違約金1億円を請求して出演を強要した社長の逮捕はあるのでしょうか
昨日のブログで、日本経済新聞の記事についてふれました。
再掲します。
(2016年11月14日 日本経済新聞「夢につけ込まれ出演 奪われた尊厳(上) 意に沿わずAV 心に傷」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
グラビア撮影と聞かされて出向いた現場で、初めてアダルトビデオ(AV)と明かされた。
「できません」
拒否の言葉は通じなかった。
社長ら数人に囲まれた。
「宣伝で1億円かかった。違約金は家族に請求する」
(中略。)
女性は今、社長らの処罰を求めて警察に相談をしている。
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被害者の女性は、プロダクションの社長から出演を強要されました。
請求された違約金は、1億円です。
尋常ならざる金額です。
この記事は、2016年11月14日に報じられました。
(再掲)
「女性は今、社長らの処罰を求めて警察に相談をしている」
日本経済新聞は、警察の対応を紹介しています。
(引用。改行を施しています。)
警視庁は6月、女性モデルをAV撮影に派遣したとして、芸能プロダクション元社長らを労働者派遣法違反容疑で逮捕。
元社長らは罰金刑を受けた。
意思に反して出演させられた女性が、契約や撮影の状況を詳細に証言したことが摘発につながった。
捜査関係者は
「出演者らがもっと実態を打ち明けられるようになれば、強要を生まない環境づくりにつなげられる」
と期待を寄せる。
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警察は、被害者の口から出演強要の実態があかされることを期待しているようです。
さすがは警察です。
2016年6月17日に、警察庁からだされた通達が透徹しています。
(2016年6月17日 警察庁「アダルトビデオへの強制的な出演等に係る相談等への適切な対応等について(通達)」より、引用。改行を施しています。)
AVの契約、出演等に係る相談、被害申告、情報提供等を受理した際は、
強姦罪等の性犯罪、
強要罪、
傷害罪、
暴行罪、
脅迫罪
等の違法行為が介在する際の取締りはもとより、
職業安定法第63条第2号(有害業務就業目的の職業紹介等) 、
労働者派遣法第58条(有害業務就業目的の労働者派遣) 、
労働基準法第5条(強制労働の禁止) 、
児童福祉法第34条第1項第6号(児童に淫行をさせる行為)
その他関係法令の適用を視野に入れた取締りを推進すること。
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(再掲。日本経済新聞)
「警視庁は6月、女性モデルをAV撮影に派遣したとして、芸能プロダクション元社長らを労働者派遣法違反容疑で逮捕」
この女性は、所属するプロダクションから、以下のような脅しを受けています。
各社の記事をみくらべてみます。
(※それぞれ、記事の一部分を引用。また、改行を施しています。)
<2016年6月12日 産経新聞>
・関係者によると、今回、警視庁に相談した女性はグラビアモデルとして平成21年に契約。
ところがその後「AVの撮影をする」と告げられ、撮影現場に連れられた。
女性は拒否したが、契約を理由に「違約金を払え」「親に言うぞ」などと迫られ、数年間にわたり繰り返し出演せざるを得なかったという。
<2016年6月12日 読売新聞>
・女性との所属契約にはAV出演をほのめかす内容があったが、本人には契約書のコピーを渡さず、内容を知らせていなかった。
女性が撮影を拒もうとすると、「違約金が発生する」などと迫り、出演させたという。
<2016年6月13日 毎日新聞>
・契約書にはAVへの出演も記載されていたが、女性には十分な説明がなく、契約書のコピーも渡されなかった。
女性がAVへの出演を拒否しようとすると、「違約金を払え」などと迫られ、AV作品に出演させられたという。
<2016年6月14日 産経新聞>
・同課によると、女性は平成21年に当時社長だった村山容疑者と面接し、グラビアモデルとして契約したが、契約書には「成人向けの作品も出演する」との文言が書かれていた。
女性は契約書の写しを渡されなかった。
女性がAV撮影を拒否すると、「違約金を払え」などと数人で取り囲んで軟禁状態にし、撮影を強行したという。
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警察はどのような経緯で逮捕にいたったのでしょうか。
産経新聞は、つぎのようにつたえています。
(2016年6月12日 産経新聞「大手AVプロダクション元社長ら逮捕 女性『出演強要された』 労働者派遣法違反容疑」より、引用。改行を施しています。)
<一部分を引用>
女性が
「AV出演を強いられた」
と警視庁に相談して発覚した。
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女性による通報です。
警察に相談した結果、社長らの逮捕につながったのです。
女性はいつごろ、相談におとずれたのでしょうか。
(2016年6月13日 朝日新聞「女性をAVに出演させた疑い プロダクション社長逮捕」より、引用。改行を施しています。)
女性から昨年12月に相談を受けていた警視庁は今年5月下旬、同社やAV制作会社を捜索。
女性の相談内容などから、労働者派遣法が禁じる有害業務への派遣にあたると特定したという。
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簡単に流れを記してみます。
●2015年12月 女性が警察に相談する。
↓
●2016年5月下旬 マークスジャパン、ファイブプロモーション、CA、ピエロを捜索する。
↓
●2016年6月11日 マークスジャパンの社長ら3人を逮捕する。
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ご覧のとおり、相談から逮捕までは、約半年の期間を要しています。
映画やテレビドラマのように、すぐに捕まえたのではありません。
かなりの時間をかけています。
警察が最終的に、捜索の決断をしたのは、世情の変化と関係があるのかもしれません。
当時の出演強要に関する出来事と重ねてみます。
●2015年9月9日。2,460万円の違約金を請求された女性が、勝訴する。
●2015年12月。女性が警察に相談する。
●2016年3月3日。HRNが出演強要被害に関する報告書を発表する。
●2016年3月11日。国会で、池内さおり議員が、出演強要被害をとりあげる。
●2016年4月28日。国会で、梅村さえこ議員が、出演強要被害をとりあげる。
●2016年5月下旬。マークスジャパン、ファイブプロモーション、CA、ピエロを捜索する。
●2016年6月2日。政府が、「AVへの出演強要は女性に対する暴力」との答弁書を閣議決定する。
●2016年6月11日。マークスジャパンの社長ら3人を逮捕する。
●2016年6月17日。警察庁が、全国の警察に、逮捕の指針をしめす通達をだす。
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もう一度、2016年11月14日の日本経済新聞をみてみます。
「女性は今、社長らの処罰を求めて警察に相談をしている」
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来春、警察は、何らかの動きをみせるのでしょうか。
当該プロダクションは現在、書類送検されています。
こちらも気になるところです。
(2016年10月5日 産経新聞「AV撮影に女優派遣 容疑の芸能プロ社長ら12人書類送検」より、引用。改行を施しています。)
所属女優を、性行為が含まれるアダルトビデオ(AV)の撮影に派遣したとして、警視庁保安課は(10月)4日、労働者派遣法違反容疑で、東京都渋谷区の芸能プロダクション「バンビ・プロモーション」の男性社長(49)=世田谷区=ら12人と、同社を含むプロダクション6社を書類送検した。
他に書類送検されたのは、渋谷区の「F2F Entertainment」「ディクレア」「ARTE Entertainment」、新宿区の「オールプランニング」「CLAP」と、各社の社長やマネジャーら。
(後略。)
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悪が淘汰されることを願っております。
今年の後半、香西咲さんが世の中をかえました
今年の7月7日のことでした。
香西咲さんが、週刊文春で、出演強要被害の事実をあきらかにしました。
日本中が揺れました。
上述しましたように、6月11日、出演を強要したプロダクションの社長ら3人が逮捕されました。
3か月前には、HRNが、被害の実態を公表しています。
国会でも、この種の問題に関する質疑応答がおこなわれました。
その都度、ひとびとは、義憤の念をいだきました。
いっぽうで、それは、どこか遠いところでおきているような出来事にも感じていました。
理由は明白です。
いずれも、被害者の実相がつたわってきません。
名前もなければ、相貌(かおかたち)もわかりません。
すべてが漠としています。
日本では日々、陰惨な事件がおきています。
人々のこころはうつろいやすいです。
すぐに関心は、別のところへいってしまいます。
出演強要の件が記憶から失せかけていたとき、香西咲さんが、被害を告発しました。
だれもが衝撃をうけました。
実名です。
写真も掲載されました。
週刊文春のサイトには、インタビュー動画もアップされました。
さらに驚いたのは、香西咲さんが現役であるということです。
いずれも前例がありません。
掲載誌も異例でした。
つまらない記事ばかり載せている二流、三流誌ではなく、誉れ高い週刊文春が報じたのです。
他を圧倒的に凌駕する超一流の雑誌です。
巷間、世論は、読売新聞、NHK、週刊文春によって形成されるといわれています。
夥(おびただ)しい影響力をもつ雑誌に、香西咲さんがとりあげられたのです。
以降、香西咲さんは、その他のメディアに頻出します。
簡単に顧(かえり)みてみます。
●2016年07月07日・・・・・・香西咲さんが週刊文春(7月14日号)で、出演強要被害を告発する。
●2016年07月14日・・・・・・香西咲さんが週刊文春(7月21日号)で、出演強要被害を告発する。
●2016年07月17日・・・・・・香西咲さんが「みのもんたのよるバズ!」で、出演強要被害について語る。
●2016年07月20日・・・・・・香西咲さんが「しらべぇ」で、出演強要被害について語る。
●2016年07月27日・・・・・・香西咲さんが毎日新聞の動画で、出演強要被害について語る。
●2016年07月29日・・・・・・香西咲さんが毎日新聞の動画で、出演強要被害について語る。
●2016年08月27日・・・・・・香西咲さんが弁護士ドットコムで、出演強要被害について語る。(前編・後編)
●2016年09月17日・・・・・・香西咲さんが「みのもんたのよるバズ!」で、出演強要被害について語る。
●2016年09月24日・・・・・・香西咲さんがwithnewsで、出演強要被害について語る。
●2016年10月01日・・・・・・香西咲さんがwithnewsで、出演強要被害について語る。
●2016年10月17日・・・・・・香西咲さんがAFP通信で、出演強要被害について語る。
週刊文春には、2週連続で掲載されました。
普通は、1回です。
いかに重要視されているのかがわかります。
ほかのメディアも同様です。
・みのもんたのよるバズ!・・・・・・2回
・毎日新聞・・・・・・2回
・朝日新聞のwithnews・・・・・・2回
・弁護士ドットコム・・・・・・2回
異例のあつかいです。
驚嘆させられたのは、AFP通信の記事です。
世界3大ネットワークのうちのひとつが、香西咲さんの記事を各国に配信したのです。
世界中の人々が、日本の出演強要被害の実態を知ることとなりました。
現在、世の中の景色は様変わりしました。
香西咲さんがかえたのです。
12月28日のことでした。
年末のせわしなさを忘れさせる報(しら)せが届きました。
何と香西咲さんの記事がふたたび、週刊文春に載るというのです。
今年になって、3回目です。
快挙です。
●2016年12月28日・・・・・・香西咲さんが週刊文春(2017年1月5日・12日新年特大号)で、出演強要被害を告発する。
週刊文春のサイトでも、大きくとりあつかっています。
(引用)
32の特集記事のうちの3つに選ばれています。
(週刊文春に対する評価。やまもと寅次郎さんのツイートより、引用。 )
あと、政治家や官僚の愛読、いや定期購読誌にもなってますよね。 https://t.co/Ozp3qDqxOo
— やまもと寅次郎 (@torachan55) December 28, 2016
今年は大活躍の年でした。
正月はゆっくりとやすまれて、疲れをとっていただきたいです。
来年が香西咲さんにとって、よりよい年になることを願っております。
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■2016年07月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年07月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016年07月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016年07月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016年07月29日 香西咲さんのインタビュー記事と動画が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
問「出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?」
A氏「当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。」
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■2016年08月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)・(後編)に掲載されました。
■2016年09月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」【1】【2】【3】)に出演されました。
■2016年09月24日 香西咲さんのインタビュー記事(1)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月01日 香西咲さんのインタビュー記事(2)が、withnewsに掲載されました。
■2016年10月17日 香西咲さんのインタビュー記事(日本語訳)が、AFP通信のサイトに掲載されました。
■2016年12月28日 香西咲さんのインタビュー記事が、週刊文春に掲載されました。
■香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)
(明日のブログへつづく)
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