香西咲さんの出演強要の告発が多くの女性を救う。マザー=テレサと支援団体

マザー=テレサ(1910年~1997年)をご存じでしょうか。
マケドニア(ギリシャの隣)出身の修道女です。
38歳のときでした。
かねてより希望していたインドのカルカッタへ赴きます。
奉仕活動をおこなうためです。
活動の拠点は、人々から「死者の家」と揶揄されている、薄暗い病院の片隅でした。
ベッドの上にはいつも、幼児から老人まで、たくさんの患者が横臥(おうが。からだを横たえるとの意味)しています。
それぞれに共通しているのは、極貧であるということです。
誰もが、ひとの愛を知らずに、死を迎えようとしていました。
マザー=テレサはこうしたひとたちの手を握り、寄り添って、悩みを聞きつづけました。
死の不安を訴えるひとに対しては、耳許で希望のことばを口にしました。
おこなったのはこれだけです。
ささやかな行為でした。
老朽化した病院のなかだけを照す光にすぎませんでした。
市全体からみれば、薄暗いほのかな灯火(ともしび)です。
やがてこの灯(あか)りが、ゆっくりと各地へひろがっていきます。
1979年に、マザー=テレサはノーベル平和賞を受賞します。
69歳のときでした。

はなしは変わります。

日本で、2015年9月9日に判決が出た事件について、ふれさせていただきます。
発端はこうでした。
Kさん(仮名)という女性が、所属事務所から、AV出演を強要されます。
断ると、2,460万円を請求されました。
Kさんは窮しました。
呻吟(しんぎん。嘆いてうめくの意味)しました。
隘路(あいろ。狭い通路の意味)から脱出するための方法はみつかりません。
 
(ログミーに掲載されたKさんの手記より、引用。)

<Kさん>
初めに、私が支援団体のPAPSさんを知ったきっかけは、インターネットで、「AV違約金」で検索したときでした。
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PAPS(パップス)とは、「ポルノ被害と性暴力を考える会」の略称です。
常に被害者からの相談に応じています。

(2015年11月8日 弁護士ドットコム「現役女優から「死にたい」というメールが届く――AV出演強要の実態<下>より、引用。)

 --相談の流れはどうなっているんでしょうか?

<金尻カズナさん>
まず、メールで連絡をもらったあと、東京都内であれば、すぐに面談をおこないます。
緊急度によりますが、場合によっては、メールの翌日に直接会うこともあります。

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その際、私たちは必ず2人1組のチームをつくります。
(後略。)

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こうした相談の特徴は、細い糸でつながっていることです。
いつでも連絡が途切れてしまうことが想定されます。
だから、初動が大事です。明け方にメールが送られてきたら、すぐに返事します。(略。)
「9時~5時」の仕事の感覚でやっていたら、できません。

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また「15分の壁」というのがあります。
「15分以内」にメールに返信しないと、二度と連絡がこないということです。

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(ログミーに掲載されたKさんの手記より、引用。)

<Kさん>
メーカーやプロダクションの言いなりにならないと、身の危険を感じることもありました。
業界の人は、怖かったです。
誰にも相談することができずに、ずっと悩み続けていました。
死にたくなりました。

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KさんとPAPS(パップス)の間に、細い糸がつながります。
Kさんは事務所に対して、出演の拒否を通告しました。
これを聞いた相手は、酷悪(こくあく。むごく非道なことという意味)な態度にでました。

(2014年8月16日 人権は国境を越えて-弁護士伊藤和子のダイアリー「AV出演を強要される被害が続出~ 女子大生が続々食い物になっています。安易に勧誘にのらず早めに相談を」より、引用。)

<伊藤和子弁護士>
困ったKさんは民間団体の支援を得て、「もう出演しない」と宣言するも、メールで脅したり、最寄り駅周辺や自宅まで多人数の男たちが押しかけ、出演を事実上強要しようとしました。
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この悪徳事務所は、Kさんに対して、2,460万円の違約金を請求してきます。
Kさんは裁判に訴えました。

(ログミーに掲載されたKさんの手記より、引用。)

<Kさん>
この度は、パップス(ポルノ被害と性暴力を考える会)という支援団体の方と、弁護士さん、助けてくれた家族と友人に対して、とてもとても感謝します。
(略。)
そして、弁護士さんに出会えたことは、私にとってはとても救いでした。
なぜなら、私ひとりではどうすることもできなかったからです。

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Kさんの代理人となったのが、あの伊藤和子弁護士です。

(ログミー「『AV出演への強要は許されない』違約金2460万円の請求は棄却」より、引用。)

<伊藤和子弁護士>
被告代理人は私たち2人のほか、角田由紀子弁護士ほか23名が代理人としてついております。
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(略。)そして判決が2015年9月9日に出されたということになります。
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Kさんが勝訴しました。

(ログミーに掲載されたKさんの手記より、引用。)

<Kさん>
大人の男性を相手に敵に回すのはとても怖かったです。
プロダクションやメーカーの人もそうですが、相手方の弁護士も怖かったです。

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(略。)いざ裁判が始まったとき、どのような結果になるのかわかりませんでした。
そのため長い間不安と戦ってきました。

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Kさんが勝つことができて本当によかったです。
つぎのKさんの提言は、とても重要です。

(ログミーに掲載されたKさんの手記より、引用。)

<Kさん>
駅付近とかのスカウトマンを禁止してほしいです。
禁止と言ってもやりたい放題なので、きちんと法律をつくってほしいです。

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(略)、プロダクションやスカウトの取り締まりについても、しっかり考えてほしいです。
なんでも若者のせいにするのではなく、どうかこれらの仕事が儲からないようにしてほしいです。

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まったく同感です。
こいつらはクズです。
世の中にとって必要のないやつらです。
厳罰化と徹底的な取り締まりが求められます。

(ログミーに掲載されたKさんの手記より、引用。)

<Kさん>
現役の方で私と同じような状況の方に対して、このような被害が減るように、世の中にはこのようなしっかりした支援団体があることを知ってほしいです。
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おっしゃるとおりです。
一人の女性が救われたのです。
気がつくとぼくは、パソコンの画面に向かって礼をしていました。
遅まきながら、PAPS(パップス)のサイトを訪れてみました。
トップページの「What’s New」の項に、更新状況が記されています。
つぎの記事が最新のようです。
 
 16年08月21日 メルマガ メルマガ45号 相談200ケースを越す

このなかの文章から、一部を引用させていただきます。

(引用)
2012年に1件、2013年に1件、2014年に29件と寄せられていた相談が2016年8月8日現在で累計200件になった。
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被害の相談をされるかたが増えているようです。

(引用)
この200ケースの相談のなかで、自死された方が2015年7月に1人2016年8月に1人おられた。
遺族の方が伝えてくださったことにより、私たちは知ることができた。
これは表に出てはっきりしているものだけである(連絡が取れなくなっている方については把握しようがないのである)。
相談やメールの中で「死にたくなってしまう」という言葉を何度聞いたことか・・・・。

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先に紹介したKさんは、つぎのようにおっしゃっています。

(ログミーに掲載されたKさんの手記より、引用。)

<Kさん>
支援団体の方から、さまざまな理由によって、出演された方も、あとで後悔する人たちもいると聞きましたので、この業界は問題だと思います。
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坊主、医者、弁護士は、ひとの不幸で飯を喰っている、と嘲笑されることがあります。(伊藤和子弁護士のようなかたは違います。この範疇には属しません。)
世の中にはひとの不幸で飯を喰うどころか、ひとの命を犠牲にして飯を喰っているやつらがいるようです。

(2016年7月25日クローズアップ現代+「私はAV出演を強要された~“普通の子”が狙われる~」より、引用。)

<茅原記者>
(前略。)
これまで、被害の性質上、なかなか声を上げることができなかったんですけれども、それが、支援団体の活動の結果、女性自身が被害を被害として認識して、声を上げやすくなってきているというのも大きな要因だと思います。

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(2016月7月29日 毎日新聞「香西咲さんのインタビュー記事」より、引用。)

 --なぜそこまで覚悟(告発)を決められた?

香西さん「出演強要が社会問題化しました。(略。)この(被害の)連鎖はもう止まらない。(A氏が)どんどん新しい子を入れているのも分かっていたので、世の中のためにもなると思いました」
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マザー=テレサのときと同じです。
ほのかな光を放っていた灯火(ともしび)が、いま、大きくひろがろうとしています。
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2016年7月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年7月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年7月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016月7月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016月7月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016月7月29日 香西咲さんのインタビュー記事が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
 --出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは
 A氏 当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
 私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
 だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)

(明日のブログへつづく)



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