悪徳プロダクションに出演強要をされた香西咲さんのケースとは違いますが、自らの意志でカルト集団と決別した男性がいます

昨日、本棚の整理をしていました。
偶然、薄い冊子の文庫本をみつけました。
2冊の本の間に隠れるようにして収まっていました。
手にしました。
「突破者入門」とあります。
宮崎学さんが著されたものではありませんか。
ぼくはこの書物の存在自体を失念していました。
そういえば以前に買って読んだ覚えがあります。
たしか、カルトについて書かれたエッセーがあったような気がします。
ページをめくりました。
ありました。
章のタイトルは、「オンナの侠(きょう)① -男を守る-」です。 
つぎのような内容です。

あるカルト教団がありました。
当時、この団体はたびたび、世の中を煩わせる事件を起こしておりました。
騒動のたびに信者が捕まります。
教団に対する警察の取り締まりも日々厳しさを増していきます。

ある男性の信者がいました。
年齢は30代の前半です。
会社を経営者しています。
巷では、「金儲けの天才」と呼ばれていました。
教団の有力なうしろだてでもあります。
自身の所得はすべて、教団に渡していました。

集金の役割を担っていたのは、男性と同じくらいの年齢の女性です。
教団の非合法部門の責任者でもありました。
すこぶる美人です。
女優になってもおかしくないともてはやされていました。
女性は男性に対して、好意をいだいておりました。
男性も同じ気持ちでした。
おたがいに自分の感情を口にしたことはありません。
教団内の恋愛は禁止されているからです。

警察による捜査の手が組織の中枢まで迫ってきました。
教団の幹部であるこの女性は、徹底的にマークされます。
逮捕も近いと噂されました。
並行して警察は、教団の資金源である男性の会社をつぶそうと考えて、策を弄します。
連日、別件で、会社の幹部たちを逮捕します。
男性の会社はしだいに、たちゆかなくなっていきます。
近々倒産するというところまで追いこまれました。
あぐねました。
利益がでないので、商品を仕入れる資金がありません。
自分のカネはというと、すべてを教団にわたしています。
このとき、女性から電話がかかってきました。
以前に受け取ったお布施がまだ金庫の中に入っていると。
その金額は1億円でした。
女性は、これをあなたに戻したいので、高速道路の待避所で待っていてほしい、と訴えます。
男性は女性の身を案じました。
教団はそのようなことをゆるしません。
絶対に。
もしもばれでもしたら大変なことになります。
それはできない、と男性が否定しました。
女性が必死の思いで繰り返します。
お願いですから指定の場所で待っていてください、と。
逡巡したのち、男性は、わかりました、と返事をしました。
警察の厳しい監視をくぐり抜けて、女性がクルマでやってきました。

(宮崎学著「突破者入門」角川文庫刊より、引用。改行を施しています。)

「このお金は私の一存で持ってきたものです。元々はあなたのお金です。あなたは商売の天才と言われる人、このお金で会社を再建してください」
と言って、女は自動車から降りることもなく、窓から金を手渡した。
ついでのように
「私は今日明日にも逮捕されるかもしれない。そうしたら長いお別れになるでしょう。私はあなたのことが好きでした」
と一気に話すと高速道路に消えていった。

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2週間後のことでした。
女性は逮捕されます。
男性は知り合いの弁護士のところへ行って、女性の弁護を依頼しました。
引き受けた弁護士が女性と接見します。
窓越しに女性がいいました。

(宮崎学著「突破者入門」角川文庫刊より、引用。改行を施しています。)

「そういう男の人がいたことは知っていますが、私には何ら関係のない人です。そんな人から弁護士さんを紹介される理由はありません。私のことは私でやりますからお引き取りください」
女は教団が差し向けた弁護人を選任した。

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男性は、女性から受け取ったカネをもとにして、会社を建て直すことに成功します。
その間、何度も自問しました。
なぜあのひとは自分が依頼した弁護人を拒んだのだろうかと。

1年後、女性は、裁判が始まると同時に、法廷で、教団からの脱会を表明します。
男性はこのときはじめて、女性の真意がわかりました。
あのとき女性は、男性に警察と教団の手がおよぶことをおそれたのです。
男性と女性の間には、何も関係性がない。
このことを公然なものとしたかったのです。
女性は命がけで男性を守ったのでした。

(宮崎学著「突破者入門」角川文庫刊より、引用。改行を施しています。)

男は強烈な衝撃を受けた。
この衝撃の度合いは、男がかつて教団の教祖から受けた衝撃を遙かに超えるものだったという。
こうして、男はこのカルト教団から完全に精神的な決別をしたのだ。

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世の中にはカルト集団から逸出した(いっしゅつ。ぬけ出たとの意味)ひとたちもいます。
日本脱カルト協会はその誘因(きっかけ)として、以下の点を列挙しています。

(日本脱カルト協会 カルト問題Q&Aより、引用。改行を施しています。)

4) 自然に脱会した人たちのキッカケ(参考のために)

1.外部情報
2.指導者不信
3.仲間たちの裏切り行為や傷つけあい
4.教えの矛盾
5.病気
6.恋愛
7.家族への心配
8.金銭トラブル
9.カルトの与えた恐怖(略)
10.将来の不安(略)
などなど。

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香西咲さんも長きにわたって、カルト集団に囚われていました。

香西咲さんのツイッター(2016年6月27日)より、引用。

アットハニーズ(会社解散済)青木亮に飼い殺しにされてる時は毎日死にたくてたまりませんでしたよ
この際言っておきます。
AV強要の女の子が400本出るのに有り得ない!
と言う話を女優からも聞きますが
400なんて総集編作られたらあっという間

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香西咲さんのツイッター(2016年6月27日)より、引用。

ありがとうございます?
前の事務所の飼い殺し状態からやっと脱出出来たのが今ですから。
今の方が元気です

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香西咲さんのツイッター(2016年7月13日)より、引用。

契約書を縦に止めさせてもくれない、
かと言って事務所に居続けたら、
V撮影と性接待(勿論金銭のやり取りなし)に都合良く使われて青木亮に飼い殺しになる…
本気で死にたかった。
あの頃の私はトラックに突っ込んで欲しかった。

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香西咲さんのツイッター(2016年7月15日)より、引用。

アットハニーズ青木亮に飼い殺しにされてた頃に出逢った本。
#夜と霧
自分と重なる部分が多い
あの時の日々はまさにアウシュビッツ強制収容所。
『歴史は繰り返される』巷でも耳にするフレーズと地獄の日々により歴史を再び学び始めました

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香西咲さんのツイッター(2016年7月23日)より、引用。

前の事務所の契約書と接待で飼い殺し状態にされてた時よりは遥かに元気です
良いのか悪いのか
…強くなっちゃった(笑)

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最後は自らの足で、この悪徳プロダクションをあとにすることができました。
イギリスの評論家ウィリアム=ヘイズリット(1778年~1830年)は、つぎのようなことをのべています。

人間こそ笑いかつ泣くところの唯一の動物である。
人間だけが、あるがままの事実と、あるべきはずの事実との相違に、心うたれる、唯一の動物である。

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カルト宗教では、「あるがままの事実」と、「あるべきはずの事実」の間に乖離はありません。
両者は一致します。
一方的に押しつけられた偽りの理想とはいえ、「あるべきはずの事実」が実現します。
最初は感動することでしょう。
残念ながらそれは長つづきしません。
時間の経過とともに、薄らいでいきます。
人間とは、目の前にある現実と、あるべき理想との隔たりのなかで、思い悩み、泣き、笑う存在だからです。
人生とは自分の思うようにいかないものです。
カルト宗教の場合はちがいます。
自分たちのいうとおりにすれば、すべてがうまくいく、と巧言を弄されます。
このことばを信じた時点で、そのひとは、人間がもっている大切なものを失います。
それは、心をうたれる、ということです。
ウィリアム=ヘイズリットは、
「人間だけが、あるがままの事実と、あるべきはずの事実との相違に、心うたれる、唯一の動物である」
といいます。
カルト集団と決別した香西咲さんは、人間にとって大切なものをとりもどしました。
香西咲さんはいま、人生に思い悩み、泣き、時には笑っているのではないでしょうか。
煩わしいかもしれませんが、生きるとはそういうことなのかもしれません。
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2016年7月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年7月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年7月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年7月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年7月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年7月29日 香西咲さんのインタビュー記事が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
 --出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは
 A氏 当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年8月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
 私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
 だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)

(明日のブログへつづく)



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