題を表面的に捉えてる関係者がまだ多い」
ぼくは、洗脳の問題が話題にのぼらないのが気になっていました。
出演強要問題に関する論議は、まだまだ皮相的(真相をきわめず表面のみを見て下す浅薄なもの)なのかもしれません。
あからさまな出演強要が無理となると、今度業者は、洗脳を主たるストラテジー(戦略)としてくるでしょう。
PAPS(パップス)世話人の宮本節子さんが書かれた論文をみてみます。
(2016年1月25日 賃金と社会保障「まだ可視化されていないアダルトビデオ産業の性暴力被害と若者の貧相」より、引用。改行を施しています。)
<28ページ>
相談者の中には、AV業界の人たちがいかに人当たりがよく、自分の気持ちを引き立て、やる気を引き出してくれたか、ということを語る女性もいた。
撮影やイベントの時にはおだてられていい気持ちだった、とも言うのである。
(略。)
ある女性は、
「『(AVに出演することは)名誉なことだ』、『なりたくてもなれない子はたくさんいる』と周り中から言われ、今まで頑張ってきた、でも、もう出来ない」と助けを求めてきた。
LINEのやり取りなどを見せてもらうと、実に優しく語りかけている。
裏側に悪質な意図があるのだが、一時的にせよ、女性や少女の自尊感情をくすぐりやる気を引き出す手練手管は、相談機関のソーシャルワーカーやカウンセラーはもっと学んだらよいとさえ思わせられる。
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今後論議される法規制のなかに、洗脳に関することもふくまれるべきでしょう。
香西咲さんのツイッター(2016年6月11日)より、引用。
一般の皆様にお伝えしたい事。
これを機に『騙される方が悪い』と言う風潮やめて頂きたいですね。
素人の常識なんて簡単に覆されます。
『気を付けて』って言われて気を付けられるレベルではありません。
相手はプロ。
何枚も何枚も上手をいってきます
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洗脳された状態でメーカーと契約をおこなっても、だれも、強要されているとは気づきません。
NPO法人だいわピュアラブセーフティーネット代表のだいわりゅうさんは、つぎのようにのべています。
(だいわりゅうさんのツイートより、引用。)
<2016年12月22日>
本当に強要のことやAV業界の黒いところを知ってる人たちには誰も取材いってないよ。
まず取材に答えてないし。
強要されて洗脳された状態でメーカー行ってるのに、そこで監督やメーカーに取材行ったって知るわけないから。
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(2016月7月29日 毎日新聞「香西咲さんのインタビュー」より、引用。改行を施しています。)
<毎日新聞記者>
今も同じような目に遭っている女優がいる?
<香西咲さん>
いますね。
(被害に)気付いていないと思います。
「夢の真っ最中」の子もいます。
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香西咲さんのツイッター(2016年7月25日)より、引用。
前社長の洗脳口癖
『俺達はお前の家族だ。お前の夢を応援する』
『夢の為なら法に触れなければ手段を選ぶな』
『夢の為ならほかの奴らなんてどーでもいい、使え』
その他の特徴として 会話のペースをコチラに掴ませない。
はぐらかすのが上手。
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(2016年6月14日 東京新聞「バイト感覚で登録 『AV』記載なく 出演強要された被害女性が証言 」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
「AV業界は今、特殊な世界ではなく、ちょっとした心の隙があれば、誰でも取り込まれる危険がある」。
女性は何度も繰り返した。
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(再掲。伊藤和子弁護士)
「今年はAV強要問題で政党や省庁の動きが本格化すると思いますが、形だけ法律つくって抜け道だらけ、実効性がないという結果にならないようにしないと意味ありません」
香西咲さんは、心の隙がないのにもかかわらず、青木亮によって意に反することをさせられました。
今年の通常国会で、洗脳の件もあわせて論議されることを期待しています。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
■香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)
(明日のブログへつづく)
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