かつて香西咲さんは、労働が本質に属していないために不幸と感じ、自分自身を消耗させていたのかもしれない

本日も、マルクス(1818年~1883年)の「経済学・哲学草稿」(1843年)をとりあげます。

(マルクス著 城塚登・田中吉六訳「経済学・哲学草稿」岩波文庫刊より、引用。改行を施しています。)

(略)、労働が労働者の本質に属していないこと、そのため彼は自分の労働において肯定されないでかえって否定され、幸福と感ぜずにかえって不幸と感じ、自由な肉体的および精神的エネルギーがまったく発展させられずに、かえって彼の肉体は消耗し、彼の精神は頽廃化する(略。)
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意外とわかりやすい表現ではないでしょうか。
惜しむらくは、センテンスが長いです。
部分的に切りだして、考察します。

労働が労働者の本質に属していない

香西咲さんは、弁護士ドットコムのインタビューのなかで、つぎのように語っています。

(2016年8月27日 弁護士ドットコム「<AV出演強要>香西咲さん『今でもフラッシュバックに悩まされる』洗脳の過去を語る」より、引用。改行を施しています。)

<香西咲さん>
Aと出会う前までのわたしはAV女優否定派でした。
絶対AV女優なんてならないと思っていました。

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人間は、本意でない仕事をさせられると、塗炭(とたん)の苦しみを覚えます。
塗炭とは、広辞苑によりますと、
「泥にまみれ火に焼かれるような極めて苦痛な境遇」
という意味です。
塗炭ということばは、「書経(しょきょう)という歴史書のなかにでてきます。
中国で最初に編纂(編集)された書物です。
孔子(B.C.552年~B.C.479年)の手によって編まれたといわれています。
「書経(しょきょう)のなかに、「夏(か)」という王朝が登場します。
殷(B.C.1550年~B.C.1050年頃)の前に存在したとされる伝説の王朝です。

夏(?)
  ↓
殷(B.C.1550年~B.C.1050年頃)

「夏(か)」は、長きにわたり、実在が疑われていました。
2004年7月21日のことです。
朝日新聞に、中国の新華社通信が配信した記事が掲載されました。
一部を引用します。
(※孫引きです。)

<新華社通信>
中国の伝説上、最古の夏王朝(紀元前21世紀~同16世紀)の都があったと推定されていた河南省偃師(えんし)市の「二里頭(にりとう)遺跡」から、大規模宮殿を持った古代都市跡がこのほど発見された。
中国科学院考古学研究所などは、今から3600年以上前の中国最古の都ととしており、夏王朝が殷王朝(紀元前16世紀~同11世紀)に先立つ王朝として実際に存在した可能性が一段と強まった。

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解明がまたれます。
既出の「書経(しょきょう)」では、「夏(か)」のあとに中国を統一したのが、殷、となっています。
「夏(か)」は、桀(けつ)という王のときに滅びました。
桀(けつ)王は、暴虐な君主としてえがかれています。
「書経(しょきょう)」のなかに、
「有夏、昏徳として、民、塗炭に墜つ」
という一節があります。
文節ごとに訳してみます。

 「有夏」・・・・・・「夏(か)」の桀(けつ)王は、
 「昏徳(こんとく)として」・・・・・・徳に昏(くら)く
 「」・・・・・・人々は、
 「塗炭に墜(お)つ」・・・・・・泥にまみれ火に焼かれるような極めて苦痛な境遇におとされた。

つなげると、こうなります。
「夏(か)」の桀(けつ)王は、人として必要なものをそなえていなかったので、人々は、泥にまみれ火に焼かれるような極めて苦痛な境遇におとされた」
香西咲さんの場合もそうでした。
こいつらによって、塗炭に墜(お)とされました。

(カルト集団のメンバー)
 青木亮(社長)
 大西敬(雇われ社長)
 高畠典子(占い師)
 坂田恵理子(自称元グラドル狭山えり。女の子のなだめ役)
 坂上(さかうえ)孝志

桀(けつ)王は暴君であったため、支配下の邑(ゆう。小国の意味)のひとつである殷(B.C.1550年~B.C.1050年頃)によって倒されました。
殷(B.C.1550年~B.C.1050年頃)は、約500年間ほど栄えます。
第30代目の王は、紂(ちゅう)です。
夏(か)の桀(けつ)王と同様に、圧政者でした。
酒池肉林に溺れたことでも有名です。
殷は、周という邑(ゆう)にほろぼされます。

夏(B.C.21世紀~B.C.16世紀)
  ↓
殷(B.C.1550年~B.C.1050年頃)
  ↓
周(B.C.1050年頃~B.C.256年。B.C.770年に、都を東方の洛邑に遷したのちは、「東周」または、「春秋・戦国時代」とよばれる)

人の道をはずしたものの末路はあわれです。
最後は破滅します。
歴史はこのくりかえしです。
周王朝も同様です。
周は、B.C.770年に、都をうつします。
きっかけとなったのが、第12代目の幽王です。
エピソードにつきましては、過去のブログをご覧ください。
2015年1月27日

はなしをマルクスにもどします。
労働が労働者の本質に属していない
本人にとっては、塗炭の苦しみしかありません。

そのため彼は自分の労働において肯定されないでかえって否定され、幸福と感ぜずにかえって不幸と感じ

香西咲さんが、2年以上前に書かれたことばがあります。

香西咲さんのツイッター(2014年9月21日)より、引用。

自分を犠牲にして何かをやり通しても、そこに本当の幸せはないよね
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ぼくには嘆息することしかできません。
過去のツイートをふりかえってみます。

香西咲さんのツイッター(2014年6月16日)より、引用。

そう言えば自分の1番のチャームポイントって笑顔だった。
顔やスタイルが秀でていなくても、
笑顔だけは昔からみんなに褒められてたし、自信もあった。
また心からの笑顔を取り戻したいな。
表情はその人の生き様を表すと思うから、取り戻すにはそれなりの生き方をしないとね。

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香西咲さんのツイッター(2014年6月22日)より、引用。

どんな状況でも
楽しむ事
自分を好きでいる事
これさえ出来たら幸せで満足した人生を送れるのだろう。
逆に
どんなにお金があろうと
どんなに恵まれた環境にいようと
幸せそうに見えない人も沢山いる。
どっちの人生を選びたい?

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香西咲さんのツイッター(2014年7月3日)より、引用。

みんなに指摘された通り、
今までの私は自分を大事にしてきませんでした。
辛い事も理不尽な事も全部自分が我慢すれば良いと思ってました。
自分で自分を痛めつけてました。
それじゃいけないって気づいたのは本当に最近です。
これからは自分を労わります。

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自由な肉体的および精神的エネルギーがまったく発展させられずに、かえって彼の肉体は消耗し、彼の精神は頽廃化する

香西咲さんの特集が掲載された週刊文春の記事は、衝撃的でした。

<2016年7月7日。香西咲さん>
なぜ(AV撮影)を辞めなかったんだと思われるかもしれません。
ですが、抜けるに抜けられない状況に追い込まれ、搾取されつづける絶望感は、体験したものにしかわからない。
青木の支配下に置かれていた頃、私にとってAV撮影は自傷行為そのものでした。

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<2016年7月14日。香西咲さん>
ストレスから円形脱毛症になり全身がけだるく、胃腸は毎日、抉られるように痛みました。
自分で救急車を呼んだこともあった。
屈辱がフラッシュバックし、絶望的に命を絶ちたくなるときも・・・・・・

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<香西咲さん。2016年7月14日>
事務所の言いつけ通りに仕事をこなす日々。
夢のためにと笑顔をつくって自分を奮い立たせたが、気がつけばアルコールと睡眠薬が必需品になっていた。

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(再掲。マルクス)
(略)、労働が労働者の本質に属していないこと、そのため彼は自分の労働において肯定されないでかえって否定され、幸福と感ぜずにかえって不幸と感じ、自由な肉体的および精神的エネルギーがまったく発展させられずに、かえって彼の肉体は消耗し、彼の精神は頽廃化する(略。)
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マルクスは、「本質」ということばをもちいています。
この語句は本来、哲学用語です。
あるものをそのものとして成り立たせているそれ独自の性質、という意味です。
人間の本質的な活動は、生産労働です。
アリストテレスにいわせれば、本質の実現は楽しみでもあり生きがいのはずです。
なぜ、生産労働が、苦痛になっているのでしょうか。
マルクスは、畢生(ひっせい)の大作である「資本論」のなかで、その理由をのべています。
要約します。

(1)労働者は、商品と同じように、自己の労働力を資本家に売らなければならない。
(2)労働者がつくった生産物はすべて、資本家の所有となる。労働者にとっては、生産物から疎外されたことになる。結果、労働者は、生産労働のなかによろこびを見いだすことができない。
(3)労働は、自己の表現や成長の手段ではなく、単なる収入を得るための苦役となっている。

この3つを総称して、「人間疎外」、または「自己疎外」といいます。
大概のひとは、こういいます。
「マルクスなんて時代遅れである」
と。
ぼくもそう思います。
現在の社会は、マルクスが生きていたときのような自由放任の時代とちがいます。
ケインズの修正資本主義が根付いています。
規制が行き届いています。
若干、新自由主義に傾いているとはいえ、かつてのような規制のない弱肉強食の世界ではありません。
フリードマンに代表される新自由主義者は、通貨供給の自由化に主眼をおいています。
アダム=スミスの「レッセ=フェール(なすがままに)」をもとめているわけではありません。
ケインズ理論が透徹している時代において、マルクスの理論は古色蒼然とした感があります。
そう思っていましたところ、現在の日本において、規制がなく野放しになっているところがありました。
そこでは、すべてが、マルクスのいっているとおりになっています。
唯唯(ただただ)、あきれるばかりです。
早期の規制がもとめられます。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
 私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
 だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)

(明日のブログへつづく)



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