現在、IPPA(メーカー団体)は、以下の事柄について協議をおこなっているようです。
(2016年12月17日 毎日新聞より、引用。)
□出演者とプロダクションで交わす契約書の統一
□第三者委員会の設置
□相談窓口開設
□作品の流通期間制限
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昨日は、
「出演者とプロダクションで交わす契約書の統一」
「第三者委員会の設置」
についてふれました。
本日は、
「相談窓口開設」
「作品の流通期間制限」
についてみてみます。
相談窓口開設
HRN(ヒューマンライツ・ナウ)は、昨年、IPPA(メーカー団体)に対して、以下の要望をおこないました。
(2016年9月18日 伊藤和子弁護士のブログ「AV強要被害問題は今、どうなっているのか」より、引用。改行を施しています。)
<6月(※IPPA側の記述では5月)>
<HRN(ヒューマンライツ・ナウ)>
(※注 表記方法は、原文と異なります。)
●プロダクションや制作会社との間でコードオブコンダクト(とりきめ)を締結し、
強要しない、
違約金請求しない、
同意のない作品には出させない、
人権侵害を行わない、
適正な報酬を支払う、
等の項目を具体化し、それを承諾したプロダクション・制作会社としか取引しないようにする。
↓
●(これらが)が守られていない等の苦情申し立てに対応する機関を設置し、(略)守られていない疑いが強いものについては、販売差し止めを含む救済策を講じる。
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要請をうけたIPPA(メーカー団体)は、声明文のなかで、
「この要望に沿い業界の健全化へ向け、メーカーとしてもプロダクション側に働きかけていくことを決議、実行することに致しました」
と応(こた)えました。
「プロダクションにも働きかけ業界全体の健全化に向け早急な改善を促していきたいと思っております」
とものべています。
「早急」の部分については、
「言うは易(やす)く行うは難(かた)し」(口で言うだけなら誰にでもできるが、それを実行するのはむずかしい)
であったようです。
(2016年9月18日 伊藤和子弁護士のブログ「AV強要被害問題は今、どうなっているのか」より、引用。改行を施しています。)
<伊藤和子弁護士>
ただ、その後、まだ具体的な動きは目に見えてきていません。
そこで、私たちは、8月初旬に再びIPPAと会合を持ち、より具体的な提案を行いました。
<8月初旬>
「(前略)第三者機関が苦情申し立てを受けること(後略)」
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HRN(ヒューマンライツ・ナウ)は、第三者が苦情を聞くことをもとめています。
IPPA(メーカー団体)が現在、検討しているのは、相談窓口の開設です、
人選が気になるところです。
業界内の人間が相談をうけるのでしょうか。
すくなくとも、以下のような対応にならないことを願っております。
(2017年1月2日 NEWSポストセブン「AV出演強要「騙された私のギャラは1.5万円でした(2)」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
そもそも契約書を書いた覚えも、契約した覚えもない。
その時、数人の男たちに凄まれ成すすべなしというマリカの肩をそっと抱いて、優しい言葉をかけてきたのはメイク兼スタイリストの女性だ。
「気持ちはわかるが、大人の社会のルール。何百万の違約金を払うために何ヶ月も風俗で働くのがいいか、一回っきり、AVに出てお金をもらって帰るか。今日一日だけ頑張れば、子供に美味しいものを食べさせてあげられる、と言うのです。何人もの男性に囲まれ怒鳴られていたので、その女性の言葉が唯一の救いの手のように勘違いさせられました」
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(2016年11月19日 DAYS JAPAN「自分と周りの人を守る方法①]AV出演を強要されたら……」より、引用。改行を施しています。)
<くるみんアロマさん。一部分を引用>
「あなたが(AVを)やらないと、ここ(事務所)にいる全員の家族が食えなくなるんだよ、あなたそれを補償できるの?」
みたいに言われたんです。
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(2016年8月26日 withnews「AV強要、元タレントも被害 ミスコン受賞歴、歌手の夢捨てられず…」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
女性相談役に話しました。
彼女は、親とのことを「大丈夫?」と心配しつつも次のように言ってきました。
「目指している夢を邪魔するのは、実の家族でもダメだよ。私たちこそが家族だから支える」。
続けて、一緒にいた男性マネジャーが「携帯の番号を変えなよ」と提案しました。
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相談者の立場に寄り添った窓口になってほしいものです。
作品の流通期間制限
HRN(ヒューマンライツ・ナウ)の要望内容を記します。
<6月(※IPPAの記述では5月)>
<HRN(ヒューマンライツ・ナウ)>
女優の人格権保護のため、プライベート映像の流出・転売等を防止し、流通期間に制限を設け、意に反する二次使用、三次使用ができない体制をつくる。
<8月初旬>
<HRN(ヒューマンライツ・ナウ)>
女優の人格権保護のため、プライベート映像の流出・転売等を防止し、流通期間に制限を設け、意に反する二次使用、三次使用ができない体制をつくる。
二次使用、三次使用、第三者への権利譲渡には少なくとも本人の同意を必要とすべき。
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このあとIPPA(メーカー団体)は、検討をはじめたようです。
昨年の9月のwithnewsをみてみます。
(2016年9月2日 withnews「AV強要、戸惑う業界団体『信じられない』『現場で一番強いのは女優』」より、引用。改行を施しています。)
<朝日新聞経済部 高野真吾さん>
要請書にある、「女優の人格権保護のため」に「流通期間に制限を設け、意に反する二次使用、三次使用ができない体制をつくる」ことはどうでしょうか。
<IPPA 事務局長(※なぜか名前が記載されていません)>
今までは、メーカーが著作権を持って、二次、三次と使ってきましたが、我々の中でも今回、アダルトは特殊なコンテンツだという認識ができました。
二次使用する場合は、女優への意思確認をして、新たにお金を払うこともあり得ます。
本来の著作権はメーカーがずっと持つものだけど、権利の契約期間を5年とかで持っておいて、それ以上使いたい場合は女優にお金を支払う。
または、5年たったので、女優からの申し出で消せるなどのシステムを整備しようということで契約書のモデルケースを考えています。
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(再掲)
「我々の中でも今回、アダルトは特殊なコンテンツだという認識ができました」
このひとたちは、自分たちでものごとを考える力がないようです。
他人から指摘されてはじめてわかったというところでしょうか。
(再掲)
「今までは、メーカーが著作権を持って、二次、三次と使ってきました」
支援団体のPAPS(パップス)は、メールマガジンのなかでこうのべています。
(PAPS メルマガ31号「無権利状態におかれている出演女性~被害者支援活動からみえてきた実態」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
違約金の規定以外にも、出演したAVに関する一切の権利(著作権など)を永久に放棄することが含まれています。
これにより、業者が最初の「作品」を二次使用、三次使用しても、出演女性は最初の出演料以外何の報酬も得ることができません。
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自らがいわば「主役」として出演した「作品」に対して、およそ一切の権利を放棄し、逆にあらゆる不利な義務を負う、というような契約を、「AV」女優ではない「一般」の女優・俳優が負うことはありえるでしょうか?
こんなひどい契約がほかの俳優業でまかり通っているとはおよそ考えられませんが、この点は、一般俳優の場合と比較する必要があります。
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(略)、制作会社は、最初に「出演料」をプロダクションに支払ってしまえば(プロダクションはそこから女性へのギャラを支払います)、出演作そのものはもとより、その二次・三次利用から生じるあらゆる利益をほぼ独占することが保証されています。
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(再掲)
「この点は、一般俳優の場合と比較する必要があります」
香西咲さんは、つぎのように語っています。
(2016年08月27日 弁護士ドットコム「<AV出演強要>香西咲さん引退後の夢『人生楽しみたい』『消せない過去として歩む』」より、引用。改行を施しています。)
<香西咲さん>
今でも新しい「総集編」が勝手に出つづけています。
わたしは50本くらいしか撮っていないはずなのに、出演作は300本になっています。
だけど、2次使用、3次使用に関しては1円も入ってきません。
現実的に芸能とは違うことを改めて思い知らされました。
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一般の俳優の場合は、どうなっているのでしょうか。
(2015年7月2日号 週刊新潮「AV女王『小林ひとみ』も“不明リスト”に載る『2次利用問題』より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
元プロボクサーでコメディアンのたこ八郎、言わずもがなの大友柳太朗、ハーフタレントの草分けで岡田美里の父であるE・H・エリック、名脇役で津川雅彦の叔父・加東大介、女優の竹井みどり、そしてAVの女王・小林ひとみ……。
ザッと2500名もの役者と連絡がつかない、とホームページで〈ご本人及びお心当りのあるご家族、ご遺族、知人の皆様は、事務局までご連絡ください〉と呼びかけているのは、一般社団法人「映像コンテンツ権利処理機構(略称aRma)」である。
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映像コンテンツ権利処理機構のサイトをおとずれてみました。
トップページには、つぎのようなことが書かれています。
<一部分を引用>
(略)、いわゆる「コンテンツの二次利用」のニーズが急増しており、日々の権利処理業務についても、質・量の両面から、かつて経験したことのないスピードで拡大しています。
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(略)、映像コンテンツの二次利用に係る円滑な権利処理を実現するための団体として、一般社団法人 映像コンテンツ権利処理機構(aRma)が設立されるに至りました。
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(再掲。週刊新潮)
「ザッと2500名もの役者と連絡がつかない」
映像コンテンツ権利処理機構(aRma)の権利者を捜していますというページをみてみました。
冒頭、つぎの文章が書かれています。
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(引用)
放送番組を二次利用するために、
出演された方々(故人となられた方はご遺族)を捜しています。
ご本人(ご遺族)及びご関係者の方々は、aRma事務局までご連絡ください。
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謹直です。
某業界とは、格段のちがいです。
(再掲。香西咲さん)
「現実的に芸能とは違うことを改めて思い知らされました」
既出のインタビューで、IPPAの事務局長は、こうのべています。
「今までは、メーカーが著作権を持って、二次、三次と使ってきましたが、我々の中でも今回、アダルトは特殊なコンテンツだという認識ができました」
この物言いはおかしいです。
著作権の放棄が世の常となっているなかで、今回、自分たちは、あえてこれを改善した、とでもいいたげです。
こういいなおすべきでしょう。
「今までは、メーカーが著作権を持って、二次、三次と使ってきましたが、我々の中でも業界のおこなっていることはきわめて特殊なことであるという認識ができました」
と。
(2016年12月17日 毎日新聞「くらしナビ・ライフスタイル.AV出演強要は人権侵害」より、引用。改行を施しています。)
現在は
▽出演者とプロダクションで交わす契約書の統一
▽第三者委員会の設置
▽相談窓口開設
▽作品の流通期間制限
などを協議し、
「来春ごろからの運用を目指している」(事務局)
という。
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まともな世界に一歩でも近づいていただけたらと思います。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
■香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)
(明日のブログへつづく)
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