香西咲さんは私利私欲のない純粋なかたです。「人間は自分の心の中に何か間違ったものを感じるとき純粋になる」

三浦綾子さんの代表作に「氷点」という小説があります。
現在も朝日新聞社や角川書店などから文庫本が出版されています。
何度もドラマ化されていますので、ご覧になったかたもいらっしゃるかもしれません。
「氷点」のなかに、つぎのような場面があります。
引用をさせていただきます。

(三浦綾子著「氷点」より、引用。)
船内放送のサインが入り、船室はシンと静まり返った。
「本船は、これより七重が浜に座礁しますが、危険な状態にはなりませんから、乗客は全員救命具をつけ、そのまま船室に居残り、乗務員の指揮に従ってください。・・・・・・」
ボーイが走ってきて、船室の天井から釣り下がっている紐を引いた。救命具がドッと座席に落ちた。人々は一斉に救命具に殺到した。もはや誰もが無言だった。目と手と足だけがすばやく動いた。
啓造はなぜか争って救命具を取ることができなかった。宣教師も座っていた。その時、船が三十度に傾き、救命具がひとつスッところがって宣教師のひざに来た。「ドーゾ」
宣教師は、それを啓造の手に渡した。啓造は瞬間ためらったが、もう一つ救命具がころがってくるのをみると、礼を忘れてそれを背負った。
「ギイッ」
船は大きく音を立てて砂地に座礁した。と思うまもなく船体が傾いた。みるみるうちに海水が部屋に流れ込んだ。すでに人々は左舷階段にひしめいていた。啓造は三十度にかたむいたタタミを一気にかけのぼって、階段口を出た。廊下状の三等デッキにあがると、船が更に大きく九十度に傾いた。
啓造は壁の上に立っていた。もう一方の壁は頭上にあった。船倉から音を立てて海水が流れ込んできた。みるみるうちにくるぶしまで水がきた。電灯が海水を明るく照らしていた。
ふいに近くで女の泣く声がした。胃けいれんの女だった。
「ドーシマシタ?」
宣教師の声は落ちついていた。救命具のひもが切れたと女は泣いた。
「ソレハコマリマシタネ。ワタシノヲアゲマス」
宣教師は救命具をはずしながら、続いていった。
「アナタハ、ワタシヨリモワカイ。ニッポンハワカイヒトガ、ツクリアゲルノデス」
啓造は思わず宣教師をみた。しかし啓造は救命具を宣教師にゆずる気にはなれなかった。
水が遂に腹をひたした。腹まで水につかると、むしろ啓造の心は落ちついていた。ふっと気づくと、夜光虫が模様のように、青く光って揺れていた。死に面した人々の前に、夜光虫は非常なまでに美しかった。

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青函トンネルができる前の出来事です。
かつて(1988年3月以前)、青森と函館の間は、青函連絡船で結ばれていました。
1954年9月26日、台風15号が北海道にその姿をあらわしました。
熾烈(しれつ)なエネルギーの集塊(しゅうかい)が、青函連絡船のなかで最新鋭といわれていた「洞爺丸(とうやまる)」を直撃します。
船は座礁して(水深が浅いところに乗りあげて)、横転します。
多くの乗客が海に抛(ほう)りだされました。
これによって、1,155名の乗客が溺死します。
日本最大の海難事故といわれている「洞爺丸事故」です。
生存者はわずか159名でした。

遺体は函館の隣の七重が浜(七重浜)にうちあげられました。
だれもが救命胴衣をまとったままの姿で事切れています。
例外もありました。
二人の外国人です。
いずれも救命胴衣を身につけていません。
乗船名簿から、身許が判明しました。
ひとりは、宣教師のアルフレッド・ラッセル・ストーンさんです。
カナダの教会から日本へ派遣されて、各地の農村で宣教活動をおこなっていました。
日ごろより、土を愛し、日本人を愛し、神を愛する、と語っていました。
享年52歳でした。
もうひとりはディーン・リーパさんです。
当時33歳でした。
アメリカのYMCA(キリスト教青年会)の出身です。
日々、日本の大学をまわり、YMCAに加入している学生を指導していました。
学生たちからは兄のように慕われていたといいます。
二人は知己(ちき。知人の意味)の関係になく、偶然、乗りあわせたようです。

後日、事故当時の船内の様子が新聞で報道されました。
生存した青年がつぎのような証言をしています。

乗客全員に、救命胴衣の着用命令がだされました。
人々は咆哮(ほうこう。たけり叫ぶとの意味)し、錯乱しています。
ストーンさんとリーパさんは、その間を駈けめぐりました。
落ちつくようにと呼びかけたり、激励のことばをかけつづけました。
救命具を装着する手伝いもおこないました。
22時38分のことです。
突然、電気が消えました。
大波が船を直撃したのです。
洞爺丸の終焉を予告する合図でした。

(再掲。三浦綾子著「氷点」より。)
ふいに近くで女の泣く声がした。胃けいれんの女だった。
「ドーシマシタ?」
宣教師の声は落ちついていた。救命具のひもが切れたと女は泣いた。
「ソレハコマリマシタネ。ワタシノヲアゲマス」
宣教師は救命具をはずしながら、続いていった。
「アナタハ、ワタシヨリモワカイ。ニッポンハワカイヒトガ、ツクリアゲルノデス」

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2016年7月7日、香西咲さんは、出演強要の実体を告発しました。
ぼくには、香西咲さんと、ストーンさん、リーパさんの姿が重なりました。
損か得かということでいうのならば、あの告発は、香西咲さんにとって何ら得るものがありません。
休養後、辛苦の末に掴んだ仕事を失う蓋然性が高いからです。

香西咲さんのツイッター(2016年7月17日)より、引用。

大丈夫!
普通は立ち入れない場所です。
でも私は干されるのも全く怖くない、そして例え干されたとしても大事にして下さった業界の方々には感謝の気持ちがあるからこそ言える事なの
本当に心配してくれてありがとうございます

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香西咲さんのツイッター(2016年8月29日)より、引用。

多少は現役女優の人達も声を上げるかな?と思いましたが、結局私でさえ、声を挙げれるようになったのは3年以上経った独立後ですからね。
現実的に今すぐに職を失うリスクと天秤にかけたら何も言えないでしょう。
あと、訴えにくい様に餌を蒔いてたり…

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同時に、生命の危険もあります。
魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈(ばっこ)している業界です。
香西咲さんに何をしてくるかわかりません。

香西咲さんのツイッター(2016年6月23日)より、引用。

皆に、今の私の立ち位置は危ないと言われました。
チンピラは何を仕出かすか分からないと。
東京湾に沈められるかも知れないし行方不明になるかも知れない。
色んな人から言われる。
そんなに脅されたらぶっちゃけ、
本当に不安で不安で眠るのも恐ろしい。

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今回の告発という行為にご自身の私利私欲が入りこむ余地は微塵もありません。
香西咲さんはあきらかに、自分から進んで損をする道を選択したのです。
純粋です。
あまりにも。

アメリカの現代哲学者にウィリアム・ジェームズ(1842年~1910年)というひとがいます。
W・ジェームズはJ・デューイと並んで、プラグマティズムの代表者です。
プラグマティズムとは、実用性と有効性を重視する思想ですが、ここでは割愛します。

W・ジェームズはつぎのようなことばを残しています。
※注 リライトしています。)

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人間は自分の心の中に、何か間違ったものを感じるとき、純粋になる
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(2016年7月29日 毎日新聞「香西咲さんのインタビュー記事」より、引用。改行を施しています。)

 --なぜそこまで覚悟を決められた?

<香西咲さん>
(前略。)
この(被害の)連鎖はもう止まらない
(A氏が)どんどん新しい子を入れているのも分かっていたので、世の中のためにもなると思いました

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歿(じょ)されたストーンさんにはご家族がいました。
後日、息子のロバートさんが新聞の取材に応じました。
「生前、困っている人がいれば必ず助けた父だった。船内で父がしたことは少しも驚かないし、誇りに思っている」

人間は自分の心の中に、何か間違ったものを感じるとき、純粋になる
ストーンさんやリーパさんと同様に、香西咲さんは純粋なかたです。
これほどまでに清らかな女性はいません。
至高の精神を内包されています。
ただ、ひとつ、 杞憂な点があります。
香西咲さんは大変まじめな人柄です。
それゆえ、極限まで純粋なものを追求される可能性があります。
それだけは避けてほしいです。
ご自分を大切にしていただきたいので。
これからの人生は長いです。
新天地でのあらたな活躍をご期待しております。
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2016年7月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年7月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年7月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016年7月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016年7月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016年7月29日 香西咲さんのインタビュー記事が、毎日新聞のWebサイトに掲載されました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
 --出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは
 A氏 当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
2016年8月27日 香西咲さんのインタビュー記事が、弁護士ドットコム(前編)(後編)に掲載されました。
香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
 私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
 だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)

(明日のブログへつづく)



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