無償の愛

香西咲さんを勝手に応援するサイトの管理人の「焼酎好き」です。よろしくお願いします。

香西咲さんのTwitter(2014年8月13日)より引用。
——————————————————————–

無償の愛ってあるの?

丘咲エミリ Emiri Okazaki ‏@okaemiri
@kouzaisaki 無償の愛の答えわ、多分だけど、母親が子を思う気持ちこそが無償の愛だと思うー。
(略)。

——————————————————————–
以前、このお二人のツイートを拝見したとき、素敵なやりとりをされていると思いました。

アンデルセンの作品に、「人魚姫」という童話があります。
次のような内容です。

物語の主人公である人魚姫は、王の娘です。
自分の上に姉が5人います。
人魚たちは、海底の奥まったところで生活をしていました。
人魚の世界には、15歳になれば自由に海面を泳いでも良い、というきまりがありました。
人魚姫は、その年齢になるのが待ち遠しくてしかたありませんでした。
姉たちが皆、地上のめずらしい光景を自慢げにはなすからです。

15歳になりました。
人魚姫は喜び勇んで海の外をめざしました。
海面に顔を出しました。
近くに大きな船が浮かんでいました。
音楽や歌声が聞こえてきます。
人魚姫はそばに寄り、船室の窓から中の様子をうかがいました。

パーティーが催されていました。
あでやかな衣装をまとったひとたちが楽しげに談笑しています。
大きな瞳をした美しい少年のところで目がとまりました。
どこかの国の王子のようです。
皆から祝福を受けています。
今日は、誕生日のお祝いなのかもしれません。

夜が深まってきました。
人魚姫は王子から目を離そうとしませんでした。
船内の灯りが消えても、そこにとどまっていました。

波が高くなってきました。
嵐がやってきたようです。
突然、マストが折れました。
しばらくして船が横転しました。
人々は外へ投げ出されました。
人魚姫は必死になって王子の姿を探しました。

沈みかけている王子の姿を発見しました。
気を失っています。
人魚姫は抱きかかえながら、浜辺まで泳ぎました。
息はしっかりしています。
砂の上に王子を寝かせました。
森の向こうに白い大きな建物がみえます。

やがてその中から一人の少女がこちらへやってきました。
人魚姫は岩陰に隠れました。
王子は無事に救出されました。

海の底にもどった人魚姫は毎日、王子のことばかりを考えていました。
「あのかたはどこの国からやってきたのかしら」
仲間の人魚が王子の住まいを知っていました。
幸運なことに、王宮は海岸に沿って建てられているようです。
人魚姫は建物の近くまで行ってみることにしました。
何度か訪ねているうちに、遠くから王子の姿を確認することができました。
人魚姫は毎晩、日課のようにしてその建物のそばまで行きました。

王子に対する思いは日ごと強まります。
「会いたい」
意を決した人魚姫は、海の魔女を訪ねました。

顔をみるなり、相手が口を開きました。
「用件はわかっているよ。王子と結婚したいので、足がほしいのだろう」
人魚姫が肯きました。
相手がつづけます。
「薬を調合してあげよう。それを飲むとしっぽが足に変わる。ただし、痛いよ。地面に触れるたびに鋭い刃物を踏むような感じになる」
人魚姫は、
「かまいません」
と応えました。
魔女がほくそ笑みました。
「それに一度人間になったら、もう二度と人魚にはもどれないのだよ。いいのかい?」
「はい」
と、人魚姫が肯きました。
魔女がつづけます。
「まだあるよ。もしも王子が他の女と結婚したら、翌朝おまえさんの心臓はやぶれ、全身が泡(あわ)となって海の上に浮かぶのだよ
人魚姫は肯首しました。
「そうかい。それじゃつくってあげよう。ただし条件がある。あんたのその美しい声をもらうよ」
人魚姫は狼狽したものの同意しました。
魔女はできあがった飲み薬を渡すと、人魚姫の舌を切り取りました。

人魚姫は王宮がみえるところまでやってきました。
建物からは、海へとつながる階段が出ています。
そこへ座って薬を飲みました。
激痛とともに、意識がなくなりました。

気がつくと目の前にあの王子が立っていました。
「あなたは誰です? どこから来たのですか?」
声を失った人魚姫には答えることができませんでした。
気の毒に思ったのか、王子は城内で休むようにいってくれました。
階段をのぼりました。
そのたびに激しい痛みを感じました。
必死になってそれをこらえました。

広間では宴が催されていまいた。
人魚姫は、王子の前で踊りを披露しました。
気に入られた人魚姫は、王宮に置いてもらえることとなりました。

ある日、王子がいいました。
「おまえは一番かわいい。誰よりもやさしい心をもっている」
人魚姫が笑みを浮かべました。
それをみて、相手がつづけます。
「それにおまえは、ぼくの一番好きな女性に似ている。ぼくは以前に、船が難破して海岸にうちあげられたことがある。そのとき、教会に勤めている若い女性がぼくを助けてくれた。ただ、そのかたは尊い教会につかえている。だからもう会うことはできない」
人魚姫は王子を凝視しました。
「あのときあなたを救ったのは、このわたしです」
声にはなりませんでした。

しばらくして、王子に、見合いの話がもちあがりました。
相手は隣の国の王女です。
王子のほうから会いにいくことになりました。
出発の前日、王子が人魚姫にいいました。
「すぐに結婚するわけじゃないよ。親の面子をたてて会いにいくだけさ。いずれどうしてもお嫁選びをしなければならなくなったら、ぼくはおまえを妻にするよ。口はきけないけど、心の澄んでいるおまえをね」

隣国への旅には人魚姫もお供をすることとなりました。
一行は王女と面会しました。
その姿をみるなり王子が、驚きの声をあげました。
「あなたでした。そう、あなたでした。海岸にうちあげられたぼくを救ってくださったのは」
「おぼえていてくださったのですね」
といった王女の口許から笑みがこぼれました。
「もちろんです」
王女はあの教会で、王妃となるための道を修めていたのです。

王子と王女の結婚式が盛大におこなわれました。
遠くからそれを眺めている人魚姫の身に、死の影が迫ってきました。
明日の朝、自分の心臓は破れ、全身が泡と化してしまいます。
式のあとのパーティーは、船の上でおこなわれます。
人魚姫も出席することにしました。
この世の最後に王子の姿をみておきたかったからです。

深夜になり喧噪もおさまりました。
人魚姫は甲板にでて海をみつめました。
もうすぐわたしは死ぬ。
そのとき、波の中から姉たちが姿をあらわしました。
5人とも長い髪の毛が切り取られていました。
「髪は魔女にやったの。あなたを助けるためにね」
そういって姉は、短刃をかかげました。
「魔女がこれをくれたの。これで王子を殺せば、あなたは助かるって。早くしてね。朝日がのぼれば、あなたは海の泡になってしまうのだから」
人魚姫は短刃を受け取りました。

人魚姫は、二人が眠っている船室の中へ入りました。
熟睡しています。
花嫁は王子の胸に頭をのせていました。
人魚姫は短刀の先をみつめました。
視線を王子に移しました。

王子がひとりごとをいいました。
花嫁の名前でした。
短刀をもつ手が震えました。

まもなく夜が明けようとしています。
人魚姫はうつろな目で王子をみました。
もっている短刀を海に向かって放り投げました。
「さようなら」
人魚姫は海に向かって飛び込みました。

——————————————————————–

ちょっと長くなってしまいました。
すみません。
王子への愛を貫くために人魚姫は、自ら海の藻屑(もくず)となって消え去る道を選択しました。
人魚姫の愛は、見返りを求めない愛です。
無償の愛です。
世の中には、愛ということばが氾濫しています。
なかには、自分のために誰かを愛する、というひともいます。
本当の愛とは、相手からのお返しを求めない愛、なのではないでしょうか。



香西咲さんを勝手に応援するサイトへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。