戦争について(6)~香西咲さんの慈愛と未来への思い。悪徳事務所がやっていることは特攻の強制である

汐文社刊「月光の夏」(毛利恒之著)というノンフィクションがあります。
特別攻撃隊(特攻隊)をテーマにした実話です。
ご存じのとおり、特攻隊とは、太平洋戦争中に体当りの攻撃を行なった日本陸海軍の部隊のことです。
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(講談社現代新書刊「太平洋戦争の歴史」黒羽清隆著より、引用。)

「特攻」は、(1944年10月)海軍の神風特別攻撃隊が(フィリピンの)レイテ湾に出撃したのをはじめとする(以下、略)。
なかには、(略)、「自殺機」として「改良」され、通常の2倍相当の800キロ爆弾2個を搭載し、(略)、「体当たり」以外に能力のない飛行機さえ製造され、のちには、離陸すると車輪が機体から離れる「帰還不能機」(いわゆる棺桶飛行機)すら試作された。
天皇は、海軍の特攻隊の出撃をきいて、(略)、
「そのようにまでせねばならなかったのか。しかし、よくやった」
といったという。

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「月光の夏」はつぎのようなストーリーです。

1945年の6月のことです。
佐賀県の鳥栖市にある小学校(国民学校)に、二人の若い男性が訪れました。
どちらも飛行服をまとっています。
首には、搭乗員のシンボルである白いマフラーを巻いていました。
玄関先で対応した女性の教員に向かって、若者が口をひらきました。
「わたしたちは学校を卒業したばかりのものです。召集されてこの鳥栖にきています」
二人は出身校名をつげました。
一人は師範学校(教育大学)、もう一人は音楽学校を出ていました。
女性は軽く一礼をしました。
若者がつづけます。
「ぼくたちは、特攻隊員です。まもなく出撃することになっています。今日はお願いがあってまいりました。死ぬ前にもう一度、ピアノを弾かせてもらえませんか?」
二人は、この小学校にグランドピアノがあると聞いて、やってきたのでした。
女性は、音楽室へ案内しました。
若者たちは、ピアノを前にして歓喜の色を浮かべました。
おたがいに肯(うなず)きあっています。
順に、演奏をはじめました。
見事な旋律です。
最後に、音楽学校出身の男性が、ベートーベンの「月光」を弾きました。
それがおわると、二人は、立ちあがりました。
帰りぎわ、女性教員は、庭先の白百合を花束にしてわたしました。
受けとった二人は、それぞれ、感謝のことばを口にして基地へもどっていきました。
2か月後、戦争がおわりました。
二人は帰ってきませんでした。
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ちばてつやさんという漫画家がいます。
著名なかたです。
長きにわたって活躍されています。
全集がでていますので、初期のころの作品もみることができます。
若いころに描かれた「紫電改のタカ」という長編があります。
戦争をテーマにしたものです。
主人公は滝城太郎という青年です。
航空兵で、紫電改という機種の戦闘機を操縦しています。
最後の場面が印象的でした。

(講談社刊「紫電改のタカ」ちばてつや作より、引用。)

<滝城太郎が一人で、思いをめぐらしている場面です。>

おかあさん・・・・・・。信ちゃん(幼なじみ)・・・・・・。
いままで、ずいぶん苦労をかけてきたね。ずいぶん心配をさせたね。
でも、もう間もなく、そんなつらい目にはあわないですむと思う。
戦争が終わるんだよ。戦争が終わって、また3人いっしょにしあわせな生活を送る日がやってくるんだ。
そうなったら・・・・・・。おれ、うんと働くぜ。
そうだな・・・・・・。働くといってもどんな仕事をはじめようか。おれ、いままで戦闘機にばかり乗ってくらしてきたから、そんなこと考えたことないや。
どうも、商売はむきそうにないし。といって、会社づとめは好きじゃない。技術といったら戦闘機を操縦する以外は能がないし。
ふうむ。よわったな。
そうだ。学校の先生になろう。
学校の先生になって、これからの社会をせおって立つ子どもたちに、戦争というみにくい事実を知らせてやるんだ。戦争というものが、いかにおそろしいものかを教えてやるんだ。二度とこんなあやまちを繰り返さないように教えてやるんだ。

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<集会の場で、新しい隊長が発表されます。>

梨原「梨原だ。すでに情報は入っていると思うが、こんどおまえたちの隊長に就任することになった」
「われわれを特攻隊にするという情報もはいってるんですが、それはじょうだんなんでしょうね?」
梨原「じょうだんではない。ゆうべの作戦会議できまったことだ」
「うそだ。343航空隊は特攻などやらないきまりがある。でたらめはいわんでください」

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<梨原隊長が、名簿をひらき、名前をよびあげます。そのなかに滝の名前がありました。>

梨原「以上13名は、明朝7時に特攻隊員として沖縄の南、琉球海溝へ出撃する。いいな明朝の7時だ。いま呼ばれたものは、きょうのうちに遺品を整理し、親しいものへ別れの手紙を書いておくがいい。以上」
「待ってくださいよ。部下に死刑の宣告をくだしておいて、さっさと引き上げるんですか? あなたの役目はそれだけですか?
梨原「なにかいいたいことがあるのか?」
「山ほどありますね。なぜ自分たちが死ななきゃならないんです。いったいなんのために死ぬんです?」
梨原「お国のためだ。日本の国を守るために命を捨てるんだ」
「もう日本は守りようがありませんよ。日本が負けるのは時間の問題です。自分は犬死になど・・・・・・。」
梨原「二度とそんなことばを口にしてみろ。この場でたたき切ってやる!」
「ほう、おもしろい。切ってください。切れるものなら切ってください。そんな刀がこわくていままで戦闘機乗りがつとまったと思うのかっ。一皮むけばただの死刑執行人にすぎんじゃないか」
梨原「死刑執行人だと! ふふふ死刑執行人が自分から進んで死刑にされると思うか?」
「え?」
梨原「名簿にこそ書いていないが、このわしも第一陣に加わって出撃するつもりだ。いまの日本国民は毎日毎晩、空襲のためにおびやかされている。事実、数千数万の罪もないとうとい命が失われているのだ。それをくいとめるためには、敵機の基地である空母を沈める以外に手はない。若いきさまたちを死なせたくはないが、日本はそこまで追いつめられているのだ。滝がいうように、日本は間もなく負けるだろう。だが、それまでひとりでも多くの日本国民を空襲から守ってやりたい。日本の国民のために、どうかわらって散ってほしい」

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<翌朝、何も知らない滝のおかあさんと、信ちゃん(おさななじみ)が、列車で、滝のいる大分へやってきました。差し入れをするためです。>

信ちゃん「おばさん、もうすぐ城太郎さんのいる大分に着くわ」
滝のおかあさん「ええ。あの子、太ったかしら、やせたかしら」
信ちゃん「もしやせても、すぐ太ると思うわ。だって、大好物のおはぎをこんなに作ってきたんですもの」
二人は笑いあった。
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~そのころ、滝城太郎は、はてしない大空に旅立っていった。
母を捨て、
信子を捨て、
先生になるゆめも捨てて・・・・・・。
ただ、自分の死が、祖国日本を救うことになるのだということばを信じようと努力しながら・・・・・・

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ネットで、「特攻」「遺書」といれて、アンド検索しますと、膨大な数のものがヒットします。
いくつかをみてみました。
同じものがけっこうあります。
おそらくは、岩波書店などから出版されている「きけ わだつみのこえ」や、戦争博物館のパンフに書かれているものをそのまま写したのでしょう。
残念ながら、ネットでは、遺された家族の心情というのはほとんど出てきませんでした。
手持ちの本のなかから引用させていただきます。

(講談社現代新書刊「太平洋戦争の歴史」黒羽清隆著より、引用。)

以下の文章は、亡くなった岩本益臣さんの妻が綴った日記の一部です。
若干リライトしています。

(岩本益臣さんの)九州のおとうさま、おかあさまのもとに行き、あなたの生活をお話しして、お慰めいたしましょう。
そうすれば、あなたも喜んでくださるでしょう。
やさしかったあなたを思い出して、昨夜はひと晩じゅう泣きました。
わたしは、しあわせな人間でした。
きょうは、好物のおはぎを作って供えました。
いつも、喜んで召し上がったおはぎが、一日たっても、すこしもへりません。

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特攻をするさい、その飛行機には片道分の燃料しかはいっていません。
行ったら最後、もう二度ともどってくることはできないのです。

(2015年11月8日 弁護士ドットコム「現役女優から「死にたい」というメールが届く――AV出演強要の実態<下>より、引用。)

<山下真史さんによる問>
『女優たちはAVに出たくて出ている』と思っている人も多いと思います

<PAPS相談員の金尻カズナさんのことば>
私たちの知っている現実では、彼女たちは、実際には身バレしているので、たとえ辞めたくてもこの業界以外の就職先がないような状況です。だから、『もはや、この業界でしか生きていけない。(後略。)
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一度、AV界へ行ったら最後、もう二度ともどってくることはできない-
これではまるで、特攻、と同じです。

(2016月7月27日 毎日新聞「香西咲さんのインタビュー記事」より、引用。)

家族や友人との連絡も遮断されてきたため「AVを辞めると、完全に孤独になってしまう」と思い込んだ。
(略。)
もう後戻りできない。徹底的に進もう」

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香西咲さんは他人の痛みがわかるかたです。

(2016月7月29日 毎日新聞「香西咲さんのインタビュー記事」より、引用。)

 --なぜそこまで覚悟(告発)を決められた?

香西さん「出演強要が社会問題化しました。(略。)この(被害の)連鎖はもう止まらない。(A氏が)どんどん新しい子を入れているのも分かっていたので、世の中のためにもなると思いました」
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(再掲)
この(被害の)連鎖はもう止まらない

これ以上、「特攻」させられる犠牲者をふやしたくない。
今回の告発には、香西咲さんのこのような慈愛もふくまれています。

香西咲さんのツイッター(2016年8月16日)より、引用。

『過去の性教育の曖昧さのツケが、
現代若者の“望まない妊娠、性病、AV強要…”等の被害を生んでいる一つの原因なのではないでしょうか。』
と、何かの取材に声を上げそうになって目が覚めた。
家だ。
あ、おはようございます

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香西咲さんの今後の活躍に注目です。
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2016年7月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年7月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年7月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016月7月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016月7月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016月7月29日 香西咲さんのインタビュー記事が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
 --出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは
 A氏 当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
 私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
 だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)

(明日のブログへつづく)



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