昨日のつづきです。
100年前の「あゝ野麦峠」の時代を振り返っています。
工場で働く女性たちには、悪辣な境遇でした。
堪えきれなくなった工女たちは、奔逸(ほんいつ。走り逃げるという意味)します。
出奔(しゅっぽん。逃げだして行方をくらますとの意味)しようとします。
これに対して、使用者側は、つぎのようなことをおこないました。
(「メイド イン 東南アジア」より引用。)
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工場側は、相次ぐ逃亡を防ぐ手段を講じます。
工女が暮らしている寄宿舎の周りに高い塀をめぐらしてガラスの破片をさす、有刺鉄線を張る、外側に堀をつくるなどの厳重な警戒ぶりでした。
裏側が河や海に面した立地条件を選ぶ工場もありました。
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「あゝ野麦峠」では、寄宿舎(寮)の窓に、鉄の桟(骨組み)をはめ込んだ事例も紹介しています。
これでは牢獄とかわりがありません。
香西咲さんのTwitter(2016年7月9日)より、引用。
(略。)何本も出てるのに何故辞められないか?にも触れられています。
経験者しか分からないでしょう。
実に8ヶ月間におよぶ洗脳行為です。
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週刊文春2016年7月14号より、引用。
いっそ自分の人生を終わらせてしまおうかという衝動に駆られたことも一度や二度ではありません。
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(女工小唄より。)
「かごの鳥より 監獄よりも 寄宿ずまいは なおつらい」
(「女工哀史」より引用。)
1900年1月25日、帰郷を前に、工場で火災がおこった。
49人の女子労働者が、寄宿舎で深い眠りにおちていた午前3時30分ごろ、階下から出火。
はね起きたときは、一面の火の海。
窓に飛びつくと、そこには太い鉄の柵がはめてあった。
鎮火後、散乱した遺体は、みんな頭も銅もバラバラになり、しかもそれさえ、焼けただれて、男か女かわからぬほどであった。
年齢は13歳から25歳までで、31名の女性が犠牲となった。
寄宿舎の窓には、鉄棒がはめてあって、逃げ出せないようになっていた。
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女性たちはなぜ、自ら、このような絶望の淵へやってきたのでしょうか。
それは甘言です。
女性たちの生家は皆、日々困窮していました。
当時の日本の家庭は国策のため、どこも大家族です。
口減らし(家計が苦しいので家族の者を他へ奉公にやるなどして養うべき人数をへらすことの意味)のために、他所で働く必要に迫られました。
そこへやってきたのが、紡績会社のスカウトです。
工場側は、自分たちに都合の悪い話はいっさいしません。
甘いことばでささやき、誘惑します。
最後は、契約書に判を押させて、本人から同意を得た、というかたちをとります。
全体的に契約書の文言は漠としていました。
細かい労働条件などはいっさい書かれていません。
のちになって気づかされるのですが、そこにはつぎのようなことばが記されていました。
「勝手にやめたら貯金を没収する、損害賠償を支払ってもらう」
前借り金を返すまでは辞められない、などというのもありました。
(東京新聞2016年6月14日より引用。)
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大学生の頃、アルバイト先で「グラビアのバイトをしてみない?」と持ち掛けられたのが始まりだった。
「話を聞くだけ」と気軽に応じた。
男性社員ばかりのプロダクション事務所に行くと、「登録だけしておこうか」と優しく言われた。
派遣のバイトに登録する感覚で身分証のコピーを渡し、書面に名前と連絡先、住所、生年月日、大学名を書いた。
書面に「AV」の記載はなく、グラビア撮影と思った。(略。)
数日後に制作会社で面接を受け、さらに数日後、プロダクションから「AV出演が決まった」と連絡があり、ようやく事の重大さに気づいた。
「絶対に嫌です」
狭い応接室で三時間以上、泣いて懇願したが、三人の男性に囲まれ、どう喝され続けた。
身分証や裸の写真が脳裏をよぎった。
「契約書へのサインがある。違約金を払えるのか」
「親や大学にばらす。親は泣くぞ」
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工女たちですが、厳酷な(むごいほどきびしい)労働環境のもとで使役されました。
結果、罹患するものたちが頻出しました。
(「女工哀史」より引用。)
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女工72万人のうち一万6500人が亡くなった。
結核が4割を占めていた。
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香西咲さんのTwitter(2016年6月14日)より、引用。
慢性胃炎や膵炎、睡眠障害、脅迫観念、対人恐怖症等(特に男性)など、
ケジメを付けない限りは一生引きずりますね。
健康を返して。
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週刊文春2016年7月21日号より、引用。
事務所の言いつけ通りに仕事をこなす日々。
夢のためにと笑顔を作って自分を奮い立たせたが、気がつけば、アルコールと睡眠薬が必需品になっていた。
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ストレスから円形脱毛症になり、全身がけだるく、胃腸は毎日、抉られるように痛みました。
自分で救急車を呼んだこともあった。
屈辱がフラッシュバックし、衝動的に命を絶ちたくなることも・・・・・・。
このままでは夢を叶えるどころか廃人になってしまう。
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当時、結核は、不治の病といわれていました。
工場側は、工女が結核になると、粗末な小屋に収容しました。
他者への伝染を防ぐためです。
小屋の周囲に縄を張り巡らせて、ひとを近づけないようにもしました。
けっして医者に診せようとはしません。
家族へは、すぐに引取りにくるように、と連絡をします。
病気になれば解雇され、駆逐される(追い払われる)という状況でした。
賃金も、契約前に吹聴されていたこととは違っていました。
(「昭和ひとけたの時代」より引用。)
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工女たちの賃金は、恐ろしいほど低かった。
インドよりも下の労働賃金といわれていた。
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低いだけではありません。
賃金は毎月支払われず、支給日は盆と正月の2回だけでした。
現金ではなく、布地や帯などの現物で支払われる場合もあったようです。
罰則もありました。
製造した糸の品質が悪いと、罰糸、といいまして、賃金のなかから罰金が差し引かれました。
「メイド イン 東南アジア」によりますと、罰糸がつづいて、借金をかかえこむ工女もいたそうです。
現役女優から「死にたい」というメールが届く――AV出演強要の実態(下。2015年11月08日)から引用。
<PAPS相談員の金尻カズナさんのことば>
「また、プロダクションが用意したマンションの部屋に引っ越しさせられて、借金を背負わされることもあります。とても高額なマンションなので、敷金・礼金が100万円くらいかかる。それをプロダクションが前払いして、初回の出演契約をさせています。つまり、債務奴隷です」
「また、ある相談者は「あれはカルト宗教だった」と回想していました。たしかにカルト宗教に近い問題があります。それは、甘い言葉で勧誘し、まるで家族のように親しく接近し、居住の自由を奪う。家族や社会から孤立させる。「相談役」もいる。断ったり指示に従わなければ「違約金を支払え」と恐怖をあおる。そうやって、女性たちに考えないようにさせ、抜け出せないようにさせています」
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(東京新聞2016年6月14日より引用。)
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「AV業界は今、特殊な世界ではなく、ちょっとした心の隙があれば、誰でも取り込まれる危険がある」
女性は何度も繰り返した。
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「ちょっとした心の隙があれば、誰でも取り込まれる危険がある」
100年前も現在も、何も変わっていません。
週刊文春2016年7月14号より、引用。
人気AV女優の香西咲氏(30)は今回のインタビューで、呼び起こしたくない過去に向き合い、何度も悔し涙を流した
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こういうことは二度とあってはなりません。
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■2016年7月07日 香西咲さんの特集記事(1)が週刊文春に掲載されました。
■2016年7月14日 香西咲さんの特集記事(2)が週刊文春に掲載されました。
■2016年7月17日 香西咲さんがAbemaTV(みのもんたの「よるバズ!」)に出演されました。
■2016月7月20日 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
■2016月7月27日 香西咲さんのインタビュー動画が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
■2016月7月29日 香西咲さんのインタビュー記事が、毎日新聞のWebサイトにアップされました。
(引用。A氏による衝撃の回答)
--出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?
A氏 当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。
(※A氏は、これまできちんとしていなかったことを認めました。)
■香西咲さんのツイッター
(香西咲さんの重要ツイート ~2016年7月18日)
私だって綺麗にリセット出来るならAVデビュー前の私に戻りたい。
だけど変えられない現状踏まえて立て直したのが今の形。(後略。)
(明日のブログへつづく)
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