香西咲さんの明晰さと、アメリカの禁酒法

産経新聞2016年7月8日版より、引用。

キャンプ場でアダルトビデオ撮影、大量52人を書類送検 出演強要事件に絡み

警視庁保安課は8日までに、神奈川県内のキャンプ場の屋外でアダルトビデオ(AV)を撮影したとして、公然わいせつと同ほう助の容疑で、AV制作会社「CA(東京都港区)の40代男性社長や女優、男優ら52人を書類送検した。
所属していた女性を実際の性行為を含むAV撮影に派遣したとして、大手AVプロダクション「マークスジャパン」の元社長らが逮捕された事件に絡み発覚した。
同課によると、公然わいせつ容疑で書類送検したのは、男性社長CA関係者の7人と出演男女31人。
公然わいせつ幇助容疑で女性をCAに派遣した容疑で、逮捕・略式起訴されたマークスジャパンの元社長ら2人や、撮影スタッフら10人を送検した。
キャンプ場は2日間貸切にしていたが、敷地内に人が入れる状態だった。
CAの7人は「見張りを立てて一般の人が入れないようにしたので、公然わいせつにならない」と容疑を否認している。
CA「DMM・com」グループで、業界最大手。
(後略。)
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この種の件でネット検索をしていますと、この業界は不要だ、AVなど世の中からなくせ、という意見を目にします。
ぼくもまったく、同意見です。
否定すべきものは何もありません。
ただ、そうは思いつつも、ものごとはそう単純ではありません。
なぜなのか。
本日は、かつてアメリカでおこなわれた「ある禁戒(禁じ戒めること)」の事例をふりかえってみたいと思います。

1900年代の初頭のことです。
当時、アメリカでは、
「ブルー・マンデー」
という社会問題がおきていました。
ブルー・マンデーを直訳すると、「憂鬱な月曜日」です。
休日明けの月曜日、労働者たちは、宿酔(しゅくすい。二日酔いの意味) の状態で出勤します。
このことによって、月曜日におけるアメリカ全体の作業能率は、著しく低下していました。

アメリカのことを「WASP」と表象する場合もあります。
WはWhite(白人)、
ASはAnglo-Saxon(アングロ・サクソン)、
PはProtestant(プロテスタント)
です。

かつて、ドイツにおいて、ルターという人物が宗教改革をおこないました。
この運動は、1517年からはじまります。
やがてこれが、ヨーロッパの各国に伝播します。
スイスではカルヴァンが、ルターとは別の考え方にもとづいて改革を遂行しました。
カルヴァンの「予定説」と「職業召命説」は有名です。
上述のとおり、宗教改革の嚆矢(こうし。はじまりの意味)は、ルターです。
ルター以後の新しい宗派を一括して、プロテスタントと呼びます。
ちなみに、ピューリタンというのは、カルヴァン派を信仰しているイギリス人の呼称です。

アングロ・サクソンというのは、ゲルマン民族(ゲルマン人)の一派であるアングロ族とサクソン族のことです。
現在のイギリスは、この両族によってつくられました。

アメリカは、イギリスから移り住んできたピューリタンによって建国されました。
かねてよりこのひとたちは、飲酒は悪いことである、との考えをもっていました。

「ブルー・マンデー」の問題が顕在化したあたりから、禁酒運動が勢いを増してきます。
酒を忌避するひとたちは、こう喧伝(けんでん。世間に言いはやし伝えることの意味)しました。
飲酒を禁止すれば、
「飲み代(のみしろ)が浮くので家計が助かる」
「町から犯罪がなくなり世の中が繁栄する」
と。

こうした状況のなか、第一次世界大戦(1914~1918年)が勃発します。
これまでアメリカは、モンロー主義(アメリカ大陸とヨーロッパ大陸の相互不干渉を主張する外交政策)を掲げて、ヨーロッパ各国の諸問題には干渉しませんでした。
1917年4月、アメリカは、モンロー主義を抛棄(ほうき)して、ドイツに宣戦を布告します。

この戦争は、これまでのとはちがって、一般国民をもまきこんだ大きな戦いです。
勝敗は、国民の食料を確保できるかどうかで決まる、といわれました。

1917年6月、アメリカ議会は、穀物をアルコールの原料にすることを禁止する、との法律をつくります。
戦時立法です。
これは戦争中しか適用されません。

議会はこのきまりを恒久化しようと画策します。
そのためには憲法を改正しなければなりません。
憲法には、自由、が明記されています。
禁酒とは、人々から酒を飲む自由を奪うことです。
この制限を可能とするためには、憲法のなかに、「禁酒」の条項を追加しなければなりません。

そこで以下のような改正案がつくられました。

<アメリカ合衆国憲法修正第18条>

 第1節 (前略。)合衆国(以下略)において、飲用の目的をもってアルコール飲料を醸造、販売または運搬し、あるいはその輸入もしくは輸出を行うことを禁止する。

従来の憲法を変えるためにはまず、上院と下院の両方の賛成が必要です。
それぞれの院において、3分の2以上の議員が賛意を示さなければなりません。
これだけでは不十分です。
さらに、アメリカの48州(当時)のうち、4分の3以上の州議会が改正を支持しなければ、憲法の変更はできません。

1917年8月、まず上院が、憲法改正を決議しました。
賛成が65票、反対が20票でした。

1917年12月、ついで下院も改正を可決します。
賛成が282票、反対が128票でした。

1918年、第一次世界大戦がおわります。

1919年の1月のことです。
改正を支持する州議会の数が、4分の3を超えました。
結果、48州(当時)のうち、反対したのは2つの州だけでした。

1920年1月17日、禁酒条項を追加した新憲法が発効します。

合衆国(以下略)において、飲用の目的をもってアルコール飲料を醸造、販売または運搬し、あるいはその輸入もしくは輸出を行うことを禁止する。

これが、一般に、「禁酒法」と呼ばれているものです。
アルコールの禁止は、1933年に廃止になるまで、13年間もつづきます。

上述しましたが、禁酒の当初の目的に、
「町から犯罪がなくなり世の中が繁栄する」
というのがありました。

それでは実際に犯罪が減少したのでしょうか。
長くなりましたので、くわしい事例は、明日のブログでご紹介をします。
本日は簡単に記します。

結論からいいますと、禁酒法ができてから凶悪な犯罪が多発するようになりました。
人々の飲酒への欲求は絶ちがたいものがあります。
なんとかして酒を手に入れたい。
そこで登場するのが、酒の密造密輸で利得を得ようとするひとたちです。
これを組織的におこなったのがギャング(暴力団)です。
アル・カポネという有名な人物もいます。
ギャングたちの勢力争いに巻き込まれて、一般市民も多数、命を落としました。

人権は国境を越えて-弁護士伊藤和子のダイアリーより、引用。

私はAV業界を潰そうとは、全く考えていません。
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伊藤弁護士は怜悧(れいり。かしこい、りこうという意味)です。
深慮遠謀(深く考えをめぐらせて、遠い先の未来のことを見通しているという意味)の持ち主です。

ここで業界をつぶしてしまうと、どうなるのか。
それは、明白です。
おそらくアメリカの禁酒法のときと同じような事象が生じると予想されます。
つまり、闇組織の暗躍です。
裏社会で跋扈(ばっこ。のさばりはびこることの意味)する輩(やから)が頻出します。
当然、蔭(かげ)で違法な制作がなされていくことでしょう。
それにともなって、犯罪に巻き込まれていくひとたちもでてくるのではないでしょうか。

香西咲さんのツイッター(2016年7月7日)より、引用。

(前略。)
業界に対して恨みしかなかったら私もとっとと去って終わる所でした。
私は業界に対する愛があります、本気で改善に取り組みたい、だから実名報道を選びました。

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香西咲さんは明晰(めいせき。概念の範囲が明確で他とはっきり区別しているとの意味)です。
改善するしか道はないのであろうと思います。
ただし、抜本的な改革が必要です。
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2016年7月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
2016年7月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
2016年7月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
2016月7月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
2016月7月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
2016月7月29日 香西咲さんのインタビュー記事が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
 --出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは
 A氏 当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている

 (A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
 私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
 だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)

(明日のブログへつづく)



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