香西咲さんの実名告発の背後にある業界への深い愛

香西咲さんのツイッター(2016年7月21日)より、引用。

色んな所でから『情報操作して下さい』『こう発言して下さい』と言われるけど、思ってもいない事は書きません。
今後は特に。

——————————————————–

強要や脅しだけではなく、懐柔(巧みにてなずけ従わせること、てなずけ抱きこむこと、の意味)もあるのでしょうか。

「稲むらの火」という譚(はなし)があります。
ほとんどのかたはご存じないかもしれません。
戦前の小学校の教科書に掲載されていました。
(参考。教科書の画像

原文は、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の「生き神」です。
「稲むらの火」はそれを小学生向けにリライトしたものです。
以下に紹介します。
※注 さらにぼくのほうで、文意を損なわない程度にリライトしてあります。)
 
 稲むらの火

「これは、ただごとではない」
と、五兵衛(ごへい)はつぶやきながら、家のなかから外へでた。
いまの地震は、別にはげしいというほどのものではなかった。
しかし、長くゆったりとした揺れかたと、うなるような地鳴りは、いままでに経験したことのないような不気味なものであった。

杞憂の念をいだいた五兵衛(ごへい)は、自分の家の庭に立ち、眼下に広がる村をみおろした。
村のひとたちは、豊作を祝う祭りの準備に夢中で、地震には気づいていないようである。

五兵衛(ごへい)の目は、村から、海へと移った。
おかしい。
風向きとは逆に、波が沖のほうへ流れている。
海岸には、広い砂原や黒い岩底が露出してきた。
「大変だ。津波がやってくる」
と、五兵衛(ごへい)は思った。

このままでは、400人の命が、村もろとも飲みこまれてしまう。
一刻の猶予も許されない。
「よし」
と、五兵衛(ごへい)は叫んで、家の中から大きな松明(たいまつ)をもってきた。
周囲には、たくさんの稲束(いねたば)が積んである。
惜しいが、これで全員の命が救える。
松明(たいまつ)を掲げた五兵衛(ごへい)は、近くの稲むら(稲束を積み重ねたもの)に火を移した。
風にあおられて、火の手がぱっとあがった。
ひとつ、またひとつ、五兵衛(ごへい)は、自分の田にあるすべての稲むらに火をつけた。
それから、ふたたび、沖のほうをながめた。

すでに日は没しており、あたりがしだいに薄暗くなってきている。
稲むらを燃やす火は、天をこがした。
山寺の住職はこの火を見て、早鐘(はやがね)をついた。
村の若い者たちは、
「火事だ。庄屋さん(村落の長)の家のほうだ」
と叫び、早足で山手をかけのぼった。
つづいて、老人も女も子供も、若者のあとを追いかけるようにして、上をめざした。

高台からみおろしている五兵衛(ごへい)の目には、それがアリの歩みのようにもどかしく感じられた。
ようやく20人ほどが駆け上がってきた。
かれらは火消しにとりかかろうとした。

五兵衛(ごへい)が叫んだ。
「ほうっておけ。それよりも早く、村じゅうのひとたちに来てもらうんだ」

しだいに村民が、高台へと集まってきた。
五兵衛(ごへい)が海のほうを指さして、咆吼した。
「やってきた」

ひとびとの視線が、日の沈んだ海に向けられた。
遠い海の端に、細くて暗い、ひとすじの線がみえた。
その線は、みるみる間に太くなった。
広くなった。
異様な早さで、こちらへ押し寄せてくる。
「津波だ」
と誰かが叫んだ。
海水が絶壁のように、目の前に迫った。
ひとびとは我を忘れて、うしろへ飛び退いた。
津波が真下の陸地に当たった。
一瞬、水煙で何もみえなくなった。

ひとびとは呆然と、眼下で荒れ狂う白くて恐ろしい海を眺望した。
皆、無言だった。

稲むらの火は、風にあおられていっそう燃え上がり、夕闇を明るくした。
我に返った村人は、その火によって自分たちが救われたことに気がついた。
ひとびとは無言で、五兵衛(ごへい)にひざまずいていた。
——————————————————–

香西咲さんはいま、呻吟(しんぎん)しながらも、前を向いて歩んでおられます。
なぜ今回、香西咲さんは、あのような告発をおこなったのでしょうか。
のちに、ぼくは、香西咲さんのツイートを1年半ぶりに拝読させていただきました。

香西咲さんのツイッター(2016年7月17日)より、引用。

業界の皆様へ
一部のメーカーからは『ほとぼりが冷めるまで波風立てるな』と私を煙たがられている事も承知しております。
ですが、ほどぼりが覚めるまで沈黙を続けていたら、その間に色んな思惑にハマり兼ねないと危惧しています。
今声を上げ対策を立てる事の重要さを感じて頂きたいと思います。

——————————————————–

香西咲さんのツイッター(2016年6月23日)より、引用。

女優は真っ先にギャランティに響くので頑張るのは当然ですが、業界全体がより良くなって行こうと言う“愛”か感じられない昨今です。
愛があればもっと色んな意見も出るでしょうし、切磋琢磨されてより良い環境作品が生まれるはずです。
私は業界の皆様に業界愛を持って頂きたいとおもいます。

——————————————————–

香西咲さんのツイッター(2016年6月23日)より、引用。

私が独立してまで業界に戻ってきたのはそこ!
同じ被害者も出したくないし、メーカー制作女優…皆が納得して同じ方向を目指し良い物を作って行きたい。
後の私は女優、一般女性のサポートに徹したい。(後略。)

——————————————————–

香西咲さんのブログ(2016年07月04日)より、引用。

今は業界を応援したいし、
健全で皆が安心して働ける環境を整えるお手伝いをしたい。

——————————————————–

香西咲さんのツイッター(2016年7月5日)より、引用。

私は今自分が関わるAV業界現役の方々が大好きです。
丸5年業界にいても、業界の事なんて僅かしか知らないでしょう。
でも蚊帳の外からこの業界の事を言う方々との重みは違うと思って頂けたら幸いです。
現状を認め、少しでも業界が更に良い方向に向かう様に微力ながら努めます。

——————————————————–

香西咲さんのツイッター(2016年7月6日)より、引用。

(前略。)でしたらAVメーカーを利用しようとする悪徳プロダクションは精査して、無くした方が良い。
私はそれが未来のAV業界の為になると思います。
AVに対して異論を言えない環境を作られているのもおかしい、切磋琢磨し合う環境が重要では?

——————————————————–

これらの一連のツイートを拝見したとき、ぼくの脳裏に「稲むらの火」のことが過ぎっていました。
香西咲さんは今回なぜ、週刊文春で告発をおこなったのか。
それは、五兵衛(ごへい)と同じ考えなのかもしれない、と。

「ワンイヤー、ワンインチ」ということばがあります。
直訳すると、
「1年間に1インチ」
という意味です。
イギリス海軍が、軍艦の乗組員に対して提示している警句(アフォルズム)です。
軍艦では、数多くの乗員が働いています。
乗員は、軍艦が停泊すると、船をおりて街で買い物をします。
乗船時にそれぞれが、これくらいはいいだろう、と思って、無思慮に私物を搬入したとします。
これをつづけていると、船は1年間で1インチ(2.54センチ)沈むそうです。
そうなると速力は落ちますし、正確な舵取りもできなくなってしまいます。
結果、戦争になったときに、本来もっている力を発揮することができず、負けてしまいます。
これを防ぐためにイギリス海軍は、決められた重さ以上のものを艦内に持ち込むことを厳禁しているのです。
「これくらいはいいだろう」
皆がこれをつづけていると、組織はゆっくりと沈んでいきます。

香西咲さんのツイッター(2016年7月7日)より、引用。

(前略。)
業界に対して恨みしかなかったら私もとっとと去って終わる所でした。
私は業界に対する愛があります、本気で改善に取り組みたい、だから実名報道を選びました。

——————————————————–

香西咲さんのことばは、まさしく、慧眼(けいがん。物事をよく見抜く鋭い洞察力の意味)です。

——————————————————–
 香西咲さんのインタビュー記事が、しらべぇに掲載されました。
 香西咲さんのツイッター

(明日のブログへつづく)



香西咲さんを勝手に応援するサイトへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。