悪徳プロダクションに囚われていたとき、香西咲さんは、はたらけばはたらくほど自分の存在を奪われていったのかもしれない

自分のことで恐縮です。
ぼくは、忘れたころに、マルクス(1818年~1883年)の著作を読みかえします。
内容はどれも晦渋(言語や文章などがむずかしくて意味のわかりにくいもの)です。
執拗(頑固に自分の意見を通そうとすること)に感じるところもあります。
文体についても、センテンスが長く、複雑に入り組んでいます。
過去に、何度となく接しているのにもかかわらず、途中で文意をみうしなってしまうことがあります。
隘路(あいろ)に迷いこむと、そこからなかなか抜けだすことができません。
頁を繰(く)っていると、かつて理解することができなかった箇所に出くわすときがあります。
時間が経っているためでしょうか。
文意が判然とする場合もあります。
もちろん、依然として、わからないところが多々あります。
御しがたい本です。
マルクスといいますと、ほとんどのかたは敬遠します。
一番の理由は、難解、というところにあるのではないでしょうか。
「資本論」については、その指摘があたっています。
途中で挫折するかたが大半であろうと推察します。
第1巻は、マルクスの怒りが前面にでていて、けっこうおもしろいのですが。
「共産党宣言」も取っ付き難(にく)いです。
こちらにつきましては、多少なりとも興味深い事例が紹介されています。
根気強くあたれば、読了することができるかもしれません。
本日は、マルクスの論集のなかでも比較的接しやすい「経済学・哲学草稿」についてふれます。
この論文は、1843年に書かれました。
時系列でしめすと、以下のようになります。

・1843年 「経済学・哲学草稿
・1848年 「共産党宣言」
・1867年 「資本論」

ごらんのとおり、初期に執筆されたものです。
「経済学・哲学草稿」のなかから、興味深かった箇所を引かせていただきます。

(マルクス著 城塚登・田中吉六訳「経済学・哲学草稿」岩波文庫刊より、引用。改行を施しています。)

<一部分を引用。(※注)括弧内は、筆者。>
労働者は、彼(労働者)が富をより多く生産すればするほど、彼(労働者)の生産の力と範囲とがより増大すればするほど、それだけますます貧しくなる。
労働者は、商品をより多くつくればつくるほど、それだけますます彼(労働者)はより安価な商品となる。
事物世界の価値増大にぴったり比例して、人間世界の価値低下がひどくなる。
労働は単に商品だけを生産するのではない。
労働は自分自身と労働者とを商品として生産する。

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(再掲)
労働者は、彼(労働者)が富をより多く生産すればするほど、彼(労働者)の生産の力と範囲とがより増大すればするほど、それだけますます貧しくなる

労働者は、がんばってはたらけばはたらくほど、まずしくなる、とマルクスはいいます。
慟哭を覚えます。
だれしも、いまよりもよい生活になることをめざして、身を粉(こ)にします。
奮励します。
こうした行為がまちがっているようです。

(再掲)
商品をより多くつくればつくるほど、それだけますます彼(労働者)はより安価な商品となる

希少性の論理です。
わかりやすい喩(たと)えです。
香西咲さんの場合もそうだったのかもしれません。

香西咲さんのツイッター(2016年10月2日)より、引用。

AV撮影以外は交通費すら支給無し。
イベントの差し入れも自分で持って電車で帰れと。
極めつけは青木亮に会うように言われた高畠典子占い師にトータル35万円程払っていました。
そして大西敬雇われ社長は私が撮影終わるタイミングに現場にのこのこやってきて大きい顔して大量に酒を飲み豪語する。

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こいつらにとってみれば、香西咲さんは、自分たちの意のままに動く存在です。

(2016年7月14日 週刊文春2016年7月21日号より、引用。)

事務所の言いつけ通りに仕事をこなす日々。
夢のためにと笑顔を作って自分を奮い立たせたが、気がつけば、アルコールと睡眠薬が必需品になっていた。

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香西咲さんは笑顔で、多くの商品をつくりだしてくれます。

(再掲)
イベントの差し入れも自分で持って電車で帰れと

結果、香西咲さんは、「安価な商品」となってしまいました。
いまぼくは、深淵からわきあがる憎悪を必死になって押しとどめながら、この文章を書いています。
マルクスの論説をつづけます。

(マルクス著 城塚登・田中吉六訳「経済学・哲学草稿」岩波文庫刊より、引用。改行を施しています。)

<一部分を引用>
労働の実現は、労働者が餓死するにいたるまで現実性を剥奪されるほど、それほど激しい〔労働者の〕現実性剥奪として現われる。
対象化は、労働者が生活上もっとも必要な諸対象だけではなく、労働の諸対象としてもっとも必要なものまでも奪いさられるほど、それほど激しい対象の喪失として現われる。

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(再掲)
労働者が餓死するにいたるまで現実性を剥奪されるほど、それほど激しい〔労働者の〕現実性剥奪として現われる

悪徳プロダクションの収奪によって、香西咲さんは、死の淵へ追いこまれました。

(2016年7月14日 週刊文春2016年7月21日号より、引用。)
ストレスから円形脱毛症になり、全身がけだるく、胃腸は毎日、抉られるように痛みました。
自分で救急車を呼んだこともあった。
屈辱がフラッシュバックし、衝動的に命を絶ちたくなることも・・・・・・。
このままでは夢を叶えるどころか廃人になってしまう。

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(再掲。マルクス)
労働者が生活上もっとも必要な諸対象だけではなく、労働の諸対象としてもっとも必要なものまでも奪いさられるほど、それほど激しい対象の喪失として現われる

香西咲さんは悪徳プロダクションによって、精神もうばわれました。

香西咲さんのTwitter(2016年6月14日)より、引用。

慢性胃炎や膵炎、睡眠障害、脅迫観念、対人恐怖症等(特に男性)など、
ケジメを付けない限りは一生引きずりますね。
健康を返して。

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香西咲さんのTwitter(2016年10月24日)より、引用。

性暴力のカウンセリングにも通ってるけど、心と身体へのトラウマPTSDは一生抱える問題なのです
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ネットで落書きを繰り返しているやつらでしたら、こういうでしょう。
「なぜ、すぐにやめて、逃げ出さなかったのだ」
と。
こいつらはいつも、嫌なことがあれば現実から逃避します。
自己の経験に端を発した思慮のない考えしかうかびません。
PAPS世話人の宮本節子さんは、つぎのようにのべています。

(2016年1月25日 賃金と社会保障「まだ可視化されていないアダルトビデオ産業の性暴力被害と若者の貧相」より、引用。改行を施しています。)

<30ページ。PAPS世話人 宮本節子さん。(※注)括弧内は、筆者。>
(被害者の女性は)一般論としての勤労をまじめに考えるメンタリティが形成されていること、あるいはまじめに勤労することの大切さが無前提に刷り込まれている場合が多い。
この勤労意識を業者は実にうまく利用していることが挙げられる。
「お仕事」だから頑張ってやらなくちゃ、と思った女性は多い。
そして、その「お仕事」に誇りを持とうと本人も思い、業者もいろいろな仕掛けをかけて、この勤労意欲に働きかけ、一種のマインドコントロールを行う。

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宮本節子さんの指摘は重要です。

(再掲)
『お仕事』だから頑張ってやらなくちゃ、と思った女性は多い

悪徳プロダクションから、2,460万円の違約金を請求された女性のことばが哀しいです。

(ログミーに掲載されたKさんの手記より、引用。改行を施しています。)

<被害者の女性>
例えそれが、苦痛なことや、嫌なことであっても、いちおう与えられた仕事だということ、「しなければならない」ので、その状況に立った人ならば、早く終わらせたいと思うので、視聴者にはわからないと思いますが、みんな頑張って演技をします。
たとえ、女の子が、望んでしているように見えても、決してそうとは限らないということです。

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(再掲。マルクス)
労働者が生活上もっとも必要な諸対象だけではなく、労働の諸対象としてもっとも必要なものまでも奪いさられるほど、それほど激しい対象の喪失として現われる

マルクスが「経済学・哲学草稿」をあらわしたのは、1843年のことです。
当時の世の中は、アダム=スミスの主たる論理である「レッセ=フェール(なすがままに)」が隆盛を誇っていました。
弱肉強食の時代です。
マルクスの論説は、このような規制なき社会において赫々(かっかく)たるかがやきをみせます。
昨今、マルクスの書物をもとめるひとが増えているといいます。
新自由主義に対するアンチテーゼなのかもしれません。
AV業界は、規制が存在しない異様な社会です。
百鬼夜行の世界です。
なさけないことに、ここでは、マルクスのいっていることがすべてあてはまります。
もうすこしマルクスのことばをみてみます。

(マルクス著 城塚登・田中吉六訳「経済学・哲学草稿」岩波文庫刊より、引用。改行を施しています。)

<一部分を引用>
すなわち、労働者が骨身を削って働けば働くほど、彼が自分に対立して創造する疎遠な対象的世界がますます強大となり、彼自身が、つまり彼の内的世界がいよいよ貧しくなり、彼に帰属するものがますます少なくなる、ということである。
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香西咲さんに関する既出の記事をもう一度引かせていただきます。

(2016年7月14日 週刊文春2016年7月21日号より、引用。)

事務所の言いつけ通りに仕事をこなす日々。
夢のためにと笑顔を作って自分を奮い立たせたが、気がつけば、アルコールと睡眠薬が必需品になっていた。

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骨身を削って働けば働くほど、自分に帰属するものがますます少なくなる世界に、香西咲さんは拉致されたのです。

(マルクス著 城塚登・田中吉六訳「経済学・哲学草稿」岩波文庫刊より、引用。改行を施しています。)

<一部分を引用>
このことは宗教においても同様である。
人間が神により多くのものを帰属させればさせるほど、それだけますます人間が自分自身の中に保持するものは少なくなる。

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ぼくはこのくだりが好きです。
神を信じるということは、自分をうしなうということです。
実存主義者のサルトルやニーチェも、同様の論理を展開しています。

(マルクス著 城塚登・田中吉六訳「経済学・哲学草稿」岩波文庫刊より、引用。改行を施しています。)

<一部分を引用>
労働者は彼の生命を対象のなかへと注ぎこむ。
しかし対象へ注ぎこまれた生命は、もはや彼のものではなく、対象のものである。
したがって、この活動がより大きくなればなるほど、労働者はますますより多くの対象を喪失する。
彼の労働の生産物であるものは、彼ではないのである。
したがってこの生産物が大きくなればなるほど、労働者はますます自分自身を失っていく。

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(再掲)
労働者はますます自分自身を失っていく

香西咲さんはちがいました。

香西咲さんのツイッター(2016年7月7日)より、引用。

一生自分の中だけに留めて置かなければいけない、と思った時に気が触れてしまいました。
吐き出す事で過去を清算できる機会を頂けて、救われました。

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のちにこの文章を拝見したとき、ぼく自身も救われました。
ありがとうございます。
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2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
 私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
 だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)

(明日のブログへつづく)



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