昨日のつづきです。
報道によりますと、IPPA(メーカー団体)は、現在、以下の事柄について話しあっているようです。
(2016年12月17日 毎日新聞「くらしナビ・ライフスタイル.AV出演強要は人権侵害」より、引用。改行を施しています。)
現在は
▽出演者とプロダクションで交わす契約書の統一
▽第三者委員会の設置
▽相談窓口開設
▽作品の流通期間制限
などを協議し、
「来春ごろからの運用を目指している」(事務局)
という。
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ひとつずつみていきます。
出演者とプロダクションで交わす契約書の統一
予定している契約書に、HRN(ヒューマンライツ・ナウ)が要望している事項は、反映されるのでしょうか。
(2016年9月18日 伊藤和子弁護士のブログ「AV強要被害問題は今、どうなっているのか」より、引用。改行を施しています。)
<HRN(ヒューマンライツ・ナウ)の「要請書」より>
□意に反する出演強要を禁止する。
□女優が撮影に欠席した場合、違約金を女性に請求しない。
□契約の解除をいつでも認める。契約書のコピーを本人に交付する。
□適正な報酬を支払う。利益の50%以下となる不当な搾取・不払いの禁止
□撮影に対し、メーカーの負担により演技者に対する保険をかけ、負傷、罹患、PTSD等の症状に対して、補償をする。
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HRN(ヒューマンライツ・ナウ)はさらに、メーカーと契約をおこなうさいの留意点についても、提案しています。
(引用)
出演契約にあたっては、女優の頭越しに契約するのでなく、女優が参加したうえで契約を締結する。
その際、プロダクションの監視により女優が自由に意思決定できない事態を防ぐため、マネジャーが同席しない場での真摯な同意があるか意思確認するプロセスを踏む。
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はたして、これらのことが包含(ほうがん)された契約書がつくられるのでしょうか。
注目すべき点は、
「違約金」
と、
「利益の50%以下となる不当な搾取の禁止」
です。
もしも、欠缺(けんけつ)があった場合は、辻丸さんに、こうツイートされるでしょう。
<2016年12月13日>
業界の謳う「健全化」とは結局「挙げられないようにしよう」ではないのか、本音は。
過去、業界の変化は常に何らかの摘発後、でしかなかった。
しかもその「改善」にしても所詮、実質的には「ザル」!
「自浄」にしても、世間から「叩かれないようにしよう」アピール?
だから被害者も強要もとことん無視。
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そもそも違約金をとるという発想自体が異常です。
常軌を逸しています。
(2016年9月18日 AbemaTIMES「【AV出演強要問題】元カリスマ女優・川奈まり子氏が業界健全化のために奮闘」より、引用。改行を施しています。)
<香西咲さん。2016年9月17日「みのもんたのよるバズ!」>
香西は、当初はモデルとしてスカウトされたはずだったのに蓋を開けたらAV出演ということになっていた。
「みんなしてグルで騙していたのか。性接待を要求された時、トラックが突っ込んできてくれたら死ねると思った」
と語り、AV撮影のために富士山の麓に連れていかれて、3時間泣いたこともあるという。
その時、自分をスタッフ全員が待っている状況にあった。
これには
「遠いところですから……。よっぽど強い子でないと(撮影を中止させるのは)無理だと思いますし。私さえ泣いておけば丸く収まると思った。結局AV撮影に応じることになりました。あとは、違約金などを理由に辞められないです。結局、弁護士を雇って辞められましたが、人生の大事な時期5年間を失敗したなと思う」
と語った。
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きちんとした契約書にすると、メーカーがつぶれるとの指摘もあります。
(2016年10月20日 毎日新聞「AV問題:語り始めた業界人(7)大手メーカーの危機感」より、引用。改行を施しています。)
<毎日新聞記者>
AVANは女優の主体性を重んじた独自の契約書を作成しています。
「リスクも含めて全て納得した人だけが出演すべきだ」という姿勢に、メーカーは協調していけますか?
<大手メーカーの高木慎司さん(仮名)>
苦しいです。
先ほど言った「消極的な2~3人」と「バレたくない十数人」がその契約書を見て、本当のことを聞いたら、撮影に踏み込めなくなると思います。
<毎日新聞記者>
「本当に出たい人」だけでは、回していけないのでしょうか?
<大手メーカーの高木慎司さん(仮名)>
(会社が)つぶれます。
(後略。)
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はたしてIPPA(メーカー団体)は、まともな契約書をつくることができるのでしょうか。
成り行きが注目されます。
もう二度と、つぎのようなことは起きてほしくないです。
香西咲さんのツイッター(2016年7月13日)より、引用。
契約書を縦に止めさせてもくれない、
かと言って事務所に居続けたら、
V撮影と性接待(勿論金銭のやり取りなし)に都合良く使われて青木亮に飼い殺しになる…
本気で死にたかった。
あの頃の私はトラックに突っ込んで欲しかった。
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「契約の解除をいつでも認める」(HRNの「要請書」より)
IPPA(メーカー団体)の対応が注目されます。
第三者委員会の設置
第三者委員会とはどのようなものなのでしょうか。
伊藤和子弁護士は、既出のブログのなかで、つぎのようにのべています。
(2016年9月18日 伊藤和子弁護士のブログ「AV強要被害問題は今、どうなっているのか」より、引用。改行を施しています。)
これまで「業界団体」が不祥事等を受けて、第三者委員会を設置した例としては、
NPB(日本プロ野球機構)統一球問題、
PGA(日本プロゴルフ協会)反社会的勢力問題、
全柔連助成金問題、
日本相撲協会八百長問題
などがあり、
企業では、
ゼンショースキヤ、
マルハニチロ
等多数あります。
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第三者委員会は、通常、コンプライアンスに精通した弁護士によって行われますが、その独立性を尊重され、調査権限を与えられ、報告書の内容に対しいかなる介入も受けず、勧告内容は尊重されなければならないとされています(詳細は、日弁連第三者委員会ガイドライン参照)。
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日弁連のサイトのなかに、
「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」
というページがあります。
以下の事柄が記されています。
(引用)
企業や官公庁、地方自治体、独立行政法人あるいは大学、病院等の法人組織(以下、「企業等」という)において、犯罪行為、法令違反、社会的非難を招くような不正・不適切な行為等(以下、「不祥事」という)が発生した場合、最近では、外部者を交えた委員会を設けて調査を依頼するケースが増えています。
日弁連では、そのような委員会のうち、企業等から独立した委員のみをもって構成され、徹底した調査を実施した上で、専門家としての知見と経験に基づいて原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言するタイプの委員会(以下、「第三者委員会」という)を対象として、本ガイドラインを策定しました。
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「第三者委員会」とよばれるためには、つぎの要件をみたす必要があるようです。
●メンバーは全員、当事者と無関係でなければならない。
●徹底した調査をおこなう。
●不祥事の原因を分析する。
●再発防止の具体策をしめす。
業界はなぜ、第三者委員会の設置を検討しているのでしょうか。
部外者がなかにはいって、調査をおこなうと、暗部が露呈してします。
知られてはこまる部分が公然のものとなります。
「現在の世論の流れでは、AV業界は存続を許されないことになりそうです」(川奈まり子AVAN代表)
業界はますます、窮地に追いこまれてしまうのではないでしょうか。
穿(うが)ち過ぎのようです。
今度は、
「『企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン』の策定にあたって」
をみてみます。
<1ページ>
(略)、経営者等自身のためではなく、すべてのステーク・ホルダー(利害関係者)のために調査を実施し、それを対外公表することで、最終的には企業等の信頼と持続可能性を回復することを目的とするのが、この第三者委員会の使命である。
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第三者委員会の設置することによって、
「企業等の信頼と持続可能性を回復すること」
が可能となるようです。
<1ページ~2ページ>
(略)、例えば、マスコミ等を通じて不祥事が大々的に報じられたり、上場廃止の危機に瀕したり、株価に悪影響が出たり、あるいは、ブランド・イメージが低下し良い人材を採用できなくなったり、消費者による買い控えが起こったりするなど、具体的なダメージが生じてしまった企業等では、第三者委員会を設けることが不可避となりつつある。
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現在の業界にとって、第三者委員会を設置することは、必然(それよりほかになりようのないこと)なのかもしれません。
ガイドラインをみてみます。
実際に、どのようなことが書かれているのでしょうか。
(「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」より、引用。)
<2ページ>
第三者委員会は、その任務を果たすため、企業等に対して、調査に対する全面的な協力のための具体的対応を求めるものとし、企業等は、第三者委員会の調査に全面的に協力する。
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業界の対応が注目されます。
(2016年10月20日 毎日新聞「AV問題:語り始めた業界人(7)大手メーカーの危機感」より、引用。改行を施しています。)
<毎日新聞記者>
大手メーカーの中枢にいる社員の証言はこれまで表に出てきませんでした。
業界全体に、「今は口をつぐんでおこう」という空気も感じられます。
<大手メーカーの高木慎司さん(仮名)>
なぜかと言えば、IPPA(NPO法人・知的財産振興協会)という業界団体があり、大手メーカーの役員らが(理事として)所属しているからです。
どこかが発言すれば「なぜ勝手な行動を?」「話し合いしていないでしょ?」と言われてしまう。
(後略。)
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第三者委員会が設置されると、こうした秘匿行為は、減少するかもしれません。
<2ページ>
第三者委員会は、不祥事の実態を明らかにするために、法律上の証明による厳格な事実認定に止まらず、疑いの程度を明示した灰色認定や疫学的認定を行うことができる。
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グレー(灰色)の場合はもちろん、因果関係がはっきりしない場合でも認定する(疫学的認定)とのことです。
心強いです。
<2ページ>
第三者委員会は、不祥事に関する事実の認定、評価と、企業等の内部統制、コンプライアンス、ガバナンス上の問題点、企業風土にかかわる状況の認定、評価を総合的に考慮して、不祥事の原因分析を行う。
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そもそも業界に、コンプライアンス(法令遵守)というものが存在するのでしょうか。
<3ページ>
第三者委員会は、調査により判明した事実とその評価を、企業等の現在の経営陣に不利となる場合であっても、調査報告書に記載する。
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以下の案件は、確実に、記載されるでしょう。
<KAZEさん。2016年12月27日>
違約金1億で青木がほしのさんを脅して、SODの社員監督の某が暴言吐いて恫喝していたと文春にあります。
言い逃れはやめていただきたい。
あなたも実情をよく知っているはずです。
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香西咲さんの件についても、同様です。
かならず明記されます。
<4ページ>
企業等による十分な協力を得られない場合や調査に対する妨害行為があった場合には、第三者委員会は、その状況を調査報告書に記載することができる。
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「十分な協力を得られない」
「妨害行為」
これ以上、恥の上塗りをするようなことは避けていただきたいです。
第三者委員会が設置されたら、香西咲さんを蹂躙したやつらは、もうこれでおわりでしょう。
もっとも、その前に、警察が逮捕しているかもしれませんけれども。
いずれにせよ、業界から追放されるのは自明です。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
■香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)
(明日のブログへつづく)
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